水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

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洪水リスク 世紀末4倍 温暖化で雨量増 対策急ぐ 国交省試算

2018年6月7日
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堤防やダムが現在のままなら、温暖化で河川洪水確率が4倍になって「甚大な被害の恐れ」があるので、河川整備計画の見直しが必要だという記事を掲載します。
国土交通省は「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」を設けて、今年4,5月に会議を開いています(一般には非公開)。http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/chisui_kentoukai/index.html

この検討会の資料を使った記事のようですが、検討会の資料には十勝川についての計算結果は出ていますが、記事にある荒川や利根川の計算結果はでていません。
国土交通省の担当(河川計画調整室)に聞いたところ、荒川や利根川の計算結果の出どころは分からないという話でした???
荒川や利根川も国土交通省が計算したはずなのに、それがないというのは不可解です。
温暖化を理由にしてダムをもっとつくれという話になることを警戒します。

 

洪水リスク 世紀末4倍 温暖化で雨量増 対策急ぐ 国交省試算
(読売新聞夕刊 2018年06月01日)http://www.yomiuri.co.jp/eco/20180601-OYT1T50049.html

地球温暖化で降雨量が増えることにより、1級河川で洪水が起きる確率がどの程度上がるのかを国土交通省が試算したところ、今世紀末には平均で4倍になるとの結果が出た。
堤防やダムが現在のままなら甚大な被害が出る恐れがあるとして、同省は全国の河川整備計画を見直す検討を始めた。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の推定では、温室効果ガスがこのまま排出され続けると、今世紀末には地球全体の平均気温が産業革命前より4度上昇するとされる。この場合、洪水が起きる可能性も高まるとみて、国交省は、国が管理する全国109水系の1級河川について、初めて試算を行った。
試算によると、気温が4度上昇すれば、降雨量が1・3倍、河川の流量は1・4倍になり、大洪水が起きる確率は平均で現在の4倍に跳ね上がる。東京、埼玉を流れる荒川の場合、流域全体で72時間降雨量が516㍉になると「200年にI度」の大洪水が起きると想定して現在、対策を進めている。対策を強化しなければ今世紀末には、同レペルの洪水が「50年に1度」発生することになる。
試算を受け、国交省は4月、土木災害の専門家などによる有識者会議を設置し、河川整備計画の見直しについて検討を始めた。
現状の計画で対策を進めると、降雨量の増加に合わせて追加対策が必要になる。早急に試算を踏まえた計画に見直すことで、堤防整備やダムのかさ上げ、川底の掘削にかかるコストの削減が期待できるという。
また、「浸水想定区域」が拡大する可能性もあり、自治体は避難場所などをまとめた「洪水ハザードマップ」の見直しを迫られることも考えられる。国交省の担当者は「今後の検討課題になる」としている。
海外では、地球温暖化による降雨量の増加を見裾え、河川整備計画の変更に着手している国もある。ドイツ南西部を流れるエシツ川では、大雨時の河川の水位が将来的には現在よりO・3㍍上昇するとの想定で、堤防の高さを1・2㍍かさ上げする工事を進めている。イギリスでも、河川周辺に病院や介護施設などを整備する場合、気候変動を踏まえた「水害リスク」を考慮することを求めている。
有識者会議の座長を務める小池俊雄東大名誉教授(河川工学)は「昨年の九州北部豪雨災害など、洪水災害は激甚化してきており、温暖化が影響している可能性が高い。今後はさらに、日本の至る所で洪水が起きる恐れが高まるため、ヨーロッパのように河川整備計画を見直す時期に来ている」と指摘する。

河川整備計画 洪水が起きないようにするため、河川ごとに流量などの安全目標を定め、ダムや堤防を整備する事業計画。国や都道府県など河川管理者が策定する。現在は国が管理する109水系のうち、荒川や淀川など105水系で策定されている。

「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」が成立 (独)水資源機構も海外へ進出

2018年6月7日
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独立行政法人が日本企業の海外展開を支援できるようにする「インフラ輸出」促進法が本通常国会で可決され、成立しました。
法律の名称は「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」です。
法案の内容は、http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g19605032.htm をご覧ください。
これで、独立行政法人・水資源機構も海外で日本のゼネコンによるダム事業を支援することになります。

