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社説:大戸川ダム推進 知事の方針転換は疑問(京都新聞)

2019年4月18日
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滋賀県の三日月大造知事が凍結中の戸川(だいどがわ)ダムの建設を容認する方針を表明したことについて京都新聞が社説で厳しく批判しています。
その社説を掲載します。
傾聴すべき社説であると思います。


社説:大戸川ダム推進 知事の方針転換は疑問

(京都新聞2019年04月18日 12時12分) https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190418000044

幅広い議論がないままに出された判断であり、大いに疑問だ。
滋賀県の三日月大造知事が、凍結中の大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)について方針を変え、国に建設を求めていく考えを示した。
専門家との勉強会で検証し、ダムに一定の治水効果が認められたというのが理由だ。
しかし、勉強会は3回開かれただけ。県がデータを示して説明し、専門家が意見を述べる形だが、ダム建設を前提にした議論に見える。異論を示す識者が参加していないのは、どうしたわけか。
そもそも大戸川ダムに一定の治水効果があることは、凍結時点でも認められており、勉強会で検証するまでもない。もっと多角的な視点から議論すべきだった。
2008年に滋賀は京都、大阪、三重を含む淀川水系流域4府県で、大戸川ダムについて「施策の順位が低い」として「凍結」を求める合意書を出している。
1997年の河川法改正で淀川流域の河川整備計画策定に、関係知事の意見が求められたからだ。
これからの焦点は京都、大阪が滋賀に同調するかだが、両府とも慎重な姿勢だ。というのも重い費用負担が背景にある。総事業費1080億円のうち、滋賀は8億円なのに大阪187億円、京都が129億円と多い。下流にダムの恩恵が及ぶという考えからだ。
どこも財政状況は厳しい。ダムに一定の治水効果があっても、巨額の建設費に見合うのか。急を要する河川改修なども多く、優先順位を付けるのは当然といえる。
一方で、国土交通省はすでに大戸川ダムの事業継続を決定しており、近畿地方整備局の有識者会議はダムをめぐる検証結果を近くまとめる予定だ。滋賀の方針転換は、こうした国の動きに伴ったものだろう。
ダム建設への流れではないか。ならば専門家にとどまらない、住民参加の議論が必要だ。
2003年に「ダムは原則建設しない」と提言した淀川水系流域委員会は、国交省の下であっても熱い議論を繰り広げた。治水のほか環境、まちづくりなど多様な分野の専門家、市民が加わり、情報公開を徹底した。淀川モデルといわれた理念を思い起こしたい。
自然災害が多発している。想定外の暴風雨で、ダムや河川が決壊の危機に陥る事態も少なくない。警報や避難など防災・減災のあり方を根本から考え直す時ではないか。ダムだけを見ずに、広い観点から議論をしていく必要がある。

「脱ダム」嘉田前知事、建設容認に疑問表明 滋賀・大戸川ダム

2019年4月17日
カテゴリー:

建設凍結中の大戸川ダム(大津市)について滋賀県の三日月大造知事が4月16日の記者会見で「知事として大戸川ダムは必要であると考える。本体工事の早期整備を望む」と述べ、国に建設の推進を求める意向を表明しました。
これに対して嘉田由紀子・前知事が建設容認に疑問を表明しました。
その記事とニュースを掲載します。
三日月氏は2009年の民主党政権発足時に、ダム問題担当の国土交通政務官(後に副大臣)でしたが、河川官僚による事業推進のためのダム検証を容認しました。
三日月氏は嘉田・前知事の後継者なのですから、大戸川ダムの凍結方針を守らなければならないはずなのですが、やはり駄目でした。
2014年に嘉田・前知事の後継者になった時から、三日月氏はダム推進に方針転換するつもりであったに違いありません。
2008年に4府県が凍結を求めたときは嘉田さんのほかに、大阪府橋下徹知事、京都府山田啓二知事もダム反対の意見を表明していました。
今後は大阪、京都の後継知事たちにかかっています。


「脱ダム」嘉田前知事、建設容認に疑問表明 滋賀・大戸川ダム

(毎日新聞2019年4月16日 21時31分) http://mainichi.jp/articles/20190416/k00/00m/040/269000c

(写真)大戸川ダムの建設予定地=大津市で2018年11月28日、本社ヘリから猪飼健史撮影
国が計画し、建設が凍結されている大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)を巡り、滋賀県の三日月大造知事は16日の記者会見で、建設を容認する方針を正式発表した。一方、2008年に京都、大阪、三重各府県知事とともに建設の凍結を求める共同見解を発表した嘉田由紀子前知事も同日、会見し、三日月氏の判断に疑問を呈した。
国は嘉田氏ら4府県知事の共同見解を受け、09年に大戸川ダムの事業凍結を決定した。その後、国土交通省近畿地方整備局は16年2月、治水対策としてダム建設が有利とする評価案を公表。滋賀県が独自に設けた勉強会も今年3月、ダムの治水効果を認める報告をまとめた。
会見で三日月知事は、勉強会の報告を引き合いに「一定の治水効果があることが分かった。近年、全国で発生した豪雨でも、備えの重要性が認識されている」と方針転換の理由を説明した。ただ、嘉田氏が進めた、ダムだけに頼らない「脱ダム」路線には「方針は継続したい」と強調した。
一方、嘉田氏は会見で「ダムに一定の治水効果があることは、以前から分かっている。ダムは副作用もたくさんあり、必要性は費用や環境への影響、維持管理のあり方などを含めて総合的に判断すべきだ」とし、三日月知事の判断に疑問を呈した。三日月氏は引退した嘉田氏の後継として14年に初当選。18年にはダム建設に賛成する自民党の支援も受け、再選した。
一方、大阪府の吉村洋文知事は報道陣に「大阪府は河川の治水を強化して府民の命を守るという方向で進めてきた。巨大な公共事業であるダムがどれだけ効果があるのか検証しなければならない」と述べ、独自の検証委員会を発足させる考えを明らかにした。
京都府の西脇隆俊知事は「コメントする立場にないが、滋賀県の動きを見守りたい」との談話を発表した。【北出昭、成松秋穂、津久井達】


