水源連:Japan River Keeper Alliance

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工事差止仮処分申立、長崎県・佐世保市、必要性の審議拒否、結審!?

2016年12月28日
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  • 9月8日、第3回工事差止仮処分申立審尋。
    長崎県・佐世保市、必要性の審議拒否、結審

9月8日午後2時から長崎地方裁判所佐世保支部で第3回工事差止仮処分申立て審尋が開かれました。債務者側は事業の必要性についての審尋は不要としてこれ以上の審尋を拒んだため、裁判所は審議はつきたとして、結審となりました。決定は年内に出されることになりました。
裁判所は3ヶ月をかけて判断を下すとしていることから、申立者が受けるであろう権利侵害にも踏み込むことと思われます。

債務者側が「事業の必要性についての審尋は不要」としていることは許しがたいことです。
一連の工事が必要であるならばその説明責任を何故、果たそうとしないのでしょうか!!

債権者が提出した書類

準備書面6(被保全権利についての追加主張)改訂版
準備書面7(44条関係)
準備書面8(被保全権利についての追加主張②) 

債務者が提出した書類

県準備書面1
第2準備書面(佐世保市) 

写真家が県に抗議 石木ダム仮処分で写真無断使用

2016年12月27日
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12月27日 長崎県は石木ダム建設計画で、地権者らによる工事妨害行為の禁止を求めて仮処分を申し立てた際、写真家・村山嘉昭さんの写真集の写真を無断使用しました。
長崎県の形振り構わぬやり方に心底からの怒りを覚えます。

石木ダムの写真使用で抗議

長崎県が、川棚町に計画している石木ダムの建設をめぐって、地権者らが妨害しないよう求める仮処分を裁判所に申し立てた際、工事に反対する住民を写した写真集の写真を、無断で、裁判所に提出したとして、撮影した写真家が県に抗議文を提出しました。
石木ダムをめぐっては、建設に反対する地権者などが工事現場で座り込みを続けていて長崎県はことし10月、地権者らが工事を妨害しないよう求める仮処分を長崎地方裁判所佐世保支部に申し立てています。
これについて、石木ダムや住民を撮影している写真家の男性が、写真集の写真を、県が、無断で、裁判所に提出したとして県に抗議文を提出しました。
男性や県によりますと、提出した写真は、現場で抗議活動をする住民が写った4枚だということで男性は、「ダム建設に反対する住民の思いを伝えようと撮影したのに、逆の意図に使われ不利益になりかねない。裁判での使用は住民も自分も想定しておらず、今後の撮影活動にも大きな影響が出る」と批判しています。
一方、長崎県は、NHKの取材に対し、抗議活動をする住民を特定するための証拠として裁判所に提出したと説明していて「写真集は公に出版されており、法的に問題はない」と話しています。

 

 

 

 

 

鬼怒川決壊1年 「国の失政」疑念今も

2016年12月26日
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12月26日 旧・建設省は2000年に「河川堤防設計指針(第3稿)」をつくって、耐越水堤防(フロンティア堤防)の普及を図ろうとしました。しかし、耐越水堤防が川辺川ダム等のダム事業の推進の妨げになると見た国交省はこの指針を2002年に撤回しました。

安価な耐越水堤防の普及が進められていれば、昨年9月の鬼怒川水害の堤防決壊を防ぐことができていたかもしれません。
この問題を取り上げた記事を掲載します。

<取材ノート いばらき2016>鬼怒川決壊1年 「国の失政」疑念今も

(東京新聞2016年12月26日)http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201612/CK2016122602000165.html

(写真)鬼怒川決壊から1年の今年9月10日、決壊現場に集まり手を合わせる地元住民=常総市で

写真

 「計画規模を超えた洪水による被害を最小限に抑え、危機的状況を回避する」「越水に対しても、破堤しにくい堤防の整備が求められる」

 一見すると、常総水害の鬼怒川決壊についての記述に思える。しかし、これらは十年以上前、旧建設省が毎年、白書に繰り返し書いていた内容だ。国は当時から、今回のような堤防の決壊を危惧し、対策の必要性を指摘していた。

 鬼怒川決壊は、川の水が堤防を越える「越水」によって、住宅地側から崩れたのが原因。堤防決壊は、より大量の水が住宅地に流れ込み、勢いも強く、被害は大きい。鬼怒川決壊の現場では、一人が亡くなり、住宅数戸が流失した。

      ■

 多くの識者は常総水害を「想定外の雨が原因」としたが、国土交通省OBは「国は『想定外の雨』を想定していた」と語った。

 ダムは上流で水を貯(た)め、川に流れる水量を減らす。しかし、想定以上の雨で貯水能力を超えれば、川の水位は上がる。堤防を越える「越水」が起き、堤防決壊の可能性が高まる。

 このため、建設白書は一九九六年から五年連続で、想定外の雨や越水対策の必要性を明記。二〇〇〇年、決壊しにくい構造の「フロンティア堤防」の設計指針が全国に通知された。全国で整備が計画され、四つの河川で完成した。

