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石木ダムの情報

長崎県、付け替え用道路工事着工中断,司法の判断を待つ!??

2014年8月11日
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2014年7月30日から8月7日、付け替え用道路工事着工反対意思表示行動を貫く!

長崎県は付け替え用道路工事着工を毎日、午前と午後、計二回ずつ試みに来ました。
その都度、事前に多くの人が工事現場入り口に結集し、時には長崎県職員に背を向けて歌を唄いとおし、着工反対の意思表示を貫きました。
石木ダムの必要性についての公開質問状への回答・説明がやっと始りました。
石木ダムを前提とした付け替え道路工事は、石木ダムの必要性が合意に達してから着手しないと、既成事実が先行し、これからの公開質問状への回答・説明は無意味になってしまいます。着工の前に「公開質問状への回答・説明を求める」という意思表示です。
県職員はあたかも「この工事が石木ダム事業とは別」というような言い訳をして10~30分程度説得を試みましたが、通じないと見るや引き返すことを繰り返しました。
7日午後には、工事現場入り口に結集して背を向けていた人々に「石木ダム建設事業の付替県道工事に対する通行妨害禁止の仮処分命令申立を裁判所に提出したので、裁判所の判断が示されるまで着工は中止する」と伝えました。

何と姑息な長崎県なのでしょうか。
「通行妨害禁止」の仮処分申請、確かにSLAPP訴訟(strategic lawsuit against public participation、威圧訴訟、恫喝訴訟)ですが、もっとあくどいものがあります。
長崎県は「収用裁決申請提出書類の一部である測量図作成のための測量と、付け替え道路着工は強行しない=警察を使わない」としていました。
測量はできなくてもそれに代わった図面を提出することでOKとなることもあり、住民から連日抗議にあったため、警察を使うまでもなく測量をあきらめました。
長崎県は「付け替え道路着工は未だあきらめることはできない」と考えているのか、県みずからが警察を使うこと無しに「妨害」を排除する方法を考えた訳です。それが司法判断と裁判所の責任で行う23人の排除です。
排除といっても、いわゆる機動隊による排除ではないでしょう。
長崎県が自らの手を汚すことなく、司法権力の手で排除する、という極めて姑息なやり方です。
石木ダム建設絶対反対同盟の皆さんと支援者の皆さんの固い団結が長崎県をして付け替え道路自力着工をあきらめさせました。
「長崎県は目に見える無茶はできない」という立ち位置にいることは確かです。長崎県は石木ダム建設事業をみずからの責任範囲では遂行することができ無くなっていることを自覚しているのでしょう。

この仮処分申立てに対しては石木ダム対策弁護団が対応することになります。妨害の事実はないこと、石木ダム事業が中止になれば付け替え道路は不要であることなど、仮処分申請の却下を勝ち取るべく闘いです。
私たちとしては、長崎県に対して 「石木ダム建設事業の付替県道工事に対する通行妨害禁止の仮処分命令申立」取下げを強く要求していきましょう。

資料

20140807通行妨害禁止仮処分申請マスコミ配布文 pdf 600kb

実況ビデオ

石木ダム問題 付け替え用道路工事を阻止 2014730
  http://youtu.be/3rTjX0M-czY
石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動2日目
  http://youtu.be/4rP5CQ1M0Kc
「石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動3日目」
http://youtu.be/-uoT_0JxACs
「石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動5日目」
http://youtu.be/Uuoxg7tvYWU
「石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動5日目
http://youtu.be/IYRWbo1vbwY
「石木ダム問題 付け替え用道路阻止行動
5日目
http://youtu.be/vidTMSgXrw4
「石木ダム問題 付け替え用道路阻止行動
6日目」
http://youtu.be/5hiTlW0KcmQ
「石木ダム問題 付け替え用道路阻止行動
6日目
http://youtu.be/YAk6EsRLeZ4
「ある地権者宅から 付け替え用道路工事ゲート前までの道のり」
http://youtu.be/YAk6EsRLeZ4
「石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動7日目」
http://youtu.be/5rnhx70dgfY
「石木ダム問題 付け替え用道路阻止行動
7日目
http://youtu.be/YTI0dPYi7LM
7日目(8月7日)の午後、「石木ダム建設事業の付替県道工事に対する通行妨害禁止の仮処分命令申立を裁判所に提出したので、裁判所の判断が示されるまで着工は中止する」と伝えました。裁判所の判断が下りるまで着工中止ということで、8月8日からは長崎県は工事着工の試みを止めています。