「滋賀県には大戸川ダムは必要」三日月知事はなぜ今方針転換?

(毎日放送2019/4/16(火) 17:19配信)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190416-00027414-mbsnews-soci

「滋賀県知事として滋賀県には大戸川ダムは必要であると考えます」(滋賀県・三日月大造知事・16日)

16日朝、大戸川ダムの建設が滋賀県には必要だと語気を強めた三日月知事。計画が凍結されてから10年ぶりの方針転換を示しました。

淀川の上流にあたる大戸川では、下流の洪水を防ぐ目的などからダムを建設する計画があり、1968年に国の予備調査が始まりました。しかし2008年…

「地域が責任をもって川との関わりを生み出していかなければならない」(滋賀県嘉田由紀子知事・当時)
「机の上で治水の教科書を広げて地図を広げて、治水だけのことを考えながら判断したと。どちらを府民県民の皆さんが支持するかどうか」(大阪府橋下徹知事・当時)

2008年、滋賀県の嘉田知事や大阪府など4府県の知事が「優先度が低い」として反対意見を表明したのです。当時は「コンクリートから人へ」を掲げた民主党による政権交代が目前に迫っていた時代。国は建設の凍結を決めました。

しかし、嘉田前知事の後継者とされる三日月知事は、去年5月からダムの治水効果などを検証する勉強会を開いていて、その検証結果から「ダムが必要」と認識したということです。

しかしこの動きに、嘉田前知事が疑問を呈しました。

「ダムは副作用もたくさんあるから、総合的な見方が必要ですねと一般論で言っている。ダムだけに頼らない流域治水こそ今の時代、最も必要だと」(嘉田前知事)

さらに、吉村大阪府知事も。

「滋賀県知事が現時点でダム容認となったから、大阪府知事としてもすぐ容認するかといえばそういう考え方ではないです。専門家も交えてその効果を検証したい」(吉村大阪府知事)


大戸川ダム 復活の足音 滋賀知事が建設容認

(日本経済新聞2019/4/16 20:23)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43815440W9A410C1LKA000/

滋賀県の三日月大造知事は16日の記者会見で、国土交通省が本体工事を凍結中の大戸川ダム(大津市)の建設を容認する方針に転換した。洪水対策に一定の効果があると判断したためだ。環境への影響などを理由に、同県とともにダム建設に反対した大阪府と京都府の対応が焦点となる。

三日月知事は「将来にわたって県民の命を預かる責任から、ダムは必要であると判断し、国に対して早期の整備を望む」と述べた。今後、国や淀川流域の京都府や大阪府に対して、県の考えを説明する。日程は「現時点では未定」とした。
県が設置した有識者をまじえた勉強会で、大戸川と琵琶湖に治水の効果があるという結論を踏まえた判断だ。ただ、琵琶湖への水位抑制効果は限定的とされる。
2008年、淀川水系に関係する大阪、京都、滋賀、三重の4府県は同ダム建設に反対。国交省は09年3月に策定した淀川水系の河川整備計画で、本体工事の凍結を盛り込んだ。滋賀県が建設を容認しても下流域の大阪府、京都府が同調しなければ本体着工できない。
同日、大阪府の吉村洋文知事は「まず滋賀県からの報告を受けたい。府独自の専門家委員会を立ちあげて方針を決める。府の負担に見合うか検証し、すぐには容認しない」と述べた。
京都府の西脇隆俊知事は「滋賀県内に及ぼす効果を県が検証されたものと認識している。県の動きを見守りたい」とのコメントを出した。いずれも現時点での判断は控えた格好だ。
今後の判断材料の一つが財政負担だ。ダム事業費の負担割合は大阪府が17%、京都府が12%、滋賀県の1%に比べて多い。現時点で全体事業費は1080億円だが、18年3月末時点で付け替え道路の建設などに710億円が支出済み。本体工事で事業費が膨らめば、自治体の負担額も増える。
ただ、建設反対で一枚岩だった08年当時と府県の政治情勢は変化している。環境への影響などを理由に反対を強く主張した滋賀県の嘉田由紀子知事のほか、大阪府の橋下徹知事、京都府の山田啓二知事はいずれも退任。京都府は国交省出身の西脇知事が就任した。
滋賀県知事の方針転換は、いったん中止の方針だったダムの建設が復活する芽が出てきたといえそうだ。
▼大戸川ダム 大津市で国交省が建設を計画している治水ダム。事業費は1080億円だが、増える可能性がある。当初は大阪府、京都府、大津市が水道水用の水源確保のために事業費を負担していたが、水需要が伸びず撤退し、国交省もいったんは中止の方針に傾いた。その後、流水型(穴あき)ダムとして復活したのに滋賀県などが反発して凍結、という複雑な経緯をたどっている。

