水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 石木ダムの情報

ニュース

石木ダムの情報

石木ダム事業について長崎県公共事業評価監視委員会が現地調査(速報)

2015年8月10日
カテゴリー:
今日、長崎県公共事業評価監視委員会が石木ダム事業について現地調査を行いました。その速報をお送りします。
評価監視委員会が真っ当な審議を行って、石木ダムの事業継続にNo!を突き付けることを望むばかりです。

石木ダム 監視委が現地調査

(NHK2015年08月10日 19時31分)http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5033896421.html?t=1439212276065
(動画)
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムの建設予定地で、公共事業の妥当性を評価する県の委員会のメンバーが調査を行い、ダム建設に反対する地権者から話を聞きました。
長崎県では、実施が決まってから5年たっても着工されていない公共事業などについて、有識者などが妥当性を評価し事業を継続すべきかどうか知事に提言する「公共事業評価監視委員会」を設けています。
10日はこの委員会のメンバー5人が計画が難航している石木ダムの建設予定地、川棚町岩屋郷を訪れ、県の職員から説明を受けたあと計画に反対の地権者らから意見を聞きました。
この中で地権者側はダム建設の目的としている利水について、県などの水の需要予測は過大で洪水対策についてはダム建設よりもコストが安い方法をとるべきだとして、ダム建設中止と提言するよう求めました。
石木ダムは昭和50年に建設が決まりましたが、一部の地権者の反対で用地買収が難航しているため、県は強制的に土地を収用する手続きを進めています。
監視委員会の中村聖三委員長は、「現地を見られて良かった。引き続き慎重に審議をして結論を出したい」と話していました。
建設に反対する岩下和雄さんは、「人の家を強制収用してまで必要なダムなのか。お話ししたことをふまえて判断してもらいたい」と話していました。

石木ダムどうする?第三者委が現地視察
(NIB長崎国際テレビ 2015年8月10日)http://www.nib.jp/realtime/news/news_3017284.html

川棚町に計画されている石木ダム建設事業について再評価している第三者委員会が10日、現地調査を行った。
第三者委員会の現地調査は県が石木ダムの完成時期を2022年度に延長し、継続する方針案を諮問したことを受け、詳しく審議しようと行われた。
県の担当者の概要説明と同時に反対地権者の意見も聞いた。
13世帯の反対地権者の全ての土地、家屋について県は、明け渡しを求める「裁決」の「手続き」を開始している。
委員は「地権者の切実な思いが伝わってきた」と話していて、慎重な審議を行うとしている。

公共事業監視委 石木ダムを現地調査
(NBC長崎放送 2015年08月10日)http://www.nbc-nagasaki.co.jp//news/nbcnews.php#3

県が、川棚町に計画している石木ダム事業の必要性について再評価する委員会は10日、現地で事業に賛成・反対双方の立場から意見を聞きました。
今回の現地調査の中で、県側が川棚川の洪水を防ぐ目的で石木ダム事業を継続し2022年度までの完成を目指すと説明する一方、
反対する地権者らは「ダムを建設しなくても川棚川の改修工事を行えば下流域の洪水は防げると主張、石木ダムの必要性はない」と訴えました。
石木ダム事業の必要性については、これまで4度再評価する委員会が開かれていますが、現地調査が行われたのはこれが初めてです。
委員会では、賛成・反対双方の主張について審議を尽くし、事業の必要性について結論を出したいとしています。

石木ダム完成2022年度に 長崎県、時期延長の方針示す

2015年8月4日
カテゴリー:
8月3日に開かれた長崎県公共事業評価監視委員会で、県は石木ダム完成を2022年度に変更する方針を示しました。委員会冒頭で、「工期変更が議題であることは石木ダムありきである。今必要なことは石木ダムの必要性を原点に返って再評価することではないのか」と住民サイドからクレームがつき、委員長は、「これまでにどのような検証がされてきたのか原点に返って評価する」という趣旨の発言をしました。実際、委員長は長崎県の説明に対して、私たちが問題として上げている点も含めて、長崎県にとっては厳しい質問を呈していました。
当日の資料・記事、住民側が委員会委員に送付した意見書を掲載します。

◎長崎県配付資料

 第2回長崎県公共事業再評価監視委員会資料 平成27年8月 長崎県土木部河川課  pdf 9,374kb
委員名簿  pdf 53kb   中村委員長は前回の石木ダム事業再評価監視委員会の副委員長で、石木ダム事業に異論を唱えた方です。今回の委員会冒頭で、「ゼロからの再評価」と言明していました。

