水源連:Japan River Keeper Alliance

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各地ダムの情報

執行停止却下決定に対する声明  石木ダム

2017年4月17日
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石木ダム反対5団体と弁護団、執行停止却下決定に対する声明を発表

2017年4月11日、石木ダム反対5団体と弁護団は、3月30日に長崎地方裁判所が事業認定執行停止申立を却下したことに対し、声明を発表しました。

①起業者が今なお工事に着工できないのは、これまで、申立人らをはじめとする大勢の市民、県民が、「本件事業の正当性がないこと」を明らかにし、それが世論の支持を得ているからであること、②当該裁判所が権力にすり寄った判断に終始する姿勢を取っていること、を指摘しています。

そして、「権力にすり寄る姿勢を示した裁判所の救済を待つまでもなく、石木ダム事業を中止させるために,「石木ダムは不要であり,事業によって失われるものは重大である」ということを全国民の共通の認識とするべく、より広く,より強い運動を展開する決意をここに表明する」と決意を表明しています。

執行停止申立却下に対する声明(H29.4.11)

マスコミ報道

長崎新聞

石木ダム事業認定執行停止申立、却下!?

2017年4月9日
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3月30日、長崎地方裁判所が県側の主張を認め、申立を却下

この申立は、「事業認定の効力は,基本事件の本案判決が確定するまでこれを停止する。」の決定を求める申立でした。

事業認定執行停止申立は、事業認定がなされればそれに地権者が従わない限り行政代執行に至ることが確実であることを踏まえ、これに続く収用委員会による収用裁決・明渡裁決にストップをかけ、住居取壊し等の行政代執行を未然に食止めるための申立でした。
事業認定取消し訴訟係争中に無駄な石木ダム事業によって13世帯の皆さんが個々の生活と地域社会が破壊されることを未然に防ぐことを目的に据えた法的手段です。

この申立を裁判所は2017年3月30日に、「却下」しました。
極めて不当なことです。

この申立において長崎県がこんな反論(下に引用)をしていると決定書に記載されています。さらに裁判所は、石木ダムの必要性に何ら言及することなく、長崎県のこの反論を全面的に採用して却下を決定しています。

「損害の重大性について」
申立人らは,川原地区の地元住民が,川原地区で,人と人とのつながりの中で,土地の自然と恵みを享受しながら生活をし,その生活を続ける権利ないし価値を損害として主張する。しかし,土地収用法により土地を収用され,そこでの生活を営むことができなくなる不利益を直ちに人格権の侵害による損害であるというのは,土地収用法自体を否定するに等しく,上記の不利益は私有財産である土地を失うという財産的損害と評価されるにとどまる。そして,そのような損害は同法の規定に従い填補されることとなり,社会通念上,金銭賠償によって填補され得る性質のものである。」

この申立で、
①これが長崎県の基本的姿勢であること、②まったく不要な石木ダム事業遂行のために土地収用法を適用していること自体が13世帯皆さんの人格権侵害であること、③長崎県に「人格権権侵害を直ちに止めさせる」取組みが不可欠であること。
が明白になりました。

 

執行停止申立事件決定書( 申立人目録削除)

マスコミ報道

長崎新聞

苫田ダムの治水転用「対応困難」 県広域水道企業団 国打診断る方針

2017年3月31日
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岡山県の直轄ダム「苫田ダム」の利水容量の一部を治水容量に転用する話がご破算になったという記事を掲載します。

苫田ダムといえば、地元の奥津町(現・鏡野町)に対して建設省等が行政圧迫を行って、ダム反対の町長が予算を組めないようにして3期にわたって辞任に追い込んだ強権行使の象徴的なダムです。

ダム反対の予定地住民に対しては子息の勤め先まで手を回して、翻意を迫ることまで行いました。

しかし、苫田ダムの必要性はありませんでした。

苫田ダムの水利権を持つ岡山広域水道企業団の水源構成は苫田ダム40万㎥/日、既得水源が9.3万㎥/日ですが、現在の1日最大取水量は10万㎥/日少しにとどまっています。

それも、岡山市などが自己水源の一部を企業団水に切り替えた結果であって、苫田ダムなしで水需給に不足をきたすことはありませんでした。

この記事では40万㎥/日のうち、10.5万㎥/日が買い手がないと書かれていますが、実態は責任水量制を岡山市等に押し付けたものであって、岡山市等は企業団の水を持て余しています。

