水源連:Japan River Keeper Alliance

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事務局からのお知らせ

球磨川水系河川整備基本方針の策定において川辺川ダム阻止のために市民側が提出した11通の意見書

2020年7月11日
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今回の球磨川の氾濫で、川辺川ダム計画を復活せよという声が出ています。

これから国土交通省が川辺川ダム計画の復活に向けて水面下で動いていくことが予想されます。

悪夢がよみがえっていく思いですが、私たちは川辺川ダム阻止のためにたたかってきた過去の経過を振り返って頑張らなければなりません。

川辺川ダム事業は政府の方針として2009年に中止の判断がされました。それは川辺川ダム反対の声が熊本県内外で大きく広がってきたからです。

しかし、川辺川ダムは毎年度予算がついており、ダム事業としては生き残っています。川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画は、ダムの代替案がないということで、いまだに策定されていません。

2007年に策定された球磨川水系河川整備基本方針は、基本高水流量(1/80の想定洪水流量)を人吉地点で7000㎥/秒とし、そのうち、川辺川ダムと既設の市房ダムで3000㎥/秒を調節し(そのうち、約2600㎥/秒は川辺川ダム)、残りの4000㎥/秒を河道で対応するとして、人吉地点の計画高水流量(河道の流下能力の設定値)を4000㎥/秒としました。球磨川の重要な治水対策は河道の流下能力を大幅に増やすことなのですが、川辺川ダム建設のベースをつくるため、科学的な根拠なしに人吉地点の河道の流下能力を4000㎥/秒に据え置きました。

河川整備計画は河川整備基本方針の範囲でつくられますので、河川整備計画では河道目標流量を4000㎥/秒以上にすることができません。

河道目標流量を4000㎥/秒に据え置くと、まともな河川整備計画をつくることができず、川辺川ダムなしの球磨川水系河川整備計画が策定されないまま、十数年経過してきました。

川辺川ダム無しの河川整備計画をつくるためには、この球磨川水系河川整備基本方針を見直して、計画高水流量4000㎥/秒を大幅に引き上げる必要があります。

この球磨川水系河川整備基本方針の策定において私たちは川辺川ダムを必要としないものにするべく、懸命の取り組みをしましたので、その経過を述べておきます。

球磨川水系河川整備基本方針の策定に関して国土交通省で2006年4月から2007年3月まで延べ11回の河川整備基本方針小委員会が開かれました。https://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/kuma_index.html

一つの水系で11回も委員会が開かれたのは異例なことです。通常は1~2回です。

それは当時の熊本県知事、潮谷義子知事が川辺川ダムが河川整備基本方針で位置づけられないように頑張られたからです。

潮谷知事は2006年の途中で事故で骨折されましたが、車いすで毎回委員会にかけつけました。

委員会の数十名いる委員の中でダム懐疑派は潮谷知事だけで、委員会の中でたった一人の闘いでした。

私たち市民側は潮谷知事を支援すべく、委員会に毎回、意見書を提出し、傍聴席で審議を見守りました。

審議終了後に委員会の会議室がある階のエレベーターホールで市民側は潮谷知事を迎え、労をねぎらいました。知事からも傍聴と意見書へのお礼の言葉がありました。

 

市民側が提出した意見書は次の通りです。それぞれ長文ですが、興味がある方はお読みいただければと思います。

最も重要な争点は基本高水流量7000㎥/秒(人吉地点)が過大ではないか、計画高水流量4000㎥/秒(人吉地点)が過小ではないかということでした。

2006年4月13日球磨川委員会への意見書(その1)(基本的なことについて)

2006年5月10日球磨川委員会への意見書(その2)(基本高水流量問題)

2006年6月6日球磨川委員会への意見書(その3)(基本高水流量問題)

2006年7月19日球磨川委員会への意見書(その4)(基本高水流量問題)

2006年8月10日球磨川委員会への意見書(その5)(基本高水流量問題)

2006年9月6日球磨川委員会への意見書(その6)(基本高水流量問題)

2006年10月19日球磨川委員会への意見書(その7)(計画高水流量問題)

2006年11月15日球磨川委員会への意見書(その8)(計画高水流量問題)

2006年12月25日球磨川委員会への意見書(その9)(計画高水流量問題と、ダムの弊害)

2007年2月14日球磨川委員会への意見書(その10)(穴あきダム問題)

2007年3月23日球磨川委員会への意見書(その11)(穴あきダム問題と、ダムの弊害)

 