(写真)ダム建設の容認を表明した滋賀県の三日月大造知事(16日、大津市)
三日月知事は、今後京都府や大阪府などの知事らに説明をしていくとしていますが、1000億円を超える大戸川ダムの事業費の3割は地元自治体が負担することになっていて、凍結が解除されるかは不透明なままです。

ダム偏重政策が招いた「肱川大水害」。今こそダム建設継続より肱川の河道改修に全力を投じよ

2019年4月5日
カテゴリー:

「ダム偏重政策が招いた「肱川大水害」。今こそダム建設継続より肱川の河道改修に全力を投じよ」というタイトルの論考を掲載します。
まさしく、このタイトルの通りだと思います。

ダム偏重政策が招いた「肱川大水害」。今こそダム建設継続より肱川の河道改修に全力を投じよ

(HARBOR BUSINESS Online 2019年4月5日 8時32分) https://news.infoseek.co.jp/article/harborbusinessonline_20190405_00189521/

(写真)手つかずの国道197号線崩壊箇所 仮設道路側に崩壊が進んでいる 2019/3/21 撮影 牧田
◆肱川大水害、逃げる国交省と愛媛県

昨年末の第八回以来、著者の転居や日韓軍事的インシデントシリーズの執筆によって連載が止まっていましたが、肱川大水害シリーズを再開します。なお、本記事も配信先によっては画像やレファレンスリンクが表示されない場合がありますので、その際はHBOLのサイトでご覧ください。

昨年7月7日、肱川水系では、野村ダムより下流約80キロメートル全流域で幹線道路路面から2~5mの浸水の大洪水となり、数多くの集落が壊滅的打撃を受けました。年が明けて1月22日には、野村小学校体育館にて“「野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場」とりまとめ等の説明会“が野村小学校で開催され、激しい市民の怒りの発露の場となり、予定の21時を大きく過ぎて22時台にまで時間が延びましたが、これによって国交省と愛媛県は逃げ切りを図っているようです。

この連載で指摘しました様に肱川水系は、過去70年の治水事業が徹底したダム偏重であり、野村ダムから下流域80kmでは、無堤地区、暫定堤防、暫暫定堤防といった、事実上の無治水地区が流域の大部分を占めており、治水がなされていたのは、鹿野川ダム湖と大洲市西大洲のごく一部(数キロメートル程度)という一級河川とは考えられない極めて異常な河川事業の集大成であったといえます。

行政が問題を「ダム操作」に限定して逃げ切りを図っていますが、これは、ダム管理事務所の職員を矢面に立たせて県と国交省は逃げを図る工作に過ぎません。

◆必要な説明から逃げ、安全性だけ流布した結果の産物

ダムは、治水、利水などの用途、重力式、アーチ式、アースダムなどの形式を問わず、一部の流水ダム(穴あきダム)や砂防ダムを除き、堤体を越水すればダムは制御機能が失われるだけでなくダム崩壊を極めて高い確率で起こします。全面ダム崩壊を起こせばダム津波によって下流域は壊滅しますし、部分崩壊でも鉄砲水で下流域には甚大な打撃をもたらしますので、洪水がダムの限界を超える場合には、ダムは「但し書き操作」(異常洪水時防災操作のこと。特例操作や緊急放流とも呼ばれる)を行い、そこにダムが存在しないのと等価の洪水を一挙に引き起こします。とくに肱川水系のようなタンデム配置のダムの場合、上流側のダムが崩壊すれば下流側のダムも連鎖崩壊してカスケードダム津波を起こしますので、ダム操作者は、有無を言わさず但し書き操作を行わねばなりません。下流域の避難を考慮するにしてもその時間調整は、精々十数分程度でしょう。

これは、玄倉川水難事件や、飛騨川バス転落事故でも見られたことで、限界を超えたダムは、人為的に但し書き操作を遅らせることはほぼ不可能です。BWR(沸騰水型原子炉)と全く同じくダムにはこの点での受動安全性が欠けており、原子炉は破裂する前にベントによって内圧を下げますし、ダムは限界に達すれば但し書き操作によって一挙に流下流量をダムがない状態と同じにします。

原子炉では、シビアアクシデントの制圧に失敗した場合、市民が逃げようと逃げざろうと限界に達すればベントをして放射能入りの蒸気を外界へ大量に放出せねば原子炉が破裂して破滅的な放射能漏洩を起こします。後者が福島第一2号炉で起きたことです。不幸中の幸いにも、合衆国の設計が優秀だったためにチェルノブイル核災害ほどには至りませんでしたが、福島核災害を世界最悪級の核災害にしたといえます。

ダムの場合は、市民が逃げようと逃げざろうと、限界を超える前に但し書き操作に入り、調節機能を放棄しますが、それによって生ずる洪水は、ダム崩壊によるダム津波を下回ります。肱川水系では、これが生じた訳です。