マスコミ報道

下の各図をクリックすると、それぞれの記事を見ることができます。

 

 

 

長崎県、説明できず土地測量断念 石木ダム関係

2014年8月10日
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2014年7月25日、7月28日  土地測量反対意思表示行動で長崎県は測量断念

事業認定処分未留保分の権利についての収用裁決申請期限はこの9月8日になっています。
長崎県収用委員会へ収用裁決申請を行う際に提出必要な書類の一部に土地測量図があります。長崎県はこの図面作成のために7月25日9時から現地に測量に入ることを予告していました。
この予告に対して石木ダム建設絶対反対同盟の皆さんと支援者・石木ダム対策弁護団の皆さんが7月17日に「石木ダムの必要性についての公開質問状への回答・説明が始まった矢先に、『先ずダムありき』の行動は行わないでほしい」と長崎県に要請していましたが、長崎県は聞き入れることなく7月25日午前9時に現地へ測量に来ました。
現地には長崎県の石木ダム建設を前提とした動きに抗議する人が大勢集まり、「現地測量の前に石木ダムの必要性について答えて欲しい」と県職員に要請しました。長崎県職員は説明することができず、20分程度で引き返しました。
 週明けの7月28日にも長崎県職員は土地測量を試みましたが、やはり説明することができず、測量を断念しました。
何故、長崎県は土地測量を断念したのか?
それは強行すること=警察を同行すること で混乱状態が生じると、世論が長崎県にとって厳しくなると判断したことが第一,第二は土地収用法37条の2に「土地測量ができない場合はそれに代わる図面で可」とされているからです。

石木ダムの必要性について真摯な話合いを拒否し続けて来た長崎県は、収用裁決申請期限間際になって、説明の場に着くことを選択したばかりです。その一方で、長崎県は収用裁決申請手続を進めるという、矛盾した挙動を摂っています。「誰の目にも分かる手荒なことはできない」、それだけは分かってきたようです。

参考:土地収用法第37条の2

(測量等が著しく困難な場合の土地調書及び物件調書の作成)

第37条の2 起業者は、土地所有者、関係人その他の者が正当な理由がないのに第36条第1項の土地調書又は物件調書の作成のための第35条第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げたため、同項の規定により測量又は調査をすることが著しく困難であるときは、他の方法により知ることができる程度でこれらの調書を作成すれば足りるものとする。この場合においては、これらの調書にその旨を付記しなければならない。

資料

実況中継

 新聞報道

各記事をクリックしてください。

7月17日の長崎県抗議行動 (石木ダム関係)

2014年7月18日
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「強制立入りはしない」「現地に行くかどうかはあらためて検討」の約束を得ました。

2014年7月17日16時から、石木ダム建設絶対反対同盟の皆さんと支援団体・石木ダム対策弁護団が知事宛の抗議文を持って、長崎県庁第2別館2階ABC会議室で抗議活動を持ちました。

以下は、いしまるほずみさん撮影のビデオ(下にリンクを張ってあります)に基づいての報告です。

長崎県からの対応者は河川課長・野口浩でした。

「知事が出席しての初めての説明会が7月11日に開催された。ダムの必要性について今後も話合いを継続する約束したにもかかわらず、収用裁決申請の手続進行の一つである測量のための立入り通告を送りつけて来るとは何事だ。立入りは拒否する。」「ダムの必要性への疑問は益々確信を強めている。収用裁決申請の手続進行などとんでもない」と立入り調査拒否を強く主張しました。

その結果、野口課長は「強制立入りはしない。現地に行く=立入り調査を試みる かどうかはあらためて検討して回答する」と約束しました。

付け替え道路着工予告に関しては「ダムの必要性に納得がいく説明がされない限り、いかなる工事にも反対する。もし工事に入るのであれば以前から知事が約束しているように工事に入る一週間前に当方に知らせること」と要請しました。野口課長は「知事に伝える」としました。

