水源連:Japan River Keeper Alliance

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石木ダムの情報

石木ダム工事差止仮処分申立 第1回審尋 報告 (石木ダム)

2016年5月18日
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2016年5月16日午後2時から、長崎地方裁判所佐世保支部にて工事差止仮処分第1回審尋がありました。

仮処分の審尋は非公開なので住民側は申立人(債権者)と代理人しか法廷内に入ることが出来ません。それでも部屋が狭くて十数名の申立人(債権者)が入廷できず、待合室で待機、ということになりました。

この日の法廷は、主張書面・疎明資料確認の後,実質審尋に入りました。
まず,裁判所から私たちに言われたのは,差止を求める「工事の特定」のことでした。
その点については

①  債権者が把握している情報だけでは工事の特定が困難であることを踏まえて
②  債権者主張を補足する形で債務者らからも工事の特定に必要な情報を提供してもらう。
③  その上で差止を求める工事を特定していく。

ということになりました。

裁判所から当方に出された宿題は,

①    債権者のうち,所有権者・居住権者の場所と工事対象地の関係を明らかにすること
②    債務者らの答弁書に対する反論を行う。 特に行訴法44条,保全の必要性について反論すること(*1)。

でした。

次回は、事業認定取消訴訟期日と同じ日の午前に、ということで、 7月19日(火)11時から12時まで となりました。
この日は、終了後に長崎地方裁判所に移動して、午後3時から事業認定取消訴訟第2回公判となります。

◎   解説*1: 債務者側(長崎県・佐世保市)は、当方の申立書に対する答弁書の中で、裁判所に以下の理由を挙げて「申立却下」を求めています。
その理由への反論を7月5日までに裁判所に提出することになります。

  1. 行政訴訟法44条で「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない。」とされている。「石木ダム事業は長崎県と佐世保市の事業=公権力の行使にあたる行為」であるから、差止仮処分はできない。
  2. 「差止によって保全されるという権利」について、
    ①私法上の権利と言えない、
    ②具体的な権利侵害事実もない,
    ③保全の必要性もない

上記に対する弁護団の考え方は、簡単に記すと以下のようになるとのことです。

弁護団の説明≫

1  今回の差止の対象は公権力の行使としての事業認定処分それ自体ではなく,事実行為としての工事それ自体であるから,行政事件訴訟法44条に抵触するものではない。
2  裁判所は,①私法上の権利性・②権利侵害性については特に詳細な反論を求めなかったことに照らせば,長崎県,佐世保市が主張する権利侵害がないとの部分に理由がないことが明らか。③保全の必要性は今工事を止める必要があるか否かという問題です。
いつ工事が再開されてもおかしくない状況(法律上の障害はない)である以上,保全の必要性があることもまた明らか。
但し,工事の特定との関係でいつ再開・着工されてもおかしくない工事がどの工事であるかという特定の問題は残るため,この点については債務者からの情報提供を待った上で特定していくことになる。

債権者、債務者双方から提出された書証
仮処分申立書
仮処分答弁書(佐世保市)
仮処分答弁書(長崎県) 

マスコミ報道

5月17日の長崎新聞

失敗事業へ向かう道 石木ダム 長崎新聞 論説

2016年5月13日
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5月11日、長崎県は形振り構わず、石木ダム予定地のすべての土地を強制収用するための裁決申請を行いました。この長崎県のやり方を長崎新聞の論説ga厳しく批判下をました。

