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淀川水系・丹生ダム、中止の可能性も(2013年9月3日の「検討の場」幹事会)

2013年9月4日
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9月3日に淀川水系・丹生ダム「検討の場」幹事会が開かれました。その幹事会に関する記事を二つお送りします。この幹事会の様子を見ると、丹生ダムが中止になる可能性がでてきたように思います。

すなわち、丹生ダムの三つの目的のうち、「治水」は河道掘削案がコスト面で圧倒的に有利、「流水確保対策」も非ダム案が有利という検討結果が示されました。

そして、「異常渇水対策」はダム案が有利という検討結果なのですが、大阪府等の下流府県が「異常渇水対策」が不要との見解を示しました。

 なお、この会議の配付資料が近畿地方整備局のHPに掲載されましたので、関心のある方はご覧ください。http://www.kkr.mlit.go.jp/river/kensyou/siryou130903.html

治水 河川整備を評価 丹生ダム 近畿地方整備局「最も低コスト」
(京都新聞 2013年09月03日 22時50分) http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20130903000158

(写真)丹生ダム建設事業の目的別の対策案を評価した「検討の場」幹事会(大阪市中央区)
近畿地方整備局と水資源機構は3日、長浜市の高時川上流で計画している丹生ダム建設事業の「検討の場」の幹事会を大阪市内で開き、治水目的ではダムではなく河川整備をする案が最も低コストとする評価結果を、滋賀県や長浜市などの関係自治体に提示した。
最大の焦点となっていた治水対策でダム建設の優位性が低下したことは、今後の検討作業に大きな影響を与えそうだ。
同整備局は、治水、異常渇水時の水補給、流水機能維持の三つの目的別に、ダムを含む複数の対策案のコストや利点、課題などを提示した。
このうち、戦後最大の洪水被害を基準とする治水対策では、示した7案のうち、姉川と高時川の河道掘削を中心とする3案のコストが各80億円で、ダムを建設する2案(246億円、339億円)を大幅に下回った。ダム中止に伴う費用は計上していない。
異常渇水対策は、ダム建設2案が563億円と601億円で、野洲川ダムなど他のダムのかさ上げ案(1050億円)、地下水取水案(610億円)などに比べ有利とした。
ただ、異常渇水対策をダム建設目的に盛り込む場合に負担金が発生する大阪府、京都府、兵庫県は「緊急性、必要性は低い」として異常渇水対策を目的から外すよう求めた。
また高時川で頻発している「瀬切れ」を防ぐ流水確保対策は、琵琶湖から余呉湖経由で高時川上流に水を送る案が260億円で最低コストだった。県は「地元の受け入れやコスト面で実現性があるのか疑問」と指摘した。
次回幹事会は未定。長浜市などから早急に実効性のある結論を出すよう要請を受けた同整備局は「関係者の意見を聞きながらできるだけ早く検証作業を進めたい」(河川部)とした。
<丹生ダム> 長浜市の高時川と姉川の洪水調整などを目的に1972年に琵琶湖総合開発計画に盛り込まれた。88年事業着手。95年に工事用道路に着工した。家屋移転と民有地買収は完了済み。本体は未着工。
京都府などの下流団体は利水目的から撤退している。2009年12月、国が再検証対象に位置付けた。

滋賀・丹生ダム:「異常渇水対策では必要ない」 大阪府が見解
(毎日新聞大阪朝刊 2013年09月04日) 
http://mainichi.jp/area/news/20130904ddn002010018000c.html

国が計画見直しの対象にしている淀川水系の丹生(にう)ダム(滋賀県長浜市)について、大阪府は3日、大阪市内で開かれた検討会で「異常渇水対策としては必要ない」との見解を示した。
京都府と兵庫県も「異常渇水対策としての緊急性は低い」などと同調した。ダムは国や3府県などが建設費を負担。目的は治水対策、流水維持、異常渇水対策の三つとされており、国によるダム事業継続の判断に影響を与えそうだ。
検討会には、3府県など関係自治体と国土交通省、水資源機構の担当者が出席。
大阪府は、ダム建設の前提とされた渇水時の琵琶湖の水位低下は節水などで抑制できるとの試算を基に、「丹生ダムで容量を確保する必要はなく、計画的な渇水調整や節水対策などで対応できる」とした。
一方、国交省などは三つの目的別に、ダム建設と河川改修や宅地かさ上げなど代替案のコストを比較した試算を初めて公表。異常渇水対策では「ダム建設が有利」とした。
丹生ダムは琵琶湖に注ぐ高時川上流に治水・利水の多目的ダムとして1972年に計画された。96年までに水没地域の家屋移転が完了。用地取得などに約550億円が投入された。【千葉紀和】

