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川辺川ダムの情報

熊本豪雨の堆積土砂、撤去完了 県管理の123河川、過去最大規模115万トン

2021年6月3日
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熊本県は6月1日、昨年7月の豪雨で県管理の123河川に堆積した土砂約115万立方メートルの撤去が完了したと発表しました。その記事とニュースを掲載します。

熊本県の発表内容はhttps://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/life/88958_151765_misc.pdf です。

球磨川の国管理区間と権限代行9河川については

第5回球磨川流域治水協議会 説明資料 令和3年6月2日 国土交通省 九州地方整備局 の3~4ページに

http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/bousai/gouukensho/ryuikitisui/210602shiryou1_1.pdf

○出水期前までに掘削を予定していた70万m3の掘削を、令和3年5月末までに完了。引き続き、堆積土砂の掘削を推進。

〇権限代行9河川については、令和3年5月末までに約20万m3の土砂掘削を完了。

と書かれています。

しかし、球磨川とその支川について長年の土砂堆積による河床上昇への対策はまだまだこれからです。

川辺川ダムを建設することよりも、球磨川とその支川の河床掘削を十分に行うことの方がはるかに重要であると思います。

 

 熊本豪雨の堆積土砂、撤去完了 県管理の123河川、過去最大規模115万トン

(熊本日日新聞2021/06/02 07:20)https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E7%86%8A%E6%9C%AC%E8%B1%AA%E9%9B%A8%E3%81%AE%E5%A0%86%E7%A9%8D%E5%9C%9F%E7%A0%82-%E6%92%A4%E5%8E%BB%E5%AE%8C%E4%BA%86-%E7%9C%8C%E7%AE%A1%E7%90%86%E3%81%AE%EF%BC%91%EF%BC%92%EF%BC%93%E6%B2%B3%E5%B7%9D-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E6%9C%80%E5%A4%A7%E8%A6%8F%E6%A8%A1%EF%BC%91%EF%BC%91%EF%BC%95%E4%B8%87%E3%83%88%E3%83%B3/ar-AAKBYwy?ocid=BingNewsSearch

 堆積土砂を撤去する前の3月中旬の芦北町の吉尾川(県提供)

堆積土砂の撤去を終えた5月下旬の芦北町の吉尾川(県提供)

熊本県は1日、昨年7月の豪雨で県管理の123河川に堆積した土砂約115万立方メートルの撤去が完了したと発表した。県内災害の土砂撤去量としては「過去最大規模」で、豪雨前の河川の流下能力をおおむね回復したことになる。

堆積土砂の撤去は、蒲島郁夫知事が昨年秋に開いた球磨川流域の意見聴取会で要望が相次いだことも受け、「出水期までに完了する」と明言していた。

県によると、全体の8割に当たる約94万立方メートルが球磨川流域など県南地域に集中した。市町村別では、相良村の18万3千立方メートルが最も多く、次いで山江村16万3千立方メートル、人吉市15万6千立方メートルなど。国が復旧を代行している県管理9河川(球磨村7、八代市1、芦北町1)は集計に含んでいない。

撤去した土砂は民間の処分場に加え、最大30万立方メートルを受け入れられる公有地などの仮置き場で保管。仮置き分は宅地かさ上げなど今後の公共事業に活用する。

撤去作業は昨年11月に本格化し順調に進んでいたが、5月15日に平年より20日早く県内が梅雨入りし、影響が懸念されていた。県河川課は「もともと前倒しで作業を進めていたため、なんとか想定していた5月末までに終えることができた」としている。事業費は約50億円で、おおむね3分の1が県の実質負担となる。(内田裕之)

 

 球磨川流域の治水対策 出水期前までに予定の堆積土砂撤去を完了【熊本】

(テレビ熊本2021/6/2(水) 19:25)https://news.yahoo.co.jp/articles/004e0dace5785191f2e53a6fe1ef89b5183a7349

(映像)

去年7月の豪雨で被災した球磨川流域の治水対策、その進捗(しんちょく)状況などが示されました。 国と熊本県は、出水期前までに予定していた堆積土砂の掘削を5月末までに完了したことを明らかにしました。 2日開かれた国や県、球磨川の流域市町村による協議会で報告されたものです。 国は、出水期前までに予定していた球磨川の70万立方メートルの堆積土砂と、権限代行する9河川の約20万立方メートルの土砂の掘削を5月末までに完了。 県も、管理する球磨川の支川に堆積した土砂約86万立方メートルについて、5月末までに撤去を完了したということです。(国の権限代行分を除く) 【蒲島知事】 「緊急にこれまでたまった堆積土砂を撤去した。さらに、これから必要な分は調査して掘削していく」 また国は、球磨川の堤防が決壊した2カ所について先月末までに復旧を完了。 護岸など29の被災箇所の復旧工事も行っていて、今年度中の完了を目指すとしています。

 