この日、15時半頃から長崎県庁前で抗議集会を、長崎県庁から第2別館にかけてはパレードを行いました。とのかく「先ずは石木ダムありき」の長崎県の姿勢にたいする怒りが結集した一日でした。

関連資料

抗議文(H26.7.17)  pdf 148kb
知事定例会見 付け替え道路着手 700kb

 

当日の収録ビデオ いしまるほずみさん収録

石木ダム問題 長崎県庁へ抗議(2014年7月17日) 県庁前抗議集会
http://youtu.be/K9curY38QaE

 石木ダム問題 長崎県庁へ抗議2(2014年7月17日) パレード(県庁前から第2別館まで)
http://youtu.be/Itllke7JQtw 

 石木ダム問題 長崎県庁へ抗議3(2014年7月17日) 長崎県庁第2別館における抗議活動
http://youtu.be/gvRw_WAn6GY 

マスコミ報道  間隔が空いています。合計4紙です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長崎県知事・佐世保市長・川棚町長 合同説明会 (石木ダム事業)

2014年7月15日
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2014年7月11日 こうばる公民館における説明会の報告

 2014年7月11日夕方7時から、石木ダム予定地内で居住されている13世帯の皆さんがいつも活用されている「こうばる公民館」で、長崎県知事(中村法道氏)・佐世保市長(朝長則夫氏)・川棚町長(山口文夫氏)を招いての「石木ダムの必要性に関する公開質問状への回答説明会」が開催されました。
行政側は、事業認定非保留地の収用裁決申請期限を9月8日に控えていることから、収用対象としている13世帯に「自主交渉で協力を取り付けたい」として面会願いを提出していた経緯があり、この説明会を13世帯への「協力お願いの場」という位置づけがありました。

当方側は石木ダム建設絶対同盟の皆さん・支援4団体・石木ダム対策弁護団が出席しました。
行政側は、各首長をはじめとし、説明役として長崎県からは浅野河川部長・野口河川課長・浦瀬企画監・古川石木ダム事務所長ほか、佐世保市からは谷本水道局長・河野計画室長ほかが出席しました。

弁護団事務局長の平山弁護士が進行役を務めました。
最初は長崎県と佐世保市からの出席者に自己紹介をお願いしました。

知事は「ダム事業への理解をお願いする」という主旨の話しに入ったので、参加者たちから「ダムありきの話しはナシにして欲しい」「話しが長くなるから短く」との声が上がり、持ち時間2分と言うことになり、「裁決申請までわずかしかない、話合いで解決していきたい。」等と述べました。


知事の発言に一言も漏らすまいと集中する皆さん

佐世保市長は「佐世保市はほんとうに水に困っている。ダムが必要」と発言。「今は水に困っていない」と会場から多くの声が上がりました。

次いで、実質的な質疑に入りました。
3自治体からの全出席者の自己紹介を終えてから、岩下氏が挨拶をかねて、この日の説明会の意義を話しました。
これまでにダムの必要性についての話合いを知事たちは拒否してきたこと、石木ダムがほんとうに必要であるかについて住民と一緒に検証することが不可欠であると述べ、今日をきっかけに検証作業を続けていくことを強く要請しました。

最初は利水に関した質問です。

質問:佐世保市は今現在、困っているのか?
平成19年度から現時点まで一日平均給水量も一日最大給水量も1万㎥/日も下がっているではないか。
今は困っているんですか?
答え(水道局長):水道法に基づく常時必要とする水源(佐世保市が言う安定水源)が足りない。
リスク管理上水源が不足している。
蛇口をひねれば水が出ているから今日は足りている。
法律論的には原水は不足している。
いかなる時でもユーザーが必要とする豊富な水量を供給するのが水道事業者の責務である。
解説(遠藤):「法律論的には原水は不足している」とは、「佐世保市の言う安定水利権では不足」という意味で実際には「慣行水利権は水道水源として認めない」などという法律はありません。
豊富という言葉は、水道法第1条の「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り」の「豊富」を意味しているようです。しかしこの「豊富」には10年に一度の渇水に対応できる水量であることが水道法5条の解釈とされ、渇水時には適用しないことが水道法15条にもられています。

