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貯水量は浜名湖の2倍、見えぬ使い道 岐阜・徳山ダム

2018年10月23日
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徳山ダムが完成して10年、その開発水は全く使われていません。徳山ダムの開発水を無理矢理使うため、揖斐川から長良川と木曽川に送水する木曽川水系連絡導水路事業が計画されていますが、水余りが進む状況で必要であるはずがなく、
事業の検証も行われない状態になっています。
この問題を取り上げた朝日新聞の記事を掲載します。

貯水量は浜名湖の2倍、見えぬ使い道 岐阜・徳山ダム

編集委員・伊藤智章
(朝日新聞2018年10月18日10時31分)https://digital.asahi.com/articles/ASLBH56XNLBHOIPE01L.html?iref=pc_ss_date
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【動画】治水、利水、発電の多目的ダムとして建設された徳山ダム。利水の必要性は低くなっているが、ダムでためた揖斐川の水を渇水時に流せば環境改善になるという=細川卓撮影


(写真)導水路計画に反対し、放流予定地付近で独自の水質計測を続ける市民もいる=岐阜市長良古津の長良川


治水、利水、発電の多目的ダムとして建設された徳山ダム(岐阜県揖斐川町)。1957年の構想浮上から60年余りが経過し、その目的が今の社会に合わなくなっている。

「徳山ダムが(下流の)横山ダムと連携し、50センチ水位を下げました」。名古屋市で4日に開かれた木曽川水系流域委員会。国土交通省の担当者が強調したのは、7月の豪雨で徳山ダムがみせた治水効果だ。流入する水を一時全量ため込み、揖斐川下流の負担を減らした。
徳山ダムは治水、利水、発電の多目的ダム。当初は毎秒15トンを愛知、岐阜両県や名古屋市の都市用水に供給するはずだったが、長い工事期間のうちに水余りに直面し、最終的に6・6トンに縮小された。代わりに洪水対策などの容量を増やし、治水効果が上がったという。
一方、この7月豪雨では長良川の支流・津保川があふれ、岐阜県関市上之保で2人死傷、全半壊約100戸の被害が出た。現地では9月末も家屋がブルーシートで覆われ、畳を上げて修理中だった。車が流された自営業男性(62)は「早く川を浚渫(しゅんせつ)して安全にしてほしい」。家のすぐ裏の津保川は近くで別の川と合流しているうえ、下流約100メートルでカーブし、砂がたまりやすいという。
岐阜県も付近の危険性を認めており、緊急対策が必要な県管理河川(265キロ)にこの地区の津保川を挙げている。だが2023年までに完成を目指す50キロには含めておらず、着手はその先の予定だった。
「限られた予算。選ばざるをえない」。県の担当者は苦しげだ。県の今年度の治水予算は124億円。国の事業抑制に加え、06年に表面化した県財政危機から、予算は20年前の4分の1まで減らされている。
検証進まぬ、導水路事業
利水の必要性が下がっているなか、岐阜県はダムの完成後23年かけて利水負担金約400億円を水資源機構に払う契約を結んでおり、まだあと240億円残っている。本来は西濃地方の市町や企業に水を売って返済するはずだったが、地下水が豊富で一滴も売れず、一般会計から払う。利子や治水分なども合わせ、県の負担は年30億円を超える。
徳山ダムの利水関連事業はまだ続いている。国の木曽川水系連絡導水路事業(890億円)だ。ダムでためた揖斐川の水を、愛知県や名古屋市が取水施設をもつ木曽川や長良川に流す。渇水時は水を流せば環境改善にもなるといい、上流ルートの途中で一部を長良川に落とし、下流ルートでまた木曽川へ流す。
だが節水の定着などで、愛知県や名古屋市の水需要は横ばいから減少傾向だ。ピークの1975年に124万トンあった名古屋市の1日最大給水量は昨年、83万トンにまで減った。「100年に一度の大渇水」と言われ、各地で断水騒ぎのあった94年8月レベルだ。
長良川への放流も、むしろダムの冷たい水を入れることで「アユの成育などに影響するのでは」などという根強い疑問があり、市民グループが独自に毎月、水質計測を続けている。
民主党政権時代の2009年、全国のダム検証の対象に導水路事業が入り、公開の場で費用対効果などを調べることになった。名古屋市の河村たかし市長は導水路に批判的で、15日も記者の質問に「利水で要るというなら具体的に(国に)証明してもらわないかん」と話した。国交省も簡単に継続の結論を出しにくく、この3年間、会議が開かれていない。全国83の検証事業のうち、いまだ「検証中」は導水路など四つだけになった。(編集委員・伊藤智章)