球磨川水系河川整備基本方針は、潮谷知事の懸命の取り組み、そして、私たちの精一杯の活動があったものの、私たちが望むものにはなりませんでしたが、

川辺川ダム阻止のためにたたかってきたこの過去の経過を振り返って私たちはこれから頑張らなければなりません。

粘り強い堤防整備/水位低下が困難個所に/国交省河川堤防検討会

2020年6月24日
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去る6月12日に国土交通省で「第3回 令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」のWEB会議が開かれ、その配布資料がようやく、国土交通省のHPに掲載されましたので、お知らせします。
その会議の概要を伝える記事も掲載します。
この技術検討会の審議が重要であるのは前にもお伝えしましたが、国交省が長年封印してきた耐越水堤防工法を部分的に導入する方向に方針を転換しようとしていることです。
旧・建設省土木研究所が耐越水堤防の工法を1975年から1984年にかけて研究開発し、その工法が全国の9河川で実施されました。その成果に基づいて、旧・建設省は2000年3月に関係機関に「河川堤防設計指針(第3稿)」を通知し、耐越水堤防工法を全国に広めようとしました。
その翌年、2001年12月から熊本県で川辺川ダム住民討論集会が始まり、そこで、耐越水堤防を整備すれば、川辺川ダムが不要になるのではないかという問題提起がなされました。その提起を受けて、国交省はこのままでは、耐越水堤防工法の存在が川辺川ダムははじめ、各地のダム事業推進の妨げになると考え、2002年7月に先に通知した「河川堤防設計指針(第3稿)」を廃止しました。
それ以来、国交省は耐越水堤防工法の導入を頑なに拒否してきました。
しかし、昨年の台風19号による洪水では国管理河川の12箇所・県管理河川の128箇所で堤防決壊が発生したので、国交省も背に腹はかえられず、封印してきた耐越水堤防工法の導入を考えざるを得なくなりました。
すでに、台風19号で決壊した千曲川の穗保地区560メートルは耐越水堤防工法の工事が進行中です。ただし、千曲川の越水4カ所の方は耐越水堤防工法ではありません。
台風19号災害から8か月  出水期迎えた被災地で復旧工事進む 長野 https://suigenren.jp/news/2020/06/13/13289/ )
国交省の姿勢は耐越水堤防工法の全面採用ではありませんが、耐越水堤防工法導入の道が開かれたことを喜びたいと思います。
耐越水堤防工法の導入は石崎勝義・元建設省土木研究所次長、今本博健京大名誉教授、大熊孝新潟大名誉教授らが提言し、私たちも国交省に働きかけてきました。
今月中にこの技術検討会が報告書をまとめることになっています。


国土交通省 第3回 令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会の配付資料
 https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/gijutsu_kentoukai/dai03kai/index.html
資料1-1 技術検討会(第2回)の議事要旨
資料1-2 意見の整理
資料2 河川堤防の被災状況の調査・分析について
資料3-1 堤防強化に関する関係業界団体への意見聴取方法等
資料3-2 関係業界団体からの提案等
資料3-3 既往研究成果から確認される越水しても壊れにくい河川堤防の構造に関する留意点
資料4  緊急的・短期的な河川堤防の強化方策の方向性
資料5 今後の取組


粘り強い堤防整備/水位低下が困難個所に/国交省河川堤防検討会

[建設通信新聞 2020-06-16 2面 ] https://www.kensetsunews.com/archives/462855

国土交通省は12日、「令和元年台風第19号の被災を踏まえた河川堤防に関する技術検討会」(座長・山田正中央大理工学部教授)の第3回会合を開き、報告書の案を示した。
洪水時に河川水位を下げる対策の実施が困難な個所を候補に、危機管理として緊急的・短期的に河川堤防を強化し、越流した場合に決壊しにくい「粘り強い堤防」を整備する。月内に報告書をまとめる。
緊急的・短期的に堤防を強化する個所は、狭さく部や橋梁の上流部・合流部・湾曲部などの影響を受けて水位が上昇しやすい区間のうち、水位上昇が当面解消されない区間を候補とする。
越流しても堤防が決壊するまでの時間を引き延ばして、避難に必要な時間を確保できる堤防を整備する。
越水に対して一定の効果を有すると考えられる資材・工法は存在するものの、それぞれに課題がある状況。
加えて、越水に対する実証的な検証や、河川堤防に求められる基本的な性能に関して、さらなる検証が必要なものが多い。
そのため、国交省、国土技術総合研究所、土木研究所、都道府県が連携し、堤防が決壊した個所や越水しても決壊に至らなかった個所のデータを収集・分析するとともに、
大型実験の実施などによって対策工法の効果を検証し、技術開発につなげる。