【熊本】球磨川流域の堆積土砂の撤去終了

(熊本県民テレビ(KKT) 2021/6/2(水) 18:08)https://news.yahoo.co.jp/articles/15af67390f9f3db0cf7258b3ec09c04c5525ac11

(映像)

球磨川流域の洪水対策。流域治水協議会で県は、去年の熊本豪雨で河川にたまっていた土砂の撤去を終えたことを報告した。 蒲島郁夫知事 「出水期の大きな雨はこれからなので間に合って良かった」 今年3月に撮影された芦北町の吉尾川。熊本豪雨で溜まった土砂がそのままになっている。そして2か月後。川にたまっていた土砂は取り除かれた。 国や県はこうした熊本豪雨で堆積した球磨川流域の176万立方メートルに及ぶ土砂の撤去を5月末までに終えたと報告した。 取り除いた土砂は今後の宅地かさ上げに使う方針。 一方、かさ上げの場所については現在も調査中で具体的な場所は明らかになっていない。これに対し球磨村からは「具体的な内容が示されなければ村の復興計画が立てられない」として早急に案を示すよう要望があった。 また治水対策の柱となる新たな流水型ダムについては国が環境への影響を調べる「環境アセスメント」に準じた調査をすることから、協議会は専門家で構成する検討委員会を設置し助言をもとに調査に協力するとしている。

川辺川ダム建設検討で環境アセスメント実施へ 国交省、豪雨対策

2021年5月22日
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赤羽一嘉国土交通相は今日〔5月21日〕の記者会見で、球磨川支流・川辺川でのダム建設に向けた環境影響評価(アセスメント)を実施すると発表しました。

その記事とニュースを掲載します。

しかし、環境影響評価法に準じた調査と、環境影響評価法に基づく手続きは根本から違います。前者は単なる調査であるのに対して、後者は手続きが複雑で、国民の意見を聞く機会があり、アセスの結果によっては(可能性が高いとは言えないが)事業がストップされることもあります。

川辺川ダム事業は従前の計画が特定多目的ダム法による多目的ダムであったのに対して、現在検討中の川辺川ダムは河川法による治水専用ダムであり、法的な根拠が違うダムになるのですから、環境影響評価法の対象になるはずです。

この点を環境省の環境影響評価課の担当官に電話したところ、国土交通省に聞いてくれと、回答を拒否されました。

そこで、国土交通省河川環境課の担当の課長補佐に電話したところ、流水型ダムになっても、川辺川ダムの治水目的は従前の計画からあったもので、川辺川ダムは環境アセス法施行前から事業に着手しているから、環境アセス法の対象にならないという回答を環境省から得たという話でした。

しかし、従前の川辺川ダム計画と、検討中の川辺川ダム計画は根本から変わり、法的根拠も特定多目的ダム法から河川法に変わるのですから、環境アセス法の対象になるべきものです。

環境省の弱腰に怒りを覚えました。 

 

川辺川ダム建設へ環境評価 国交省、時期は調整

(日本経済新聞2021年5月21日 10:22) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE211TZ0R20C21A5000000/

昨年7月の豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水策に関し、赤羽一嘉国土交通相は21日の記者会見で、支流・川辺川でのダム建設に向けた環境影響評価(アセスメント)を実施すると発表した。時期は今後調整する。

国交省は、環境負荷が小さいとされる「流水型ダム」の整備を計画している。今後、球磨川の河川整備基本方針を変更し、豪雨時に想定する最大流量を見直した上で、必要な貯水容量や具体的な構造を検討。併せてアセスの準備を進める。

アセス法は建設事業の実施に先立って周辺の自然環境への影響を調査すると定めているが、国交省によると川辺川では同法の施行前から関連工事に着手しているため、法的にはアセスの対象外となる。ただ地元では水質や生態系に与える影響を懸念する声もあり、蒲島郁夫熊本県知事からの要望を踏まえ、同等の調査を行うこととした。

ダム建設を巡っては、蒲島氏が2008年に反対を表明し、09年に当時の民主党政権が中止を決めた。だが昨年の豪雨で球磨川流域に甚大な浸水被害が発生したことから蒲島氏が建設容認に転換。今年3月、県や流域自治体が流水型ダムの建設を柱とする治水対策を了承した。〔共同〕

 

川辺川ダム建設検討で環境アセスメント実施へ 国交省、豪雨対策

(毎日新聞 2021/5/21 11:02)  https://mainichi.jp/articles/20210521/k00/00m/040/081000c

(写真)川辺川ダムの建設計画に伴って高台に移転した住宅地(右)。流水型ダムでも左奥から流れる川辺川周辺は水没する可能性がある=熊本県五木村で、本社ヘリから津村豊和撮影

赤羽一嘉国土交通相は21日、2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水対策で、支流の川辺川に国が建設を検討している川辺川ダムについて、環境影響評価(アセスメント)を実施すると発表した。川辺川ダムは関連工事が環境影響評価法の施行前から始まっており、本来は対象外だが、熊本県の蒲島郁夫知事が環境アセスを求めていた。国交省は今後、開始時期や期間を調整する。