独法を企業利益に動員 「インフラ輸出」促進法 山添氏が批判

(写真)質問する山添拓議員=5月24日、参院国交委
(しんぶん赤旗2018年6月5日)https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-05/2018060508_08_1.html
独立行政法人(独法)が日本企業の海外展開を支援できるようにする「インフラ輸出」促進法が5月25日の参院本会議で、日本共産党以外の各党の賛成で可決・成立しました。
同法は、日本企業による鉄道や水道などの国土交通分野のインフラ輸出を推進するため、独立行政法人に海外業務を追加するもの。政府は、民間企業だけでは困難なインフラ輸出を、専門技術やノウハウをもつ独法の支援で促進するとしています。
同月24日の参院国交委員会で、質疑と反対討論に立った日本共産党の山添拓議員は、公的機関である独法を特定企業の利益獲得に動員するのは、本来の独法の目的に反すると指摘。安倍晋三首相の肝いりで、日本政府が受注に向け8億円の調査費を投じている米国へのリニア高速鉄道の輸出を例に、「受注で利益を得るのはJR東海で、できなければ調査費は国民の負担になる。企業の利益のために国民にリスクを押し付けるものだ」と批判しました。
さらに、「独法は国内のインフラ整備を担ってきた国民の財産であり、道路や上下水道管など国内施設の老朽化対策こそ優先すべきだ」と主張。同法には国内では義務付けられている環境影響評価や住民参加の規定がなく「環境や人権、民主主義への配慮を欠いている」とも指摘しました。

横浜市も悩む「水道の老朽化問題」の行方は?

2018年6月7日
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横浜市では、水道管の更新がなかなか進まず、現在の進捗速度であると、全域の更新に80~90年かかるという論考記事を掲載します。
横浜市水道の経営が厳しいのは、2000年に完成した宮ケ瀬ダムとその関連水道施設の巨額負担があるからだと推測されます。
この問題については「横浜市 水道料金値上げを検討 原因は宮ヶ瀬ダム」https://yamba-net.org/41185/ をお読みください。

他の都市も同様だと思います。必要性がなくなったダム事業に参画している余裕はありません。「水道の老朽化問題」に真剣に取り組むべきです。

なお、下記の記事の終わりの方で、東京大学大学院工学系研究科の滝沢智教授が登場します。
滝沢氏は石木ダム予定地を強制収用するための事業認定で、佐世保市水道の架空水需要予測にお墨付きを与える意見書を出しました。
昨年12月、この事業認定取消訴訟の裁判で証人として出廷することが求められましたが、滝沢氏は出廷を拒否しました。

 

横浜市も悩む「水道の老朽化問題」の行方は?
水道インフラ民営化、熱い理想と冷たい現実
(東洋経済2018年06月04日)https://toyokeizai.net/articles/-/223419

(写真)横浜市では過去に埋設した水道管が次々に耐用期限を迎えるているが、更新工事が追いついていない(記者撮影)

一井 純 : 東洋経済 記者
5月中旬、横浜市の閑静な住宅街で、古い水道管の更新工事が行われていた。細い路地に重機が入り、アスファルトを剥がして地面を1メートルほど掘り返している。
現場監督は「1年の工期中に約1.4キロメートルの水道管を取り替えていく」と話す。
水道管の更新に80~90年?
水道管の法定耐用年数は40年。老朽化する水道管を放置すれば、漏水や断水、赤さびなどの原因となる。高度経済成長時代に水道が普及した横浜市では、水道管の総延長約9200キロメートルに対し、更新時期を迎えた水道管が約2400キロメートルに達している。
だが、水道管の更新はなかなか進まない。水道局の予算約850億円に対し、水道管の取り替え費用は約200億円に達するが、それでも更新できるのは「市内全体で年間110キロメートル」(横浜市水道局の木村正紀氏)にすぎない。単純計算で、全域の更新には80~90年かかる計算だ。
こうした状況を受けて、5月に横浜市が開催した「水道料金等在り方審議会」では、委員か事業の将来性を危ぶむ声が上がった。「今後、経営危機は加速度的に増していく」(委員)状況をふまえ、料金体系の抜本的な改定などが議論されたものの、活路は見いだせていない。
横浜市は維持更新費負担のため、この30年で2度の料金値上げに踏み切ったが、節水機器の普及などで料金収入の減少に歯止めがかからない。水道料金(約20立方メートルで2750円)の半分以上が維持更新費や設備投資の借入金の返済に消えているのが現状だ。
水道インフラの老朽化にあえぐのは横浜市だけではない。日本水道協会によれば、耐用年数を超えた水道管の割合は2015年に13.6%と、10年間で倍以上に増加した。他方で、全国の料金収入の合計は2015年時点で約2.6兆円と、10年間で2000億円以上も減少した。料金収入だけでは水の供給原価を賄えない自治体も多く、一般会計からの繰り入れで赤字を補塡している。