◎市民団体と弁護団連名で連絡先不明の岡委員以外の全委員にあらかじめ送付した、意見書

平成27年度第2回長崎県公共事業評価監視委員会開催に際しての私たちの意見  pdf 453kb

 

県は、建設反対派の阻止行動などを受けて工事が計画通り進まないことを変更の理由に挙げていますが、実際には抗議行動がさらに高まり、工事が立ち往生することになるでしょう。

なお、石木ダムの検証報告では付替え道路工事に2010年度に着手してから2016年度に完成する予定となっていましたから、着手後の工期そのものは1年延びただけです。
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/tisuinoarikata/dai22kai/dai22kai_siryou3-1_2.pdf の4-1ページを参照)

佐世保市水道の水需要が一層縮小していく状況において、この工期変更は石木ダムの不要性をさらに明確にするものになります。

https://suigenren.jp/wp-content/uploads/2015/07/c2c8980e9c3f3049edaeec22c447f483.pdf をご覧ください。
監視委員会の委員が真っ当な判断をすることを強く期待します。

 

(読売新聞長崎版 2015年08月04日)http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20150803-OYTNT50104.html
県は3日、県の事業内容をチェックする県公共事業評価監視委員会で、川棚町に計画している石木ダムの完成時期について、2016年度としていた当初計画を見直し、22年度に延長する方針を示した。評価監視委は今後、現地視察をした上で評価を行う方針。
県河川課によると、ダム建設に伴う付け替え道路の工事は10年度に着手したが、建設反対派の阻止行動などを受けて工事には入れず、今年度までずれ込んだ。さらに、本体工事では、昼夜2交代制で作業を行う予定にしていたが、「反対行動で夜間工事が安全に行えない恐れがある」として、昼間のみの工事に変更するという。このため、県では工期を延長することにしたという。
これに対し、評価監視委側からは「現地調査が必要」との意見が出て、10日に現地を視察することが決まった。中村聖三委員長は「委員会としては、ダム建設ありきで(審議を行うこと)はない」と前置きした上で、「(視察後)委員の意見を集約して中村知事に報告したい」と語った。
委員会を傍聴した反対地権者の岩下和雄さん(68)は「石木ダム建設が正当な事業かどうかを委員会が判断するということなので、地権者にも是非、聞き取りをしてほしい」と話した。

県は強硬姿勢をやめよ 石木ダム計画 長崎新聞社説

2015年7月11日
カテゴリー:

7月10日の長崎新聞の社説を掲載します。
石木ダム問題についてまさしく正論を述べた社説です。

地元新聞が長崎県に対して「強硬姿勢をやめよ」という見解を突き付けた意味はきわめて大きいと思います。

県は強硬姿勢をやめよ 石木ダム計画

長崎新聞社説 2015年7月10日

県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業で県は8日、反対地権者13世帯が現住する家屋などを含む土地(約12万平方㍍)の裁決申請などを実施。
これで未買収地すべてが強制収用に向けた手続きに入ったが、県はこの強硬姿勢をやめるべきだ。
1982年5月、県は土地収用法に基づく測量を計画地で実施したが、反対住民の抵抗に遭い、県警機動隊を出動させた。
現場では、道路に座り込んだ住民が実力で排除される事態に。以降、反対住民は態度を硬化させ、このダム計画が数十年も迷走する端緒となった。
県は、反対住民の理解を得ようと説得を続けたが、有効な対話は成り立たないまま、今日に至る。途中、公共事業削減の嵐が吹き、ダム不要論も台頭したが、この計画は生き残った。
今も公共事業に対する国民の視線は厳しい。
国民生活に資する基盤整備は今後も必要だが、無駄な出費は厳しくチェックされなけれぱならないし、過剰な環境破壊や政官業による不正が疑われる事業も当然許されない。
そのうえで、個々の必要性に対する国民の理解と支持がなければ、事業が持ちこたえることはできない。
事業主体は、慎重に丁寧に穏当に手順を進める必要がある。法に従って粛々と進めるだけでは不十分だ。
石木ダム計画は、その悪い見本のような経過をたどっている。
まして今後、強制収用という手法で、自分の家で生活を営んでいる住民たちを無理やり引きはがしてまで作業をするなど、現代の日本においてまともな光景ではない。
県は立ち止まってほしい。そして、出直してほしい。
佐世保市はどれぐらい水が足りていないのか、人口減少局面で水需要は将来どれぐらい増大するのか、本当に他の解決策はないのか、治水効果はどう発揮されるのか、反対住民と有効な対話ができないまま何十年も過ぎた責任はいずれにあるのかー。
40年の時間とコストをかけて完了しない公共事業が、それでも必要であることの説得力のある説明をし直したほうがいい。
「もう十分説明してきた」という答えが返ってくるのかもしれない。だが現実はどうか。

