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事務局からのお知らせ

球磨川水系河川整備計画原案のパブリックコメントと、原案の基本的な問題点

2022年4月6日
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既報の通り、球磨川水系河川整備計画の原案についてのパブリックコメントが4月4日から始まりました。期間は5月6日までです。

 

河川整備計画のパブリックコメントの基本的問題点

率直に言って、河川整備計画原案のパブリックコメントは国土交通省等の河川管理者が市民の意見を計画に反映したことにするためのセレモニーです。

市民がいかに的確な意見を送り付けても、その意見が計画に反映されることはほとんどありません。河川管理者の考えに抵触しない、無難な意見だけがほんの少し計画に盛り込まれるだけといってもよいでしょう。

とはいえ、今回の球磨川水系河川整備計画によって、多くの人が長年反対し続けてきた川辺川ダムが法的に位置付けられ、建設に向けて動き出すことになります。また、問題が指摘されている遊水地の整備、市房ダム再開発も動き出すことになりますので、パブリックコメントを無視するだけではすみません。

多くの方が今回の球磨川水系河川整備計画原案に対して意見を送ることが必要です。

 

今回のパブリックコメントの仕組み

今回のパブリックコメントの仕組みを説明します。

今回のパブリックコメントは国管理区間と県管理区間に分かれていて、かなり複雑です。

球磨川は下図の通り、国の管理区間と熊本県の管理区間があります。球磨川本川は河口部から上流の幸野ダム(市房ダムのすぐ下流)までは国の管理区間です。

支川は川辺川の五木村~相良村(川辺川ダムの予定地)は国の管理区間ですが、それ以外は県の管理区間です。

国と県のそれぞれの管理区間の河川整備計画の原案は次のURLで見ることができます。

<国管理区間>

http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/kasenseibi/kuma_seibikeikaku_genan.pdf

<県管理区間>

https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/175952.pdf

そして、国管理区間の原案についての意見は国に、県管理区間の原案についての意見は県に言わなければなりません。

意見を意見書提出様式 に記入してください。意見書の送付先は次の通りです。

国管理区間に対する意見: 〒866-0831熊本県八代市萩原町1丁目708-2 国土交通省九州地方整備局八代河川国道事務所調査課 宛

県管理区間に対する意見: 〒862-8570熊本県熊本市中央区水前寺6丁目18番1号​ 熊本県土木部河川港湾局河川課 宛

 

今回の河川整備計画原案の基本的な問題(1)流水型川辺川ダムの建設

今回の河川整備計画原案の基本的な問題点の第一は長年、流域住民をはじめ、多くの人々が反対し続けてきた川辺川ダム建設事業が流水型ダムという衣をまとって動き出すことです。

川辺川ダムのことは<国管理区間>の原案の103ページに書かれています。

http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/kasenseibi/kuma_seibikeikaku_genan.pdf

これから2700億円という巨額の公費を投じて、2035年度完成予定で、川辺川ダムの建設が進められることになっています。

川辺川ダムは球磨川水系の自然を大きく損なうものですので、反対運動の高まりで一時は中止されたのですが、2020年水害で復活してきました。何としても中止させなければなりません。

 

今回の河川整備計画原案の基本的な問題(2)遊水地の整備による先祖代々の土地、現在のコミュニティの喪失

本川では人吉市、球磨村で計約90世帯の移転が必要な遊水地が計画されています。(遊水地「90世帯移転」住民困惑「自宅再建したのに」(読売新聞2022/03/22 05:00 )https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20220322-OYTNT50010/

本川の遊水地のことは<国管理区間>の原案の103ページに書かれています。

先祖代々の土地、現在のコミュニティを喪失させる遊水地は安易につくるべきものではありません。

 

今回の河川整備計画原案の基本的な問題(3)市房ダム再開発

既設の市房ダムの再開発が今回の河川整備計画原案に盛り込まれています。(<国管理区間>の原案の104ページに書かれています。)

市房ダムは県が管理しているダムですが、国土交通省が大規模な改造(再開発)を行うとしています。

2016年にも大規模な改造が検討されたことがありますが(http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/activity/kaisaisiryo/20160119shiryou3.pdf)、今回の再開発事業の内容、費用はまだ決まっていません。

市房ダムについて思い出されるのは2020年7月洪水で洪水調節機能を失って、緊急放流に近い状態に陥ったことです。(「昨夏の球磨川豪雨で緊急放流寸前だった市房ダム」https://yamba-net.org/55341/ )

このことを踏まえれば、市房ダムは再開発ではなく、撤去を検討すべきだと思います。

 

今回の球磨川水系河川整備計画原案に対して多くの方が意見を提出することを期待します。

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