そこで、上水道を所管する厚生労働省が打ち出しているのが、水道事業の運営権を民間に売却する「コンセッション方式」の導入だ。
水道事業は公共性が高いため、これまで自治体が経営の中心となり、民間企業はポンプ場の運営や検針、料金徴収といった一部の業務を受託するにとどまっていた。
一方、コンセッションでは民間企業が水道事業の企画から実施まで一貫して行う。民間のノウハウを使い、運営を効率化する狙いがある。
水道料金は地域ごとの差が大きい
実は、水道料金は地域によって10倍近い差がある。豊かな水源や水利権を抱えていたり、効率的な送配水ができる自治体は安価に水を提供できる一方、維持・更新費がかさんだり、 水利権を持たず広域企業団(複数の自治体が設立した公営企業)から水を購入している自治体は、料金が高くなる。

(注)口径13ミリメートル、10立方メートルあたりの水道料金 (出所)総務省「2016年度地方公営企業年鑑」より東洋経済作成
上水道は手続きが煩雑で、これまでにコンセッションの導入実績がない。厚労省は昨年、今年と手続きを緩和する水道法改正案を国会に提出。コンセッション導入の道を開こうとしている。
コンセッションはすでに仙台空港や愛知県の有料道路といった一部の公共施設で採用されている。前者は東京急行電鉄、後者は前田建設工業が中心となって運営。いずれも利用者数は堅調に推移し、公営時代よりも収益を上げている。
民間企業も水道事業のコンセッションに熱い視線を送る。水道インフラ最大手の水ing(スイング)は、2012年に広島県企業局との共同出資で「水みらい広島」を設立。県と民間の合弁会社として県内3地域で水道の供給を請け負い、収支は4年連続で黒字を達成した。
「自治体は設備の老朽化度合いやスペックにかかわらず、規定どおりの調達をするためコストがかかる。民間なら予算や調達で柔軟な対応ができる」(水ingの倉持秀夫・総合水事業本部長)。今後はコンセッションも視野に入れるという。
今年4月に浜松市の下水処理施設の運営を仏水道会社の大手ヴェオリアらと受託した中堅ゼネコンの東急建設も「土木工事で培った技術を水道の維持・更新に生かしたい」とコンセッションへの関心を示す。
コンセッション参入を計画しているある事業者はこう打ち明ける。「日本の漏水率(浄水場から給水管までの間で漏れた水の比率)は5%と世界屈指の低さで多額の維持費がかかっている。漏水率が10〜20%になっても、結果的に維持費が浮くなら事業として十分に成り立つはず」。民間運営ならば、水道料金の値上げもしやすくなる。


財政難の自治体から水道運営を切り離し、民間の創意工夫で現状の水道インフラを維持する──。関係者はバラ色のシナリオを描くが、現実は甘くない。
コンセッションによって空港や道路の運営が収益を上げられるのは、サービス向上により利用客数や客単価が増加したため。人口減少や節水の普及で料金収入が減る水道では品質を上げても収益が増える見込みは立たない。
水道事業に詳しい東京大学大学院工学系研究科の滝沢智教授は「水道事業は、サービスに見合った対価を支払える利用者のみを対象にできる空港や有料道路とは異なる」と指摘する。
海外では多くの地域で水道事業の民間開放が行われたものの、収支計画が狂い頓挫した例も少なくない。
たとえば、米アトランタ市では1999年に民間企業が水道事業の運営を開始したものの、施設の老朽化が想定以上に激しく維持費がかさんだ。初年度にいきなり赤字を計上し、人員削減と水質悪化という悪循環に陥り、2003年に水道事業は再び公営へと戻された経緯がある。
ある水道事業者は「コンセッションを導入しても、料金収入だけではとても維持費を負担できない。水道管の更新は引き続き自治体が行うなら、収支が成り立つ」と話す。
魔法の杖は存在しない
民営化に対する住民側の合意形成もハードルになる。水道法改正を見込んで、2016年に奈良市が、2017年に大阪市がそれぞれ上水道へのコンセッションの導入を提案。だが、議会側は料金値上げや水質低下を警戒し、奈良は反対多数で否決、大阪は廃案となった。
とはいえ、公営のままでも将来的に料金値上げやサービスの低下は避けられない。日本政策投資銀行は、水道事業の継続には2046年度までに約6割の自治体で値上げが必要で、その金額は全国平均で2014年度の1.6倍にも上ると試算している。