国交省は、環境影響評価法と同様の評価項目を設定して環境影響への調査や予測、評価を行う。評価の各段階で熊本県知事や川辺川流域の市町村長、一般の人の意見を聞くという。赤羽氏は記者会見で「熊本県知事から要望があったことなども踏まえ、環境省とも連携しながら実施したい」と述べた。

 

流水型ダム、環境アセスと同等の調査実施へ 国交相

(熊本日日新聞2021/5/21 12:10) https://this.kiji.is/768311535221030912?c=39546741839462401

国土交通省が球磨川支流の川辺川で検討している治水専用の流水型ダム建設について、赤羽一嘉国土交通相は21日の閣議後記者会見で、環境影響評価(アセスメント)法と同等の調査を実施する方針を表明した。熊本県の要望を踏まえたもので、「環境アセスの各段階で県知事や市町村長、環境省、住民らに意見を聞いて進めたい」と述べた。

また赤羽氏は、球磨川水系の治水の方向性を定めた「河川整備基本方針」の変更にも着手する考えを示した。昨年7月の豪雨災害を踏まえ、河川の想定最大流量などを見直す。近く社会資本整備審議会に諮問する。

 

流水型ダムで環境アセス 熊本・川辺川、要望受け 国交省

(時事通信2021/5/21(金) 11:57)https://news.yahoo.co.jp/articles/dd6b3f7358103d455af74c8f398ab23ecc594c16

熊本県球磨川の治水対策をめぐり、国土交通省は21日、支流の川辺川への「流水型ダム」建設に向け、環境影響評価(アセスメント)を実施する方針を明らかにした。

同県の蒲島郁夫知事が水質への影響が小さいとされる治水専用の流水型ダム整備を要望していた。

川辺川では治水と利水に使う「多目的ダム」を建設する従来の計画に基づき、道路の付け替えなどの準備工事がおおむね終わっている。既に工事が始まっている場合、環境影響評価法の対象外だが、国交省は蒲島氏からの要望を踏まえ、同法に準じたアセスを行うことにした。

 

熊本・川辺川ダム 環境影響調査を実施へ 国交相が表明

(朝日新聞2021年5月21日 13時03分)

 

 

 川辺川ダムの環境調査表明 国交相「アセス法と同等」

(西日本新聞2021/5/22 6:00 )https://www.nishinippon.co.jp/item/n/742700/

赤羽一嘉国土交通相は21日の閣議後記者会見で、熊本県の川辺川への新たな流水型ダム整備について、環境影響評価(アセスメント)法に準じた調査を実施すると正式発表した。アセス法に基づく調査と「同等の環境影響評価を実施する」と表明した。調査開始の時期は今後、調整する。

アセス法は建設事業の実施の前に自然環境への影響を調査すると定める。赤羽氏は、従来の川辺川ダム事業の道路付け替え工事などが同法の施行前から始まっていたとして、新たなダム整備も「同法の対象外になる」との見解を示した。ただ、熊本県の蒲島郁夫知事の要望を踏まえ、アセス法と同等の調査の実施を決めたと説明した。

調査は、アセス法と同じように評価項目を設定するほか、熊本県知事や流域の市町村長、一般の人の意見を各段階で聞いて進めるという。赤羽氏は、アセス法の調査と「実質的に同じだけの意味がある内容をやる」と強調した。

蒲島氏は21日、「思いをしっかり受け止めていただいたもので、国に御礼申し上げたい。国は、客観的かつ科学的な環境アセスメントをしっかりと実施してほしい」との談話を出した。

調査には数年かかるとみられる。国交省の担当者は「ある程度の期間を要するが、治水対策を早くという地元の声もある。スピード感をもって進める」としている。 (鶴加寿子)

  

【熊本】川辺川の流水型ダム 環境調査へ

(熊本県民テレビ(KKT)2021/5/21(金) 20:35)https://news.yahoo.co.jp/articles/d98b3d5bec8dbf36515c3e7dd9656f62ad993e70

(映像あり)

【熊本】川辺川への流水型ダムの整備に向けて赤羽国交相は環境調査を行うことを発表した。 川辺川に建設予定の流水型ダムについて赤羽国交相は蒲島知事や流域市町村長から意見を聴きながら環境への影響を調べる「環境アセスメント」に準じた調査を行うことを明らかにした。 川辺川ダムをめぐっては去年の熊本豪雨をきっかけに蒲島知事が計画の白紙撤回から建設容認に方針転換した。一方で地元住民からは環境への影響などを懸念する声があがっていて知事は国に対して環境アセスメントの実施を要望していた。 赤羽国交相はダム建設は環境影響評価法の施行前から関連工事が進められているため本来は調査の対象外となる考えを示したが知事の要望を踏まえて応じる決断に至ったとしている。調査の開始時期や期間は今後調整するとしている。 蒲島知事は「客観的で科学的な環境アセスメントを実施し、命と清流を守る新たな流水型ダムを整備していただきたい」とコメントしている。