石木ダムの費用便益比計算  川棚川の洪水調節のB/Cはわずか0.10

2020年6月7日
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ダム等の公共事業は事業の是非について定期的に再評価を行うことが義務付けられており、その再評価の重要な項目の一つが費用対効果(費用便益比)の数字です。
費用便益比が1を超えれば事業継続となり、1を下回れば見直しの対象となります。
ほとんどの事業では事業者は便益を過大に計算して、費用便益比が1を超えるように操作します。
石木ダムについても洪水調節と不特定利水(渇水時の補給)の目的については長崎県、水道用水開発の目的については佐世保市が再評価を行い、費用便益比を計算しています。
長崎県は洪水調節と不特定利水の目的について昨年9月に再評価を行いました。前回は2015年でした。
今回、昨年9月30日の長崎県公共事業再評価監視委員会で示された石木ダムの費用対効果分析の計算資料を入手しました。石木ダム費用対効果分析資料201909の通りです。
昨年7月17日に石木ダム工事差し止め訴訟の証人尋問が長崎地方裁判所佐世保支部で行われ、石木ダム事業を科学的に検証すれば、治水面で不要であることを嶋津が証言しました。
その中で、石木ダムは費用便益比計算の恣意的な設定を改めれば、費用便益比が1を大きく下回ることを示しました。
詳しくは、https://suigenren.jp/wp-content/uploads/2019/07/435871c5c7f259bef4ac7f2e9ce6f279.pdf をお読みください。
証言で示した2015年の再評価の数字は次の通りでした。

2015年の再評価
石木ダム全体の費用便益比(B/C)1.25
洪水調節ダム便益          0.42
川棚川(河口~石木川合流点)      0.12
石木川                 0.30
不特定便益            0.79
残存価値             0.05

2019年の再評価もほぼ同じでした。石木ダム費用対効果分析資料201909の最終ページの合計欄の数字と6ページの表から次の値が求められます。

2019年の再評価
石木ダム全体の費用便益比(B/C)1.21
洪水調節ダム便益          0.40
川棚川(河口~石木川合流点)           0.10
石木川                 0.30
不特定便益            0.77
残存価値             0.04

ダム建設の主たる目的は川棚川の洪水調節であるはずなのに、その便益に関しては費用便益比(B/C)がわずか0.10しかありません。
石木ダム全体のB/Cが1を超えているのは、前回と同様、不特定利水の便益がダム完成前に発生するという実際にはありえない設定をしたことによって、現在価値化後の便益が大きくなっているからです。
現在価値化とは費用便益比計算独特のもので、社会的割引率(貨幣価値の変動率を示す指標)を 4%として、将来発生する金額を低く、過去に発生した金額を高く評価するものです。
不特定利水の便益がダム完成後に発生するというまともな設定をすれば、石木ダム全体のB/Cが1を大きく下回り、石木ダムは見直しの対象になります。

以上の通り、長崎県が行った費用便益比計算でも、石木ダムは主目的の川棚川洪水調節の費用便益比がわずか0.10しかありません。
長崎県が地元住民の土地・家屋が奪おうとしている石木ダムはその程度の事業なのです。
こんな無意味な事業は何としても中止させなければなりません。

利根川荒川水系水資源開発基本計画(フルプラン)の虚構

2020年6月6日
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6月26日に国土交通省の国土審議会水資源開発分科会利根川・荒川部会の書面会議が開催され、その配布資料が6月5日に国土交通省HPに掲載されました。
その資料を見ると、興味深いところがありますので、紹介します。

利根川・荒川・豊川・木曽川・淀川・吉野川・筑後川の7指定水系については水資源開発促進法により、水需給の面でダム等の水資源開発事業が必要であることを示す水資源開発基本計画(フルプラン)が策定されています。利水面でのダム等水資源開発事業の上位計画になります。これらの指定水系では、八ツ場ダム、思川開発、霞ケ浦導水事業、設楽ダム、川上ダム、天ヶ瀬ダム再開発、小石原川ダムといった水資源開発事業が進められてきていて、木曽川水系連絡導水路が計画されています。
しかし、水需要が減少の一途を辿り、水余りが一層進行していく時代において水需給計画で新規のダム等水資源開発事業を位置づけることが困難になってきました。
しかも、現在のフルプラン(利根川荒川は2008年策定)は2015年度が目標年度であって、とっくに期限切れになっています。
フルプランは水資源開発促進法の目的に書かれているように、「産業の開発又は発展及び都市人口の増加に伴い用水を必要とする地域に対する水の供給を確保するため」に策定されるものであり、水道用水・工業用水の需要が減少傾向に転じた時点で、その役割は終わっているのですから、水資源開発促進法とともに、7指定水系のフルプランは廃止すべきです。
しかし、国土交通省水資源部の組織を維持するため、目的を失ったフルプランの改定作業が行われつつあります。


~国土審議会水資源開発分科会利根川・荒川部会を書面開催~ https://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000123.html 

第11回国土審議会水資源開発分科会利根川・荒川部会】
利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画の見直しについて審議(3回目)
日 時: 令和2年5月26日(火)
議 題: 現行「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」の総括評価(案)について
第11回利根川・荒川部会 配布資料 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000104.html