滝沢教授は「コンセッションという言葉に踊らされている。官か民かではなく、どこまでコストを許容するかの議論が必要だ」と警鐘を鳴らす。
民営になれば状況が好転するというのは、いささか楽観的に過ぎるだろう。民間の“創意工夫”は決して魔法の杖ではない。日本全国を網羅する安心・安全でおいしい水をどう守っていくか。いま一度考え直す時期に来ている。
当記事は「週刊東洋経済」6月9日号 <6月4日発売>の転載記事に一部加筆したものです…

大戸川ダム 勉強会初会合 凍結された「大戸川ダム建設計画」に前向き?滋賀県知事の思惑は…

2018年6月1日
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5月30日に滋賀県が大戸川(だいどがわ)ダムの治水効果を検証する勉強会の初会合が開かれました。この会合について記事とニュースを掲載します。
三日月大造知事が今夏の滋賀県知事選で自民党の推薦を受けるため、凍結中の大戸川ダムの方針を推進に切り替えることを企図して開かれたものです。
会議を傍聴した嘉田由紀子・前知事は、「建設ありきで議論が進んでいくような感じがした」と率直な印象を交えて勉強会のスタンスを批判。建設が具体化した場合には「黙っていることはできない」とし、「本当に建設を県民が望んでいるのか。何らかの方法で問うべきだ」と疑問を投げかけました。

滋賀)大戸川ダムの効果・影響勉強会、始まる 県
(朝日新聞2018年5月31日)

大戸川ダム 勉強会初会合 知事「県独自で検証」 70人超が傍聴 /滋賀
(毎日新聞2018年5月31日)https://mainichi.jp/articles/20180531/ddl/k25/010/484000c

(写真)滋賀県が大戸川ダムの治水効果を検証する勉強会の初会合で発言する委員ら=大津市京町4の県危機管理センターで、成松秋穂撮影

県は30日、国が大津市に計画する「大戸川ダム」の治水効果やダム建設の影響を検証する勉強会(座長=宝馨・京都大大学院総合生存学館長)の初会合を開いた。地元住民のほか、下流域の京都、大阪両府の職員など70人超が傍聴し、関心の高さをうかがわせた。
三日月大造知事も出席し「淀川の河川整備が進み、雨の降り方や災害の頻度も変化してきているので、県独自で検証したい」とあいさつ。県の担当者がダム建設を巡る経緯を説明し、検証に使用する流出量の計算モデルを示した。
顧問の中川博次・京都大名誉教授は「まずは(下流にある)天ケ瀬ダム再開発の効果の精査が必要だ」と強調。一方、角哲也・京都大防災研究所教授は「流域に対する容量から見れば、大戸川ダムは天ケ瀬ダムの補完的立場ではない」と指摘した。
勉強会は今後、年度内に2回程度開かれる見通しで、成果は今後の治水対策の判断材料とするほか、国や京都、大阪両府に県の立場を説明する際に活用する。
ダムだけに頼らない治水対策を提唱した嘉田由紀子前知事も傍聴。終了後、記者団に「ダム建設ありきで、異常降雨による大戸川流域の危険性だけが集中的に議論された印象を持った」と懸念を示した。【成松秋穂、北出昭】

治水効果と洗堰影響 検証へ
(読売新聞2018年05月31日)http://www.yomiuri.co.jp/local/shiga/news/20180531-OYTNT50015.html
(写真)検証の方針などが話し合われた勉強会