余剰の利水容量を国が買い取って治水容量に転用する交渉が行われていましたが、買い取り額が5億円で安すぎるということでご破算になりました。

苫田ダムの治水転用「対応困難」 県広域水道企業団 国打診断る方針

(山陽新聞2017年03月30日 22時51分 更新)http://www.sanyonews.jp/article/509980/1/

苫田ダム(岡山県鏡野町)の利水容量を保有する岡山県広域水道企業団(県と関係17市町で構成)は30日、岡山市内で開いた運営協議会で、利水容量の一部を治水転用するため買い取りを打診している国に対し、「現時点では対応は困難」として断る方針を決めた。

国側の提示価格が低いことなどが理由という。

同企業団は31日にも国土交通省中国地方整備局に文書で回答する。ただ、国側から再度の転用依頼があった場合は再検討するとの内容も盛り込む。

苫田ダムの利水容量は日量約40万トン。このうち10・5万トンは買い手が付かず、県が調整水量として引き受けている。

同整備局は2015年8月、洪水調整に活用するため、11・7万トンを約5億円で買い取ると打診。

県と関係市町で協議を重ねていたが、約5億円で売却すると同企業団に約84億円の帳簿上の差損が生じることなどから、「国の買い取り価格が資産価格に見合わず、将来の企業団経営に悪影響を与える」「異常渇水が起きた場合に対応できるのか」といった慎重意見が出ていた。

二風谷ダム訴訟 判決20年 父から子へ「闘い」今も 権利回復、道半ば /北海道

2017年3月26日
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アイヌ民族を司法の場で初めて先住民族と認定し、国の事業認定と北海道収用委員会裁決をいずれも違法とした二風谷(にぶたに)ダム訴訟の札幌地裁判決があってから20年になります。

ダム本体が完成していたことを理由に、二風谷ダム建設差し止めの請求は棄却されましたが、先住民族と認定した判決は画期的でした。

その記事を掲載します。

なお、二風谷ダムは堆砂がひどく進行し、2015年3月末現在で堆砂率は総貯水容量の約4割に達しています。

溜まった泥の濁りがダムの下流域から河口沿岸域までおよび、シシャモの繁殖に多大な影響を与えているとされています。

「沙流川の今。2016年7月29日」 http://protectingecology.org/report/6462

土砂供給量が非常に大きい沙流川はダムを造ってはいけない河川であるにもかかわらず、現在、二風谷ダムの上流で平取(びらとり)ダムの建設が進められています。

二風谷ダム訴訟 判決20年 父から子へ「闘い」今も 権利回復、道半ば /北海道

(毎日新聞北海道版2017年3月25日 )http://mainichi.jp/articles/20170325/ddl/k01/040/232000c

アイヌ民族を初めて先住民族と認め、独自の文化への配慮を欠いた事業認定を違法とした二風谷ダム訴訟の札幌地裁判決から27日で20年。

父の遺志を継いで訴訟を起こした貝沢耕一さん(71)と、もう一人の原告でアイヌ民族初の国会議員、故萱野茂さんの次男志朗さん(58)が胸に抱くのは、先住民族としての権利回復は、道半ばとの思いだ。民族の誇りをかけた闘いは、父から子へと受け継がれ、今も続く。

差別の歴史問う

雪が残る3月上旬の、平取町二風谷地区。穏やかに流れる沙流川に、二風谷ダムの巨大な水門が立つ。「子どものころ、向こう岸の畑に行くための丸木舟がいくつもあった。川遊びもできたよ」。貝沢さんは、ダムができる前の思い出を語った。

住民の7割がアイヌ民族の血を引くとされる二風谷では1970年代からほぼ毎年、舟下ろしの伝統儀式「チプサンケ」を再現してきた。82年にダム建設事業が始まり、北海道開発局が進めた用地買収に対し、文化継承が途絶えるとして土地明け渡しを拒否したのが貝沢さんの父正さんと、萱野茂さんだった。

裁判で問われたのは、差別の歴史そのものだ。アイヌ民族は明治以降の同化政策でアイヌ語や固有の習慣、生活の基盤だった狩猟や漁労を否定され、北海道旧土人保護法により、不慣れな農業が奨励された。