今回の資料のうち、現行「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」の総括評価(案) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001347198.pdf を見ると、下記のグラフが示されています。主な数字を拾うと、次の通りです。
利根川・荒川水系の2015年度の数字
水道用水(簡易水道込み) 最大取水量 実績 114.25㎥/秒 予測 147.35㎥/秒 予測/実績 1.29倍
工業用水         最大取水量 実績 19.73㎥/秒 予測  28.19㎥/秒 予測/実績 1.43倍
水道用水+工業用水    最大取水量 実績 133.98㎥/秒 予測 175.54㎥/秒 予測/実績 1.31倍
供給可能量(2015年度)の計画値 179.74㎥/秒、2/20渇水年(20年に2回の渇水年)を想定すると、154.19㎥/秒、戦後最大年を想定すると、139.92㎥/秒
(2015年度時点で未完成の八ツ場ダム、思川開発、霞ヶ浦導水を除く)

これらの数字を見ると、フルプランの水需要予測がいかに過大で、架空のものであったかがよくわかります。
そして、水需要の実績133.98㎥/秒は国土交通省が示す計画値の供給可能量179.74㎥/秒を大きく下回り、2/20渇水年の供給可能量154.19㎥/秒もかなり下回っています。戦後最大年の供給可能量139.92㎥/秒をも少し下回っています。
前回のフルプランでは水源開発事業の計画値の供給可能量では水需要予測値がそれを下回り、新規事業の必要性を示せないため、2/20渇水年への対応が必要だという話を持ち出して、策定されました。

しかし、水需要の実績はこの2/20渇水年の供給可能量を上記の通り、下回っており、八ツ場ダム、思川開発、霞ヶ浦導水はフルプランの水需給においても不要のものであったことを物語っています。
そして、この2/20渇水年の供給可能量の数字そのものが科学的な根拠がない過小の数字であって、八ツ場ダム住民訴訟でこの問題を追及しました。

これから策定される利根川荒川等のフルプランは、2/20渇水年では説明が苦しくなったため、戦後最大渇水年への対応が必要だという話でつくられることになると思います。
組織延命のため、目的を失ったフルプランの延命策が図られているのです。

現行「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」の総括評価(案) https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001347198.pdf
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利根川における八ッ場ダムの治水効果に関する新たな考察

2020年4月21日
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最近になって、昨年10月の台風19号において八ツ場ダムがあったから、利根川が氾濫せず、首都圏が助かったという話がテレビ等で語られることがありました。
その経過は八ツ場あしたの会HP https://yamba-net.org/51266/(利根川における八ッ場ダムの治水効果に関する新たな考察)に書かれていますので、お読みください。
国土交通省は八ツ場ダムそのものの効果は示していません。
国土交通省は利根川上流7ダムによって利根川・八斗島地点で約1mの水位低下があったという発表を昨年11月にしたものの、八ッ場ダム等の個別ダムの効果は検証しておらず、今後、その検証を行うかどうかも未定としています。
個別ダムの効果を示せないのですから、この計算にどこまでの科学性があるのか、疑問です。
そして、利根川上流ダムの治水効果が八斗島地点でたとえそれなりにあったとしても、利根川の中流から下流に行くと、ダムの治水効果は次第に減衰していくのであって、八ツ場ダムがあったから、首都圏、東京が助かったとするのは根拠がない憶測の話でしかありません。

そこで、今回、このような根拠のない話が流布しないように「国交省の発表と八ッ場ダムの治水効果についての考察」という論考をまとめました。
八ツ場あしたの会のHP https://yamba-net.org/51231/ に掲載されましたので、少し長いですが、お読みいただければと思います。

八ツ場ダムの効果があると言っているのは、山田正中央大教授ですが、山田氏はその計算根拠をきちんと示しているわけではありません。それも、「都市問題」今年2月号で
「利根川上流域のダムが全てなかった場合、八斗島地点では約70㎝~1m程度水位が上昇していた可能性があり、その中でも八ッ場ダムがなかったと想定した場合には50 cm程度水位が上昇していた可能性がある」と書いておきながら、
3月13日のNHK前橋の放送では「台風19号では八ッ場ダムによる水位低減効果は八斗島地点で67cmあった」と語っており、数字がぐらついています。どの程度の根拠があるのか、わかったものではありません。
私は山田氏とは国交省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」で一度、相対したことがありますが、科学的な思考を感じさせる人ではありませんでした。

なお、八ツ場ダムの治水効果については昨年10月は栗橋地点より下流について検討し、「台風19号、利根川における八ッ場ダムの洪水調節効果」をまとめました。

https://yamba-net.org/48931/
今回、八斗島地点についても検討しておく必要があると考え、「2019年台風19号と利根川・八斗島地点についての検討」も書いてみました。
八ツ場あしたの会のHPに掲載されましたのでhttps://yamba-net.org/51251/
合わせてお読みいただければと思います。

(嶋津暉之)

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