 

八ッ場ダム工期延長の基本計画変更案発表に関する声明(八ッ場あしたの会 2013年8月12日)

8月6日、八ッ場ダム事業の計画変更が国土交通省関東地方整備局より提示されたことについて、「八ッ場あしたの会」は下記の声明文を同局局長および関係1都5県知事に送付しました。  (「八ッ場あしたの会」のホームページhttp://yamba-net.org/ より)

2013年8月12日

八ッ場あしたの会 代表世話人 野田知佑ほか

八ッ場ダム工期延長の基本計画変更案発表に関する声明

国土交通省関東地方整備局は去る8月6日、八ッ場ダム建設事業の工期を2015年度から2019年度へと、4年間延長する基本計画変更案を発表した。今後、各都県議会の議決に基づいて6都県知事が計画変更に同意すれば、2019年度完成に向けて来年度から本体工事が公式に進められることになる。

本体着工の前に立ち止まって冷静な目でダム建設の見直しを!
しかし、八ッ場ダム建設事業は多くの基本的問題点、矛盾を抱えており、このままダム完成に向けて推進することは将来において大きな禍根を残すことになる。

● 希少な動植物の宝庫、縄文時代にまで遡る膨大な歴史遺産、泉質の優れた川原湯温泉の旧源泉を沈めることは、取り返しのつかない損失となるのではないか?
● 名勝「吾妻渓谷」をはじめとするかけがえのない自然景観はダム完成後には今の様相が失われてしまうのではないか?
● ダム完成後には多くの住民が居住するダム湖周辺で地すべりなどの災害が惹起されるのではないか?
● 過疎化が急速に進行しつつあるダム予定地において、ダム完成後にダム湖観光で本当の地域振興をはかることができるのか?
● 首都圏においても水需要が一層縮小し、人口減少が顕著になっていく時代において、八ッ場ダムが完成しても無用の長物になることが目に見えているのではないか?
● 利根川流域住民の安全を守るために、治水効果が希薄な八ッ場ダムの予算をもっと有効な治水対策に振り向けるべきではないのか?
● 八ッ場ダムは堆砂速度が計画よりかなり早く、土砂堆積により、ダムの機能が次第に低下していくのではないか?

など、様々な問題点を覆い隠したまま、関東地方整備局は反対の声を無視して、ダム完成に向けて邁進しているが、果たして八ッ場ダムを建設することでどのような将来が到来するのか、立ち止まって冷静な目で科学的にダム建設の是非をあらためて考えるべきである。

八ッ場ダムの工期延長の真因は付替鉄道の工事の大幅な遅れ
八ッ場ダムの工期が2015年度から2019年度へと4年延長することについて、関東地方整備局は民主党政権によるダム検証を理由としているが、ダム検証の間も、ダム本体以外の関連工事は従前どおり進められてきた。現在のJR吾妻線はダム本体工事予定地を走っているから、本格的なダム本体工事を始める前に付替鉄道を完成させ、現鉄道を廃止しておかなければならず、当初の工程表では付替鉄道は2010年度完成の予定であった。ところが、付替鉄道の工事が遅れに遅れて、まだ未完成である。そのため、ダム検証があろうがなかろうが、八ッ場ダムの工期は大幅に延長せざるを得なかったのであり、関東地方整備局は責任回避のため、工期の遅れを民主党政権のせいにしている。

2019年度にダムは本当に完成するのか?
今回の基本計画変更案は工期4年延長であるが、本当に2019年度に八ッ場ダムが完成するのか、まだまだ不透明である。今年度は本体関連工事を行うことになっているが、その関連工事3件の中には記者発表上は「作業ヤード造成」となっているものの、実際はダム本体工事そのものであるダム本体左岸掘削工事(約10万㎥の掘削)も含まれている。これは、来年度から本体工事を始めるのでは工期が足りないという関東地方整備局の焦りを示すものであり、2019年度完成には難しい面があることを示唆している。
仮にダム本体工事が2019年度に完了したとしても、その後の試験湛水で地すべりが起きれば、ダム完成は大きく遅れることになる。奈良県の大滝ダム(国土交通省)では試験湛水により、地すべりが発生して38戸が移転を余儀なくされ、その後、延々と地すべり対策が行われて、工期は約10年延長された。また、埼玉県の滝沢ダム(水資源機構)は試験湛水後に地すべりが次々と起きて、その対策工事のため、工期が約5年延長された。貯水池周辺の地質がきわめて脆弱な八ッ場ダムでは、事前の地すべり対策では足りず、試験湛水中に深刻な地すべりが発生して、大滝ダムや滝沢ダムのように、工期が大幅に延び、ダム完成時期が2020年代中頃から後半になる可能性が十分にある。

