水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 事務局からのお知らせ > 子吉川水系鳥海ダム建設事業に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見の提出について(無力な環境アセス制度)

事務局からのお知らせ

子吉川水系鳥海ダム建設事業に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見の提出について(無力な環境アセス制度)

2018年4月11日
カテゴリー:

国土交通省東北地方整備局が秋田県由利本荘市に建設を計画している鳥海ダムについて環境大臣が環境アセス法に基づく意見を出しましたので、参考までにお伝えします。下記のとおりです。

ないよりはましという程度の意見であって、これを見ても、環境アセス法というのはダム建設事業に対して本当に無力なだと思ってしまいます。

鳥海ダムは新規のダムなので、環境アセス法による手続きが取られてきました。しかし、環境アセスの手続きの過程で、住民が関われるのは、下記のとおり、方法書の手続きと準備書の手続きでパブコメの意見を出すだけです。事業者と議論する場は全くありません。そして、パブコメで出した意見が反映されることはほぼなく、通過儀礼のパブコメでしかありません。

欧米では実施されている戦略的環境アセスを導入するため、環境影響評価法が2011年4月に改正されましたが(2013年4月から施行)、ダムは実質的に対象外になりました。戦略的環境アセスは「計画段階配慮」という表現になりましたが、環境の観点から代替案との比較を行いながら、環境への影響が少ない事業となるよう検討を行い、その結果を公表することを義務づけたものです。これが正しく実施されれば、ダム以外の代替案が採用される可能性が十分にあります。
ところが、環境省は国土交通省の言い分を取り入れ、すでに河川整備計画が策定されている場合は、それを戦略的環境アセスの結果を見なすとことにしましたので、鳥海ダムはこのアセスをパスしてしまいました。
環境面の視点が乏しい河川整備計画を戦略的環境アセスとみなすのは無茶苦茶です。

このように環境アセスの制度が整備されてきても、ダム事業の抑制には何も寄与もしないのです。なんとも情けない話です。環境アセスはその膨大な調査資料をつくるために環境調査会社を儲けさせるものでしかないように思います。

新たなダムが必要な時代ではないのですが、東北地方整備局は成瀬ダムに続く大型ダムとして、鳥海ダムの建設を強引に進めようとしています。

平成30年4月5日 http://www.env.go.jp/press/105361.html

子吉川水系鳥海ダム建設事業に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見の提出について

環境省は、5日、秋田県で計画されている「子吉川水系鳥海ダム建設事業環境影響評価書」(国土交通省東北地方整備局)に対する環境大臣意見を国土交通大臣に提出した。
本事業は、秋田県由利本荘市鳥海町百宅地先において、子吉川下流地域における洪水調節、流水の正常な機能の維持及び水道用水の供給を行うために多目的ダムを設置するものである。
環境大臣意見では、(1)クマタカ等の希少猛禽類への重大な影響を回避するため、営巣期における工事は基本的に避けるとともに、工事が与えるクマタカの生息及び繁殖への影響を可能な限り低減すること、(2)貯水予定区域の一部は、鳥海国定公園の第一種特別地域と重複しているため、当該地域の改変については、関係機関と十分に協議・調整を行いつつ、風致景観への影響を回避又は極力低減すること等を求めている。
1.背景
環境影響評価法は、湛水面積100ha以上のダムの新築を対象事業としており、環境大臣は、環境影響評価書※について、国土交通大臣等からの照会に対して意見を述べることができる。
今後、国土交通大臣から事業者である国土交通省東北地方整備局に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者は意見を勘案し、必要に応じて評価書の再検討及び補正を行うこととなる。
※環境影響評価書:環境影響評価の結果について記載した準備書に対する意見等を踏まえて、必要に応じてその内容を修正した文書。
2.事業の概要
・事業者     国土交通省東北地方整備局
・計画位置    秋田県由利本荘市鳥海町百宅地先(湛水面積約310ha)
・形式      台形CSGダム
・目的      子吉川下流地域における洪水調節、流水の正常な機能の維持及び水道用水の供給
3.環境大臣意見
別紙のとおり。

(参考)環境影響評価に係る手続
【方法書の手続】
・縦覧         平成27年2月25日~平成28年3月26日(住民意見27件※)
・秋田県知事意見提出  平成28年3月1日
【準備書の手続】
・縦覧         平成29年3月17日~平成29年4月17日(住民意見7件※)
・秋田県知事意見提出  平成29年10月25日
【評価書の手続】
・平成30年2月21日   国土交通大臣から環境大臣に意見照会
・平成30年4月5日   環境大臣から国土交通大臣に意見提出
※環境の保全の見地からの意見の件数
添付資料
• (別紙)「子吉川水系鳥海ダム建設事業環境影響評価書」に対する環境大臣意見 [PDF 19 KB]
http://www.env.go.jp/press/files/jp/108907.pdf

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

↑ このページの先頭へ戻る