〈徳山ダム〉 揖斐川上流に建設された、治水、利水、発電の多目的ダム。岩を積み重ねて造るロックフィルダムで、ダム本体は高さ161メートル、長さ427メートル。総貯水容量6億6千万トンは静岡県の浜名湖の約2倍に相当する。

(でら日本一 東海)満面の水 どう使う(徳山ダムと木曽川水系連絡導水路についての記事)

2008年10月に完成した日本最大のダム「徳山ダム」(総貯水容量6.6億㎥)は開発水が一滴も使われていません。その徳山ダムと、その開発水を無理矢理使うために考え出された木曽川水系連絡導水路についての記事をお送りします。

(でら日本一 東海)満面の水 どう使う

〔朝日新聞2015年1月31日18時03分)http://digital.asahi.com/articles/ASH1W5T90H1WOIPE01Z.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1W5T90H1WOIPE01Z

(写真)徳山ダムがある岐阜県揖斐川町は県有数の豪雪地帯でもある。ダムの堤の直下(写真左下)には、発電所の建物がある=朝日新聞社ヘリから、吉本美奈子撮影

写真・図版
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木曽3川のひとつ、揖斐川最上流部の山奥に中部電力徳山水力発電所(岐阜県揖斐川町)はある。民家のような外観の建物の地下で昨年11月、発電機の据え付け作業があった。
天井からつるされたクレーンを使い、直径8・3メートル、重さ約200トンもある筒状の装置がゆっくりと床に置かれた。下にある水車が回り、中のコイルで発電する。計画から半世紀を経過した発電事業はようやく最終段階に入った。本格発電の開始は今年6月の予定だ。
発電所が使う水は、隣の徳山ダムのダム湖。その総貯水容量は6億6千万トンで、日本のダム湖で最も多い。静岡県の浜名湖の約2倍だ。
ダム計画が浮上した1957年は、政府が経済白書で「もはや戦後ではない」と宣言した翌年だ。濃尾平野を長年悩ませてきた洪水対策に加え、右肩上がりの経済成長に必要な水や電気をまかなうことを目的とする一大プロジェクトだった。
事業費は3327億円に達し、旧徳山村(現揖斐川町)の全466世帯に移転も強いた。南北朝時代に北朝に敗れた新田義貞が隠れていたとの伝説もある歴史ある村。87年3月の廃村式典で、神足正直・村議会議長(当時)は「今まさにこの地を失うことは痛恨極まる」と、無念の思いを残した。
そうした犠牲のうえに立つダムは、どれだけ世の役に立っているのだろうか。
揖斐川中流の岐阜県大垣市。荒崎地区では大雨が降ると支流から水があふれていたが、ダム完成後はそうした事態は招いていない。大垣市治水課の担当者は「ダムの効果が出ている」とみる。
ただ、人口減を迎えて低成長が定着したいま、経済成長を前提にした利水や発電での活躍は、むしろ期待外れだ。
発電所規模の最大約15万キロワットは76年に立てた計画の半分以下。工業用水や水道用水として毎秒6・6トン使うはずだった水はいまだに一滴も使われていない。国の予測によると、木曽川水系の水は徳山ダムがなくても、通常時は5割以上も余る。「10年に一度」の渇水時でもまだまかなえる。
国土交通省は、ダムの水を使えるようにと、新たに木曽川に水を通す導水路の新設を計画する。「10年に一度以上の渇水に備えるため」という。必要な事業費は890億円。「コンクリートから人へ」をスローガンにした民主党政権のもと、2010年に必要性の再検証を始めた。だが、それから4年余り。建設の是非は、結論を出す時期すら決まっていない。(大日向寛文)
■伸びぬ水需要、導水路には疑問 岐阜大教授・富樫幸一さん
1973年の当初計画から見直しの連続だったのが徳山ダムの歴史です。毎秒15トンだった水道用水や工業用水向けの水量は、2004年の見直しで6・6トンと半分以下に。「成長が続いて水需要が右肩上がりで増える」という想定が外れたからです。
これからは人口減少に加えて、節水型トイレなどへの切り替えも進み、水需要はさらに減っていくでしょう。国、自治体ともに未曽有の借金を抱えるなか、新たに徳山ダムの水を木曽川まで導水路で運ぶ余裕があるのかどうか。環境や住民の生活を壊してまでダムをつくる時代はもう過去のことではないでしょうか。
写真・図版

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