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報道

霞ヶ浦導水で和解 国 漁業に配慮 事業継続 控訴審 (記事の続き2)

2018年4月28日
カテゴリー:

霞ヶ浦導水訴訟の和解成立について朝日新聞、毎日新聞、下野新聞の記事を掲載します。

 

霞ケ浦導水訴訟 国と漁協、和解成立で終結 取水口運用、定期協議 /茨城
(毎日新聞茨城版2018年4月28日)https://mainichi.jp/articles/20180428/ddl/k08/040/043000c

霞ケ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ「霞ケ浦導水事業」を巡り、茨城、栃木両県の漁協が那珂川取水口(水戸市)の建設工事を差し止めるよう国に求めた訴訟は27日、東京高裁(都築政則裁判長)で和解が成立し、9年に及んだ訴訟が終結した。今後は国と漁協が定期的な協議の場を設け、環境悪化を防ぐため取水口の運用について話し合う。【加藤栄】
高裁が先月30日に示した和解案を原告、被告(国)の双方が受け入れた。
和解条項は「那珂川水系での漁業への影響に配慮し、漁協らの意見を尊重する」と明記。国土交通省関東地方整備局に対して、毎年7月に漁協との協議の場を設け、本格的な運用方法を話し合うよう求めた。
また運用が決まるまでは、毎年10~1月の午後6時~午前8時はアユの稚魚が吸い込まれるのを防ぐため取水せず、霞ケ浦からの「逆送水」も少量にとどめたうえ、同川に生息するアユやサケ、同水系の涸沼に生息するシジミを定期的にモニタリングするよう求めた。
和解成立後、原告側は東京都内で記者会見を開いた。那珂川漁業協同組合(城里町)の添田規矩(つねのり)組合長(75)は「まだまだ出発点で、これからが本当の協議の場。みなさんと自然や環境を守る努力をしていく」と決意を表明した。また那珂川漁業協同組合連合会(栃木県)の佐藤文男組合長(73)も「アユが吸い込まれるのを防ぐため厳重に話し合いたい」と述べた。
谷萩陽一弁護団長(県弁護士会)は「漁協の意見をふまえて環境を守る仕組みであり、さまざまな懸念を協議できる」と和解の意義を強調。「国はモニタリングのデータを全て出すなど、真面目に誠実に取り組んでほしい」と注文を付けた。
同事業は、霞ケ浦と那珂川、利根川を総延長約45キロの地下トンネルで結ぶもので、霞ケ浦の浄化と両川流域の渇水対策を目的としている。総事業費は約1900億円で、うち851億円を県が負担する。利根川との導水路や那珂取水口のポンプ場は既に完成しているが、地下トンネルは約7割が未完成。
1審・水戸地裁判決(15年7月)は「漁獲量が減る具体的危険があるとまでは言えない」として請求を棄却。原告側が控訴していた。
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霞ケ浦導水事業を巡る経過
1985年 7月 事業計画策定
10月 着工
94年 3月 利根川との導水路完成
2005年 3月 那珂取水口近くのポンプ場が完成
08年 3月 7漁協が取水口工事の中止を求める仮処分を水戸地裁に申し立て
4月 取水口工事に着手
09年 3月 8漁協が取水口工事の差し止めを求め水戸地裁に提訴
10月 民主党政権で見直しの対象になり、事業が凍結
14年 8月 国土交通省が事業再開を決定
15年 7月 水戸地裁が請求棄却の判決
18年 1月 東京高裁が和解勧告
3月 東京高裁が和解案

漁協、国と和解成立 本格稼動まで意見交換 導水訴訟控訴審

(下野新聞2018年4月28日 朝刊)http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20180428/3039975

(写真)和解成立後の記者会見で「那珂川を守る」と語る本県那珂川漁協連合会の佐藤会長(左から2人目)=27日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

アユなど那珂川水系の水産資源に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、本県と茨城県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた住民訴訟控訴審は27日、東京高裁で和解が成立した。国が漁協側との「意見交換の場」を設けることなどを条件に、漁協側が請求を放棄する。2009年の水戸地裁への提訴から約9年。着工から34年がたつ巨大公共事業の是非を問う住民訴訟が終結した。
この日の口頭弁論で都築政則(つづきまさのり)裁判長は「和解は終着点でなく出発点。双方が率直かつ冷静に意見交換し、納得のいく結論を導くことを希望する」と述べた。
和解条項では、国は事業が本格稼働するまで年1回、原則7月に意見交換の場を設けることを規定。アユの稚魚などが取水口に吸い込まれるのを防ぐため、10~1月は那珂川からの夜間取水を停止することや、霞ケ浦から那珂川への少量の試験送水(逆送水)を行い魚類への影響をモニタリングすることも定めた。
本県の那珂川流域4漁協でつくる県那珂川漁協連合会の佐藤文男(さとうふみお)会長は和解後の記者会見で「長く裁判が続いたが、今後は国とよく相談ができるので和解を前向きに捉えている。最も被害が懸念されるアユについて特によく話し合いたい」と述べた。漁協側の谷萩陽一(やはぎよういち)弁護団長は「漁業への影響を防ぐという訴訟の目的を達成でき、成果があった」と強調した。

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