◇大戸川ダム勉強会初会合
◇県提案 学識者委員が了承
建設凍結中の大戸川ダム(大津市)の効果や影響を検証する、県独自の勉強会の初会合が30日、大津市の県危機管理センターで開かれた。具体的な検証のテーマとして、〈1〉流域に与える治水効果〈2〉瀬田川洗堰(あらいぜき)操作に与える影響――を県が提案し、学識者委員が了承した。会合には県内市町に加え、京都、大阪両府の担当者や地元住民ら約70人が訪れ、熱心に耳を傾けた。(川本修司、北瀬太一)
勉強会の正式名称は「今後の大戸川治水に関する勉強会」。学識者委員のメンバーは座長の宝馨・京都大大学院教授(水文学)ら3人と顧問の中川博次・同大学名誉教授の計4人で、県側からは三日月知事と土木交通部長ら3人が出席した。
会合では冒頭、事務局の県職員が同ダムの概要を説明した。▽下流の宇治川にある天ヶ瀬ダムへの流量を低減し、同ダムの容量を補う▽淀川の水位が計画高を超えないよう、洪水調節を行う――とする目的などを解説。2008年の三重、京都、大阪との4府県知事合意を受けて、ダム建設が凍結された09年の国の河川整備計画以降、雨量の増加などの環境変化が起きていることも示した。
その上で、〈1〉については大戸川流域で浸水被害が発生した際の降雨のデータを、〈2〉では瀬田川洗堰の全閉操作が行われた時の降雨量などを使って検証する方針を説明した。
学識者委員からは、角哲也・同大学防災研究所教授が近年の洪水では上流から土砂や流木が堆積(たいせき)する特徴があることなどを述べ、「どこにどんな雨が降るかで状況が変わってくる。こうした点を先取りした議論を進める必要がある」と強調。座長の宝教授は昨年の九州北部豪雨を例に、積乱雲が局地的に連続発生する「線状降水帯」と呼ばれる現象に触れ「県内でも線状降水帯が来た時が心配される。天井川が多く、中小の河川整備が進んでいない」と指摘した。
終了後、三日月知事は勉強会が4府県知事合意に与える影響を問われ、「まったく予断を持っていない。変えなければ、という部分があれば、合意の通りということもあるかも
しれない」と述べるにとどめた。
今年度はあと2回の開催を予定している。
◇「建設ありきの議論」 前知事批判
勉強会には、ダム建設の白紙撤回などを盛り込んだ、2008年の4府県知事合意の当事者の一人、嘉田由紀子前知事も傍聴に訪れた。
嘉田前知事は終了後、報道各社の取材に応じ、「建設ありきで議論が進んでいくような感じがした」と率直な印象を交えて勉強会のスタンスを批判。建設が具体化した場合には「黙っていることはできない」とし、「本当に建設を県民が望んでいるのか。何らかの方法で問うべきだ」と疑問を投げかけた。
一方、自身が代表を務める政策集団「チームしが」が6月24日投開票の知事選で三日月知事を支援する、とした方針については「今さら変えられない」と述べた。

建設凍結「大戸川ダム」の治水効果を検証 初の勉強会、多くの傍聴人らも見守る 滋賀
(産経新聞2018/05/31 )https://www.msn.com/ja-jp/news/national/e5-bb-ba-e8-a8-ad-e5-87-8d-e7-b5-90-e3-80-8c-e5-a4-a7-e6-88-b8-e5-b7-9d-e3-83-80-e3-83-a0-e3-80-8d-e3-81-ae-e6-b2-bb-e6-b0-b4-e5-8a-b9-e6-9e-9c-e3-82-92-e6-a4-9c-e8-a8-bc-e5-88-9d-e3-81-ae-e5-8b-89-e5-bc-b7-e4-bc-9a-e3-80-81-e5-a4-9a-e3-81-8f-e3-81-ae-e5-82/ar-AAy2T8N