ダム防災と原子力防災は、その構造が極めて酷似していますので、対比して考えると双方の理解が進みます。

ダムが限界を超え、ダム崩壊を起こさぬようダムを守ることが下流域の市民の命を守ることであって、それが、但し書き操作を行う倫理的基盤となっています。

これが、ダムを守る=下流域の市民を守る=但し書き操作は市民を守るために行ったという論理です。

このような説明が事前になされていれば、自治体や市民は長い年数をかけて対応することも出来ましょうが、日常的にダムがあれば安全安心という作為的なPA活動=ヒノマルダムPA*が行われた結果、自治体、市民ともにダム安全神話に幻惑され、ダム下流で洪水が起きるなど夢想だにしていなかった事実があります。

<*PA=Public Acceptance=パブリックアクセプタンス:社会的受容 原子力発電所、ダム、高速道路や、新ワクチンなどその事業が社会(多くは地域社会)に大きな影響を与える場合、事前に社会的合意を得ること。民主社会において重要な手続きである。

しかし日本においては、PAと称して、詭弁、ごまかし、嘘、便宜供与、恫喝など、「嘘と札束と棍棒」によって市民を分断し、服従させる手法がまかり通っている。これは本来のPAを換骨奪胎した日本独自の異常なものである。筆者はこれらを(親方)ヒノマル◎◎PAとして本来のPAと区別している>

このダム安全神話を流布し、ヒノマルダムPAによって市民、流域自治体を欺してきた責任は100%、河川管理者と治水事業管掌者すなわち愛媛県と国土交通省にあります。また、ヒノマルダムPAに長年加担してきた学識者=田舎御用名士にも最大級の重責があります。

「野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場」においても、”住民が高い自覚(意識?)を持って避難しなければならない”という意味合いの暴言が飛び出し、住民の怒りの火に油を注ぐことになりました。検証会では「情報の受け手、住民が、情報を生かせていない」*として、被害を住民と流域自治体に責任転嫁するものとなっています。

<*野村ダム・鹿野川ダムの操作に関わる情報提供等に関する検証等の場(とりまとめ)抜粋(他多数資料に同じ表現がある)>

現場を矢面に立たせて裏で住民に責任転嫁、分断する手法は、福島核災害において大規模に行われている手法であってヒノマルPAの濫用とともに常套手段と言って良いでしょう。

◆ダム偏重河川事業が招いた事実上の無治水状態

これまで八回の連載で肱川流域103kmの状況をお知らせしてきましたが、肱川大水害は、ダム操作という表層的なものが原因ではなく、鹿野川ダム計画来70年間に及ぶダム偏重河川事業により、肱川が、見てくれだけのガラクタ治水による無治水河川(精々欠陥治水河川)であったことが真の原因であり、この見てくれだけの無治水河川を放置し、相変わらずのダム利権にたかり続けることによる行政災害が肱川大水害であるといえます。

すべては予想出来、防止出来たことであって、肱川大水害と福島核災害は極めて酷似した行政災害といえます。

肱川大水害の後に結成された「野村の未来を守る会」による公開質問状への回答も、徹底して現場を矢面に立たせ、過去七〇年の無治水河川肱川を放置してきた本丸は徹底して隠れるというものになっています。

実は、野村ダムは洪水時の調整放流量を最大毎秒1000トンで設計されており、ダム直下の野村町内、野村大橋まではそのように河川整備されています。仮に肱川が過去70年の治水事業によって全流域でダムの最大調整放流量(野村ダム毎秒1000トン)に対応して整備されていれば、ダムは時間稼ぎに成功し、人的被害は生じなかった可能性があるという指摘がなされています*。

<*京都大学名誉教授 今本博健博士による。“ダム計画・操作 疑問視 大洲で講演 水害要因 識者指摘” 2018/12/2 愛媛新聞

この指摘は、他からもなされており、肱川大水害は決して不可避ではなかったと考えて良いでしょう。実際には、鹿野川、野村両ダムの放水によって大洲市で水害が頻発するため、1996年にダム操作の見直しがなされ、野村ダムの放水量は毎秒300トンに下げられました。これにより、豪雨災害の時に野村ダム湖が満水になる可能性が飛躍的に高まり、ダムの治水効果である時間稼ぎが大きく損なわれたといえます。

この原因は、過去八回の連載で写真によってご紹介したとおり、堤防があっても切れている、堤防があっても低いところが必ずある、堤防がない無治水地区が非常に多いという事実上の無治水河川であったことといえます。また、河道への砂礫の堆積も激しく、前掲の今本博士の指摘の通り、誰が見ても異様な激しく河道堆積した河川であることも特徴です。河道掘削は、河川の流下量を維持する最も低コスト且つ効果的な手法ですが、2004年の肱川水系河川整備計画*では、「河道の掘削は行わない」と随所に明記してあり、基本的治水事業を行わないとする固い決意を示しています**。

<*肱川水系河川整備計画【 中下流圏域 】平成16年5月国土交通省四国地方整備局 愛 媛 県>

<**河道掘削は、生態系に大きな影響があるために環境保全上は慎重である必要がある。事実、河川整備計画では、河道掘削をしない理由を事実上、生態系の保全であるかのように表現している。また、肱川は支流が非常に多く、土砂堆積の激しい河川でもあり、河道掘削の効率が良いとは言いがたい。しかし、愛媛県内の河川に共通するが、中流下流域の河道への砂礫の堆積は特異的に目立つ。また、河川敷の樹木伐採にも消極的と言うほかない。河川事業の行政資源を他へ傾斜配分しているものと思われる>