森、本来の姿に

「政府にアイヌの声を届けたい」。92年に亡くなった正さんの言葉は今も、貝沢さんの胸に残る。97年3月の判決後、同7月に旧土人保護法は廃止、アイヌ文化振興法が施行された。

貝沢さんは現在、開拓の名の下に切り倒された森を本来の姿に戻そうと、山林を買い取り、木を育てるNPO法人「ナショナルトラスト・チコロナイ」の理事長を務める。チコロナイは「私たちの沢」を意味するアイヌ語で、萱野茂さんが名付けた。買い取った土地約30ヘクタールに、伝統的な衣服の材料になるオヒョウなどを植えてきた。

この20年で「若い世代がアイヌ文化に関心を持ち始めた」と変化を感じるものの、「民族の権利や生活を改善しようと裁判を闘ったが、状況は変わらない。振興法はアイヌの権利を一切うたわず、文化を博物館に押し込むようなものだ」と、貝沢さんは批判する。

アイヌ語伝える

大学進学後、東京で暮らしていた萱野志朗さんは、カナダの先住民族との出会いをきっかけに、民族の言葉の大切さに気付いた。故郷に戻って父の下で一からアイヌ語を学び、現在は「萱野茂二風谷アイヌ資料館」の館長を務める。

2006年に亡くなった父に代わって地元の小中学生にアイヌ語を教え、現在も大人向けの教室を続ける志朗さん。「アイヌ語を失えば、民族が長年培ってきた価値観や知識も伝わらない。子どもや孫の世代に文化をどう受け継いでもらうのか、アイヌ自身もビジョンを持たなければならない」と強調した。

政府施策、文化振興に偏り

海外で先住民族の権利を認める流れが広がる中、政府は二風谷ダム訴訟の札幌地裁判決から10年余り過ぎた2008年6月、官房長官談話で初めてアイヌ民族を先住民族と認めた。だが政府のアイヌ施策は文化振興に偏っており、先住民族としてのアイヌの権利は具体化していない。

1997年3月の札幌地裁判決はアイヌ民族を「わが国の統治が及ぶ前から北海道に居住し、なお独自の文化およびアイデンティティーを喪失していない社会的な集団」として、先住民族と認定した。

07年9月に日本も賛成して国連総会で採択された「先住民族の権利に関する宣言」は、先住民族に自決権や文化的伝統を実践する権利、土地や資源に対する権利などを広い範囲で認めている。

権利宣言の採択に加え、北海道洞爺湖サミット(08年7月)の開催を控えてアイヌ民族が海外からも注目されるようになったことが、政府にアイヌを先住民族と認めるよう求める衆参両院の決議と、決議を受けた官房長官談話につながった。

政府は白老町に整備する「民族共生の象徴となる空間」の基本方針を14年6月に閣議決定。20年の東京五輪・パラリンピックに合わせた国立アイヌ民族博物館の開館のほか、生活や教育を支援する新法制定も検討されているものの、民族の権利についての議論は深まっていない。

二風谷ダム訴訟で原告側弁護団長だった田中宏弁護士は「単なるハコモノ造りではなく、同化政策の歴史に向き合わなければならない」と語る。

恵泉女学園大の上村英明教授(先住民族論)は「過去の政策や歴史に理解を深めないまま、日本社会がどう責任を取るかが定まっていないため、権利が実現していない。行政主導ではなく、政治や司法の場でもアイヌ民族への政策を問い直すべきだ」と強調した。

■ことば

二風谷ダム訴訟

平取町の二風谷ダム建設を巡り、地権者である故萱野茂さんと貝沢耕一さんが北海道収用委員会に、土地強制収用の裁決取り消しを求めた行政訴訟。札幌地裁は1997年3月27日の判決で、アイヌ民族を司法の場で初めて先住民族と認定。ダム建設がアイヌ文化に与える影響について調査を怠り、アイヌ民族の文化享有権を軽視したと指摘し、国の事業認定と道収用委裁決をいずれも違法とした。ダム本体が完成していたことを考慮し、請求は棄却した。

2017年3月6日 2つの裁判と工事差止本訴提訴の報告(石木ダム)

