水源連:Japan River Keeper Alliance

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事務局からのお知らせ

水道法改正の閣議決定(水道の民営化問題)2017年3月7日

2017年3月10日
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水道民営化の道を開くと言われている水道法改正の閣議決定が3月7日に行われました。

法案の内容は厚生労働省の第193回国会(常会)提出法律案http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/193.html

の中に掲載されています。(下から2番目)

「水道法の一部を改正する法律案(平成29年3月7日提出) 3月7日

概要 [159KB]
法律案要綱 [87KB]
法律案案文・理由 [173KB]
法律案新旧対照条文 [219KB]
参照条文 [201KB]

照会先:医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課(内線4008)」

民営化の関連では、概要に次のように書かれています。、

「4 官民連携の推進

地方公共団体が、水道事業者等としての位置付けを維持しつつ、厚生労働大臣等の許可を受けて、水道施設に関する公共施設等運営権※を民間事業者に設定できる仕組みを導入する。

※公共施設等運営権とは、PFIの一類型で、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式。」

この法案については、昨年11月22日の「厚生科学審議会 (水道事業の維持・向上に関する専門委員会)」の報告書が出ています。http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000145345.pdf

その中で民営化に関する説明資料は厚生科学審議会報告書抜粋20161122のとおりです。

これを見ると、官民連携は第三者委託など、いくつかの手法があり、公共施設等運営権方式以外はすでに実施例があります。

公共施設等運営権方式は水道法の改正が必要なので、今回、法改正をしようということです。

それによって、外国資本が入ってくるのでしょうか。大いに心配されるところです。下記の記事をご覧ください。

一方で、外郭団体への委託などによる水道民営化はすでに徐々に進行しています。

例えば、東京都多摩地域では、昭島市・羽村市・武蔵野市を除く市町は水道部門がなくなりました。(この3市以外の水道は東京都に一元化されています。)、

各市町の水道部門に代わって水道事務を行うのは東京都水道局の外郭団体で、

水道料金徴収業務等は㈱PUC (Public Utility Services Center )(代表取締役 小山隆 元・東京都水道局次長)、

水道施設の管理、施工、水質調査分析等は東京水道サービス㈱(代表取締役 増子敦 元・東京都水道局長)が行っています。いずれも東京都水道局幹部の天下り先になっています。

今回の水道法改正で道を開く公共施設等運営権方式だけでなく、東京都多摩地域のような方式で各市町の水道部門がなくなっていくことも問題にしていかなければなりません。

水道民営化中止求める 衆院委 田村議員が推進政府批判

(写真)質問する田村貴昭議員=21日、衆院総務委

(しんぶん赤旗2017年2月22日(水))http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-22/2017022204_02_1.html

日本共産党の田村貴昭議員は21日の衆院総務委員会で、政府が水道などの民営化を推進していると批判し、公共施設の運営権を民間事業者にゆだねる「コンセッション方式」の中止を求めました。

田村氏は、上水道の職員数が2000年代から大きく減少した要因について質問。橋本泰宏厚労審議官は「徹底した人員削減」などを挙げ、田村氏は「人員削減は、『三位一体改革』や『集中改革プラン』など政府が音頭をとってきた結果だ」と批判しました。

さらに田村氏は、事業体ごとの平均職員数でみると、給水人口5万人未満の事業体では技能職が「ゼロ」だと告発し、水道職員や技術吏員の確保を要求しました。馬場成志厚労政務官は「水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題だ」「若手技術職員の確保が重要だ」と答えました。

田村氏は、政府が「集中強化期間」を定めて水道の民間委託を奨励したものの実現していないと指摘。民営化条例を否決した奈良市の企業局が「官民連携のデメリット」として、「放漫経営」や「災害時のリスク」を挙げていると紹介しました。

「コンセッション方式」における料金算定に関して質問した田村氏に対し、橋本審議官は、株主への配当や法人税なども料金に含まれると答弁しました。

田村氏は、海外では民営化による料金高騰などで再公営化が相次いでいることも示し、「民間事業者が(配当などの利潤を)考えれば、ほとんど値上げになっていく」と指摘。国民の生命と生活に欠かせない水道事業は民営化にはなじまず、やめるべきだと主張しました。