肱川の特長は、野村、鹿野川という二つのタンデム配置のダムに河川行政資源を重点的に傾斜配分し、更に山鳥坂ダム新設事業に傾斜配分する。結果として堤防整備などの基本的治水・河川事業は70年間疎かにされ続けてきたことにあります。

結果として、野村、鹿野川両ダムは手足を縛られた(野村ダムでは放水量を3割にとどめられた)状態であったためにその治水能力を発揮出来ず、本来防げたはずの大水害を発生させたと考えられます。

論より証拠、まずは前回以降の肱川流域の変化をご紹介します。

◆写真で見る現況。大洲市矢落川合流点から野村地区まで

これまでの東大洲氾濫の原因であった矢落川合流点左岸堤防は、無堤から暫暫定、暫定を経て、堤体の高さが本来あるべき高さに近づいていいます。しかしいまだに堤高が足りず、更に右岸は手がつけられていません。右岸は高台が手前にあるために氾濫しても写真右の建物だけが犠牲になるという考えのようです。しかしいまだに矢落川河口は、予讃線の鉄橋により大きく狭窄しており、大規模洪水では橋梁部で氾濫、橋梁も崩壊し、写真奥の県道も破壊される可能性があります。また、河道が著しく埋まっています。

鉄道橋かさ上げ、架け替えには多大の予算と時間を要しますが、河川治水事業の基本であって、過去70年の治水事業で解決しているべきものです。高知市国分川にも同じ問題があり、98高知大水害で氾濫を拡大させましたが、その後10年ほどで解消しています。本来、「こうかはばつぐん」であるために優先順位の高い事業です。

大洲市街、旧城下町の肱川左岸には一カ所パイピング(浸透水の挙動により生じる地盤や構造物が破壊されること)により堤防が決壊する可能性のあった場所がありますが、現場の家屋を取り壊し、修復作業が進められています。

写真の田園地帯は4m以上の浸水で、街道奥の古い集落も大きな浸水被害を受けました。無堤、暫定堤防の堤防整備が進められていますが、道路のかさ上げが着手されておらず、現状では治水機能が大きく制限されます(洪水時には水防扉または土嚢が必要)。

河床への砂礫の堆積が非常に目立ちます。

東大洲と並んで激しい被害を受けた柚木(ゆのき)地区、如法寺地区は、柚木地区では堤防が低く、如法寺地区は堤防が非常に低い無堤地区といって良い状態です。

ともに復旧は遅れており、目立った治水事業は行われていません。沈下橋左に見える砂礫の堆積は、かつてはなかったもので、長年の河道堆積の放置が現在も続いています。

過去の水害の教訓から整備された水防壁を乗り越えた水で浸水したとのことです。とりわけ低地に立地しているという訳ではありません。

◆70年間、いったい何をしてきたのか?

菅田地区は、自然堤防に護岸をした程度の大規模無堤地区ですが、国交省直轄でなく、県管理区間のためか現時点でいまだに治水設備はありません。激しい被害の痕跡を残す左岸側の旧集落では復旧が着手されていますが、一見被災の目立たない右岸側の新集落では住民の転出が目立ち始めたとのことです。

この菅田地区は、江戸時代の治水設備がいまだに残っており、地史的にはとても興味のあるところですが、河川整備という点ではお粗末極まりないと言うほかありません。70年間何をしてきたのでしょうか。

肱川右岸の菅田町阿部付近は、唯一、近代的堤防が完成しているように見える場所ですが、写真のように肱川名物の堤防切り欠きが存在し、治水機能が全くありませんでした。この地区も国道197号線より下は全没、国道より上は悪くても床下浸水となったそうです。

このことは、中破したお堂の浸水痕からも確認出来ます。

植生に付着する水害ゴミなどと対比したところ、この肱川名物、切れている堤防でなければ、この地区は水没しなかったものと思われます。切れていてありがたいのは、安いピザやチーズくらいだと思います。まさに「こうかはない」です。

崩落した大成橋対岸から大川集落を見ますと、大川郵便局こそ営業再開していますが、肝心の集落から家がなくなっていました。現状は、「櫛の歯が抜けた」でなく「わずかな櫛の歯」という状態です。崩落した大成橋は、輪切りにされて刺身のように並べられています。折損した橋脚は撤去されていました。

他に治水事業は認められませんでした。

この一帯は、かつての水害を教訓に堤防の出入りのための切り欠き部に簡易の樋門をつけたのですが、肱川大水害では「こうかはない」のでした。

町並みは根こそぎ破壊されており、今後が深く憂慮されます。

鹿野川地区までの途中、国道197号線大規模崩壊箇所を通りましたが、肱川流域80kmの大水害のために復興資源が足りないためか、仮道路取り付け後は手つかずでした。

道路の崩壊が進んでおり、今後が危ぶまれます。

鹿野川地区(旧肱川町)では、市街地である商業街区が取り壊されており、まるで津波の跡のようでした。この地区は、江戸時代前より数百年続く肱川流域でも有数の行政、商業の要ですが、大水害により壊滅の様相があります。