長崎新聞 論説 2016年5月13日

失敗事業へ向かう道  石木ダム

川棚町に計画される石本ダムは1975年の事業採択から40年。82年の強制測量という失態によって、この事業は迷路に入り、長い時間がすぎてしまった。現在も完成していない責任の相当部分は県にある。
県は11日、反対地権者9世帯の家屋を含む約9万平方㍍の未買収地を、県収用委員会に裁決申請した。これで反対地権者13世帯の土地と家屋に対する裁決申請が全て終わり、強制収用に必要な手続きは収用委員会による裁決だけとなった。
収用委が受理すれば、裁決の手続きが始まる。裁決された場合、家屋を含む土地は180日以内に、含まない土地は60日以内に県に明け渡さなけれぱならなくなる。
この計画は失敗公共事業へと向かっている。反対する地権者が頑強に抵抗している。完成すれば巨大な自然破壊となる。だが理由はそれだけではない。
基盤整備が遅れた地方にとって、公共事業は地域のまちづくりに貢献し、住民の暮らしをより良くし、一面では経済の刺激にも役立ってきた。長崎県は戦後こうして発展してきた。今後もそれは続く。しかしこの事業は、やり方を間違っている。
ダムの必要性の説明が不足している。その状態で強制収用を実施する構えをとるのは全く許されない。この2点で、この事業は手法を誤っていると言わざるを得ない。
県事業である以上、佐世保市と川棚町だけの問題ではない。県の説明相手は県民であることを忘れないでほしい。
大型事業は程度の差こそあれ、自然を壊す。それでも必要性に異論がない事業は容認されてきた。この事業の必要性には大きな疑義が出ている。国が必要だと認めるだけでは足りない。県は、県民に説得力のある説明をできているのか。少なくともその切実度は理解されていない。
強制収用が現実味を増す中、反対地権者は脅されている心持ちだろう。重要なのは、見守っている大勢の県民にも、県が地権者を脅して押し切ろうとしているようにしか映っていないことだ。単に法に従って手続きだけを進めるような行政の在り方を見せられると、いったいどこを向いて仕事をしているのかと言いたくなる。
まず水の問題について、県民の理解が広がるようにしてほしい。現在と今後の佐世保市の水事情の逼迫を、県が県民に説明する努力が必要と感じる。防災対策についても同様である。
既に問題は反対地権者らによって法廷に持ち込まれている。たとえ造っても、手法を間違えた公共事業を成功とは呼べない。強制収用の手続きを止め、状況を緩和する努力に全力を注ぐときだ。(森永玲)

原告・代理人が陳述! 石木ダム事業認定取消訴訟第1回口頭弁論

2016年4月30日
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  • 2016年4月25日 事業認定取消し訴訟 第1回口頭弁論

4月25日午後2時、長崎地方裁判所で事業認定取消訴訟第1回口頭弁論と執行停止申立審理が開かれました。多くの原告・傍聴者が結集し、法廷に入りきれないため傍聴は抽選となりました。
口頭弁論では、原告2名(岩下和雄氏・松本好央氏)と代理人3名(平山博久弁護士・鍋島典子弁護士・馬奈木昭雄弁護士)が意見陳述を行いました。
第1回口頭弁論の詳しい情報(訴状・被告答弁書、原告・代理人意見陳述書、マスコミ報道等)はこちら

口頭弁論に先立ち、地裁前で門前集会を持ち、原告代表として岩下和雄氏、弁護団代表として馬奈木弁護団長が事業認定取消し訴訟にあたっての気構えを確認しました。

終了後に長崎市役所内の会議室において、弁護団からこ第1回口頭弁論までのいきさつ、訴状に対する被告側の答弁書の趣旨と問題点、次回口頭弁論は7月19日午後三時から、・・・・等が報告されました。参加者からは、5人の意見陳述内容が素晴らしかったと絶賛の声が聞かれました。

なお、工事差止仮処分申立の第1回口頭弁論は5月16日午後二時から長崎地方裁判所佐世保支所で開かれます。

工事差止仮処分申立人に!  (石木ダム関係)2016年5月26日改定

2016年4月21日
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石木ダム事業に反対される皆様、申立人になって工事を差し止める本人になりませんか!

長崎県外の方が申立人になっていただくときに必要な、弁護団委任状と、ゆうちょ銀行の振込用紙見本をご覧下さい。

石木ダム予定地13世帯住民を先頭にした石木ダム中止を願う私たちは、石木ダムを法的に中止させることを目的に、事業認定取消訴訟と工事差止仮処分申立を闘っています。

110名の原告が事業認定取消訴訟・執行停止申立を2015年11月30日に長崎地方裁判所に提訴し、今年4月25日に第1回目の法廷が開かれました。原告に制限がある事業認定取消訴訟に続いて、2月2日には505人が、石木ダムによって人格が侵害されるとする人ならば誰もが訴えることができる「工事差止仮処分申立」を長崎地方裁判所佐世保支部に申立てました。5月16日には第1回目の審尋が行われました。

「工事差止仮処分申立」はこの訴訟が終わるまで、申立人の追加が出来ます。

水源連としても、石木ダム事業がもたらす4つの負の遺産、

  • 無駄な事業による人権破壊
  • 無駄な事業による環境破壊
  • 無駄な事業への税金支出・水道事業費支出
  • 本来優先されるべき事業の停滞

を拒否することを一人一人が明確に示す手段として、多くの皆様が「申立人」になることを呼びかけます。
今からでも遅くありません。是非、申立人に名乗りを上げて下さい。

「申立人」になる方は、委任状に必要事項を記入し、印じるし2箇所に捺印して下記連絡先に郵送してください。そして、誠に恐縮ですが、郵便局で払込取扱票をもらって必要事項をご記入の上、分担金1万円をお送りください。「申立人になるのはちょっと」と思われる方は、同封の払込取扱票の支援に○をつけて、支援金をお送り下さい。払込取扱票の通信欄には、今後の連絡のため、メールアドレスまたはFAX番号も記入をお願いします。