 

川辺川ダム緊急放流資料、熊本県も破棄 整備局へ「公表慎重に」

2021年5月15日
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川辺川ダムの緊急放流に関する試算資料を国土交通が破棄した問題で、資料の提供を受けていた熊本県も破棄していました。その記事を掲載します。

熊本県も国土交通省と一体となって、必要性が不明瞭な川辺川ダム計画を推進しているようです。

 

 川辺川ダム緊急放流資料、熊本県も破棄 整備局へ「公表慎重に」

(毎日新聞 2021/5/15 17:366) https://mainichi.jp/articles/20210515/k00/00m/040/150000c

川辺川ダムの水没予定地。予定地にあった民家は高台や村外に移転した=熊本県五木村で2020年11月19日、吉川雄策撮影

熊本県の川辺川で国が建設を検討しているダムの異常洪水時防災操作(緊急放流)に関する試算資料を、国土交通省九州地方整備局が破棄した問題で、資料の提供を受けていた県も破棄していたことが県への取材で明らかになった。整備局は2020年7月の九州豪雨の1・3倍以上の雨で緊急放流することになると試算していたが、県側が「地元が心配する」として公表には慎重を期すよう整備局側に求めていたことも判明した。

試算資料は九州豪雨の際に流域で50人が死亡した球磨川の治水対策を話し合う協議会の第2回会合(20年12月18日)に先立ち、整備局が県や流域市町村側に提示した。しかし、整備局は第2回会合に資料を出さず、毎日新聞の開示請求に対し「破棄した」と3月31日付で回答。ところが、こうした経緯を毎日新聞が5月3日に報じた後の11日になってホームページで試算結果を公表した。

 県「使わない資料、破棄は問題ない」

県球磨川流域復興局の水谷孝司局長は取材に、第2回会合前の打ち合わせで国から資料を提供されたことを認めた上で「途中段階の資料だったので処分した。知事には説明しなかった。使わない資料なので(破棄は)公文書管理上も問題ない。廃棄時期はよく覚えていない」と語った。また「地元が心配するような内容は慎重に出した方がいい」と整備局に伝えたことも明らかにした。

一方で緊急放流については「住民の関心が高く、しっかり検証した方がいい。ダムの大きさや構造などがある程度固まったら『こういう場合はこうなる』と正しい情報を伝えた方がいいと思っている」と語った。

整備局河川計画課の山上直人課長は、慎重を期すようにとの県側からの要望について「要請があったとは承知していない」とし、公表せず資料を破棄したのは「あくまでも整備局の判断だ」と強調した。

九州豪雨では球磨川上流の市房ダムで緊急放流寸前まで水がたまり、流域住民からは川辺川の新たなダムについても緊急放流を不安視する声が出ている。蒲島郁夫知事は20年11月に県議会でダム容認を表明した際、「ダムの効果やリスクについての正しい理解を流域の皆様からも得られるよう、説明責任を果たす」と述べていた。【城島勇人、平川昌範】

川辺川のダム、国が緊急放流巡る試算を公表 当初「破棄」と回答

2021年5月11日
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2020年7月の九州豪雨の1.3倍以上の雨が降れば、川辺川ダムは緊急放流することになるという計算を九州地方整備局が行っていて、しかも、その計算結果を公表せず、破棄したという毎日新聞のスクープ記事を5月2日に掲載しました。

「「九州豪雨の1.3倍で緊急放流」 国が公表せず破棄 検討中のダム」(毎日新聞2021年05月02日)https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20210502k0000m040151000c

九州地方整備局はこれはまずいとみて、廃棄したはずの計算結果を急きょ発表しました。毎日新聞、熊本日日新聞、西日本新聞の記事を掲載します。

九州地方整備局http://www.qsr.mlit.go.jp/index.htmlの発表は

「球磨川における「令和2年7月洪水を上回る洪水を想定したダムの洪水調節効果」について」http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/bousai/gouukensho/sankousryou/sankousiryou-tyousetu.pdf

で見ることができます。

しかし、この発表を見ると、川辺川ダムがあってもかなり氾濫することになっており、川辺川ダムが本当に必要な治水対策なのかと思ってしまいます。

西日本新聞の二つ目の記事で九州大の小松利光名誉教授のコメントが記されていますが、小松氏は根っからの川辺川ダム推進論者で、2000年代の川辺川ダム住民討論集会でも会場からダム推進の意見を度々述べていました。

今回のような問題ならば、今本博健先生や大熊孝先生のコメントをなぜ取らないのか、記者の姿勢に強い疑問を持ちます。

 

川辺川のダム、国が緊急放流巡る試算を公表 当初「破棄」と回答

(毎日新聞2021/5/11(火) 19:14)https://news.yahoo.co.jp/articles/b662ba30f54981fb2ab48e68b2a286818e9052c3/images/000