「石木ダムとは必要なのか」と疑問に思っている県民がいかに多いことか。県民にこれほど理解されない不幸な県事業をほかに知らない。
県は強硬手段をとる構えをやめるべきだ。手法の誤りは将来に禍根を残す。利害関係者との対話に失敗する代償の大きさは、国営諌早湾干拓事業を見れば分かる。
形は完成しても泥沼の裁判闘争が続き、対立がどこまでも終わらない悲劇の典型だ。
このダム計画でも、そうなることが分かっていて、手順だけを進めるのは合理的でない。(森永玲)

長崎)裁決申請、地権者反発 石木ダム用地巡り再び

2015年7月9日
カテゴリー:
長崎県が石木ダム予定地で4世帯の家屋を含む土地の強制収用を可能とする裁決申請をしました。その記事とニュースを掲載します。

反対地権者の家屋、土地を暴力的に奪おうとする長崎県の動きにストップをかけるため、世論を大いに盛り上げていかなければなりません。

石木ダム 本体工事で裁決申請
(NHK 2015年07月08日 23時49分) http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5033176691.html?t=1436383914459
石木ダム
川棚町に計画されている石木ダムについて長崎県は8日、ダム本体の工事に必要な3万平方メートルあまりの土地や家屋を強制的に取得するための「裁決申請」を行うとともに、ダムに水没する地域のおよそ9万平方メートルについても「裁決申請」に向けた手続きを始めました。
県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダムは建設に反対する一部の地権者との用地交渉が難航していて、県は土地収用法に基づいて強制的に土地を取得するための手続きを進めています。
先月には収用委員会が道路用地としておよそ5500平方メートルの田んぼや畑を10月30日までに明け渡すよう地権者に求める裁決をしたのに続き、長崎県は8日、ダムの本体工事に必要な3万平方メートルあまりの土地や家屋についても、強制的に取得するため収用委員会に「裁決申請」を行いました。
県は裁決の日から180日以内に土地や家屋を明け渡すよう求めていて、応じない場合には「行政代執行を行うことも選択肢としてある」としています。
またこれとは別にダムに水没するおよそ9万平方メートルの土地や家屋、公民館などについても裁決申請のための手続きを始めました。
石木ダムは、建設計画からおよそ40年が過ぎ、これまで買収した土地は81.1%にとどまっていましたが、これですべての土地を取得するための手続きが始まったことになります。
石木ダムの本体工事に向けても「裁決申請」に踏み切ったことについて、長崎県の中村知事は「全ての地権者の理解を得ることが出来ず残念だが、ダムは川棚町の治水対策や佐世保市の慢性的な水不足を解消するためには必要不可欠な事業だと考えている。完成に向けてしっかり取り組んでいかなければいけない」と述べました。
また石木ダムの完成予定が計画上、来年度に迫っていることについて、「現実的に時間が足りない状況になっている。ダム建設で水没する現在の道路に代わる道路用地への裁決が先月出たこともあり、建設計画の見直しに着手しなければいけない」と述べ、今年度中に建設計画を見直す考えを示しました。
裁決申請の対象となった家屋に住む地権者、川原房枝さん(74)は、「もっと地権者に『どうして反対なのか』と聞いて進めるべき話です。家を取り上げるつもりならそれでも結構ですが、私たちは計画が白紙撤回になるまで闘います。みんなが住んでいるところを取り上げてまでダムを造る時代ではない。県外の皆さんにも私たちの気持ちをわかってほしい」と話していました。

「なぜ議論拒むのか」 石木ダム、地権者ら怒り [長崎県]

(西日本新聞 2015年07月09日 00時11分)http://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/180803