質問:ダム計画が出された昭和50年に佐世保市は「昭和60年に水需要は16万㎥/日になる。
保有水源は10.5万㎥/日なので6万㎥/日不足する。よって石木ダムが必要」としていた。
現在の一日最大給水量は8万㎥/日たらず。昭和50年予測から見ても不足予定水量6万㎥/日より2万㎥/日も給水量が減少しているのであるから、ダムはいらないことになるではないか。
答え(知事):不安定水源を活用していたから給水できている。不安定分を安定化させるには四万㎥/日不足している。
解説(遠藤):慣行水利権分をゼロとみなすのは法的にも実態としても全くの誤り。慣行水利権の能力について疑義がある場合は、科学的検証が必要。

質問:2013年度予測では2014年度から急激に使用量が上がるとしている。その結果として2007年度予測と同じ水量になっている。数字あわせではないか?
実際は不足はないのではないか?
H11,H13年度は一日最大給水量が10万㎥/日を超えていた。それをまかなうの原水があったのに、今は原水が足りないという。どこへ行ってしまったのか?
水需要が増えると言っていたのに実際は減少している。
この二つについて説明されたい。
答え(水道局長):2013年度予測は「同規模の他都市と比べて水の使い方が少ない。
渇水による節水で我慢している状況にある。この我慢状況がなくなれば水使用量が増える」、と考えた。
質問:今は足りているんですね。
生活の質を落とすほど我慢をしているんですか?そうではないでしょ。
一人あたりの水使用量が少ないというのは誇るべきことではないのか?
豊富な水を供給してもっと水を使いましょうよ、というのは本末転倒ではないのか。
答え(水道局長):いつ何時でも水を供給する義務がある。渇水時には不足する。
解説(遠藤):水道供給義務として平常時は不足を来さないことが水道法5条と15条で求められています。水源については10年に一度の渇水に対応できる水量であることが水道法5条の解釈とされ、渇水時には適用しないことが水道法15条にもられています。

質問:H19年渇水以降は貯水池の貯水率は93%以上を維持している。水は足りている証拠ではないのか。
不安定水源・安定水源という言葉は水道法にはない。
10.5万㎥/日を7.7万㎥/日にしなければならない法的根拠はない。
これを戻せばすむ話しでないか。
質問:「現状は足りているが、10年後に不足する可能性がある」というのではないのか。
答え(水道局長):私はそれを答える立場にない。
答え(市長):平成6年の渇水が原点。危機管理として是非ともお願いしたい。
質問:それは現在は水が足りていることを言っている。
H6渇水が再来したらどうなるのか、しっかりと検証しよう。
市長はH6渇水が今再来したときどうなると考えているのか?
答え(市長):状況が違うから簡単には言えない。しっかりしなければならない。

質問:H6渇水時より現在は水の使用量が大幅に減少している。殆ど問題にならないのではないか。
シミュレーションを行ってその結果を知らせて欲しい。
答え(計画室長):シミュレーションに取りかかったが、きちんとシミュレーションに足りるデータが欠落しているので、シミュレーションはできない。

質問;それでは「H6年渇水再来対応としての石木ダム」は根拠がないことになる。
答え(市長):H6渇水時で陥ったようなことはなくしたい、それは市長としての責任。
答え(水道局長):事業認定申請書に書いたのは渇水の例示としてあげた。
安定水源だけでは現在も不足し、将来は不足する。

質問・意見に耳を傾ける首長たち。痛いことを言われているのでどうしても顔がこわばる。 佐世保市水道局長  佐世保市長朝長氏  長崎県知事中村氏  川棚町長山口氏

質問:安定水源の法的根拠は? 何十年に一度の渇水時にも豊富な水の供給が義務付けられているとする法的根拠も示されたい。
答え(水道局長):供給義務は水道技術指針。
解説(遠藤):異常渇水による給水停止は水道法第15条で認められています。
添付の水道法逐条解説15条第2項中の但し書き(216ページ)を参照ください。
同書220ページには、“常時給水の義務を解除する「正当な理由」とは、給水の停止が異常渇水によるもののほか・・・・”と記されています。
水道施設として備える条件は水道法5条に記されています。逐条解説には「1/10渇水対応」と記されています。 

