水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

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事務局からのお知らせ

宮城県の水道・工業用水道・下水道の民営化計画の現実

2019年6月20日
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宮城県が水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業の民営化を計画しています。
水道法が昨年12月に改正され、政府が民営化推進の旗振りをしていますが、多くの水道事業体は民営化について消極的です。しかし、その中で突出して民営化を推進しようとしているのが宮城県です。
村井 嘉浩知事の主導によるもので、村井知事は昨年12月、参議院厚生労働委員会で参考人として水道法改正賛成の意見を述べました。
宮城県が民営化を計画しているのは資料1 水道・工業用水道・下水道の民営化を進める宮城県の1枚目のとおり、二つの水道用水供給事業、三つの工業用水道事業、四つの流域下水道事業です。
2枚目のとおり、民営化を計画しているのは、水道用水供給事業、工業用水道事業、流域下水道事業の管路を除く処理場等の部分で、資産の割合としては3割にとどまります。
3枚目のとおり、民営化することにより、20年間で水道・工業用水道・下水道で335~546億円(現在価値化後の数字は166~386億円)の費用を削減できることになっています。
〔注〕現在価値に換算した金額:将来の価値を20年国債の利率で割り引いて20年間の効果を現在価値に換算した金額(割引率1.59%/年)
ここで不思議に思うのは、民営化すれば、20年間で水道・工業用水道・下水道で335~546億円も費用を削減できることになっていることです。
これだけ巨額の費用を削減できるならば、民営化すべきだという話になりますが、この数字にどれほどの根拠があるのでしょうか。
この根拠を知るため、宮城県に対して情報公開請求を行いました。精査が必要ということで開示が延期され、つい最近になってようやく開示されました。
開示された資料は、「みやぎ型管理運営方式導入可能性等調査業務報告書」です。
委託先の㈱日本総合研究所から2018年3月に報告されたものです。

その中で、上記の費用削減計算の前提条件を記したページが資料2 みやぎ型管理運営方式導入調査業務報告書 本編 201803(抜粋)です。
驚くことに、上記の費用削減額は民営化で削減できる個々の費用を積み上げて求めたものではなく、民営化による費用削減率を単純に10~45%に設定して求めたものでした。
次のように書いてあります。
「民間事業者に対するマーケットサウンディングを通じて,標準的に達成可能と見込まれる経費等削減率についてヒアリングを行い,その結果をもとに設定した。」
マーケットサウンディングとは、事前に広く意見や提案を求める対話型の市場調査のことですが、要するに、民営化を受注する可能性がある会社にどれくらい費用を削減できるかを聞いただけだということです。
そのような会社は当然、費用をかなり削減できると答えるに決まっています。
実際の具体的な根拠は何もありません。
この程度のデータで宮城県において水道等の民営化が進められていくのですから、本当に大丈夫かと思ってしまいます。
水道等の事業は施設の老朽化、人口等の減少による料金収入の長期的減少、技術職員減少による技術継承への懸念という深刻な問題に直面していることは事実であり、対応策を真剣に考えなければなりません。
しかし、民営化すれば、それらの問題が本当に解消できるのでしょうか。魔法の杖のような方法があるのでしょうか。
それらの問題を解消できる方法がもしあるならば、その方法の詳細を徹底的に調べて、公共のままで、そのような方法の導入に努めればよいのではないでしょうか。
民営化すれば、それらの問題が解消できるような宣伝に惑わされてはなりません。

中止ダム事業の中止理由

2019年5月28日
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私たちが問題視しているダム事業のほとんどが腹立たしいことに推進の方向にありま
す。
問題ダム事業をストップさせるため、引き続き、頑張っていかなければなりません
が、一方でストップされたダム事業も少なからずあります。

2009年度からのダム検証でストップされたダム事業は30事業あります。

反対運動の高まりで止まったダムもありますが、中止ダムの多くはダム事業者が継続
の意思を持たなくなったこと、いわばダム事業者の都合によるものです。

しかし、ストップするためには、それなりの理由が必要です。ダムの目的を代替手段
でどう対応するかなどを示す必要があります。

今回、この30ダム事業について中止の理由を整理しましたので、お送りします。

中止ダム事業の中止理由(2009年度以降)
のとおりです。

洪水調節の目的についてはダム案よりも河川改修案優位となっているものが多いで
す。

緊急性が低いという理由もいくつかあります。

ダム事業者がダムを推進する時は代替手段よりダムが優位であるという理由を無理矢
理作るものですが、中止の意思があるときは代替手段の優位性や、緊急性の低さを簡
単に認めることがよくわかります。

なお、「流水の正常な機能の維持」(渇水時の補給)の目的についてダム案優位と
なっているダムもありますが、他の目的ではダム案が優位ではないということで中止
の判断がされており、この目的が重要ではないことを物語っています。

参考にしていただければと思います。

この中止ダムの資料は「国会公共事業調査会(仮)準備会」(事務局 西島和弁護
士)が「公共事業チェック議員の会」事務局長・初鹿明博衆議院議員に依頼して国土
交通省から入手したものです。