本会に送付いただいた分担金・支援金と委任状はすべてとりまとめて、石木ダム対策弁護団に送付いたします。

連絡先:石木ダム建設絶対反対同盟を支援する会

〒223-0064 神奈川県横浜市港北区下田町6-2-28
電話・FAX 045-877-4970
メール:mizumondai@xvh.biglobe.ne.jp
ゆうちょ銀行当座口座:00270-9-136202

石木ダムのことについて詳しくは、こちらをご覧下さい。
仮処分申立委任状と振込用紙

 

真島省三衆議院議員、「憲法下でこんなことがあっていいのですか?大臣!政治決断を!!」 (石木ダム関係)

2016年2月29日
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2016年2月25日、衆議院予算委員会 真島省三衆議院議員質問

石木ダム問題で厚労省水道課等へのヒアリングをされている真島省三衆議院議員(日本共産党)が2月25日の衆議院予算委員会で石木ダム問題について質問を行いました。
  衆議院収録のビデオに基づいて、報告いたします。
収録ビデオは下をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=fLQDEfcT1jA
衆議院HP実況ビデオは下記をクリックしてください。解像度はベターですが、探しにくいかも知れません。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=45540&media_type=fp

「覚書違反や説明不履行は事業認定の要因になっていない」との答弁は、土地収用法違反ではないにしても、憲法29条3項を満たしていないことを認めたも同然です。長崎県は1972年7月29日に石木ダム予定地3地区(川原郷、岩屋郷、木場郷)の総代と交わした「石木川の河川開発調査に関する覚書」の第4条で、「乙(長崎県)が調査の結果、(石木ダム)建設の必要性が生じたときは、改めて甲(長崎県東彼杵郡川棚町字川原郷、岩屋郷、木場郷)と協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする。」と約束しています。長崎県はこの協議・書面による同意ともにないままに石木ダム建設事業に着手することはできません。すなわち“「同意無しでの事業推進はできない」のですから、土地収用法第20条第2項「起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること」でいう「事業を遂行する能力を有する者」という条件を満たしていない”、というのが私たちの主張になります。

真島議員は当別ダムに水源開発を求めていた札幌水道が当別ダム完成するや大幅に下方修正したことを紹介し、佐世保水道の水需要予測が実績と大きく乖離していることを指摘しました。佐世保市が「生活用水一人あたり使用量が少ないのは渇水による影響で受忍限度を超えている。これからは他都市並みに上昇する」としていることに科学的根拠がないことを国も認めました。そのあげく、国は、「事業認定を含む行政処分が適法か否かの判断は処分がなされたときの存在していた事実等を基礎(?)とするとされている。事業認定についても、認定後に発生した事柄については事業認定の適法性についての判断に直接つながる者ではないと解されている。本事業についても、事業認定を行った当時の佐世保市の水需要予測を踏まえて認定がなされた。」という主旨の答弁は、訴訟を意識した「土地収用法違反ではない」答弁であり、は大きな乖離を認めたも同然です。水需要予測が実績と大きく乖離していることを否定しないのですから、事業続行は不合理であることを自ら認めたも同然です。「土地収用法違反ではない」という解釈を国がしようとも、現在において不要であることは国も言外に認めているのですから、佐世保市は石木ダム事業から撤退しなければなりません。

下流域1/100、上流域1/30としてあるのだから、1/100相当の洪水が発生しても途中で溢れて届かないのではないか、という質問に対しては、「裁判で係争中なのでここでは答えず、裁判の場で述べる」との逃げ。このような逃げが国会で許されるのでしょうか? それにしても、彼らにしてみれば手痛い質問なんですね。

「13世帯60人が奪われるものはいわゆる私有財産だけでなく、将来の人生すべてである。こうばるで培われた生活はこうばるにしかない。それも必要性のない事業で将来の人生すべてを奪うことは憲法で許されるのか。このような事業を中止できるのは大臣しかいない。政治家としての回答を求める」に対しては「認定庁が4つの事業認定要件を満たしているとしたもの。理解を得られるよう努める」という主旨の回答でした。この問題は、石木ダム事業に土地収用法を適用してこうばるから13世帯60人を追い出そうとすることが憲法違反であることを指摘し、政治家としての判断を迫ったスゴイ迫力でした。説得力に満ちた質問というか、真島議員の人としての訴えであったと思います。また、国交大臣が「理解を得ることは必要」を何度も繰り返していたことの意味を考えたいと思います。

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