水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

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各地ダムの情報

石木ダムが治水上必要な訳は? 

2014年8月11日
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8月3日、こうばる公民館で長崎県説明会治水その2

長崎県のこれまでの説明で、川棚川の洪水基準点山道橋下流はまもなく計画高水流量1,130㎥/秒の流下能力を持つので、戦後の最大洪水を含めすべての実績洪水に石木ダムなしで対応できることが明らかになっています。
このことを前提にして、石木ダムが治水上本当に必要であるのか検証に入りました。

先ずは、石木ダムの治水容量が何故190万㎥も必要なのか問いました。「1,130㎥/秒を超えないようにするのであるから、1,130㎥/秒を超える分だけを調整できればよい。いわゆるピークカットで対応するのであれば、それに必要な容量がせいぜい60万㎥もあれば十分でないのか」という問いかけには「川棚川すぐ近くにダムを造るのであればそれでよいが川棚川の近くにダムを造ることはできない」との答えでした。

、1,130㎥/秒を超える分だけの調整は川棚川すぐ近くに50万㎥前後の調節施設を設置することで十分ではないのか、セイゼイ50cmの堤防嵩上げであるならば県の見積もりより遙かに少額の費用でできるのではないのか、など治水代替案の見直しを求める声が続きました。

参加者皆さんから出された質問・要請を含め、「県が持ち帰って検討する課題」は以下のとおりです。

県が持ち帰って検討する課題

  • 山道橋地点の計画高水流量1400㎥/s→1130㎥/sにするには石木ダムで220㎥/s調整する必要があり,その調整をするための治水容量が195万㎥/sとされている計算過程についての資料と説明。
  • 代替案として採石場跡を遊水池として利用して石木川の水を貯め込むという方法について,150万㎥の遊水池容量を確保しなければ上記1400→1130を達成できないという計算結果となったことを確認した上で,その計算過程を資料と共に説明する。
  • その他,参加者から,河床高が7メートルある箇所もあると工事関係者から聞いた人がおり,この部分を掘削することにより流下能力を上げることができるのではないか,という質問がなされ,伝聞である河床高7メートルその事実の確認の上,回答する。
  • また参加者から過去の浸水被害戸数の地図上の分布を明らかにするよう求め,これに対して確認の上,地図分布(戸の特定も含め)が作成されているのか・開示が可能がなどについて回答する。

配付された資料(1回目の追加分)

県資料追加分(H26.8.3) pdf 252kb

実況中継

「石木ダム問題 治水の説明会 二回目」
http://youtu.be/HaEPZUeAZ5U

マスコミ報道

川棚町長、何故署名拒否を明言できないのかナ??  石木ダム関係

2014年8月11日
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8月4日、川棚町・山口町長に押印拒否を要請

石木ダム建設絶対反対同盟と支援者の皆さんは8月4日16時に川棚町役場を訪ね、山口町長と面会して、長崎県が同町長に求めるであろう立会い・土地測量図に代わる図面への著名・押印を拒否するよう要請しました。

7月25日、28日と土地測量を断念した長崎県は、土地収用法37条の2に基づいて「他の方法により知ることができる程度でこれらの調書を作成」し、土地収用法36条第4項に基づいて石木ダム起業者として「川棚町長に立会いとその調書への著名を求める」ことになっています。一方、土地収用法36条第5項では、「市町村長が署名押印を拒んだときは、都道府県知事は、起業者の申請により、当該都道府県の吏員のうちから立会人を指名し、署名押印させなければならない。」と抜け道を用意しています。
石木ダム建設絶対反対同盟と支援者の皆さんは「町長は本来、町民を守る立場にあるから、強制収用につながる手続には協力できない、として拒否して欲しい」と山口町長に要請しました。しかしながら山口町長は首を縦に振りません。「長崎県から書類が来ていないので答えることができない」とか、「地権者の身代わりになって押印するのとは違う。町長の立場としての押印なので地権者からの要請があったからと言っても拒否にはつながらない」という答弁に終始しました。

この山口町長の対応、大きな問題があります。
先に記したように 土地収用法36条第5項にあるように、町長が拒否した場合は知事が起業者の申請により吏員に立会い・署名押印させることでことは済みます。
土地収用法逐条解説にはこの 36条第5項について以下のように書かれています。

市町村長は地元の利害関係の影響を受けやすい立場にあるため、署名押印を拒否する場合なしとしない。また、その政治的な立場から事業に反対しているときも署名押印を拒否することもありえよう。・・・・。この場合には、都道府県知事は、地方自治法245条の8・12項の規定に基づく代執行等の手続を取ることも可能であるが、それには長時間を要するので、手続迅速化の趣旨に立って、5項の規定が置かれている。

町長が石木ダム事業推進の立場でない場合、強制収用対象者への気遣いがある場合などは、立会い・署名押印を強要されることはないのです。
山口町長はこの解釈を心得ておられるのでしょうか? 心配になります。

資料

2014 8 4川棚町長への要請書

実況ビデオ

「石木ダム問題 川棚町長へ申し入れ 2014年8月4日」
http://youtu.be/FtRimsHD4yQ

マスコミ報道

長崎県、付け替え用道路工事着工中断,司法の判断を待つ!??

