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八ツ場、動かず ダム建設再開決定から1年 工期・事業費計画、見直し必要(朝日新聞 2013年2月16日)

2013年2月16日
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八ツ場、動かず ダム建設再開決定から1年 工期・事業費計画、見直し必要(朝日新聞 2013年2月16日)

http://digital.asahi.com/articles/TKY201302150591.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201302150591

八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)=キーワード=の建設再開を民主党政権が一転して認めてから1年余り。自公両党が政権を取り返したのに、まだダム本体の関連工事にさえ着手していない。解決していない課題がまだいくつも残されたままだ。
国土交通省関東地方整備局が14日に開いた「利根川・江戸川河川整備計画」の有識者会議は大もめだった。1月末に同整備局が、委員に諮ることなく整備計画の原案を公表し、ダムの建設中止を求める一部委員が猛反発したからだ。
6都県の利根川流域には国内の10分の1にあたる約1280万人が暮らす。整備計画の原案は、70~80年に1度起こるかもしれない洪水に備え、基準地点(群馬県伊勢崎市八斗島)での川の流れを最大で毎秒1万7千トンに設定。そのために八ツ場ダムが必要だと位置づける。
民主政権は、この整備計画をまとめることをダム本体着工の条件の一つにしていた。だが、自公政権になり、太田昭宏国交相は整備計画を着工の条件にはしないと明言した。それなのにダム本体の工事は今もまったくめどが立っていない。
背景には、工期や事業費を定める基本計画を見直さざるを得ない状況がある。
自公政権は1月末、八ツ場ダム計画の98億円(うち国費50億円)を含む2013年度予算案を閣議決定した。関連工事費18億円も含まれたが、今年度の未執行分が繰り越されただけ。ダム本体の工事費は盛り込まれなかった。
「いつ完成か地元に示すべきだ。生活再建に影響が出ている」。群馬県の大沢正明知事(67)は5日、ダム本体完成を15年度とする基本計画見直しを国に求めた。
民主政権時に行われた、未完成ダムが必要かどうかの再検証で、国交省は八ツ場ダムについて、「本体工事の入札公告から試験湛水(たんすい)まで7年3カ月」と試算。この試算通りだと20年度の完成もおぼつかない。
長野原町の高山欣也町長(69)は「民主政権の3年余り、何も動かなかった。自公政権に期待しただけに、正直がっかりした」と語った。
水没予定の川原湯温泉での会合では、区長の冨沢吉太郎さん(72)ら住民代表が「完成は何年延びるのか」と迫り、国交省の出先機関幹部が謝罪を繰り返す一幕もあった。
問題は完成時期だけではない。八ツ場ダムは総事業費4600億円。これが更に膨らむ可能性が高い。再検証で地滑り対策などに182億円かかると判明。国交省は「その他の部分で削減する」とするが、増額は必至だ。
完成時期や事業費を見直すには基本計画を変更せざるを得ないが、これには6都県議会の承認も必要になる。一方、新たな事業費負担には6都県とも否定的だ。水没予定地にはなお、移転に応じない住民もいる。
それだけではない。自民党議員からは「参院選が終わるまでは急いで進めるのは得策でない」という声もあがる。
地元選出の小渕優子・財務副大臣は7日の会合で、国交相の姿勢を「八ツ場は必要だが、古い自民党の公共事業の象徴にされては困るという政治的な背景がある」と解説した。
計画浮上から61年。ダム予定地周辺では隣町などへの転出が相次いだ。とどまった住民の多くは、ダム湖畔での生活再建という将来像を描ききれないままだ。(小林誠一、長屋護)
◆キーワード
<八ツ場ダム> 総事業費約4600億円と国内のダム史上最大。治水・利水で利益を得る6都県などが建設費の6割を負担する。
1952年に計画が浮上し、地元の群馬県長野原町は85年に「ダムによる生活再建」を受け入れた。基本計画は86年に完成を00年度としたが、01年に10年、08年にさらに5年延長された。09年に民主政権が建設中止を表明したが、11年12月に建設再開に転換した。

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