事業費再増額の5度目の基本計画変更が行われることは必至
今回の基本計画変更案は工期延長と洪水調節ルールの変更のみであり、2011年のダム検証で示されていた地すべり対策等による183億円の増額は含まれなかった。関東地方整備局は事業費についてはコスト縮減で対応するというような曖昧な説明をしているが、実際は事業費増額に対して関係都県が拒絶反応を示していることから、その計画変更を先送りしただけである。
現在の総事業費4600億円に対して、2013年度までの執行予定額は3827億円であるから、まだ先延ばしすることができると判断し、先送りしたと考えられる。本体工事費を含む残事業費からコスト縮減で183億円を生み出せるわけがなく、実際には次に述べるように更なる増額要因もあるから、遅かれ早かれ、事業費増額の基本計画変更が浮上してくることは必至である。今までも、基本計画の変更は工期延長、事業費増額。工期延長と、小出しに行われてきており、今回もその場しのぎのやり方が踏襲されているのである。

いずれは事業費の増額は500~600億円以上  実際には関東地方整備局が表に出していない三つの大きな増額要因がある。

① 代替地の整備費用の大半の負担:80~100億円
住民の移転代替地の整備費用は、現在は事業費の枠外で、2011年度までで約97億円が投じられている。代替地は未だに造成工事中であるから、この整備費用がさらに膨らむのは確実である。八ッ場ダム事業では谷の大規模な埋め立てや山の斜面への造成など、地形条件の悪い中で代替地を無理をしてつくっているので、整備費用がきわめて高額になっている。代替地の分譲収益はせいぜい20億円程度であるから、分譲収益で整備費用を賄うことはできず、代替地整備費用の大半80~100億円は事業費に上乗せされると予想される。

② 東電への減電補償:160~200億円以上
八ッ場ダムの完成後はダムに水を貯めるため、吾妻川にある水路式の東京電力㈱水力発電所への送水量が減ってその発電量が大幅に減少するので、東京電力への減電補償が必要である。関東地方整備局は八ッ場ダム検証報告(2011年)の中で、減電量はわずかであるとしたが、それは恣意的な計算によるものであり、関東地方整備局が使ったデータを入手して減電補償額を計算すると、160~200億円以上になる。

③ 試験湛水中に地すべりが発生した場合の対策工事費:少なくとも100億円規模
前述の大滝ダムや滝沢ダムではダム本体完成後の試験湛水で深刻な地すべりが発生して対策工事が延々と行われ、地すべり対策工事費がそれぞれ約308億円、約145億円にもなっている(内閣参質171第186号の政府答弁書)。同様に、貯水池予定地周辺の地質がきわめて脆弱な八ッ場ダムでは、試験湛水によって深刻な地すべりが発生して追加対策を余儀なくされ、少なくとも100億円規模の増額が必要となる可能性が十分にある。
八ッ場ダムはダム湖周辺が多くの住民の居住地であるという特殊条件を抱えたダムであり、ダムを造るのであれば安全対策を万全にする必要がある。

上記の①、②、③も考慮すると、八ッ場ダム建設事業費の増額はダム検証で示された約183億円にとどまらず、さらに340~400億円、合わせて500~600億円以上の増額が必要となることが予想される。

以上述べたとおり、八ッ場ダム事業は本体工事に向けて、工期延長の基本計画変更案が示されたが、その先行きは混沌としている。
ダムが実際にいつ完成するか、不透明なまま推移し、事業費増額の問題が重くのしかかってくることが予想される。
このような状況において私たちは、八ッ場ダムという巨大な負の遺産を子孫に残さぬよう、決してあきらめることなく、八ッ場ダム事業の抜本的な見直しを求め続けていく。同時に、吾妻渓谷などのかけがえのない自然と、貴重な遺跡の宝庫を生かしたフィールドミュージアム構想により、真の地域振興の道を切り開くことを訴えていきたい。