住民だけの力で復興できるかは未知数でしょう。

この地区は、計画中の山鳥坂ダムによる放水の影響も大きく、鹿野川ダムと山鳥坂ダムの放水手順によっては昨年の水害を上回る甚大な被害を受ける可能性もあります。ダムの制御は極めて難しくなるものと思われます。

下流域の治水対策を完全に行った上でも鹿野川ダムとの連携操作手順を整備しない限り「こうかはいまひとつ」でしょう。

◆全損で機能を失った発電所は廃止も検討せよ

鹿野川大橋から鹿野川ダムの間には下石丸地区と肱川発電所(10MWe)があります。ともに甚大な洪水被害を受けましたが、被災後と状況は余り変わっていません。下石丸地区は、流失した公園周辺の復旧に着手したようです。

肱川発電所の取り付け道路は、直下が大きく崩壊していますが、他地区に優先して立派な擁壁が作られつつあります。この部分が崩壊するとダム取り付け道路とともに国道197号線も崩落しますので、優先順位が高いのでしょうか。

肱川発電所は全損の被災で、発電所として機能していません*。

<*“肱川発電所 23年1月に復旧予定 公営企業管理者 新建屋を建築|愛媛新聞2018/12/11”>

鹿野川ダムの治水ダムとしての機能を抑制しているのは肱川発電所の水利権ですので、下流域にこれだけの激甚な行政災害を起こした以上、肱川発電所は廃止し、水利権をなくした上で、鹿野川ダムを治水専用ダムにするため流水ダム(穴あきダム)にしてしまうのも検討してはどうでしょうか。野村ダム下流全域での河道掘削を河川整備計画に明文化してまで拒否し、住民の生命と財産を犠牲とするほどに生態系保護にこだわるのなら、鹿野川ダムの流水ダム化が最も「こうかはばつぐん」と愚考します。ダム湖跡の自然は時間をかけて収斂します。

従前の欠陥治水事業のサンクコストについてはケチくさいことを言わずに放棄しましょう。施設は肱川治水事業失敗の記録として保存、公開すれば良いです。長い目で見れば、費用負担は軽減されるでしょう。

<*出典リンク>

 

野村町に入ると荷刺(にさし)交差点の食堂兼商店兼住居は解体されていました。水没の被害を受けたうえに周辺集落が壊滅し大洲市への街道も山体崩壊で閉塞しましたので、当面の事業継続を諦めたものと思われます。気の毒です。

荷刺交差点から野村市街地までの肱川左岸の道路は、水害で完全に破壊されています。復旧事業はおこなわれますが、相当な時間が予想されます。

野村市街地に入ると、家屋商店が取り壊され、櫛の歯が抜けた様相を示しています。野村保育所も解体されています。対岸の三嶋地区は下流の大川地区と同じく多くの家がなくなっていました。

今回、取材時間の都合で撮影出来ませんでしたが、野村では河道掘削工事が行われていました。今まで頑として拒否してきたのはどういうことでしょうか。70年間何をやってきたのかたいへんに不思議です。

◆「ダム建設のためのダム事業」山鳥坂ダム

最後に、肱川支流河辺川の山鳥坂ダム建設予定地の紹介をします。現在、建設予定地の地質調査をしていますが、ダム本体には全く未着手です。但し、ダム準備工事の準備工事は山上で行っており、ダム建設に伴う県道の付け替えが進んでいます。常套手段の既成事実化で、八ッ場ダムなどでも行われてきたものです。

山鳥坂ダムは、当初、松山市への分水のために計画された利水ダムでしたが、分水の費用対効果が極めて低いと評価され、1998年に自公保与党三党によって事業廃止が勧告されましたが、愛媛県の強硬な巻き返しで継続され、2013年に安倍政権によって治水専用ダムとして事業続行されています。

山鳥坂ダムは、典型的な長期化・曰く付きダムです。また、周辺事業の既成事実化によってダム建設を強行するダム建設のためのダム事業の典型事例といえます。

山鳥坂ダムについて利水ダムとしてはその正当性が1998年の時点で否定されており、水利権の調整にも失敗したために利水ダムとしての実現性はありません。

治水ダムとしては、肱川が事実上の無治水河川、未完成治水河川であるために事業効果はありません。むしろ河辺川、肱川合流点でのダム災害を誘発する可能性があり、鹿野川ダムの治水機能を阻害する可能性もあります。

治水事業としてダム建設を行うならば、肱川にはその前にやることが山積しており、新ダム建設に行政資源を割く余裕はありません。

私は、治水・利水事業としてのダム建設を否定しませんが、70年間、ダム建設のためにダムを造ってきた結果が無治水河川肱川、欠陥治水河川肱川であって、その結果が肱川大水害という行政災害といえます。70年間、順番を完全に間違えてきたのです。

行政を監視し、ただすのが地方議会ですが、過去70年間、その責を放棄してきた結果が今の欠陥河川肱川であり、肱川大水害といえましょう。

行政の第一の仕事は、市民の命を守り、次いで財産を守ることです。議会はその監視者です。肱川の河川計画では、治水の8割から9割を河道整備が、1割から2割をダムが担います。ダムの役割は時間稼ぎです。現状の欠陥河川肱川は、河川の流下量が無治水地区の多数残存によって70年間本質的には変わらず、ダムは出来ても効果は大きく阻害されます。まさに宝の持ち腐れです。ダムの機能を発揮させれば無治水箇所から中〜大規模水害を起こし、また多数の市民が犠牲になります。