質問:慣行水利権は安定水利権ではないのか?
答え(計画室長):慣行水利権にも安定と不安定があるのでは。佐世保市は不安定水利権としている。

当方:そんな解釈はあり得ない。著しく反している。許可水利権も届出水利権(慣行水利権)も効力は同じ。

以上が利水に関する質疑応答でした。

利水質疑 筆者のまとめ

①     2007年度以降、水使用量は減少が続き2013年度には1万㎥/日も少なくなっている。
②     2008年度以降、貯水池の貯水率は93%を割ったことがない。
③     以上から、2008年度以降は水不足で困っていることはない。
④     佐世保市の言い分:法的には(=安定水源だけでは)、水源が不足状態にある。
⑤     当方:不安定水源・安定水源の区分には法的根拠はない。あるというのであれば、その根拠を示すこと。
⑥     佐世保市の言い分:何十年に一度という渇水時にも豊富な水を供給する義務が水道事業体に課せられている。
⑦     当方:そのようなことがあるならば、法的根拠を示すこと。(異常渇水による給水停止は水道法第15条で認められています。)
⑧     佐世保市:H6年渇水を現在に置き換えるシミュレーションは当時のデータ不足で不可能。
⑨     当方:それであるならば「H6年渇水再来対応のため」に科学的根拠ナシ。石木ダムの必要性としてH6渇水は口実にできないではないか。
H6渇水が再来しても水使用量が大幅に減少しているので、殆ど影響はないと考えるが、リスク対策として、きちんと検証することが不可欠。

  治水に関する質疑

:現在の川棚川は過去の洪水に対応できるか?知事の認識は?
答え(知事):下流部で一部の河道整備が遅れているが、それが完成すれば1130㎥/秒の流下能力があるので、過去の洪水は石木ダムナシで流すことができる。狭窄部である城山地点の河道整備を早期に行いたい。

:100年に1回の降雨量を400mm/24hrとしたときの流量を1400㎥/秒としているが。
答え(知事):雨の降り方によって流量は変わる。

:雨量400mm/24hrを9パターンの洪水に当てはめ、その最大値を取って1,400㎥/秒としている。他の8パターンは1400㎥/秒より小さい。そうであれば100年に1回の洪水が1,400㎥/秒になる確率は更に低いのではないか?
答え(土木部長):400mm/24hrは100年に1回。降雨パターンに確率はない。だから1,400㎥/秒は100年に1回。

それはおかしいと反論続出。
400mm/24hr降ったときに必ず1400㎥/秒になるというのではなく、最大で1400㎥/秒になるのであるから、100年に1回と言い切ることはできない。「1400㎥/秒は確固とした値ではなく架空の値でないか」の指摘有り。

解説(遠藤):雨が降る量と雨の降り方が各々独立していれば、両方の確率を掛け合わせた値がある降雨量である振り方が重なる確率になる。今の場合、降雨量が400mm/24hrになる確率は1/100,採用した降雨パターンは9ケース。その中の最大値一つだけが1400㎥/秒となっている。よって、1400㎥/秒になる確率は1/100ではなく、1/100×1/9=1/900になるのではないか?という議論。
統計学で降雨パターンの分布の独立性が認められているならば1400㎥/秒の確率は1/900となるが、そうでないと1/900とは断言できない。
いずれにせよ、1/100よりは遙かに小さい確率であることは確か。

:過去100年に戦後最大とされている大きな洪水はあったのか?
答え(河川課長):実績として残されているのは川棚町史しかない。そこで一番大きな洪水は昭和23年洪水。

:過去100年程度までに大きな洪水があったかを調べるのがよい。流域の人に聞けば分かるでしょ。 過去100年程度で最大の洪水は昭和23年洪水であった、ということになるのではないか?
川棚町長、河道改修が終われば過去の洪水は石木ダムがなくてもすべて流せる、という説明は県から受けていますか?認識は?
答え(川棚町長):そのように説明を受け、理解している。

:残りの改修工事を早期に完了させるということでこの場は一致した。ところで何時になるのか?
答え(河川課長):城山地点の関係者と調整を進めたい。

以上で治水の質疑応答終了

治水質疑 筆者のまとめ

①     下流域現在の流下能力は1,000㎥/秒。
②     計画高水流量1,130㎥/秒流下に向けた河道改修を早期に完了させる。
③     河道改修が完了すれば、戦後洪水は石木ダムがなくても安全に流下できる。
④     100年に1回の洪水流量1,400㎥/秒は、100年に1回の計画降雨量400mm/24hrと202mm/3hrを9つの降雨パターンに当てはめた時に算出された最大値。
100年に1回の計画降雨量400mm/24hrと202mm/3hrが降ったとき、降り方による違いがあるので流量も変化する。
⑤     過去100年程度の期間の洪水調査をしよう。おそらく昭和23年洪水が過去100年程度の最大洪水であろう。  