(写真)多くの傍聴人が見守る中、初会合が開催された大戸川ダムの勉強会
国が建設を凍結した大戸川ダム(大津市)で、治水効果を検証する滋賀県の勉強会の初会合が30日、滋賀県庁で開かれた。委員の学識経験者や三日月大造知事らが出席し、大戸川の治水をめぐる経緯の説明や今後の検証内容を確認するなどした。
地元住民や市町の関係者ら約70人が傍聴に訪れ、関心の高さをうかがわせた。
勉強会では、ダム建設による大戸川流域の治水効果▽大雨などの際に淀川への流入量を調整する瀬田川洗堰操作への影響-の2点について、座長を務める京都大大学院の宝馨(たからかおる)教授ら治水の専門家らが検証する。
委員の京大防災研究所の角哲也教授からは「どこにどれだけの雨が降るかでかなり状況は変わってくる。どう雨が降るかを先取りしていくことも重要」との意見も出た。
会合終了後、宝教授は「(治水効果などについて)技術的な観点から意見を申し上げたい」。三日月知事は「今後の検証に関わる重要な意見をいただいた。早期に次回の勉強会が開かれるよう準備を進めたい」と話した。
大戸川ダムをめぐっては、平成20年に滋賀、大阪、京都、三重の流域4府県の知事が国に建設凍結を求めることで合意。国は21年に建設を凍結したが、28年に「(治水対策として)最も有利」として、事業継続の方針を示した。
昨年12月には、県議会が4知事合意の撤回を求める決議を可決。これを受け、三日月知事は今年2月の定例県議会で、勉強会を立ち上げる方針を示していた。
勉強会は今年度中に計3回開催。三日月知事は勉強会での検証結果をもとに、大戸川ダム建設に対する県の姿勢を決める判断材料にするとしている。

「近年の豪雨で検証を」 大戸川ダム勉強会で治水専門家
(京都新聞2018年05月30日 23時03分)http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20180530000175

(写真)大戸川ダムの治水効果を検証するため発足した勉強会の初会合(大津市、県庁)
国が建設を凍結している大戸川ダム(大津市)の治水効果を検証する滋賀県の勉強会が30日、大津市の県庁で発足し、初会合を開いた。治水の専門家からは、洪水被害が頻発する近年の雨の降り方や土砂流出、流木などを考慮した検証を求める意見が出された。
県は下流の河川整備の進み具合を踏まえ、大戸川流域に与える治水効果や国の瀬田川洗堰(大津市)操作に与える影響について検証した上で、県や下流府県が凍結に導いた2008年の4府県知事合意の見直しも視野に、ダムに対する立場を明確にする考えだ。
顧問の中川博次京都大名誉教授は、大戸川ダムが下流の天ケ瀬ダム(宇治市)の貯水容量を補う機能を持つことから、天ケ瀬ダム再開発後の操作も含めた効果の検証を求めた。「天ケ瀬ダムは淀川の安全度を決定させる重要な施設。大戸川ダムの建設時期を議論してしかるべきだ」と述べた。
座長の寶馨(たからかおる)京都大大学院教授は、15年の関東・東北豪雨や昨年の九州北部豪雨などを踏まえ、次々と雨雲が発生する「線状降水帯」を想定した備えの必要性を指摘。角哲也京都大防災研究所教授は「豪雨が2度続く場合がある。下流への流量の時間的変化を考慮すべきだ」と述べた。
三日月大造知事は「今を生きる県民や将来にとっても重要なテーマ。できるだけ早く客観的に検証することが肝要だ」と述べた。
流域住民や建設「凍結」を合意した嘉田由紀子前知事ら約70人が見守った。

凍結された「大戸川ダム建設計画」に前向き?滋賀県知事の思惑は…
(MBSニュース 2018/5/30(水) 19:13配信 ) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180530-00022831-mbsnews-l25

滋賀県大津市に計画されている大戸川ダム。9年前に滋賀や京都の当時の知事らの反対で建設が凍結されました。しかし30日、滋賀県の三日月知事は凍結の解消も視野に、ダムに関する勉強会を開始しました。いま、建設に前向きな姿勢をみせる思惑とは。

30日開かれた「今後の大戸川治水に関する勉強会」。大戸川ダムを建設した場合の治水効果などについて、専門家らが意見を交わしました。大戸川ダム建設の事業がはじまったのは50年前。20年前には建設予定地に住んでいた住民らの集団移転も完了しています。しかし2008年、滋賀県の嘉田知事ら4府県の知事が「優先度が低い」として反対し、国は翌2009年に事業を凍結しました。

「地域が責任をもって、川とのかかわりを生み出していかなければならない」(嘉田由紀子滋賀県知事(当時))