国土交通省の「リスク管理型の水の安定供給に向けた水資源開発基本計画のあり方について」 答申(案)に対する意見〈2017年3月7日)

2017年3月7日
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国土交通省が全国7水系の水資源開発基本計画(フルプラン)のあり方に関する答申案に対して意見募集を行っています。

 意見を提出しましたので、参考までに掲載します。
国土交通省の意見募集は http://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000083.html をご覧ください。
リスク管理型の水の安定供給に向けた水資源開発基本計画のあり方について 答申(案)に対する意見(嶋津暉之)

1 答申案は、水道用水および工業用水の需要が減少の一途を辿ってきていて、将来はますます縮小していく事実を無視している。

下図のとおり、全国の水道用水および工業用水の需要は減少の一途を辿っている。全国の水道の一日最大給水量は1994年度から2014年度までの20年間に一日当たり約1,100万㎥も減っている。一人一日最大給水量を400リットル/日と仮定すると、20年間で約2,700万人分の水道給水量が減ったことになる。今後は人口減少時代になることにより、水道用水の規模縮小に拍車がかかることは必至である。工業用水も減り方が凄まじい。1975年と比べると、2014年の使用量は2/3の規模になっている。下図で示した水道・工業用水の減少傾向は、利根川・荒川水系などの各指定水系でも同様である。

2 水道用水および工業用水の規模縮小で水余りがますます顕著になっていく時代において新たな水資源開発事業は不要であるから、答申案は現在計画中および建設中の水資源開発事業の中止を求めるべきである。

上述のとおり、水道用水および工業用水の需要が減少の一途を辿り、将来はますます縮小していくのであるから、新たな水資源開発事業が不要であることは明白である。それにもかかわらず、各水系で不要な水資源開発事業が推進されている。利根川・荒川水系では八ッ場ダム、思川開発、霞ケ浦導水事業、豊川水系では設楽ダム、木曽川水系では木曽川水系連絡導水路、淀川水系では川上ダム、天ヶ瀬ダム再開発、筑後川水系では小石原川ダムなどの事業である。いずれも水需要縮小の時代において無用の事業であるから、答申案はこれらの新規水資源開発事業の中止を求めるべきである。

 

3 水需要が減少の一途を辿り、水余りが一層進行していく時代においてフルプラン(水資源開発基本計画)の役割は終わっているのであるから、根拠法である水資源開発促進法とともに、各指定水系のフルプランを廃止すべきである。

各指定水系のフルプランは水資源開発促進法の目的に書かれているように、「産業の開発又は発展及び都市人口の増加に伴い用水を必要とする地域に対する水の供給を確保するため」に策定されるものであり、水道用水・工業用水の需要が減少傾向に転じた時点で、その役割を終わっている。答申案は、フルプランの延命策を講じるのではなく、役割が終わった各指定水系のフルプランとその根拠法である水資源開発促進法の廃止を求めるべきである。

 

4 「リスク管理型の水の安定供給に向けた」という言葉で、役割が終わった各指定水系のフルプランの延命策をはかってはならない。

今回の答申案は「地震等の大規模災害、水インフラの老朽化に伴う大規模な事故、危機的な渇水等の危機時において最低限必要な水を確保するためには、・・・効果的な施策の展開を検討するよう留意する必要がある」と述べているが、これは、役割が終わった各指定水系のフルプランの延命策に他ならない。

第5次利根川・荒川水系フルプラン〈2008年策定〉などの現在のフルプランも無理矢理、延命策が講じられたものである。フルプランは当初から水需要の実績と乖離した過大予測によって水資源開発事業の必要性を打ち出すものであったが、1990年代から水道用水・工業用水が減少傾向に転じたため、過大予測を行うにも限度が生じてきた。そこで、国は水資源開発事業を推進するための新たな理由をつくり出した。それはより厳しい渇水年(1/10渇水年)になると、ダム等の供給可能量が大幅に減るので、それに対応するためにも水資源開発が必要だというものである。