参加者からの意見

13世帯の一員:針尾工業団地計画中止に伴い、工業用水計画6万㎥/日が削除された。その後人口減少で2万㎥/日差し引いた。このあたりの説明が不足している。
石木ダムサイトの地質調査:透水性が高い、湧水がある、採石場のダイナマイト使用によるヒビ割れ等で安全性に問題ある。
多目的ダムとすることで災害を引き起こす恐れ。洪水によっては多目的ダムが洪水被害を拡大する。
これまで石木ダム反対を言い続けてきた。いじめられ苦しめられ続けてきた。権力と金の力で平和で安住の地がめちゃくちゃに破壊された。
事業認定されても話合いが進むことにはならない。裁決申請は片手に強制収用、片手に交渉の姿勢でしかない。
どうしても必要であるならば、石切場採石跡地の活用があるではないか。
住民を追い出し、不幸のどん底に陥れるのは違法とは言えないとしても人のやることではない。

13世帯の一員:夢の紹介  

平山弁護士 :全体のまとめ

  1. 今回初めて知事・市長・町長の参加を得られた。 
  2. 担当者でなければ答えられない質問、首長でなければ答えられない質問があることが分かった。
  3. これからは長崎県・佐世保市一緒の説明会とし、これに知事・市長・町長に参加願う、ということで約束されたい。 

知事

毎回出るとなると説明会を開く日程が入らなくなる可能性がある。必要に応じて土木課長に伝えて欲しい。石木ダムを判断するのは私と認識している。その都度、よく聞いて出席を判断する。

 終了は21時30分でした。

実況ビデオ
撮影 いしまるほずみさん

 2014年7月11日知事面会
http://youtu.be/7vHcEJL4cms

2014年7月11日知事面会つづき
 http://youtu.be/IvyApLZEztQ

参考資料

マスコミ報道

長崎新聞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2014年6月21日 長崎県説明会報告 (石木ダム関係)

2014年6月22日
カテゴリー:

こうばる公民館で知事に代り土木部が説明

昨日6月21日15時から、石木ダムによって生活地の明渡しを求められている石木ダム建設絶対反対同盟13世帯の皆さんの居住地にある「こうばる公民館」で、長崎県を招いての説明会が開催されました。

5団体と弁護団はこの説明会に知事の出席を求めていましたが、知事は欠席でした。

長崎県からの出席は、浅野河川部長・野口河川課長・浦瀬企画監・古川石木ダム事務所長ほか2名でした。長崎県が用意していた説明用資料を配付、長崎県出席者の自己紹介を経て、説明会を開始しました。。

説明会は弁護団の平山弁護士による司会で進行しました。

先ずは知事欠席の理由について質しました。
「今日の説明は治水という専門分野になるので、河川部が説明する」という回答でした。
当方は、「今日の説明会は知事が会いたいと言っているからその場を設定した。知事の欠席は理屈に合わない。住民がどのような疑問を持っているのか、意見を持っているのか知事自身が聞く必要がある。知事にいつ会えるのか、予備折衝を提起する。1週間以内に予備折衝についての回答を求める」としました。

質疑応答は、実績洪水の評価(現時点の河道状況で防ぐことができるか)、基本高水流量14,000㎥/秒は過大ではないのか、川棚川下流域の水害は外水氾濫ではなく内水氾濫によるものではないか、ダムを中止した場合に59億円かかるとしている根拠 などについて交わされました。