今は、肱川全区間の河道改修に全力を投じるときでしょう。山鳥坂ダムは、その後で十分ですし、そうでなければ意味がありません。最悪の場合、殺人ダムと化します。

今が選択の時と愚考します。

本稿、今後は項目毎に続きます。

『コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」』第3シリーズ水害編-8

<取材・文・撮影/牧田寛 Twitter ID:@BB45_Colorado photo by Nuclear Regulatory Commission via flickr (CC BY 2.0)>

まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題についてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

早川本流も強い濁り 雨畑ダムと別、原因調査へ サクラエビ異変

2019年4月2日
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サクラエビの産卵場とされる駿河湾の富士川河口に民間企業の工場放水路から濁った水が流れ出ている問題で、雨畑ダムの濁りに加え、雨畑ダムより北の早川本流でも強い濁りが見られ、リニア新幹線工事の影響も考えられるという記事を掲載します。

なお、雨畑ダムは 日本軽金属㈱ の発電用ダム(1967年 3月竣工)で、総貯水容量1365万㎥に対して2016年度末の堆砂量は1274万㎥になっており、堆砂で満杯になっています。

ダンプの列、残土の山 土ぼこり舞う川沿い 山梨・早川本流ルポ
(静岡新聞2019/04/014/1(月) 9:26配信 )http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/617593.html

(写真)リニア中央新幹線のトンネル工事残土置き場周辺をひっきりなしに行き交うダンプカー。昨年12月以降もこの光景は変わらない=山梨県早川町(写真の一部を加工しています)
駿河湾サクラエビの不漁などとの関係が指摘される富士川水系の濁り。濁りの出どころとされた雨畑ダム(山梨県早川町)に加え、上流の早川本流(同町)でも強い濁りの存在が明らかになった。現場で何が起きているのか。3月中旬、早川をさかのぼり現状を取材した。

富士川との合流地点から早川上流部に通じる県道37号。最初に気付くのは土ぼこりをあげながらすれ違うダンプカーの多さだ。川沿いでは工事現場や採石プラントなどが少なくとも10カ所以上。昨年末に最初の取材をしたが、変わらない光景だ。
合流地点から約1キロ上流には、河川敷に積まれた高さ十数メートルの“ピラミッド群”。中部横断自動車道のトンネル工事で出た残土の山が見える。
雨畑ダムに続く雨畑川と早川の合流地点まではさらに約8キロ。民間の水力発電所や、採石業者のプラントが複数ある。操業する平日の川の水はすでに濁り気味。周辺は地下の導水管が張り巡らされていて、水の流れは非常に複雑になっている。
早川中流部には、リニア中央新幹線のトンネル残土置き場が河川敷に数カ所。リニアの本坑から地上に伸びる「早川非常口」などの工事現場では大手ゼネコンのキャッチコピー「地図に残る仕事」が書かれた看板も。周辺を走るのは「中央新幹線」と書かれたオレンジ色のプレートをフロントガラス内側に掲げたダンプカー。積んでいるのは「グリーンタフ」と呼ばれる青緑色の土だ。
近くでは山梨県発注の道路工事現場が複数あり、重機が川床をさらう。周辺を糸魚川-静岡構造線が通り、土質のためか所々の川沿いで自然の土砂崩れも見受けられた。
富士川との合流地点から約30キロ。早川上流にある山梨県管理の奈良田ダム。導水管の排水があり、濁りが強い日もある。
早川を昔から見てきた地元の男性(74)は「自然の濁りは2、3日たてば消えるが、ここ10年ほど前からはいつまでたっても濁りが消えないようになった。人の手が入り過ぎ、自然を変えてしまっているのだろうか」と不安げだ。

 

早川本流も強い濁り 雨畑ダムと別、原因調査へ サクラエビ異変
(静岡新聞2019/4/1 07:46)http://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/617524.html

(写真)民間の工場放水路(右手前)から駿河湾に流れ出る濁り水。雨畑ダムの濁りに加え、早川水系の濁りも影響している可能性がある=29日午後、静岡市清水区蒲原(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)