辺川ダムの水没予定地。予定地にあった民家は高台や村外に移転した=熊本県五木村で2020年11月19日、吉川雄策撮影

2020年7月の九州豪雨被害を受けて国が熊本県の川辺川に建設を検討しているダムについて、国土交通省九州地方整備局が九州豪雨の1・3倍以上の雨が降れば異常洪水時防災操作(緊急放流)をすることになるとの試算を公表せず、資料を破棄していた問題で、整備局は11日、一転してホームページで試算を公表した。

整備局は取材に「当時の資料は破棄したが、その後に業務委託先のコンサルタント会社から出された報告書を基に今回の資料を作った」と説明した。

整備局は20年12月に流域の市町村長らに試算結果を示したが、流域住民を含む一般には公表していなかった。毎日新聞が関係文書を開示請求したところ、3月31日に「破棄した」と回答。一連の経緯を本紙が5月3日付で報道していた。

整備局が「参考資料」としてホームページで公表した文書は、09年に中止された従来の川辺川ダム計画と同規模のダムを造る前提で試算。九州豪雨の1・3倍以上の雨で緊急放流に移行し、緊急放流しなければ1・4倍の雨でダムの水があふれるとした。

整備局は試算結果を公表したことについて、取材に「データの整理ができたので公表した。報道とは関係ない」と答えた。

九州豪雨では球磨川が氾濫し、流域で50人が死亡。治水対策として事実上建設が決まった川辺川のダムについて、流域住民の間には「緊急放流で一気に水位が上昇して下流の被害が拡大する」との懸念が根強い。

京都大の今本博健(ひろたけ)名誉教授(河川工学)は「ダム建設の方向性が固まってから資料を出すのでは遅きに失しており、説明責任を果たしたと言えない」と批判。「緊急放流のデータは住民の不安をあおると考えて隠したのだろうが、逆に他にも隠していることがあるのではとの疑念を生むだけ。初めからオープンにして丁寧に説明すべきだった」と話した。【平川昌範、城島勇人】

 

「棄した」緊急放流の試算、一転公表 国交省、川辺川の流水型ダム

(熊本日日新聞 | 2021年05月11日 19:15) https://kumanichi.com/news/id225577流水型ダムの「緊急放流」の試算について公表したことを知らせる九州地方整備局のホームページ

国土交通省九州地方整備局は11日、熊本県の球磨川支流の川辺川に建設を検討している流水型ダムについて、「資料を廃棄した」としていた異常洪水時防災操作(緊急放流)に関する試算を一転、公表した。

九地整が八代河川国道事務所のホームページで公表したのは、昨年12月の第2回球磨川流域治水協議会に先立ち、流域の市町村長らに示した資料を作った際の試算。資料自体は「最終的な意思決定に与える影響がない」として、協議会で公表しないまま終了後に廃棄したという。

資料では、新たなダムの洪水調節容量を現行の川辺川ダム計画に基づき1億600万トンと仮定した場合、昨年7月豪雨の1・3~1・5倍の雨量で「緊急放流」に移行すると示していた。

資料を巡っては行政文書の専門家から「適切に保存・公開して議論を喚起すべきだ」との声も上がった。

資料を廃棄した試算を、改めて公表したことについて九地整は「お示しできる準備が整ったため公表した。きちんとリスクを示していきたい」と説明。一方で「現行のダム計画を用いた仮定の試算だ」と強調した。今後は新たなダムの検討を進め、洪水調節効果と併せてダムの限界についても公表するという。(宮崎達也)

 

川辺川「ダムの限界」熊本豪雨の1.3倍 貯留型、初の試算結果公表

(西日本新聞2021/5/12(水) 10:56)https://news.yahoo.co.jp/articles/872624095b5935c6fc16173cf7eddb32db77d6b6

昨年7月の豪雨で氾濫した熊本県の球磨川流域の治水対策を巡り、国土交通省九州地方整備局は11日、熊本豪雨を超える洪水時に、最大支流の川辺川にダムがあった場合の効果と限界を示す試算結果を公表した。現行計画の貯留型ダムは熊本豪雨の1・2倍の降雨量まで持ちこたえる一方、1・3倍以上で緊急放流に移行するという。

九地整によると、川辺川ダムが緊急放流に移行する条件や下流域への影響を公表するのは、1966年に建設省(当時)が計画を発表して以来初めて。九地整は、検討中の流水型ダムについても「設計や洪水調節ルールが定まった段階でダムの効果と限界を公表する」としている。

 

試算は、現行計画の利水容量と洪水調節容量を合わせた1億600万トンを治水に使う設定。貯水量の8割の8800万トンに達した段階でダムへの流入量と同量を緊急放流する。

熊本豪雨の1・2~1・5倍の降雨量4パターンを想定したところ、いずれもダムが1億トン近く貯水し、減災効果はあるという。ただ、1・3倍になると、毎秒1083トンを緊急放流。1・4倍で同1733トン、1・5倍で同2724トンと放流量が増えていく。