2017年3月20日
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この日、朝11時から長崎地裁で事業認定取消訴訟の第5回口頭弁論が、午後3時からは佐世保支部で妨害禁止仮処分申立の第3回審尋が開かれました。併せて、弁護団は608名の原告による工事差止訴訟(仮処分申立をしていたので、本訴とも呼ぶ)を午後3時に佐世保支部に提訴しました。
2つの裁判所前で門前集会をもち、仮処分審尋終了後16時から佐世保市中部地区公民館研修室にて報告集会を持ちました。

1.  事業認定取消訴訟の第5回口頭弁論 長崎地方裁判所

1月16日の第4回口頭弁論で被告側から出されていた反論への私たちから反論を展開するのが目的の口頭弁論でした。弁護団は事前に準備書面5(利水)とその補足資料、及び、準備書面(治水)を裁判所に提出していました。高橋謙一弁護士が利水問題について、田篭亮博弁護士が治水問題について、各要旨を口頭で説明しました。

 1) 準備書面要旨 箇条書きにします。

  (1)  利水(高橋謙一弁護士)

  • 現行保有水源から慣行水利権を除外していることの不合理性
  • 被告の言い分は、「平成19 年に本件慣行水利権では取水ができなかったので、量的に不安定である。だから除外した」の一言に尽きる。
  • 平成19年の渇水期には本件慣行水利権水源、「安定水源」としている許可水利権水源においても100 パーセントの取水はできていなかった。本件慣行水利権だけを除外することは明らかに不合理。
  • 現在、平成19年渇水時と同じ降雨状況、水量状況であっても、当時よりも水需要が減少しているので、佐世保市では水不足は生じてない。「10年に一回程度の渇水」にも対応できる。
  • 「万が一起こった場合に対応する必要がある」ということは、起こりそうもないことに対応するために石木ダムを建設する(から事業認定した)というのであれば、まさしく不合理というしかない。
  • 被告らは、まず、「石木ダムを作る」という命題をア・プリオリに、つまり絶対動かさないものとして、立てている。そのために屁理屈を並び立て、最後には、「(石木ダムを)作ればみんなが(水道水を今より多く)使うのだから作ってもよい」という本末転倒の主張さえしている。石木ダムが不要であることは明らか。
  • マトメ:少なくとも、地権者の意思を踏みにじってまで行う正当性が全くない違法かつ無効な事業であることは明白。

   (2)  治水(田篭亮博弁護士)

  • 長崎県がダムを造るために恣意的に数字等を操作している。
  • 計画規模はもともと1/30であったものが、石木ダム事業の話がでてきた昭和50年に突如1/100に変更されている。本明川ダムも同様であった。長崎県の恣意性は明らか。
  • 該当するパターンで雨量が突出しているのは3時間ではなく、1時間。従って、1時間に突出して集中して降る確率がどの程度あるか(降雨強度)を検討すべきなのは明らか。長崎県がこれをしていない。
  • 仮に100年に1度の雨が降れば、山道橋まで流れてくる前に上流で水があふれることを考慮していない。
  • 石木ダムがなくても100年に1度の雨がふっても現実に流せる。余裕のために地権者らの住み慣れた土地・家を奪おうとしている。実際には、余裕高が足りないのはわずかな区間でしかないので、堤防の嵩上げや、掘削工事で対応が可能。石木ダムがなくとも、わずかな工事で対応可能。
  • マトメ:長崎県は、数字を恣意的に操作してダムの必要性を作り上げてきた。必要ないものは必要ない。

