水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 各地ダムの情報

ニュース

各地ダムの情報

補償金では人格権侵害を解決できない!! (石木ダム)

2017年10月7日
カテゴリー:

石木ダム共有地権者、収用委員会には採決申請却下を、起業者には取下げを要請

10月6日、石木ダム共有地権者からなる「石木ダム建設絶対反対同盟を支援する会」は、「石木ダム事業は生活の場や地域社会を破壊する人格権侵害を引き起すのは必至であり、補償金によって解決できる問題ではない」として、起業者である長崎県と佐世保市には申請の取下げを、長崎県収用委員会には申請の却下を求めました。

長崎県と佐世保市は2009年11月、石木ダム事業はどうしても必要な事業である、として、事業地内で生活している人々を強制的に排除し、私産を強制的に買取ることを可能にする法的手続きとして土地収用法に基づく事業認定申請を九州地方整備局に提出しました。きちんと科学的根拠を備えた「石木ダムには治水上も利水上もまったく必要性がない」という多くの異論を九州地方整備局はすべて無視し、2013年9月には事業認定処分を下しました。
事業認定処分を受け、長崎県と佐世保市は長崎県収用委員会へ3回に分けて収用・明渡裁決申請を提出しました。同収用委員会は事業認定の内容に触れることを拒否したままで、2015年7月には1回目の収用明渡裁決を下し、長崎県はその裁決に従って、4件の農地を収用してしまいました。このように、起業者が事業認定申請を提出すると程なくして事業認定処分が下され、収用・明渡まで直結しているのが土地収用法の実態です。
長崎県と佐世保市がこのままの状態で進と、13世帯が生活している家がすべて、居住者が拒否を続けているにもかかわらず、取り壊されてしまいます。

このように、土地収用法では人格権侵害を回避することが出来ません。法的に回避する手段として共有地権者を含めた地権者110名が事業認定取消訴訟を、石木ダムで何らかの権利侵害を受けるとした608名が工事差止訴訟を提訴して勝訴を目指しています。しかし、提訴中でも工事は進めて良いことが原則とされているので、もし勝ったとしてもダムは完成している、と言う状態になってしまいます(二風谷ダムの例)。こと行政訴訟となると裁判所は行政の裁量権を無限大と言うほどに認めて、原告に異常に高いハードルを課しているのが現状です。

このような現実を直視すると、人格権侵害を回避するには起業者が収用・明渡裁決申請を取下げさせる働きかけが必須です。

6日の要請行動で、佐世保市と長崎県は同じ反応を示しました。
「人格権侵害については係争中なので答えることが出来ません」なのです。一方では石木ダムの必要性を強調するのですからおかしな話です。
「収用裁決申請書には、水没予定地に13世帯60人弱の居住民が生活していることに一言も触れていないが、何故ですか?」と尋ねても回答はなしでした。「石木ダムは必要です」としか言わないのです。 下の写真は長崎県河川課への要請

長崎県収用委員会は、「このような要請を申し出られたのは初めて。要請を受けるとそれが前例になってしまうので収用委員会としては直接受けることはしない。事務局が預かり、収用委員会は事務局から受け取る」という対応でした。

「今回の3つの要請先には再度問題点を整理して、公開質問書を提出しよう」という声が参加者から多く出ました。

最後に長崎県政記者クラブで記者会見を持ち、要請行動の報告とこの問題の説明をさせていただきました。

3部署へ提出した要請書

長崎県への要請書
佐世保市への要請書
石木ダム事業に係る土地収用事件の却下を求める要請書

マスコミへの説明資料

土地収用法が公共事業推進法になっている理由

マスコミ報道

 

 

水没予定地の歴史を記録に(秋田県の鳥海ダム)

2017年10月4日
カテゴリー:

国土交通省は秋田県・子吉川の由利本荘市に鳥海ダムの建設を進めようとしています。この鳥海ダムに関する記事を掲載します。

鳥海ダムはダム検証が始まるまでは休眠状態であったダムですが、ダム検証で動き出しました。
秋田県下では、国土交通省が現在、雄物川上流で成瀬ダムの本体基礎掘削工事を進めています。この成瀬ダムに続く大型ダムとして、鳥海ダム事業を進めようというものです。
しかし、今年7月、8月の記録的豪雨で、雄物川は大氾濫し、多大な被害が生じました。治水効果がほとんどない成瀬ダムの建設に河川予算をつぎ込み、雄物川の河川改修をなおざりにしてきたことによるものです。

国土交通省は鳥海ダムで同じ轍を踏もうとしています。

水没予定地の歴史を記録に

  • ダム建設に伴い水没する弘法平の洞窟(由利本荘市鳥海町百宅で)