熊本豪雨で広範囲に浸水した人吉市地点で、緊急放流時のピーク流量も解析。ダムがあったとしても、1・3倍の降雨量では熊本豪雨時を上回る同7905トンに達し、1・4倍で同8756トン、1・5倍で同9578トンとなるという。 (古川努)

川辺川ダム建設予定地

 

ダムの限界知り備え可能に 川辺川・試算公表 識者「避難に活用を」

(西日本新聞2021/5/12 11:30 )  https://www.nishinippon.co.jp/item/n/737174/

国土交通省九州地方整備局が11日に公表した川辺川ダムの「限界」の試算。どの程度の降雨量で緊急放流に移行し、下流にどんな影響を及ぼすのか、1966年の計画発表以来初めて数字で示された。検討中の「新たな流水型ダム」との比較はできないが、識者は「ダムの限界を理解することで、命を守る備えができる」と訴える。

九地整は昨年7月の熊本豪雨後、県や流域市町村との治水協議で、川辺川ダムがあった場合に浸水範囲が減り、安全性が高まるとする「効果」を強調してきた。

一方、今回の試算が示したのは「限界」だ。熊本豪雨の1・2倍の降雨量までは、ダムの治水効果は最大限発揮されるが、1・3倍以上になると貯水の限界を迎え、流入量と同じ水量を下流へ流す「緊急放流」へと移行する。

さらに、1・5倍の豪雨が降った場合、緊急放流後に人吉市地点では、安全に流下できる流量の2倍以上が押し寄せることになるという。水位は急激に上昇し、逃げ遅れれば命に危険が及ぶ可能性もある。

九州大の小松利光名誉教授(防災工学)は「(熊本豪雨でも)線状降水帯が少しずれていれば1・5倍の降雨量はあり得た」と指摘し、「気候変動の影響で線状降水帯が大きくなっている。九州では、どの1級河川で起きてもおかしくない」と警鐘を鳴らす。

その上で「ダムはある程度の豪雨から命と財産を守る。限界を超えれば緊急放流するが、コントロールはできる。この仕組みを理解し、避難に生かすことが非常に大事」と訴える。 (古川努)

「九州豪雨の1.3倍で緊急放流」 怒る九州豪雨の被災者 緊急放流の試算を国が破棄 川辺川ダム建設

2021年5月2日
カテゴリー:

川辺川ダム問題に関する記事を掲載します。

2020年7月の九州豪雨の1.3倍以上の雨が降れば、川辺川ダムは緊急放流することになるという計算を九州地方整備局が行っていて、しかも、その計算結果を公表せず、破棄したという記事です。

「都合の悪い情報だから隠しているのではないか」、九州豪雨の被災者から怒りの声が上がっています。

2020年7月の九州豪雨において球磨川流域で雨量がひどく大きかったのは川辺川流域ではなく、他の支川流域であって、川辺川ダムが当時あっても氾濫による死者をなくすことにはあまり寄与しなかったとされています。

九州地方整備局の上記の計算ではもっと雨量が大きかったら、今度は川辺川ダムが緊急放流する事態になっていたというのですから、球磨川では川辺川ダムなしの真っ当な治水対策が推進されるべきです。

 

「九州豪雨の1.3倍で緊急放流」 国が公表せず破棄 検討中のダム

(毎日新聞2021年05月02日18時32分)https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20210502k0000m040151000c

2020年7月の九州豪雨被害を受け、国が熊本県の川辺川に建設を検討しているダムについて、国土交通省九州地方整備局が九州豪雨の1.3倍以上の雨が降れば異常洪水時防災操作(緊急放流)をすることになると計算していたことが関係者への取材で判明した。整備局は計算結果を公表しておらず、毎日新聞の開示請求に関係文書を「破棄した」と回答した。流域住民の間では「緊急放流で一気に水位が上昇すれば下流の被害が拡大する恐れがある」との懸念が根強く、専門家はリスクを公表して議論すべきだと指摘する。

九州豪雨では熊本県の球磨川が氾濫し、流域で50人が死亡。国や県、流域自治体でつくる「球磨川流域治水協議会」が支流の川辺川でのダム建設を含む治水対策を議論している。

関係者によると、20年12月18日の第2回協議会に先立ち、整備局は「【参考】今次洪水を上回る洪水を想定した場合におけるダムの洪水調節効果の推定について」と題した文書を流域の市町村長らに提示。川辺川に建設するダムの洪水調節容量を1億600万トンと仮定した上で、計算上、今回の九州豪雨の降り方の1.3倍以上でダムの容量の限界に近づき、その場合は緊急放流に「移行する」としていた。

文書は、仮に緊急放流をしたとしても、下流の流量はダムがない場合のピーク流量に比べれば少ないと強調する内容だった。しかし、整備局が数日後の協議会で配布した資料には盛り込まれず、現在まで公表もしていない。