緒方弁護士が担当した実績洪水の評価では、質疑応答を通して

  1. 現在の河道整備状況:H2洪水以降、流下能力が上がっている。
  2. 流下能力1,000㎥/秒 (H18年測定。計画高水流量1,130㎥/秒)
    計画高水流量1,130㎥/秒は概成されているが、狭窄部(江川橋付近)の流下能力は1,000㎥/秒
  3. H2年の洪水流量は830~840㎥/秒であった。今ならばあふれることはない。
  4. 戦後最大はS23年洪水は1,000~1,100㎥/秒であった。
  5. 過去の洪水すべて、計画高水流量1,130㎥/秒対応の河道整備が完成すれば、あふれることはない。石木ダムなしでも過去の洪水被害は防ぐことができる。
  6. 計画高水流量1,130㎥/秒対応の河道整備を速やかに進める
  7. 長崎県は以上を川棚町に説明する。

を確認しました。

田籠弁護士は設定された治水目標について質問しました。
ダム等がない場合を想定した100年に1回の洪水流量1,400㎥/秒を野の川ダムと石木ダムで1,130㎥/秒(共に洪水基準点・山道橋地点到達流量)に調整する、という治水計画です。
この1,400㎥/秒という値が戦後最大実績値(昭和23年洪水 推定流量1,000~1,100㎥/秒)を大きく外れていることから、その求め方について質しました。

  1. 基本高水流量1400㎥/秒を決定する際に、洪水9パターンの実績降雨パターンについて降雨量を計画雨量24時間400mm、3時間203mmまで引き延ばして求めた。
  2. 基本高水流量1400㎥/秒について、引き延ばしにより異常に高い流量になっている恐れがあるので、棄却検定を行っている。

という説明でした。
それを検証するために、

  1. 洪水9パターンの引き延ばし計算過程とその結果
  2. 引き延ばし結果の生起確率及び、棄却検定に用いた基準と結果

についての情報開示を求めました。「基本高水流量の算定経過」という文書があるとのことです。

質疑応答の中で、3つのダム計画→石木ダム計画のみ残存 および等流計算→不等流計算による算出、により 計画高水流量 1020→1130㎥/秒 とした経緯があることが分かりました。これの文書による整理を求めました。

想定氾濫面積は治水経済調査マニュアルに基づいて求めたとしていますが、その求め方・用いたデータ等の開示を求めました。

平山弁護士は「石木ダムによって川の水位が期待できるので内水氾濫にも効果がある」というこれまでの県の説明に対して、それを具体的に数値として確認したことがあるのかを質しました。答えは「していない。」でした。野口課長は、「川棚川では外水氾濫が先で、内水氾濫が後に起きている。外水氾濫なしでの内水氾濫を知らない」と追加説明しました。「そんなことはない」と会場から反論が上がりました。「川棚川の外水氾濫を防ぐことが先決でそれでも内水氾濫があれば対策を講じるのがよいと考えている」が県の考え方とのことです。H2年の洪水被害についても、「外水氾濫があり、内水氾濫が追随した。下流部分の痕跡水位が欠測になっているのは越流していたからである」としました。
私たちはH2年洪水など、内水氾濫か外水氾濫かを判断できる材料の開示を求めました。

緒方弁護士は、「代替案との比較でダムを中止することで発生する費用が59億円になる」、としていることについて質しました。
ダム中止に伴う費用算出で、佐世保市負担済返済分として国からの補助金も含んでいることを長崎県は認めました。佐世保市・長崎県が再評価システムで中止を決定すれば補助金の返済は免れるにもかかわらず佐世保市への返済金に含めるというのは間違いです。他の項目でも算定根拠がいたずらに高く見積もられています。入手ずみ土地の管理費用などの見積もり期間を50年間としている根拠を示すよう求めました。

この日のまとめとして平山弁護士は以下のようにまとめました。

  1. 知事出席による説明会の実施を求める。事前協議を行うことについて6月27日までに回答されたい。
  2. 以下の資料を7月4日までに提供されたい

(ア)    想定氾濫面積算出方法と用いたデータ
(イ)    9洪水パターンの引き延ばし結果と算出過程
(ウ)    計画高水流量変更などの治水計画変遷の整理
(エ)    ダム中止に伴って発生する費用の内、見積もり期間を50年間としている根拠
(オ)    H2年洪水において内水氾濫か外水氾濫かを判断できる材料 写真・聞き取りなどの一覧
(カ)    H2年洪水に関する川棚町内雨量実績
(キ)    H2年洪水被害の地区別内訳
(ク)    引き延ばし結果についての生起確率・棄却検定条件と結果
(ケ)    石木ダムによって見込まれる水位低下量