 しかし、〇二年に設計指針の通達は急に撤回され、フロンティア堤防の整備は立ち消えに。白書に撤回理由は書かれていない。

 取材を進めると、複数の国交省OBや学識者は「当時、ダムの反対運動が激しく、堤防強化がダム不要論につながるのを恐れたため」と証言した。

 国交省の担当者は「効果がはっきりしないため」と説明した。「経過があまりにも不自然だが」と尋ねると、「過去に、そういう取り組みをした人たちがいたのは承知している。見解の相違」と話し、歯切れが悪くなったように感じた。

      ■

 発生から一年後の今年九月、決壊現場で開かれたイベント会場を訪れた。国交省が、ダムがなかった場合の被害予想図を展示していた。浸水面積はもっと広かったはず、とダムの効果をPRしていた。一方、堤防が決壊しなかった場合の被害予想は、分かっていないという。

 国交省は現在、鬼怒川で堤防の集中整備を進めている。しかし、「決壊しにくい構造の堤防にしないと、また同じことが起きうる」と訴え続けている国交省OBもいる。

 鬼怒川決壊では避難指示をめぐる常総市の混乱が問題になり、堤防強化を撤回した国の政策転換は、注目されなかった。決壊は、河川政策の間違いの証明ではなかったのか。十分に検証されたとは思えず、疑念は今も消えない。 (宮本隆康)

      ×

 二〇一六年もあとわずか。今年県内で起きた出来事を記者が取材ノートをもとに振り返る。

米国西部でダム3基撤去へ、自然再生めざす 生態系にもたらす恩恵が大きいダムを優先

2016年12月5日
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12月5日 米国のダム撤去についての記事を掲載します。
日本で撤去工事が進められているのは、熊本県・球磨川の荒瀬ダムだけです。残念ながら、荒瀬ダムに続くダム撤去の話がありません。
環境

米国西部でダム3基撤去へ、自然再生めざす

生態系にもたらす恩恵が大きいダムを優先

NATIONAL GEOGRAPHIC2016.12.02http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/c/120100019/
(写真)カリフォルニア州ベンチュラ郡のマティリヤ・ダムは、既にその役割を終え、川を自然な状態に戻すために撤去される予定だ。(PHOTOGRAPH BY RICH REID, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 米国ワシントン州の中南部に住む先住民ヤカマ族は、あと10年もすれば、昔のように伝統のサケ漁ができるようになるはずだ。

 ただしそのためにはまず、ネルソン・ダムを撤去しなければならない。ネルソン・ダムは、ヤキマ川最大の支流ナチェズ川にある高さ2.4メートルの分水ダム。1920年代に建設されたが、現在は使われていない。ところがこのダムがあるために、サケの遡上が阻まれているという。(参考記事:「ダム撤去でサケは戻るか? アメリカ」

 ダム撤去を支持する人々は、2020年までに撤去工事を完了したいと願っている。実現すれば、魚や川の栄養分が下流へ運ばれるほか、洪水の危険性も低くなる。

 意外に思えるかもしれないが、ダムがなくなることで川の水量が増し、地域の気候回復力が高まるだろうと、ウィリアム・アンド・フローラ・ヒューレット財団で環境プログラムを取りまとめるマイケル・スコット氏は期待を寄せる。なぜなら、ダム湖に水を貯めたままにしておくと多くが蒸発して量が減ってしまうが、その水を下流へ送ってやれば、天然の帯水層へ水を補給することができるからだ。(参考記事:「干ばつが招く地下水の枯渇」

【動画】ダムがなくなった川に魚たちが戻ってきた(解説は英語です)。

 ネルソン・ダム撤去計画は、ヤカマ族と地元自治体、州政府、連邦政府の共同事業だ。ヒューレット財団が支援する3つのテストケースのひとつであり、ダム撤去への寄付金としては最高額となる5000万ドルを提供する。

 財団としては、ネルソン・ダムのように、撤去することで生態系にもたらす恩恵が大きいダムを最優先にしたいとスコット氏は言う。また、ダムが「無用の長物」と化していることも条件だという。つまり、既にダムとしての役割を終え、かえって周辺環境へ害を及ぼす恐れのあるダムを対象とする。

 このようなダムは、全米で1万4000基以上存在する。2020年までに、70%以上の米国のダムが築50年を超え、その多くが撤去候補となりうる。実際、ダム撤去の動きは広がり、現在も年間数十基が取り壊されている。問題は工事に莫大な費用がかかることだが、一方で古いダムを維持し、新しい基準に合わせて改修工事をするにもやはり巨額の費用が必要だ。(参考記事:「米国に広がるダム撤去の動き」