(写真)裁決申請について説明し工事現場に入ろうとする県職員に背を向け、抗議を続ける地権者や支援者たち

裁決申請について説明し工事現場に入ろうとする県職員に背を向け、抗議を続ける地権者や支援者たち
「議論を拒んで強行するのか」「本当に必要なら何度でも説明するべきではないか」-。県と佐世保市が計画する石木ダム事業をめぐり、県が4世帯の家屋を含む土地の強制収用を可能とする裁決申請をした8日、ダム予定地の付け替え道路工事現場で抗議活動をしている地権者や支援者の間には怒りが渦巻いた。
県が付け替え道路工事に着手した現場入り口には同日午前11時すぎ、県職員ら約10人が姿を見せ、今回の裁決申請について説明し、工事への協力を要請。
「この場所は法的に妨害が禁止されている」「こんなふうにしていてもお互いにいいことはない」などと理解を求めたが、住民や支援者たちは「工事強行より話し合いを」などと書いた横断幕を掲げ背を向け、無言で抗議を続けた。
道路工事の膠着(こうちゃく)状態が続くなかでの新たな裁決申請について、県石木ダム建設事務所の古川章所長は「ダムの必要性については(国の)判断が出ている。話し合いは平行線で溝を埋めるに至っていないが、総合的に判断して手続きを進めている」とした。
中村法道知事は同日の会見で、家屋の収用(行政代執行)に関し「そういった手法を排除するわけにはいかない」と強制的な手段も辞さない構えを見せた。
地権者の一人は「県がダムの必要性の議論をしないのは、私たちを納得させられる根拠がなくなっていることの表れだ」と反発。
今回の裁決申請の対象となった家屋に住む男性は「この地の自然を子どもたちに残すのか、無駄なダムと財政負担を残すのか。もう一度、市民も町民も一緒になって議論するべきではないか」と話した。
石木ダム:家屋も強制収用へ 県、3ヘクタールを裁決申請 /長崎
(毎日新聞長崎版 2015年07月09日)http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20150709ddlk42010308000c.html県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設で、県は8日、反対地権者4世帯の住宅を含む約3ヘクタールの強制収用に向け、県収用委員会に裁決申請したと発表した。石木ダム事業で家屋が裁決申請の対象になるのは初めてで、住民は反発を強めている。
県河川課によると、対象はダム本体の建設予定地で、現在は住宅地や農地として利用されている。県収用委は、審理で県や地権者らの意見を聞いた上で、土地の補償額や明け渡しの期日などを決める。県は同日、9世帯の住宅を含む約9ヘクタールについても、裁決申請に向けた手続きを開始した。
中村法道知事は8日の定例記者会見で、石木ダムの必要性を改めて強調し「地権者の理解を得て土地を譲ってもらうのが理想だが、現実にはなかなか難しい状況だ」と申請の理由を説明した。
朝長則男市長は「これまで約40年間の経緯、現在の地元の状況、工事工程など事業を取り巻くさまざまな状況を総合的に判断されたものと思う」とのコメントを発表した。
一方、対象用地の家屋で暮らす岩下秀男さん(67)は「必要のないダムのためにどうして家を強奪されなければならないのか。我々は自然豊かな古里で暮らしたいだけ。反対活動を継続し、この土地からてこでも動かない」と語気を強めた。
石木ダム事業は1975年に事業採択されたが、反対派住民と行政の対立で本体着工のめどが立たない状況が続いてきた。県収用委は先月、県の申請を受け、予定地内の農地約5500平方メートルについて10月末(一部を除く)までの明け渡しを求める裁決を出している。【小畑英介、梅田啓祐】
石木ダム 県が土地収用裁決申請
(読売新聞長崎版 2015年07月09日)http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20150708-OYTNT50133.html県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業は、県が8日、反対地権者4世帯の家屋4棟を含む土地約3万平方メートルの収用に向けた裁決申請をしたことで、新たな局面に入った。県収用委員会による裁決後、地権者が明け渡しに応じなければ、家屋や土地の強制収用が可能になるが、地権者側は一歩も引かない構えを貫いている。
県河川課によると、申請内容は〈1〉土地所有権の移転は裁決から60日後〈2〉明け渡し期限は、家屋が同180日後、家屋以外は同60日後――など。補償額は約2億7000万円とした。
中村知事は記者会見で「地権者の理解を得て、円満な形で進めるのが理想」とする一方、ダム建設の必要性を強調し、「今後もしっかりと取り組んでいかなければならない」と述べた。行政代執行による強制収用の可能性については「現段階でその手法を排除するわけにはいかない」と含みを持たせた。
同市の朝長則男市長は裁決申請を受け、「事業の着実な進展につながると受け止めており、今後の状況を見守りながら、市の責務を果たしていく」とのコメントを発表した。
一方、反対地権者の1人で、今回の裁決申請の対象となった家屋で暮らす岩下秀男さん(67)は「ダムは利水、治水の両面で必要ない。反対運動を続け、何があろうとここに住み続ける。私だけでなく、地権者はみんな同じ気持ちだと思う」と語気を強めた。
地権者のリーダー格の岩下和雄さん(68)も「強制収用は許されず、内容を伴わないダム計画に反対していくことに変わりはない。ダムの必要性がなくなっていることは明白で、県はきちんと納得いく説明をするべきだ」と憤りをあらわにした。