 以上です。

終了後、馬奈木弁護士はこうばる公民館に集まった仲間に対して、

  1. 長崎県と議論に入れてよかった。
  2. 過去の洪水被害は石木ダムなしの河道・堤防整備で防ぐことが確認された。
  3. 内水排水機場・排水水路など、内水氾濫対策を求めていこう。
  4. 長崎県を逃げないようにさせよう。
  5. 知事出席が絶対条件。

と訴え、全員拍手で確認しました。

長崎県が用意した資料

20140621石木ダム説明会資料(長崎県) pdf  4175kb

ビデオ収録 you tube  撮影 いしまるほずみさん

「長崎県による13世帯60名の皆さんなどへの説明会 2014年6月21日」
http://youtu.be/dVZAMm0JlL4

「長崎県による13世帯60名の皆さんなどへの説明会 つづき 2014年6月21日」
http://youtu.be/cmuRlCwMfGI

マスコミ報道

長崎新聞 2014/6/22

NHK 2014年06月21日 20時15分
http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/5035204721.html?t=1403410404502

石木ダム 県が地権者に説明

石木ダム 県が地権者に説明

 
長崎県と佐世保市が川棚町に建設を計画している石木ダムをめぐり、建設に反対する地権者側の要請を受けて、長崎県は21日、現地で説明会を開きましたが、大きな進展はなく、地権者側は改めて知事本人の説明や新たなデータの提供を県側に求めました。

石木ダムをめぐっては、国が去年9月、地権者から土地を強制的に収容することが可能となる「事業認定」を行い、建設に反対する地権者との対立が深まっています。
21日は地権者側の要請に応じて、長崎県が現地で説明会を開き、はじめに浅野和広土木部長が「これまでの県の説明では十分ではなかった部分もあり、改めて説明をしたうえで、意見交換をしたい」と述べました。
説明会では、地権者側の弁護団がこれまでの河川改修によって、洪水被害は、ダムがなくてもある程度防げるのではないかとただし、県側は、河川改修が完全に終われば理論上は対応できることを認めました。
一方で、県側は、100年に1度の水害を想定するとダムが必要になると説明し、これに対し、弁護団からはそうした予測の根拠となる具体的なデータなどの提供を求めました。
また、地権者側は改めて知事本人の出席を求め、県側は、検討したうえで回答する考えを示しました。

 NIB長崎国際テレビ 2014/ 6/21  18:36
http://www.nib.jp/realtime/news/news_3016261.html

石木ダム建設で説明会 議論は平行線に

川棚町に建設が計画されている石木ダムを巡り21日、県と地権者との面談が予定地で行われた。
面談は、県が建設予定地の公民館に出向く形で行われ反対する地権者や支援者など約40人が集まった。中村知事が4月、地権者の家を戸別で訪問したことを逆手に地権者らは知事本人との集団面談を求めていたが、県側は「集団面談には応じられない」との姿勢は変えず知事は出席しなかった。面談で県側は、ダムがもたらす川棚川の治水効果を説明したが、地権者側は、過去に川が氾濫した際の雨量算出があいまいなことや改修工事を先にすべきなどと指摘。両者の議論は結局、平行線をたどり、地権者側は再度知事との面談を求めたが、県側は改めて検討すると回答するにとどまった。

NBC長崎放送 06月22日
http://www.nbc-nagasaki.co.jp//news/nbcnews.php#3

石木ダム 住民説明会 06月22日

県と佐世保市が東彼・川棚町に計画している石木ダム事業で県は、21日、事業に反対している地権者らに説明会を開きました。石木ダム事業をめぐっては県が強制的に土地を収用できる事業認定を受けたことから地権者は反発を強めています。これまで、地権者らはダムの必要性を中村知事、自らが説明するよう求めてきましたが内容が専門的であるとして土木部長らが地元へ出向き説明会を開きました。この中で、地権者らはこれまでに行われた河川改修によって治水目的のダムがなくても川棚川流域で過去に起きた4度の大きな洪水被害は防げるのではないかと指摘ー。県も、これを認めました。また、ダムの必要性の根拠となるデータなどを開示して説明するよう要請しました。地権者らは改めて知事との面会を求めており県の回答期限を来週いっぱいとしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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