水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 報道 > 地球温暖化による水害の頻発と激甚化、忘れてはならない国の河川行政の誤り

報道

地球温暖化による水害の頻発と激甚化、忘れてはならない国の河川行政の誤り

2022年9月7日
カテゴリー:

地球温暖化の影響で近年は水害が頻発し、激化してきている問題を取り上げた記事を掲載します。

確かに地球温暖化の影響で水害が頻発し、激甚化してきているように思います。

しかし、近年の凄まじい水害の発生は国の河川行政のあり方に根本的な問題があることに起因するところが少なくありません。

2015年の茨城・鬼怒川水害は国が上流ダムの建設に固執して下流の堤防整備を怠ってきたこと、2018年の岡山・真備水害は国が小田川の付け替え工事を半世紀も遅らせてきたこと、2018年の愛媛・肱川水害は国が肱川の河道整備の遅れを弥縫するため、野村ダムの放流ルールを改悪してしまったこと、2020年の熊本・球磨川水害は国が川辺川ダム事業の復活に固執して本来実施すべき河道整備をずっと怠ってきたことの影響が大きいと思います。

近年の水害の激化を単に自然現象の変化の問題としてとらえるではなく、国の河川行政のあり方に根本的な問題があることを洞察する必要があると思います。

 

水害が温暖化で激甚化 一人一人が生活スタイル見直し、2100年の天気予報変えよう

(徳島新聞2022/09/01)https://nordot.app/937802121617899520?c=39546741839462401

台風11号で浸水した住宅街から住民を救助する救急隊員=2014年8月、那賀町和食郷

「全国の気温を観測する約900カ所のうち140カ所で40度を超えました」「日本の南の海上に最大瞬間風速90メートルの台風があります。家屋が倒壊するような風が吹くスーパー台風です」―。

今から78年後の2100年夏、天気予報のキャスターが発する言葉だ。地球温暖化対策が実らず、平均気温が最大4.8度上昇した未来を描き出している。環境省が制作し、ウェブサイトで公開している動画「2100年未来の天気予報」を見てほしい。

風速90メートルの台風とはどれほどの威力なのか。実は既に同規模の台風は生まれている。13年にフィリピン中部を襲った台風30号は、最大風速65メートル、最大瞬間風速90メートル。暴風雨に加えて高潮が街を襲い、多くの住宅が倒壊。死者・行方不明者は7千人を超えた。

19年9月に千葉市付近に上陸した房総半島台風(台風15号)は、千葉で最大風速35.9メートル、最大瞬間風速57.5メートルを観測し、いずれも同地点の観測史上1位を更新した。この風速でも死者が9人出て、千葉県を中心に多くの建物が被害に遭った。屋根がブルーシートに覆われた家屋が連なる写真を覚えている人も多いだろう。停電が続いた地域では熱中症と見られる死者も相次いだ。

気象庁によると、日本の平均気温は100年当たり1.28度上昇している。海水温が上昇すると台風は巨大化し、気温が上がるほど大気中に含まれる水蒸気量は増え、豪雨を降らせる。

18年7月の西日本豪雨は平成に入って以降で初めて100人を超える死者を出し、「平成最悪の水害」となった。徳島県内でも三好市や那賀町で土砂災害が相次ぎ、三好市山城町では今も避難生活を送る被災者がいる。気象庁は18年8月、個別の豪雨について初めて「地球温暖化に伴う気温の上昇と水蒸気量の増加」が一因との見解を公表した。

激甚化した水害は毎年のように日本、そして世界を襲っている。世界は今、50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル社会」の実現を目指している。一人一人が生活スタイルを見直せば、まだ2100年の天気予報は変えられる。

今日は「防災の日」。いつ起きてもおかしくない水害に、どう対応すべきか。雨雲の動きが分かるアプリをスマートフォンに入れておく、ハザードマップを確認する、備蓄品を買う―。それぞれがまず一歩、備えを進めたい。

ここ10年の主な水害

【2012年7月 九州北部豪雨】
熊本、福岡、大分の3県を中心に、1時間に100ミリ前後の猛烈な雨が観測された。河川の氾濫や土砂災害が発生し、3県の死者・行方不明者32人。

【2013年10月 台風26号】
伊豆諸島の伊豆大島では記録的な大雨が降り、土石流が発生した。伊豆大島などで43人の死者・行方不明者が出た。

【2014年8月 台風11号】
高知県安芸市付近に上陸し、四国を縦断。徳島県内では那賀川が氾濫し、那賀町鷲敷地区と阿南市加茂谷地区で大規模な浸水被害が発生、山間部では土砂災害が相次いだ。

【2014年8月 広島土砂災害】
広島市の一部地域への記録的集中豪雨で土石流が発生し、77人が犠牲になった(災害関連死を含む)。新興住宅地での土砂災害とあって、都市計画の在り方なども問われた。このときの豪雨による全国の死者・行方不明者は91人。

【2015年9月 関東・東北豪雨】
茨城県常総市の鬼怒川で堤防が決壊、広範囲に氾濫した。死者・行方不明者20人。

【2016年8月 台風7,9,10,11号】
北海道、岩手県で記録的豪雨。死者・行方不明者31人。岩手県岩泉町の高齢者施設で9人が犠牲になった。

【2017年7月 九州北部豪雨】
福岡、大分両県で大規模な土砂災害が相次いだほか、河川が氾濫した。死者・行方不明者は両県で44人。

【2018年6、7月 西日本豪雨】
死者・行方不明者は271人に上った。平成に入ってから初の死者が100人を超える水害。7月5日から8日にかけ、東海地方から九州までの広範囲で16の線状降水帯が形成されている。徳島県内では三好市と那賀町で土砂崩れによる孤立世帯が出た。

【2018年9月 台風21号】
非常に強い勢力を保ったまま、徳島県南部に上陸し、近畿地方を縦断。近畿地方を中心に14人が犠牲となり、関西国際空港の滑走路が浸水するなどの高潮被害が出た。

【2019年9月 房総半島台風】
千葉市付近に上陸。千葉市では最大風速35.9m/s、最大瞬間風速57.5m/sを観測し、いずれも観測史上1位を更新した。東京都と千葉県で死者9人が出た。千葉県内を中心に4000棟を超える住宅が全半壊。停電や断水が続いた地域もあり、熱中症とみられる症状で亡くなる人も相次いだ。

【2019年10月 東日本台風】
関東・東北地方を中心に河川の氾濫と土砂災害が発生し、107人の死者・行方不明者が出た。

【2020年7月 熊本豪雨】
熊本県内の死者(災害関連死含む)・行方不明者は69人。球磨村の特別養護老人ホームの入所者14人も犠牲になった。球磨川の13カ所で氾濫が発生。その後、白紙撤回されていた川辺川ダム整備計画が復活した。このときの豪雨による全国の死者・行方不明者は86人。

【2021年9月 徳島県南部の大雨】
徳島県南部上空に線状降水帯が形成され、海陽町では観測史上最大となる1時間に120ミリの猛烈な雨を観測。住宅の浸水被害などが出た。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

↑ このページの先頭へ戻る