「失うものは美しいもの」~パタゴニア辻井支社長が石木ダム反対訴え

2015年7月6日
カテゴリー:
7月4日、長崎県佐世保市で開かれたシンポジウム「石木ダムの真実」についてNet IB Newsの記事を掲載します。
「失うものは美しいもの」~パタゴニア辻井支社長が石木ダム反対訴え
(Net IB News 2015年07月06日 15:28)http://www.data-max.co.jp/270706_ymh_2/
長崎県と佐世保市が同県川棚町に計画している石木ダム建設を考えるシンポジウムが7月4日、同市のアルカスSASEBOで開かれ、アウトドア衣料メーカーのパタゴニア日本支社長の辻井隆行氏が特別講演した。
辻井氏は、ダム建設計画地の川原(こうばる)地区など現地に月1回以上足を運んで、地元住民と意見交換するなど、ダム反対を支援してきた。
パタゴニア日本支社は同ダム反対運動の全面支援を決定し、5月から佐世保市内で「ダムはほんとうに必要か皆で考えましょう」というラッピング広告したバスの運行を開始。同支社初の新聞全面広告「失うものは美しいもの」を出して、ダムが不要だと問いかけた。
講演する辻井隆行・パタゴニア日本支社長
(写真)講演する辻井隆行・パタゴニア日本支社長
7月4日、長崎県佐世保市で開かれたシンポジウム「石木ダムの真実」
(写真)7月4日、長崎県佐世保市で開かれたシンポジウム「石木ダムの真実」
辻井氏は、パタゴニアが長くビジネスをするうえで大切な仕組みとして、「環境に負荷の小さい素材」「人権に配慮した生産」にこだわっていると紹介。
こだわりのある製品をつくって販売する先のミッション(使命)として、「ビジネスを使って、環境問題そのものを解決したいと思っている」「それが石木ダムに関わらせていただいている根底にある思いです」と語った。
東京生まれ東京育ちの辻井氏は、ダム建設計画地の川原地区を訪れ、春の小川のような自然、日本のふるさとのような場所に接し、「これが日本の自然なんだ」と思ったという。
「何かに反対することは、何かに賛成すること」という米国の環境活動家の言葉を引用して、石木ダムに反対することは、石木川の本来の姿に賛成している、生息している138種のレッドデータブックに載っている生き物に賛成している、ここに暮らす素晴らしい方々の暮らしに賛成している、「市民による民主主義」に賛成している、と述べた。
最後に、「失うものは美しい」に込めた気持ちを、「何を失うのか、何を守ろうとしているのか。多くの人が参加でき話し合いができる場をつくって、全員にとって納得できるお金の使い方を市民が決める世論をこれから醸成していきたい」と結んだ。
合唱する川原地区の住民たち=7月4日、長崎県佐世保市
(写真)合唱する川原地区の住民たち=7月4日、長崎県佐世保市
川原地区には、13世帯約60人が住む。1971年に県が川棚町に予備調査を依頼して以来住民らは約40年間、ダム反対の看板を立て、監視塔や団結小屋を設置し、1982年の強制測量反対などダム反対の運動を続け、強制測量反対当時の小学生が結婚し親の世代になった。
ダム建設計画地に住む岩下すみ子さんが「美しい山、村を破壊する必要があるのか」と問いかけ、住民約20人が「川原のうた」を合唱し、「ただ生まれ育ったこの土地に住み続けたいだけなのです。ダムの中止が決まったら、看板を撤去してそこに花を植えたい」と訴えた。
シンポジウムは、ダム計画地の住民や市民団体「石木川まもり隊」らでつくる「石木ダムの真実を考える集会実行委員会」主催。
ブックレット『石木ダムの真実 ホタルの里を押し潰すダムは要らない!』出版を記念して、同ダムの公共性について、行政を交えた討論を呼びかけるために開いた。約350人が参加した。
同ブックレット執筆者の1人で、石木ダム対策弁護団の板井優弁護士が、同ダムの問題点と公共事業のあり方を講演した。
長崎県は、中村法道知事が話し合いに1回応じたものの、ダム水没予定地の道路に代わる付け替え道路工事の強行や本体工事に必要な用地の強制収用の準備を進めている。
【山本 弘之】

↑ このページの先頭へ戻る