現行のダム等の開発水量は、利水安全度1/5で計画されているので、それより厳しい渇水が来ても対応できるように、利水安全度1/10での水需給を考える必要があるというものである。1/10渇水年においてダム等の供給可能量が大幅に減るという国の計算結果は、ダム放流を過剰に行う恣意的な計算によるものであって、1/10渇水年の話も虚構のものなのであるが、このようにしてフルプランの延命策が講じられてきた。

今回の答申案「リスク管理型の水の安定供給に向けた」は、役割が終わった各指定水系のフルプランをさらに延命させることを企図したものであり、答申案の内容を根本から見直すべきである。

 

5 目標年度を過ぎ、期限切れになっている各水系のフルプランを上位計画として国が水資源開発事業を推進している異様な事態を答申案はなぜ問題にしないのか。

利根川及び荒川、豊川、木曽川、淀川、筑後川のフルプランは目標年度が2015年度、吉野川水系は2010年度で、いずれも目標年度を過ぎており、期限切れになっている。この期限切れのフルプランを上位計画として、八ッ場ダム等の新規水源開発事業が推進されているのは異常である。法律に基づいて計画を策定し、その計画に沿って事業を進めるのが行政の責務であるにもかかわらず、計画を期限切れのままにし、計画の裏付けなしで国が八ッ場ダム等の事業を推進しているのは由々しき問題である。国が法律を軽視した行為を公然と行うのは法治国家としてあるまじきことであるので、答申案はそのことを問題視すべきである。

 

6 川の自然を取り戻すため、ダム撤去や河口堰のゲート開放などを視野に入れた答申案にすべきである。

過去のダムや河口堰といった水資源開発事業によって各河川の自然は大きなダメージを受けてきている。アメリカでは川の自然を取り戻すため、ダム撤去が数多く行われてきている。日本も水需要の縮小で、水余りが一層進行していく時代になっているのであるから、既設のダムや河口堰などの水資源開発施設がどこまで必要なのかを徹底検証して、必要性が稀薄な施設は撤去または運用の改善を進めるべきである。答申案はそのように川の自然を取り戻すことも目指すべきである。

2015年9月鬼怒川水害に関する日弁連の会長声明と調査結果報告書の発表

2016年12月4日
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日弁連が2015年9月鬼怒川水害に関する会長声明と調査結果報告書を2016年12月2日に下記のとおり、発表しました。

 

2015年9月鬼怒川水害の調査結果報告書の発表に当たり、改めて、ダム依存から脱却し、総合治水及び堤防の強化を求める会長声明

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2016/161202_2.html

 

当連合会は、茨城県常総市を中心に発生した2015年9月の鬼怒川水害(以下「本水害」という。)に関して調査を行い、

本日、その結果を取りまとめた調査報告書日弁連 鬼怒川水害の調査報告書20161202

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/100617_2.pdf)を発表した。
本水害では、常総市三坂地区で鬼怒川の左岸堤防が破堤するとともに、同市若宮戸地区でも溢水が生じ、また、鬼怒川に排水される八間堀川が氾濫を起こすなどして、同市市域の約3分の1に当たる約40㎢が浸水するなど、極めて甚大な被害が発生した。
当連合会は、2010年6月17日付け「ダム依存から脱却し、総合治水及び堤防の強化を求める意見書」において、総合的な治水対策の実施及び当面の対策として既存堤防の強化を提言した。本水害が同提言後の一級河川本川の破堤を伴う大規模水害であったことから、本水害の原因等について調査及び考察を行い、今後への提言を含めて、調査報告書として取りまとめた次第である。

調査の結果、鬼怒川においては、湯西川ダム建設事業に治水負担額として約1144億円もの支出を行う一方、下流の茨城県側は、既存堤防が流下能力不足等により脆弱であるにもかかわらず、堤防整備等が遅々として行われず放置された上、下流の河道負担を軽減する上流域での森林整備等の流域対策も採られず、三坂地区の破堤や若宮戸地区の溢水につながったことなどが明らかになった。また、総合治水が採り入れられず、流域の森林及び水田の貯留機能や既存河川施設の活用及び適切な避難対策やハザードマップの活用等の被害軽減方策がなされていなかったことも明らかとなった。