2014年8月11日
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2014年7月30日から8月7日、付け替え用道路工事着工反対意思表示行動を貫く!

長崎県は付け替え用道路工事着工を毎日、午前と午後、計二回ずつ試みに来ました。
その都度、事前に多くの人が工事現場入り口に結集し、時には長崎県職員に背を向けて歌を唄いとおし、着工反対の意思表示を貫きました。
石木ダムの必要性についての公開質問状への回答・説明がやっと始りました。
石木ダムを前提とした付け替え道路工事は、石木ダムの必要性が合意に達してから着手しないと、既成事実が先行し、これからの公開質問状への回答・説明は無意味になってしまいます。着工の前に「公開質問状への回答・説明を求める」という意思表示です。
県職員はあたかも「この工事が石木ダム事業とは別」というような言い訳をして10~30分程度説得を試みましたが、通じないと見るや引き返すことを繰り返しました。
7日午後には、工事現場入り口に結集して背を向けていた人々に「石木ダム建設事業の付替県道工事に対する通行妨害禁止の仮処分命令申立を裁判所に提出したので、裁判所の判断が示されるまで着工は中止する」と伝えました。

何と姑息な長崎県なのでしょうか。
「通行妨害禁止」の仮処分申請、確かにSLAPP訴訟(strategic lawsuit against public participation、威圧訴訟、恫喝訴訟)ですが、もっとあくどいものがあります。
長崎県は「収用裁決申請提出書類の一部である測量図作成のための測量と、付け替え道路着工は強行しない=警察を使わない」としていました。
測量はできなくてもそれに代わった図面を提出することでOKとなることもあり、住民から連日抗議にあったため、警察を使うまでもなく測量をあきらめました。
長崎県は「付け替え道路着工は未だあきらめることはできない」と考えているのか、県みずからが警察を使うこと無しに「妨害」を排除する方法を考えた訳です。それが司法判断と裁判所の責任で行う23人の排除です。
排除といっても、いわゆる機動隊による排除ではないでしょう。
長崎県が自らの手を汚すことなく、司法権力の手で排除する、という極めて姑息なやり方です。
石木ダム建設絶対反対同盟の皆さんと支援者の皆さんの固い団結が長崎県をして付け替え道路自力着工をあきらめさせました。
「長崎県は目に見える無茶はできない」という立ち位置にいることは確かです。長崎県は石木ダム建設事業をみずからの責任範囲では遂行することができ無くなっていることを自覚しているのでしょう。

この仮処分申立てに対しては石木ダム対策弁護団が対応することになります。妨害の事実はないこと、石木ダム事業が中止になれば付け替え道路は不要であることなど、仮処分申請の却下を勝ち取るべく闘いです。
私たちとしては、長崎県に対して 「石木ダム建設事業の付替県道工事に対する通行妨害禁止の仮処分命令申立」取下げを強く要求していきましょう。

資料

20140807通行妨害禁止仮処分申請マスコミ配布文 pdf 600kb

実況ビデオ

石木ダム問題 付け替え用道路工事を阻止 2014730
  http://youtu.be/3rTjX0M-czY
石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動2日目
  http://youtu.be/4rP5CQ1M0Kc
「石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動3日目」
http://youtu.be/-uoT_0JxACs
「石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動5日目」
http://youtu.be/Uuoxg7tvYWU
「石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動5日目
http://youtu.be/IYRWbo1vbwY
「石木ダム問題 付け替え用道路阻止行動
5日目
http://youtu.be/vidTMSgXrw4
「石木ダム問題 付け替え用道路阻止行動
6日目」
http://youtu.be/5hiTlW0KcmQ
「石木ダム問題 付け替え用道路阻止行動
6日目
http://youtu.be/YAk6EsRLeZ4
「ある地権者宅から 付け替え用道路工事ゲート前までの道のり」
http://youtu.be/YAk6EsRLeZ4
「石木ダム問題
付け替え用道路阻止行動7日目」
http://youtu.be/5rnhx70dgfY
「石木ダム問題 付け替え用道路阻止行動
7日目
http://youtu.be/YTI0dPYi7LM
7日目(8月7日)の午後、「石木ダム建設事業の付替県道工事に対する通行妨害禁止の仮処分命令申立を裁判所に提出したので、裁判所の判断が示されるまで着工は中止する」と伝えました。裁判所の判断が下りるまで着工中止ということで、8月8日からは長崎県は工事着工の試みを止めています。

マスコミ報道

下の各図をクリックすると、それぞれの記事を見ることができます。

 

 

 

長崎県、説明できず土地測量断念 石木ダム関係

2014年8月10日
カテゴリー:

2014年7月25日、7月28日  土地測量反対意思表示行動で長崎県は測量断念

事業認定処分未留保分の権利についての収用裁決申請期限はこの9月8日になっています。
長崎県収用委員会へ収用裁決申請を行う際に提出必要な書類の一部に土地測量図があります。長崎県はこの図面作成のために7月25日9時から現地に測量に入ることを予告していました。
この予告に対して石木ダム建設絶対反対同盟の皆さんと支援者・石木ダム対策弁護団の皆さんが7月17日に「石木ダムの必要性についての公開質問状への回答・説明が始まった矢先に、『先ずダムありき』の行動は行わないでほしい」と長崎県に要請していましたが、長崎県は聞き入れることなく7月25日午前9時に現地へ測量に来ました。
現地には長崎県の石木ダム建設を前提とした動きに抗議する人が大勢集まり、「現地測量の前に石木ダムの必要性について答えて欲しい」と県職員に要請しました。長崎県職員は説明することができず、20分程度で引き返しました。
 週明けの7月28日にも長崎県職員は土地測量を試みましたが、やはり説明することができず、測量を断念しました。
何故、長崎県は土地測量を断念したのか?
それは強行すること=警察を同行すること で混乱状態が生じると、世論が長崎県にとって厳しくなると判断したことが第一,第二は土地収用法37条の2に「土地測量ができない場合はそれに代わる図面で可」とされているからです。

石木ダムの必要性について真摯な話合いを拒否し続けて来た長崎県は、収用裁決申請期限間際になって、説明の場に着くことを選択したばかりです。その一方で、長崎県は収用裁決申請手続を進めるという、矛盾した挙動を摂っています。「誰の目にも分かる手荒なことはできない」、それだけは分かってきたようです。

参考:土地収用法第37条の2

(測量等が著しく困難な場合の土地調書及び物件調書の作成)

第37条の2 起業者は、土地所有者、関係人その他の者が正当な理由がないのに第36条第1項の土地調書又は物件調書の作成のための第35条第1項の規定による立入りを拒み、又は妨げたため、同項の規定により測量又は調査をすることが著しく困難であるときは、他の方法により知ることができる程度でこれらの調書を作成すれば足りるものとする。この場合においては、これらの調書にその旨を付記しなければならない。

資料

実況中継

 新聞報道

各記事をクリックしてください。

霞ケ浦導水事業の差止めを求める裁判での証言(7月18日)

那珂川関係の漁協が霞ケ浦導水事業の差止めを求めた裁判で2014年7月18日に水戸地裁で原告側証人4人の証言が行われました。
石嶋久男さん(魚類研究家)は那珂川からの取水が行われば、那珂川のアユ漁業が致命的な打撃を受けること、
浜田篤信さん(元・茨城県内水面水産試験場長)は那珂川からの取水が那珂川および涸沼のシジミ漁に多大な影響を与えること、
高村義親さん(茨城大学名誉教授)は、導水事業の三目的のうちの一つ、「利根川と那珂川からの導水による霞ケ浦の水質改善」が虚構であることを証言しました。
嶋津は主に次の二点について証言しました。
一つは霞ケ浦導水事業の施設が完成しても、導水事業の三目的のうちの二つ、「都市用水の開発」と「利根川と那珂川の渇水時の補給」は機能不全になることです。
「都市用水の開発」と「利根川と那珂川の渇水時の補給」は、霞ケ浦を経由して利根川と那珂川の間で水を融通することを前提としているのですが、
利根川、那珂川と比べて、霞ケ浦の水質が劣悪であるため、霞ケ浦の水を利根川や那珂川に入れることができません。霞ケ浦は水質改善の兆しが見えないので、今後とも導水できない状態が続くことは必至です。
霞ケ浦と利根川を結ぶ利根導水路は20年近く前にできているのですが、導水すると、漁業被害を起こす恐れがあるため、今までたった5日間しか開けることができませんでした。それもわずかな導水量でした。
もう一つは霞ケ浦導水事業の利水予定者は茨城県、千葉県、東京都、埼玉県の水道、工業用水道と、多岐にわたっているのですが、いずれも水余り現象で、霞ケ浦導水事業による新規水源を必要としていないことです。
今回、嶋津が提出した意見書と、証言に使ったスライド(説明の文章を加筆)を掲載しましたので、興味がある方はご覧いただければと思います。

 霞ヶ浦導水事業の利水面からの意見書(嶋津)2014年7月 (7.2MB)

霞ケ浦導水裁判の証言のスライド(嶋津)20140718 (8.7MB)

今後は9月5日に証人尋問が行われ、12月19日に結審する予定になっています。
9月5日の証人は国交省関東地方整備局の管理職と、国交省側の専門家です。
霞ケ浦導水事業もまた、まったく意味がない、巨額の公費(1900億円)を浪費するだけのばかばかしい事業ですので、何とか中止に追い込みたいものです。

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