文書の有無について整備局が取材に「コメントできない」と答えたため、毎日新聞は情報公開法に基づき文書の開示請求をした。これに対し、整備局は3月31日付で「破棄している」と回答。理由は「意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして長期間の保存を要しないと判断し」たとしている。

ダム建設は正式に決まったわけではないが、国交省が21年度予算に調査・検討費を含むダム事業費5億5500万円を計上するなど、事実上建設に向けて動き始めている。

九州豪雨では24時間に489.5ミリの雨が降った球磨川沿いの湯前(ゆのまえ)町など熊本県内9地点で24時間雨量の観測史上最多を更新。川辺川が流れる五木村は9地点に含まれず413.5ミリだった。京都大の今本博健(ひろたけ)名誉教授(河川工学)は「九州豪雨ではダム予定地の下流域に線状降水帯がとどまったが、仮に上流域にとどまれば、今回の1.3倍以上の雨になることは十分あり得る。ダム建設の意思決定に影響がないはずはなく、住民にリスクを知らせずダム建設の議論を進めるのは許されない」と批判する。【平川昌範、城島勇人】

◇川辺川のダム計画

従来計画は貯水型の多目的ダムだったが旧民主党政権が2009年に中止。九州豪雨後に熊本県の蒲島郁夫知事がダム容認に転じたことで、普段はダム底部の穴から川の水がそのまま流れ、大雨時だけ水をためる流水型で新たに検討が始まった。流水型ダムは水をためきれなくなると上部から自然に越流する仕組みが多いが、国土交通省は洪水調節効果を上げるため開閉操作ができるゲート付きにする方向で検討している。

◇国土交通省九州地方整備局の文書の内容(抜粋)

・今次洪水を上回る洪水として、今次出水の雨量を1.20〜1.50倍したケースを想定し、新たな流水型ダムが存在した場合の各地点流量の推定を実施

・1.30、1.40、1.50倍のケースにおいて、ダム下流各地点にてピーク流量の低減効果が確認されたものの、ダム地点の流量がピークから下降する段階で洪水調節容量が不足し、異常洪水時防災操作へ移行

 

怒る九州豪雨の被災者 緊急放流の試算を国が破棄 川辺川ダム建設

(毎日新聞 2021/5/2 22:02)https://mainichi.jp/articles/20210502/k00/00m/040/189000c

九州豪雨で氾濫し、重機での川底の土砂撤去が進む球磨川を見つめる鳥飼香代子さん=熊本県人吉市で2021年4月27日午後0時20分、城島勇人撮影

「都合の悪い情報だから隠しているのではないか」。2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水対策として、支流の川辺川で検討されているダム計画を巡り、国土交通省九州地方整備局が九州豪雨の1・3倍以上の雨で緊急放流に踏み切ることになるとする文書を作成しながら公表していなかった。ぎりぎりで回避された球磨川上流の市房ダムの緊急放流におびえた被災者からは公表しない国への不信の声が上がった。

 「データがなければ必要かどうか選べない」

「私たちは7月4日に緊急放流への警戒を呼びかけられ、不安でいっぱいになった。データを出さないなんて、怒り以外にない」。熊本県人吉市の鳥飼香代子さん(72)は話す。

豪雨が発生した7月4日の午前6時半、県は市房ダムが貯水容量を超える恐れがあるとして2時間後の同8時半に緊急放流を予定していると発表。結果的に放流はされなかったが、下流の住民らは警戒を強いられた。

自宅が1・8メートル浸水し、半壊の認定を受けた鳥飼さんは20年11月、県がダム建設についての意見を住民から聴くため開いた聴取会に「7・4球磨川流域豪雨被災者の会」の共同代表として出席。仮に市房ダムが緊急放流されていれば被害が拡大していたのではと疑い、緊急放流した場合の水位上昇などの数字を出すよう県に求めたが回答はないままだ。

ダムを含む球磨川の治水対策の議論が交わされている「球磨川流域治水協議会」に参加できるのは国、県、市町村長や専門家だけ。住民が参加できないままダム建設が既定路線になりつつある現状にいらだちを募らせる鳥飼さんは「最悪の事態を想定したデータを出してもらわなければ、ダムが必要かどうかも選びようがない」と訴える。

九州地方整備局は緊急放流に関する文書を「破棄した」としている。熊本県球磨村で被災した市花保さん(50)は18年の西日本豪雨で緊急放流が実施された愛媛県の肱川(ひじかわ)の例を挙げ「緊急放流は住民が一番知りたい情報だ。破棄したなんてとんでもない」と憤慨。川辺川のダムの緊急放流に関する文書を見た流域自治体の関係者も「まさに我々の関心事だった。万が一、緊急放流で被害が出れば責任問題になる。はっきりしないままでは進めない」と語った。