  (3)  次回・次々回期日

  • 次回 5/22 14:00 被告の反論
  • 次々回 7/31 14:00

 2) 裁判所に提出された書面などの掲載

2.  妨害禁止仮処分申立の第3回審尋 長崎地裁佐世保支部

仮処分申立の審尋は非公開であるため、傍聴が出来ません。よって、簡単に記します。

1) 裁判所に提出された書面

2) 審尋内容

債務者(当方)の主張書面陳述

  • 債務者(被告)の疎明が出来ていない(申立てられた人がその人であることであることの疎明がされていない。)
  • 写真やDVDに写っている人物が債権者(原告)のいう人物としても、妨害行為をしている状況とは疎明できていない。
  • すべて疎明されたとしても、債務者らの行為は客観的に合理的な事業の必要性の説明を求める正当な要請行動である以上、憲法の保障する表現の自由(憲法21条1項)の範囲内の行為として許容されるため、債権者の請求はいずれも理由がない。
  • 債権者が疎明資料として提出する写真及びDVD(甲12,甲17,甲18)を見ても,①債権者らが本件土地を通行しようとしたこと,及び②その通行を債務者らが実力を用いて継続して妨害したことの疎明はなされていないと言わざるをえない。
  • 公権力である長崎県が、その事業の必要性について客観的合理的な説明を求める県民の行動をことさらに歪曲化あるいは矮小化して「妨害行為」と称して仮処分の申立てを行ったものである。
  • その必要性について客観的合理的な説明がなされないまま工事が強行されることにつき、反対の意思表示を行うものであり、なによりも、事業者たる県に対してダムの必要性について客観的合理的な説明をするよう求める説明要求行動である。
  • 自ら意思を表明して石木ダム事業という多額の税金を投入した県民市民の生活に大きな影響をもたらす事業の存続を左右する問題に関し、県政市政に影響力を持たせようとする点で、表現の自由の中でも参政権的側面を持つ民主主義の根幹にかかわる表現の自由の核心部分に含まれる権利である。
  • 債権者は本件において複数の写真等の証拠は提出しているが、表現の自由で保護される範囲を超えて通行の妨害行為があったことの的確な疎明はなされていない。
  • 債権者の主張は、要するに「自分が推進する事業に反対する輩は、絶対に認めない」という唯我独尊の偏見に満ちたものでしかない。さらに言えば、本件仮処分申請により、一般の市民を裁判にひき釣り込み、「恫喝」をすることにより、県民の行政に対する批判を封じようとする意思も見え隠れする。
  • したがって、少なくとも、かかる偏見に基づく根拠のない主張にだけでは、債務者らの憲法上もっとも重要な人権の一つである表現の自由を制約することは許されない。
  • 仮にその行動をしているとして、それが、いかなる事実をもとに、妨害の意思に基づく妨害行為であるか、について、各人・各行為一つ一つを、丁寧かつ慎重に判断していただく必要がある。
  • 債務者の特定、通行妨害行為の有無・評価、表現の自由の範囲を逸脱するかを厳密に判断しなければならない。しかし、そもそも本件においては債権者の提出する疎明資料では的確な疎明が行われておらず認められない。よって、債権者の請求は却下されるべきである。

(債務者1人1人についての写真・DVD  映像による「各債務者の行為に対する認否」については個人情報保護のため削除しました。遠藤)

3)次回 反論予定

  • 債権者(原告)→債務者第5主張書面に対する反論予定(提出まで1月)。
  • 債務者(被告)→債権者の主張を見て反論を予定する。

4) 次回までの宿題

  • 債務者 3月31日限り、債務者の反論書面
  • 債権者 4月14日限り、これへの反論を含めて反論

5) 次回期日

4月24日午後2時30分~        債権者、債務者双方の反論

3.  工事差止訴訟

(3月6日にマスコミ関係者に配付された簡易な説明書と同じです。)

3月6日15時、長崎地方裁判所佐世保支部に「石木ダム建設工事並びに県道等付替道路工事続行差止請求」を提出しました。
この問題については、2016(平成28)年2月2日に長崎地裁佐世保支部に申立てた「石木ダム建設工事並びに県道等付替道路工事続行禁止仮処分命令申立」が2016年12月20日に却下され、福岡高裁に12月28日に即時抗告した経緯があります。
申立に対する却下理由について熟慮を重ねた結果、「石木ダム建設工事並びに県道等付替道路工事」にかかる影響は長崎地裁佐世保支部の却下理由を遙かに超えるものであることから、以下に記す視点に立って、仮処分却下即時抗告に替えて、本訴に踏み切りました。

  1. 工事差止仮処分申立却下理由として、①緊急性を第一義にする、②行政訴訟法44条から、石木ダムの必要性など、事業認定の不当性・違法性に関わることは考慮しない、③税金の使われ方や自然破壊なども考慮しない、など多くの限界が示された。
  2. 上記3点についてじっくり迫る。
  3. 本訴係争中に工事案件が強行される場合は、即座に工事差止仮処分を申立てる。