一方、2013年の台風18号では大戸川が氾濫。県議会では、もともと建設を推進していた自民党を中心に、ダムの建設再開を求める声が強まっています。

そんな中、嘉田知事の後継者とされる三日月大造知事が、今年になって凍結を見直す可能性もあると発言。建設予定地の視察も行いました。もともとは民主党だった三日月知事ですが、実は自民党がすでに6月の知事選で三日月知事を支援することを決定したのです。このタイミングで勉強会を開いたのは、知事選に向けた選挙対策だったのでしょうか。

Q.タイミングとして知事選が近い
「何か時期が決められたことを意識してやっているのではないです。我々として勉強会をやると言った以上は、できるだけ早く会を立ち上げて議論研究を進めるのがあるべき姿です」(三日月大造滋賀県知事)

しかし、30日の勉強会で傍聴していたこの人は怒っています。

「そもそも私はダムに頼らない治水で三日月さんにバトンを渡して、急にダムの有効性を実証する話になるなんて、手のひら返しですね。完全に自民党の応援が欲しいという政局含みですよ」(嘉田由紀子氏)

大戸川ダムをめぐって様々な思惑が交錯する勉強会。県民の声もよく聞いて進めてほしいものです。

嘉田さん滋賀県知事選出るなら応援したい と松井大阪府知事

(MBSニュース2018/5/30(水) 19:13配信 ) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180531-00022858-mbsnewsv-l25

滋賀県の三日月知事が大戸川ダムの凍結解除も視野に勉強会を開き30日、嘉田前知事がこれを批判しました。 31日、その嘉田さんに大阪府の松井知事がエールを送りました。

10年前、嘉田前知事のときに建設が凍結された大戸川ダム。後継者とされる三日月大造知事が建設凍結の見直しも視野に30日、勉強会を開きました。これに嘉田前知事が噛みつきました。

「そもそも私はダムに頼らない治水で三日月さんにバトンを渡した。急にダムの有効性を実証する話になるなんて手のひら返しですね」(嘉田由紀子前滋賀県知事)

勉強会は「選挙目当て」と痛烈に批判したのです。再燃したダムをめぐる争い。その嘉田さんに松井知事は31日、6月の知事選に出るなら応援したいとエールを送りました。

「嘉田さんの公約の1丁目1番地、背骨の部分が大戸川ダムの脱ダムですよ。その公約を引き継いだ三日月さんが、選挙が近いからという理由かもしれないが、嘉田さんを裏切る形になるのは…人としてどうなの?と。嘉田さんがもう1回チヤレンジしたらどうかと思う」(松井一郎大阪府知事)

思わぬエールを受け取った嘉田さんは…

Q.出馬の意向は?
「それはございません。去年、衆院選に立候補して負けましたけれど、国政でやりたいことはありますが、知事としてやるべきことはやった」(嘉田由紀子前滋賀県知事)

出馬を否定した嘉田さん。滋賀県知事選挙は6月7日に告示されます。

 

「水はダムなくても足りる」“設楽ダム” 事業からの撤退求め住民提訴

2018年5月25日
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5月23日、国が愛知県設楽町で建設計画を進めている設楽ダムに反対する住民162人が愛知県に対して、事業からの撤退を求める訴えを起こしました。

訴状は  設楽ダム・第2次住民訴訟 訴状 をご覧ください。
設楽ダムの計画が発表されたのは1973年のことです。愛知県においても水需要は低迷しており、人口減少が顕著になる時代、設楽ダムがたとえ予定通り2026年度に完成したとしても、無用の長物になることは明らかです。
その記事とニュースを掲載します。

「設楽ダム、県は撤退を」 名古屋地裁、住民ら2度目提訴
(中日新聞2018年5月24日)www.chunichi.co.jp/s/article/2018052490013029.html