由利本荘・百宅地区で委員会を発足

 国土交通省鳥海ダム工事事務所は2日、ダム建設に伴い水没する由利本荘市鳥海町百宅ももやけ地区の歴史を記録として残すため、有識者による「百宅地区の記録保存委員会」を発足させる。

 同地区は平家伝説や鳥海修験、マタギといった独特の伝承や文化で知られる。委員会は3年ほどかけて歴史学や考古学、民俗芸能、美術、建築、地質、教育などの視点から、調査と研究の光を当てる。

委員会は13人の有識者で構成され、初会合が開かれる2日には早速、現地に入り、史跡「弘法平」や猿倉人形芝居の創始者・池田与八の顕彰碑、雷神社などを視察する。

 百宅地区は子吉川源流部の鳥海山麓にある。平家の落人伝説に加えて、弘法伝承も色濃く残り、「法体ほったいの滝」入り口には、空海が修行したと伝わる弘法平がある。

洞窟の奥に弘法大師像が安置され、古くから鳥海修験者の修行の場とされてきた。国指定史跡・鳥海山への追加指定が期待されたが、ダムの建設で水没するため、見送られた経緯がある。

 国指定重要無形民俗文化財・本海番楽の里としても知られ、下百宅講中の舞は番楽の原形を最も忠実にとどめるとされる。しかし、ダム建設への対応で住民の足並みが乱れたといい、10年前から休止状態にある。

今回の調査を機に復活を期待する声も強い。鳥海ダムは洪水調節や水道用水の確保、安定した川の流れの維持が狙いの多目的ダムだ。

流域面積約84平方キロで、総貯水容量は約4700万立方メートル。百宅地区を中心に310ヘクタールが水没、48戸が移転を余儀なくされる。

実現可能な施設計画抽出へ 県南3市町の水道水 南摩ダム再開で調査着手(栃木県)

2017年10月4日
カテゴリー:

栃木県は、必要性がない思川開発事業の水源を無理矢理使うため、栃木市、下野市、壬生町水道の地下水源を大幅に減らす県南水道用水供給事業を推進しつつあります。

このことに関する記事を掲載します。

県南水道用水供給事業によって栃木市、下野市、壬生町水道は地下水源が大幅に減り、まずくて料金が高い水道になることは必至ですので、この事業に反対する運動が進められています。署名活動も始まりました。

 

実現可能な施設計画抽出へ 県南3市町の水道水 南摩ダム再開で調査着手(県生活衛生課)

[日刊建設新聞 栃木版 2017/9/30] http://www.jcpress.co.jp/wp01/?p=19251

南摩ダム建設に伴う思川開発事業の再開が決まり、県と栃木・下野・壬生の3市町は、水道施設の整備に向け調査や検討が始まった。7月に県南広域的水道整備事業検討部会が開かれ、施設計画等の基礎的な調査検討に着手。県生活衛生課によると、一級河川思川にある取水堰など既存施設の活用に向けた調査検討や施設配置を検討、今年度末を目途に取水候補地を選定し、実現可能な施設計画を抽出していくとしている。施設計画の抽出に伴う水道施設広域化調査検討業務は、日水コン(東京都新宿区)が担当している。

南摩ダムに保有する県水は、毎秒0.403立方m。県は思川の取水位置を決め、取水施設や導水施設、浄水場などを整備し、参画の3市町に供給する計画。3市町は現在、全量を地下水で水道水を賄っており、24年度末にまとめた「栃木県南地域における水道水源確保に関する検討報告書」では、野木町を合わせ平成42年度を目標に表流水の比率を35%、日量3万5000立方mまで高めていくとしている。

地下水の代替水源として表流水の比率を高めていくことは、県南地域における地盤沈下や地下水汚染が危惧されるためで、同報告書では水道水源を地下水のみに依存し続けることは望ましくないとしている。また、異常気象による渇水リスクが高まる中、県南地域には水道水源として水資源開発施設がないことに危機感を示し、水資源開発には相当な期間を必要とすることから、長期的な展望に立って、事前対策を講じていく必要性に言及した。

今年度の調査では、水道水を供給するに当たって、取水先の思川から3市町のエリアに、活用可能な施設がどこにどのような形で存在しているか、既存施設の資料を収集し把握するとした。具体的には、取水・導水施設、浄水施設、配水施設等その他関連施設としている。

調査では、資料による把握が可能な範囲内で、新設や既存設備の活用など複合型の可能性を検討し、考えられる組み合わせを整理する。また、組み合わせの中で実現可能な施設計画を3パターン程度抽出するとしている。

実現可能な施設計画を抽出した上で、30年度以降は最適案を抽出。最適案による施設の概略設計をまとめ、概算事業費を試算するとした。

思川開発事業は、30年度に導水路工、31年度には南摩ダム本体工を公告。導水路工は取水放流工を含め35年度まで、南摩ダムは基礎掘削や盛立工を経て36年度に試験湛水を行うとしており、計画では37年度にも表流水への転換が可能になる。