石木ダム問題のパンフレット

2013年8月12日
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石木ダムに私たちの家・土地を明け渡すことはできません。

長崎県と佐世保市から立ち退きを迫られている石木ダム建設絶対反対同盟13世帯の皆さんが、故郷への想いと石木ダム事業が全く不要であることの訴えをパンフレットにまとめました。
石木ダム問題のパンフレット

皆さんから、支援の言葉を石木ダム建設絶対反対同盟13世帯の皆さんにお寄せ下さい。

石木ダム建設絶対反対同盟 連絡先
〒859-3603 長崎県東彼杵郡川棚町岩屋郷1249-1   岩下和雄

八ッ場「15年度完成」見直し(読売新聞群馬版 2013年7月31日 )

2013年7月31日
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太田昭宏国交大臣が7月30日の記者会見で、八ッ場ダムの2015年度完成は事実上不可能と述べたことに関して、読売新聞が詳しく報じています。
事業費増額に関して、八ッ場あしたの会の試算結果「500億~600億円規模の増額が必要になる」も紹介されています。

八ッ場あしたの会ホームページ

事業費の増額  http://yamba-net.org/problem/meisou/zougaku/

工期の延長   http://yamba-net.org/problem/meisou/kouki/

八ッ場「15年度完成」見直し(読売新聞群馬版 2013年7月31日 ) http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20130730-OYT8T01484.htm

太田国土交通相は30日の閣議後の記者会見で、八ッ場ダム(長野原町)の2015年度完成を目指す現行の基本計画について、「事実上不可能。よく議論、精査して(完成が)何年ということを提起し直さないといけない」と述べ、見直す方針を明らかにした。
ただ、見直しを終える時期や、完成時期の見通しについては言及しなかった。
八ッ場ダムは工事用道路の整備など関連工事の手続きが始まったばかりで、本体工事着工のめどは立っていない。本体着工から完成までに7年が必要との見方もある。
県関係者らは、現行の基本計画の期間内での完成は不可能とみて、国に対し「基本計画変更の手続きに早急に着手すべきだ」(大沢知事)と求めていた。
ダムの基本計画は1986年に告示され、3回にわたって見直されてきた。3回目の2008年の見直しでは、完成時期が15年度に延長された。計画見直しは次で4回目となる。
太田国交相の見直し表明について、地元は冷静に受け止めている。
長野原町の高山欣也町長は「誰が見ても今の計画通りの完成は間に合わず、見直しはやむを得ない。遅れを取り戻すよう工期短縮などに努め、早期完成を望む」と語った。
八ッ場ダム水没関係5地区連合対策委員会の篠原憲一事務局長は「いつまでもダラダラと工事が続くようでは困る。地元の声を新計画に反映してほしい」と訴えた。
また太田国交相は記者会見で、基本計画で約4600億円とされている総事業費について「それほど増加するとは思っていないが、精査が必要だ」と述べた。
総事業費は工事遅延による人件費の増加や、新たな地滑り対策工事などで、増額が避けられないとみられている。国交省が11年度に行った検証では、増額は約183億円と試算し、
建設に反対する市民団体「八ッ場あしたの会」は、500億~600億円規模の増額が必要になるとの試算を公表している。

石木ダム事業認定拒否要請 九地整に反対地権者ら (長崎新聞 2013年7月24日)

2013年7月25日
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7月23日、『石木ダム建設絶対反対同盟』をはじめとする6団体は国土交通省九州地方整備局へ、 石木ダムの事業認定拒否を求め、申し入れに行いました。

申入書は 九地整への申入書2013年7月23日
)のとおりです。

 石木ダム事業認定拒否要請 九地整に反対地権者ら (長崎新聞 2013年7月24日)

県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム事業の反対地権者でつくる「石木ダム建設絶対反対同盟」と支援者は23日、福岡市の九州地方整備局を訪ね、県が同局に申請している事業認定手続きを拒否するよう申し入れた。

同ダム事業は認定の可否決定を待つ段階にあり、認定されれば用地の強制収用手続きが可能になるため反対派が反発を強めている。

反対地権者ら27人が同局を訪ね、▽ダム建設は予定地住民の人権を侵害する▽市の水需要予測の根拠に疑問が生じている―などと主張。「ダムは不要。県との話し合いに絶対に応じない。県側も譲らないので、国として事業を拒否してほしい」と要請。同局は「公正中立の立場で対応している」とした。(宮崎智明)

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