この訴訟で明らかにすることは、

  1. 石木ダム事業は治水・利水両面でまったく必要性がないこと
  2. 不要な石木ダム事業が遂行されることで、生活基盤と地域社会が奪い取られるという13世帯皆さんの人権が破壊されること。
  3. 不要な石木ダム事業が遂行されることで、貴重な自然環境が破壊されること。
  4. 不要な石木ダム事業が遂行されることで、税金や水道料金を支払っている私たち主権者自身がその加害者になってしまうこと。
  5. 不要な石木ダム事業が遂行されることで、税金や水道料金を支払っている私たち主権者自身が必要とすることに回る財源が減少し、不利益を被ること。

などです。

これからも差止訴訟の原告を募ります。原告になって自分が被る不利益を相互に共有し、石木ダム中止を主張する当事者に名乗りを上げてください。原告募集については近々別掲します。

参考:原告608名の内訳

  • 事業地内居住者    42
  • 非居住の地権者   139(川棚町民25,佐世保市民38,他の長崎県民42,県外民34)
  • 非地権者・川棚町民  95
  • 非地権者・佐世保市民  90
  • 非地権者・2地区外長崎県民 151
  • 非地権者・県外民  91

原告側からの裁判所への提出書類

訴状 シオリ付き
  別紙 工事目録

 4 マスコミ報道

石木ダムで新たに工事差し止め求め提訴
(テレビ長崎2017年3月6日) 18:29http://www.ktn.co.jp/news/20170306117919/

 東彼・川棚町に計画されている石木ダムをめぐり、建設に反対する地権者らが、新たに工事の中止を求め、6日 長崎地裁佐世保支部に提訴しました。
石木ダム建設工事の差し止めを求めて新たに提訴したのは、建設に反対する地権者など608人で、6日午後、長崎地裁佐世保支部に訴状を提出しました。
反対地権者らは、工事差し止めの「仮処分」を求めて訴訟を起こしていましたが、去年12月、長崎地裁は「緊急性がない」として、これを却下。
このため、今回新たに、緊急性を争わない本訴訟として「ダム事業の治水・利水面での必要性や、地権者の身体の安全など人格権の侵害」を争点に、工事の差し止めを求めて提訴しました。
原告代理人 平山博久弁護士「仮処分の手続きというのは、どうしても緊急性、迅速性が要求されます。きちんと腰を据えて、権利侵害があるのかないのか、公開の法廷でやるべきだろうと、より多くの人達が立ち上がっているんだということを裁判所に見てほしいと、新たに本訴という形で起こしています」
原告団は、福岡高裁に抗告していた工事差し止めの仮処分請求については、取り下げることにしています。

工事差し止め求め提訴 石木ダム反対地権者ら
(読売新聞長崎版2017年03月07日)
http://www.yomiuri.co.jp/local/nagasaki/news/20170306-OYTNT50038.html

 県と佐世保市が川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、反対地権者ら608人が6日、県と市を相手取り、工事の差し止めを求める訴訟を長崎地裁佐世保支部に起こした。
昨年12月には、工事差し止めを求める仮処分の申し立てが却下されたが、新たな訴訟を通じ、権利侵害について県と市の考えを問うとしている。
訴状によると、「ダムは利水、治水において必要性はなく、県などは必要性に関してでたらめな予測をしている」と指摘。「人格権などを侵害しており、工事は禁止されなくてはいけない」などと主張している。
地権者側は2016年2月、工事差し止めを求めて同支部に仮処分を申し立て、同12月、「工事を禁止する緊急の必要性があるとは認められない」として却下された。
仮処分では審尋が非公開で行われたため、今回、公開の法廷で権利侵害を訴えることとし、福岡高裁への仮処分の抗告は取り下げるという。
県と市の担当者は「訴状が届いていないのでコメントは差し控えたい」としている。
同事業の関連では、地権者側が15年11月、国を相手に事業認定の取り消しを求めて長崎地裁に提訴し、同12月に事業認定の執行停止を同地裁に申し立てた。県も現在、反対地権者ら19人に対し、県道付け替え工事の妨害行為禁止の仮処分を申し立てている。

朝日新聞2017/3/7

  長崎新聞2017/3/7

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