国は球磨川流域の治水対策としてダムのほか、遊水地や田んぼダムの整備なども打ち出している。地元で遊水地案が浮上している人吉市中神町城本の町内会長、林茂さん(71)は「ダム建設に賛成でも反対でもない」と前置きし「都合の悪い情報も隠してほしくないし、ガラス張りであってほしい。都合のいい情報しか出さないなら治水事業にも協力できなくなる」とくぎを刺した。

 専門家「誤解を招きやすいからこそ説明を」

ダム建設や緊急放流に理解を示す専門家も「丁寧な説明が必要だ」と指摘する。京都大防災研究所の角哲也教授(水工水理学)は「ダムはブラックホールではなく、水は無限にはためられない。ダムが満水に近づいた場合、ダムの水があふれて急激に川の水が増えないよう計画的に緊急放流することが必要だ」と説明。さらに「下流の流量を見ながら洪水が重ならないように放流する」と述べる。

角教授は国が川辺川に検討している規模の貯水容量があれば、九州豪雨を上回る大雨が降っても洪水のピーク後まで緊急放流には至らず、十分な洪水調節機能を発揮するとも分析。その上で「誤解を招きやすい問題だからこそ、分かりやすい説明をしてほしい」と国に注文する。

 そもそも「緊急放流」とは

緊急放流は大雨でこれ以上水がたまり続けるとダムの容量をオーバーし、最悪の場合決壊しかねない状況になった時に、ダムのゲートを人為的に開けて水位を下げる操作を指す。東日本各地で記録的な大雨となり広範囲に被害をもたらした2019年10月の台風19号の際は六つのダムで実施された。

緊急放流自体はダムの運用に元々織り込まれた操作で、専門家も過度に危険視すべきではないと言う。とはいえ、放流直後は下流の水位が一気に増えるため、住民が不安に思うのは当然だ。九州豪雨の際は球磨川の上流にある市房ダム(熊本県水上村)が緊急放流寸前まで追い込まれた。結果的に雨が弱まり緊急放流は回避されたものの、放流を始める水位まであと10センチに迫り、球磨川の氾濫で既に浸水被害を受けていた下流の住民からは被害拡大を心配する声が上がった。

18年の西日本豪雨で氾濫した愛媛県の肱川(ひじかわ)では、上流の野村ダム(西予(せいよ)市)と鹿野川(かのがわ)ダム(大洲(おおず)市)で緊急放流が実施された。両市では氾濫で8人が死亡しており、被災者や遺族は国の不適切なダム操作が浸水被害を招き、住民への周知も不十分だったなどとして国と両市に損害賠償を求めている。西予市で避難指示が出たのは緊急放流の約1時間前、大洲市では5分前だった。

NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「地域住民の生命や生活に関わる問題で都合の悪いデータを出していないと思われれば行政の信頼性を損ない、将来に禍根を残す」と指摘する。豪雨を機に一度は中止になった川辺川でのダム建設が「復活」したが、賛否は今も割れている。住民がこれ以上ダムに翻弄(ほんろう)されることがないようオープンな議論が求められる。【城島勇人、平川昌範】

 

「緊急放流」試算、国交省が廃棄 川辺川流水型ダム資料

(熊本日日新聞 | 2021年05月07日 07:10) https://kumanichi.com/news/id219617

国土交通省九州地方整備局は6日、熊本県の球磨川支流の川辺川に建設を検討している流水型ダムについて、昨年7月豪雨の1・3倍以上の雨量で異常洪水時防災操作(緊急放流)に移行すると試算した資料を廃棄していたことを明らかにした。

「緊急放流」は、ダムが満水に近づき決壊などの危険性があると判断した時に、上流からの流入量をそのまま下流に流す操作。資料では新たなダムの洪水調節容量を、現行の川辺川ダム計画の洪水調節容量に利水分も加えた1億600万トンと仮定。7月豪雨の1・3~1・5倍の雨量では下流のピーク流量を減らす効果は発揮するものの、容量が不足して緊急放流に移ると試算していた。

九地整は昨年12月18日の第2回球磨川流域治水協議会に先立ち、流域の市町村長ら関係者に資料を示していた。しかし、協議会の配布資料には含めず、終了後すぐに廃棄したという。熊本日日新聞は関係者への取材から同日付の朝刊で、雨量が1・3倍以上で緊急放流に移行する試算を報じていた。

九地整は「協議の途中段階で作成した資料で、最終的な意思決定に与える影響がないものとして長期間の保存は必要ないと判断した。資料にあったデータを隠そうとした意図はない」と説明。今後、新たなダムの緊急放流についても検討を進め、公表していく考えを示した。

行政文書の管理に詳しい熊本大法学部の原島良成准教授は「市町村長に示した試算が公開に適さないほど未熟とは考えにくい。ダムのリスク評価と密接に関わるデータが『意思決定に与える影響がない』との説明は不合理だ。適切に保存・公開して議論を喚起すべきだ」と指摘した。(宮崎達也、高宗亮輔)

 

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