本年における、台風10号による降雨を原因とした岩手県での二級河川小本川の氾濫、北海道石狩川水系空知川並びに十勝川水系札内川での破堤氾濫及び台風16号による降雨を原因とした宮崎県延岡市での北川の氾濫など、水害が話題にならない年はない。毎年のように頻発する水害の被害を防止・軽減し、住民の生命・身体・生活財産を守るためには、各流域において総合治水方式へと治水対策を抜本的に見直すとともに、その実現と平行して、脆弱な既存堤防を強化し、破堤を生じないよう対策を講じることが喫緊の課題である。

本調査報告書の発表に当たり、当連合会は、改めてダム建設や堤防の改新築・河道掘削などの河道整備ではすべての洪水を河道に閉じ込めることは不可能であるとの認識をもとに、従来型の洪水対策から脱却し、流域全体で洪水を受け止めるという発想に立ってハード面・ソフト面にわたる総合的な治水対策を実施すべきこと、及び、かかる総合的な治水対策を推進しつつも、既存堤防の破堤を防止するため、速やかにその強化を求めるものである。

 

2016年(平成28年)12月2日

日本弁護士連合会

会長 中本 和洋

厚労省の「水道事業の維持・向上に関する専門委員会」が水需要の大幅な減少を予測

2016年11月1日
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厚生労働省の「水道事業の維持・向上に関する専門委員会」が今年3月から開かれてきています。10月26日の第7回会議では報告書の骨子案が示されました。
その骨子案には次の通り、「今から約40年後、日本の人口は8600万人程度となると推計されている。それに伴い、水需要も約4割減少すると推計されている」と書かれています。
その根拠資料を厚労省水道課に聞いたところ、下記の第1回の参考資料2-2にある添付のグラフ第1回委員会参考資料2-2とのことでした。
2009年の全国水道の有収水量3700万㎥/日が2060年には2200万㎥/日まで減るという予測です。減少率は約40%です。
人口だけでなく、家庭用原単位も減ることになっていて、国立社会保障題・人口問題研究所の人口推計を使って計算すると、人口は32%減、原単位は12%減です。
このように、厚労省も今後、水道の需要が人口の減少と原単位の減少で大きく減っていくことを認識しているのです。
ところが、一方で厚労省は、石木ダム事業参画の佐世保市の架空水需要予測をそのまま容認しています。
この専門委員会の座長は滝沢智東大教授で、滝沢氏は石木ダムの事業認定の際に、九州地方整備局に対して、佐世保市の架空水需要予測にお墨付きを与える意見書を出しています。
その意見書に対して、ダム検証のあり方を考える科学者の会が公開質問書 https://suigenren.jp/news/2014/06/03/5410/ を送付しましたが、なしのつぶてでした。
表と裏の顔を使い分ける厚労省と、滝沢智東大教授に対して怒りを禁じえません。

第8回水道事業の維持・向上に関する専門委員会 資料
報告書の骨子案(たたき台)http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000141000.pdf
1。水道事業をめぐる現状と課題
○ 現在、我が国の水道は9 7.8%の普及率に達し、水道は、国民の生活の基盤として
必要不可欠なものとなっている一方、以下に掲げる喫緊に解決しなければならない課題

を抱えている。
○ 人口減少社会が到来し、今から約40年後、日本の人口は8600万人程度となると
推計されている。それに伴い、水需要も約4割減少すると推計されている。給水量の減

少は直接料金収入の減少につながり、特に小規模な水道事業者(注:簡易水道事業者を

含む。以下同じ。)において、財政状況の急激な悪化が懸念される。

第1回水道事業の維持・向上に関する専門委員会 資料
平成28年3月22日(火)
参考資料2-2:水道事業の基盤強化方策に盛り込むべき事項(PDF:4,419KB)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000137087.pdf

蛍舞い、棚田広がる山里にダム計画 「ふるさと守りたい」住民の姿を映画に

2016年10月2日
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長崎県・石木ダムから山里を守るための映画づくりが行われています。その記事をお送りします。映画づくりへの支援をよろしくお願いします。

蛍舞い、棚田広がる山里にダム計画 「ふるさと守りたい」住民の姿を映画に

(A-port 朝日新聞社のクラウドファンディングサイト 2016年09月30日

※ 著作権の関係で削除しました。

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