国が愛知県設楽町の豊川上流に建設中で、県も費用の一部を負担している設楽ダムを巡り、水道用水は不足していないためダムは不必要として、地元などの住民162人が23日、県知事らに負担金の支出差し止めや建設事業からの撤退を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。
訴状によると、ダムが造られる東三河の豊川流域の水道用水の需要量について、計画段階では2015年に1日当たり33万立方メートルとしていたが、実際は約2割下回る27万立方メートルだった。このため、水道用水は足りているとして「県がダム建設に加わる必要はない」と主張している。
住民側の弁護団によると、県が水道用水の利用から撤退すると、関連法が定める建設の条件を満たさなくなるため、現在の計画全体を進められないという。
愛知県土地水資源課は「訴状が届いていないためコメントできない」とした。
設楽ダムへの支出差し止めを求める住民訴訟は2回目。住民監査請求が4月、県監査委員に却下されたため提訴した。07年に起こした前回の訴訟では一審、二審とも「計画が著しく合理性を欠くとは言えない」と棄却され、14年に敗訴が確定した。
設楽ダムは総貯水量9800万立方メートルで、26年度に完成予定。洪水の防止やかんがいなどを目的とする。総事業費約2400億円のうち県は809億円を負担する予定で、16年度末までに周辺の道路整備などで196億円を支出した。

設楽ダムは「不要」と提訴 反対住民2度目、名古屋
(日本経済新聞2018年5月24日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30892110U8A520C1000000/

国が愛知県設楽町で建設計画を進めている多目的ダム「設楽ダム」に反対する住民162人は23日、ダムは不要として、大村秀章知事と県企業庁長を相手に国へのダム使用の申請を取り下げることなどを求める訴訟を名古屋地裁に起こした。
同ダムを巡っては2007年にも反対派住民が知事らに建設負担金の支出差し止めを求め提訴したが、14年に最高裁で敗訴が確定した。
訴状によると、15年度に愛知県東部の1日の最大需要が34万トンになるとした県の想定に対し、17年3月に公表された15年度分の上水道の給水実績は27万トンにとどまっており、ダムの必要性が失われたとしている。
住民らは今年3月、県監査委員に監査請求したが「ダムなどの施設整備には時間がかかり、急に需要が増えても完成するまで供給できない」などの理由で却下された。〔共同〕

“設楽ダム建設“撤退求め提訴
(NHK 東海 NEWS WEB 2018年05月23日20時57分)
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20180523/4856761.html

「水はダムなくても足りる」計画進む“設楽ダム” 事業からの撤退求め住民が提訴 愛知
(東海テレビ 2018年5月23日 20:30)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180523-00003487-tokaiv-l23

愛知県設楽町で計画が進む「設楽ダム」。建設に反対する住民らが愛知県を相手取り事業から撤退するよう求める訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは愛知県内の住民グループ162人で、上水道に使う水はダムがなくても足りるとして、県に事業から撤退するよう求めています。
住民グループは2007年にも同様の訴えを起こし2014年に最高裁で敗訴が確定しています。
原告は計画の前提となった2015年時点の水道の需要が想定を下回り、設楽ダムからの供給の必要性が失われたとしています。

愛知県は「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。

「水はダムなくても足りる」計画進む“設楽ダム” 事業からの撤退求め住民が提訴 愛知
(東海テレビ 2018年5月23日 20:30)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180523-00003487-tokaiv-l23

愛知県設楽町で計画が進む「設楽ダム」。建設に反対する住民らが愛知県を相手取り事業から撤退するよう求める訴えを起こしました。
訴えを起こしたのは愛知県内の住民グループ162人で、上水道に使う水はダムがなくても足りるとして、県に事業から撤退するよう求めています。
住民グループは2007年にも同様の訴えを起こし2014年に最高裁で敗訴が確定しています。
原告は計画の前提となった2015年時点の水道の需要が想定を下回り、設楽ダムからの供給の必要性が失われたとしています。
愛知県は「訴状が届いていないのでコメントできない」としています

設楽ダム建設計画、反対住民ら提訴
(中部日本放送 2018年5月24日6:54) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180524-00007047-cbcv-l23

愛知県設楽町で進む、設楽ダム建設計画に反対する住民グループが、大村知事らに対し、国へのダム使用の申請を取り下げることなどを求め提訴しました。
訴えを起こしたのは、設楽ダム計画に反対する地元の住民ら162人です。
住民らは、「愛知県東部は1日の上水道の需要量が最大34万トンになる」とした県の想定に対し、去年公表された給水実績が27万トンに留まっていることから、ダムの必要性は失われたと主張。
大村知事らに対し、国へのダム使用の申請を取り下げることなどを求めています。
設楽ダムを巡る住民訴訟は、2007年にも起こされましたが、最高裁で敗訴が確定しています。

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