治水問題のパンフレット「ダム依存は危ない」

2019年5月25日
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2018年7月の西日本豪雨では、野村ダム・鹿野川ダムの放流が愛媛県・肱川の大氾濫を引き起こし、多くの家々を水没させ、人命をも奪いました。
ダム建設に河川予算を集中し、河川改修を疎かにする歪んだ河川行政が引き起こした大水害でした。

また、2015年9月の鬼怒川水害では上流に巨大ダムが4基もありましたが、その洪水調節効果は下流部では大きく減衰し、大氾濫が起きました。
鬼怒川の氾濫もダム建設ばかりに力を入れ、下流部の無堤防地区を放置し、決壊の危険がある堤防の改善を怠ってきたことによるものです。

このようにダム建設に傾注する現河川行政の危うさを訴えるため、パンフレット「ダム依存は危ない」を八ッ場あしたの会、鬼怒川水害検討会議、水源開発問題全国連絡会の3団体でつくりました.。

パンフレット「ダム依存は危ない」をご覧ください。

A4で4ページの範囲に収める必要がありましたので、進めるべき治水対策は二つに絞って記述しました。
堤防の決壊を防ぐ安価な耐越水堤防工法の普及と、氾濫の危険性のある地域の建築規制・立地規制(滋賀県「流域治水の推進に関する条例」)です。

進めるべき治水対策はほかにもありますが、それらはパンフレットの第二弾で取り上げたいと思います。

活用していただければ幸いです。

追伸 今回のパンフレットは第一弾です。次は都市部の住民にとって身近な問題である内水氾濫問題なども取り上げたパンフレットを作ることを予定しています。

ソフト対策で危機的な渇水に対応することにした吉野川水系フルプラン

2019年4月19日
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国土交通省は4月19日、「吉野川水系における水資源開発基本計画」(フルプラン)の変更を発表しました。

全国初!計画の抜本的見直しにより、リスク管理型の水の安定供給へ~「吉野川水系における水資源開発基本計画」の変更~
http://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000113.html
冒頭に次のように書かれています。
「吉野川水系における水資源開発基本計画※1の変更について、本日、閣議決定を経て、国土交通大臣が決定しました。
本計画では、危機的な渇水時も含めて水需給バランスを総合的に点検し、既存施設を最大限に有効活用していくことと合わせ、必要なソフト対策を一体的に推進することによって、安全で安心できる水を安定して利用できる仕組みをつくり、水の恵みを将来にわたって享受できる社会を目指します。
リスク管理型の計画への変更は、吉野川水系が全国初となるもので、今後、他の5計画についても、順次、計画の見直しに着手していく予定です。」

水資源開発促進法に基づき、全国で6水系(利根川及び荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川)で水資源開発基本計画(水需給計画)が定められています。
しかし、その中で新規のダム等の水源開発の計画がないのは、吉野川水系だけです。富郷ダムが2000年度に完成した後の水源開発がありません。

その吉野川水系でリスク管理を打ち出せば、下記の図の通り、危機的な渇水時の水需給は大幅に不足することになりますが、ソフト対策で乗り切ることになりました。
ソフト対策とは、つぎのようなものです。
<水供給の安全度を確保するための対策>
節水機器の普及等の取組、用途をまたがった水の転用、地下水の保全と利用 など
<危機時において必要な水を確保するための対策>
応急給水体制の整備、「渇水対応タイムライン」の策定、災害時の相互支援協定締結の推進

吉野川水系では、このようなソフト対策で危機的な渇水に対応することにしたのですから、ほかの水系でもそのようにすれば新たなダムは不要となります。

新規ダムが不要であることを示した今回の「吉野川水系における水資源開発基本計画」の変更を大いに参考にすべきです。

2019年度の各ダムの予算

2019年3月30日
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来年度(2019年度)の各ダムの当初予算が決まりましたので、参考までにお知らせし
ます。

直轄ダム・水資源機構ダムと補助ダムの2017~2019年度予算を次のとおり、ま
とめました。

直轄ダム水資源機構ダムの2017~2019年度予算

補助ダムの2017~2019年度予算

直轄ダム・水資源機構ダムの総額は、2017年度1553億円、2018年度1837億円、2019年
度1868億円です。

また、補助ダムは、2017年度521億円、2018年度507億円、2019年度497億円です。

出典は国土交通省のHPで
直轄ダム・水資源機構ダムの予算は
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h31/draft_h30.pdf
にまとまっていますが、
補助ダムの予算は、平成31年度 水管理・国土保全局 事業実施箇所
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/yosan/gaiyou/yosan/h31enforcement.htm
l
の各都道府県の表から取り出すことが必要です。

来年度は全国でダム建設に約2400億円の公費が投じられるわけですが、この公費をダ
ムではなく、本当に有効な治水対策に使うことができればと思ってしまいます

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