サクラエビの産卵場とされる駿河湾の富士川河口に民間企業の工場放水路(静岡市清水区蒲原)から濁った水が流れ出ている問題で、出どころとして指摘される雨畑ダム(山梨県早川町)より北の早川本流(同町)でも強い濁りが見られることが、31日までの取材で分かった。早川水系の濁り水は雨畑ダムから出た濁り水とともにこの企業の発電用導水管に流入。自然の川の自浄作用がないまま、駿河湾に流出しているとみられる。
早川水系の周辺では川勝平太知事が「影響を視野に入れている」としたリニア中央新幹線工事に加え、濁りを出す恐れのある工事が複数箇所ある。静岡県は近く、山梨県やJR東海に協力を求め原因を探る方針だ。
静岡新聞社は3月中旬、晴れ続きの平日の日中を選び、民間の環境調査会社とともに早川の水質を確認した。雨畑ダム北部の早川本流を約20キロさかのぼって調査。調べた約10地点のうち上流約20キロでの透視度は100センチ(浮遊物質量1リットル当たり1・7ミリグラム)でほぼ透明だった。一方、約10キロ地点は透視度が17・5センチ(同37ミリグラム)と著しく悪化。主因と指摘されてきた雨畑ダムの濁りの倍以上だった。
早川では水質汚濁防止法に基づく浮遊物質量の環境基準は設定されていないものの、下流で交わる富士川では1リットル当たりの環境基準が25ミリグラムとされる。今回の調査結果から、上流10キロ付近では富士川の環境基準を上回る濁りの水が流れている可能性が示唆される。通年の水質調査が必要だが、山梨県大気水質保全課によると、対象河川を決める権限は当該県にあり、早川は流域人口の少なさなどを理由に対象としていないという。
同県の団体「リニア・市民ネット山梨」(代表・川村晃生慶応大名誉教授)はサクラエビ不漁との関係を想定し、質問書を近く長崎幸太郎知事宛てに提出する予定。川村名誉教授は国にリニア事業の認可取り消しを求めた訴訟の原告団長。
早川水系では、リニア工事や、山梨県発注の道路災害復旧工事など複数箇所で人の手が入っている。

西日本豪雨 19年度は真備“復興元年” 倉敷市長、計画完成版を発表 治水、複数事業で対応 /岡山

2019年3月27日
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昨年7月の西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けた倉敷市真備町地区の復興計画を倉敷市が発表しました。その記事を掲載します。
復興計画の主な事業のトップに書かれている「高梁川と小田川の合流点付け替え事業の5年間前倒し」が最も重要です。
小田川の合流点を高梁川の下流側に付け替える事業の計画は数十年以上前からありましたが、実施されませんでした。この付け替えが早期に行われていれば、昨年7月のバックウォーター現象による小田川の氾濫を防ぐことができたと思われます。
この付け替え事業の実施を遅らせてきた国土交通省の責任が問われます。

真備地区復興計画は倉敷市のHPに掲載されています。

http://www.city.kurashiki.okayama.jp/secure/122026/mabitiku-fukkou-keikaku.pdf


西日本豪雨

19年度は真備“復興元年” 倉敷市長、計画完成版を発表 治水、複数事業で対応 /岡山
(毎日新聞岡山版2019年3月26日)https://mainichi.jp/articles/20190326/ddl/k33/040/488000c

(写真)真備町地区の復興計画について説明する岡山県倉敷市の伊東香織市長=同市役所で、林田奈々撮影
倉敷市の伊東香織市長は25日、昨年7月の西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けた真備町地区の復興計画の完成版を発表した。2023年度までの復興事業を示し、「本格的な復興に向け、来年度を『復興元年』として取り組みたい」と語った。【林田奈々】
復興計画は基本方針に、経験を活(い)かした災害に強い▽みんなで住み続けられる▽産業の再興による活力ある▽地域資源の魅力をのばす▽支え合いと協働による--まちづくりを掲げ、実現に向けた事業を明記した。

岡山県倉敷市が発表した、西日本豪雨で被害を受けた河川の復旧・強化に向けたスケジュール
住民から特に要望の強い治水対策については、河道掘削や堤防強化、合流点の付け替えといった複数の事業で対応。事業のスケジュールを年表で分かりやすく示し、今後は進捗(しんちょく)状況をホームページなどで確認できるようにする。
「逃げ遅れゼロ」を目指す防災・減災対策としては、足りなかった避難場所を補うため4月に各小学校区に浸水時の緊急避難場所を指定。また、住民自身による地区防災計画作成を促す。
住宅再建支援には、高齢者向けローン「リバースモーゲージ型融資」の金利引き下げ▽修繕・建て替え用融資の利子補給▽土地をかさ上げする際の開発許可基準の緩和--などのメニューを用意。自力での再建が困難な人向けに、災害公営住宅を20年度までに整備する。避難生活の支援では、市真備支え合いセンターを住民の見守り拠点と位置づけ、戸別訪問を継続。高齢者や障害者らについては必要なサービスへつなげていく。
復興計画は昨秋から、住民代表や有識者らでつくる策定委員会で主に検討が重ねられてきた。住民たちとの懇談会やアンケートの結果も反映し、完成した。この日、市役所で記者会見した伊東市長は「これで全てということではない。いただいた意見を今後の見直しで盛り込んでいきたい」と述べ、毎年度見直す方針を示した。計画は市のホームページで公開している。
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真備町地区の復興計画に盛り込まれた主な事業
・高梁川と小田川の合流点付け替え事業の5年間前倒し
・避難ルート確保のため、小田川の堤防道路を7メートル程度に拡幅
・河川改修事業の進捗状況をホームページなどで見える化
・大雨時に水田に水を受ける「田んぼダム」導入の検討
・新たに5カ所の緊急避難場所を指定
・住民による地区防災計画作成の推進
・住民一人一人の「マイタイムライン」作成推進
・災害の記憶を伝える碑の整備
・災害情報を一元管理する総合防災情報システムの構築
・市真備支え合いセンターによる見守り、相談支援
・リバースモーゲージ型(自宅を担保に老後資金を借りる高齢者向けローン)融資の金利引き下げ
・約200戸の災害公営住宅の整備
・被災事業再開のための人材マッチング支援
・「金田一耕助」などを活用した観光促進

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