石木ダムは必要ない!きめ細かな書面提出と骨子の陳述 (石木ダム関係)

2017年9月22日
カテゴリー:

工事差止訴訟第2回口頭弁論報告

2017年9月19日午後2時から長崎地方裁判所佐世保支部にて、石木ダム工事差止訴訟第2回口頭弁論が開廷されました。前回の第1回口頭弁論では何故に工事の中止を求めるのか、原告2名と弁護団弁護士3名が口頭陳述しました。今回は、起業者長崎県と佐世保市の言う石木ダムの必要性はすべて「石木ダムありき」の辻褄合わせ・数字合せであることを立証する書面と共に、手続き面において覚書違反であること、人格権侵害が現実に発生している上、これからはより深刻な人格権侵害が避けられないから工事を中止する必要があることを立証する書面を提出しました。併せて、毛利 倫弁護士が利水面の要旨を、緒方 剛弁護士が治水面と手続き面の要旨を陳述しました。これらの提出書面と2弁護士が陳述した要旨については、こちらをご覧ください。

次回(11月13日(月)14時から)は裁判所の指揮により、

  • 原告側の立証に対する被告側からの反論(裁判所への提出期限は11月6日)
  • 被告が「人格権等の侵害は工事差止の理由にならない」(こちらの9ページから)としている法的根拠

がテーマになります。

マスコミ報道

長崎新聞

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NHK長崎 ニュース画面 9/19

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石木ダム:建設めぐり長崎県と地権者 対立激化

2017年9月20日
カテゴリー:

石木ダム問題の現状を伝える記事を掲載します。

石木ダム:建設めぐり長崎県と地権者 対立激化

(写真)工事現場内の重機の前に座り込んで抗議する地権者ら=支援者提供

差し止め申し立て却下を潮目に

 長崎県と同県佐世保市が計画する石木ダム事業(同県川棚町)で、県と、ダムに反対する建設予定地の地権者らとの対立が激化している。1975年に事業着手したが、反対運動で長年停滞。しかし昨年末に工事差し止めを求めた住民側の仮処分申し立てを裁判所が却下したため、県側は来年度からのダム本体工事着手を目指し、今夏から作業のペースを上げている。対して地権者は「古里を奪うな」と工事現場に入り込み、警察が出動する事態となっている。

 今月6日午前、川棚町のダム事業と関連する県道付け替え工事現場のショベルカー前で、地権者らと県職員がにらみ合いを続けた。地権者らは工事を阻止しようと重機の前に座り込み、昼食もその場で食べる。県職員は妨害をやめるよう説得にあたるが、時には数人掛かりで座り込む人を持ち上げて排除することもある。

 県職員との押し合いで地権者の女性が転倒し、頭などを打って病院へ。県職員が県警に連絡し駆け付けた警察官が仲裁に入ったが抗議活動は夕方まで続いた。夏以降、現場では、こうした衝突が連日繰り広げられている。

 県が作業ペースを上げたのは「裁判の結果が大きい」(県河川課)。地権者らは昨年2月、長崎地裁佐世保支部にダム工事を差し止める仮処分を申し立てたが、同支部は12月に「工事の続行を禁止する緊急の必要性はない」と却下した。地権者側は差し止めの本訴を起こしたが、県は来年度の本体工事に向け「今年度末までに道路工事に一定のめどをつける」と強行姿勢だ。

 来年3月に任期満了を迎える中村法道知事も今年1月の記者会見で県政の重要課題として諫早湾干拓事業、九州新幹線長崎ルートとともに石木ダムを挙げ「方向性だけは示したい」と語った。

 県は7月末、工事出入り口で監視する地権者がいない未明の時間帯に複数の重機を現場に搬入。地権者らは話し合いを求めたが、交渉決裂。「このままでは工事が進んでしまう」として、工事現場の中に入って阻止活動を展開している。

 法廷闘争を続ける地権者側の弁護士は「ダムを造ってしまえば、裁判で争う以前の話になってしまう。県はそうした状況に持ち込みたいのでは」と語気を強める。抗議活動に加わっている支援者の一人は「道路工事が進むと、ここまで造ったのならダムも造っていいのではと県民世論が傾く恐れがある。必要の無いダムを造らせないためにも抗議行動を続ける」と語った。【浅野孝仁】

ことば【石木ダム建設事業】

 佐世保市への水道用水の供給や洪水対策が目的。1982年に長崎県が機動隊を動員して強制測量を実施し地権者との対立が深刻化した。現在、水没予定地に13世帯53人が住む。建設差し止め訴訟で地権者側は「ダムは治水・利水面ともに必要ない」と主張している。県は土地を強制収用するため、県収用委員会に裁決申請し審理中。

↑ このページの先頭へ戻る