 これは、ただダムを取り壊すというだけの話ではないと、ヤカマ族の天然資源問題担当のフィリップ・リグドン氏は言う。環境と地域社会に最大限の恩恵をもたらすには、例えば当地のヤキマ盆地30年計画のように、より大きな環境再生計画の一環として撤去作業を進めるべきだという考えだ。ヤカマ族は1960年代、連邦政府との合意で、地域に生息する魚の半分を捕獲する権利を得たが、魚自体が存在しなければ、権利だけを所有していても何の意味もないことに気付いた。

 そこで政府や非営利団体と協力して、2011年には築100年近い高さ38メートルのコンディット・ダムを撤去した。それからわずか数カ月で、川にはニジマスが戻ってきたという。

(写真)魚の生息地を取り戻すために撤去されたオレゴン州ローグ川のサベージ・ラピッズ・ダム。同じく、ローグ川にある他のダムも間もなく取り壊される。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

映画にもなったマティリヤ・ダムの例

 もうひとつ、ヒューレット財団の支援で近いうちに取り壊しが予定されているダムが、カリフォルニア州ベンチュラ郡にある高さ51メートルのマティリヤ・ダムである。「ダムネーション」というドキュメンタリー映画で取り上げられ、巨大なハサミでダムの壁をふたつに切ろうとしている落書きが登場する。ベンチュラ川の支流に1947年に建設されたが、大量の泥が沈殿し、そもそもの目的である農業用水の確保がもはやできなくなっている。

【動画】映画「ダムネーション」より。ダムができる前のアリゾナ州グレンキャニオン (解説は英語です)。

 ベンチュラに本社を置くアウトドア用品のブランド「パタゴニア」は、ヒューレット財団やその他の団体と協力して、2020年までにダム撤去に必要な資金集めを行っている。実現すれば、カリフォルニア州史上最大のダム撤去工事となる。(参考記事:「米最大のダム撤去計画、解体作業始まる」

「マティリヤはパタゴニア本社のすぐ近くにあって、ぜひとも取り壊すべきだと考えています」と、同社の環境問題担当副社長、リサ・パイク・シーヒー氏は言う。川にすむ魚やその他の生き物はもちろん、釣りや川下りを楽しむ人々のためにも、「自然な環境を取り戻したいと願っています」(参考記事:「ダムの壁に張り付き、塩をなめるヤギ」

ローグ川の場合

 ヒューレット財団の第3のターゲットは、オレゴン州南西部を流れるローグ川の盆地に建設された、複数の小規模ダム群と関連の構造物である。本流の一部は連邦政府の保護区に指定されているものの、その他の場所にある構造物は、既に本来の役割を終え、かえって魚や養分の流れを阻害している。

 財団は、ローグ盆地パートナーシップおよびローグ川流域評議会と協力して、向こう10年間で最大50カ所のダムや障害物を撤去する計画を立てている。支援者らは、大きな意味のある第一歩であるとしながらも、まだ先は長いと話す。

 ダム撤去の目的は、水、そして自然環境の再生であり、世間の関心は強いとスコット氏は言う。「それに、撤去には爆破工事が伴うとなれば、注目度が高まります」

2015年9月鬼怒川水害に関する日弁連の会長声明と調査結果報告書の発表

2016年12月4日
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日弁連が2015年9月鬼怒川水害に関する会長声明と調査結果報告書を2016年12月2日に下記のとおり、発表しました。

 

2015年9月鬼怒川水害の調査結果報告書の発表に当たり、改めて、ダム依存から脱却し、総合治水及び堤防の強化を求める会長声明

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2016/161202_2.html

 

当連合会は、茨城県常総市を中心に発生した2015年9月の鬼怒川水害(以下「本水害」という。)に関して調査を行い、

本日、その結果を取りまとめた調査報告書日弁連 鬼怒川水害の調査報告書20161202

http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/100617_2.pdf)を発表した。
本水害では、常総市三坂地区で鬼怒川の左岸堤防が破堤するとともに、同市若宮戸地区でも溢水が生じ、また、鬼怒川に排水される八間堀川が氾濫を起こすなどして、同市市域の約3分の1に当たる約40㎢が浸水するなど、極めて甚大な被害が発生した。
当連合会は、2010年6月17日付け「ダム依存から脱却し、総合治水及び堤防の強化を求める意見書」において、総合的な治水対策の実施及び当面の対策として既存堤防の強化を提言した。本水害が同提言後の一級河川本川の破堤を伴う大規模水害であったことから、本水害の原因等について調査及び考察を行い、今後への提言を含めて、調査報告書として取りまとめた次第である。

調査の結果、鬼怒川においては、湯西川ダム建設事業に治水負担額として約1144億円もの支出を行う一方、下流の茨城県側は、既存堤防が流下能力不足等により脆弱であるにもかかわらず、堤防整備等が遅々として行われず放置された上、下流の河道負担を軽減する上流域での森林整備等の流域対策も採られず、三坂地区の破堤や若宮戸地区の溢水につながったことなどが明らかになった。また、総合治水が採り入れられず、流域の森林及び水田の貯留機能や既存河川施設の活用及び適切な避難対策やハザードマップの活用等の被害軽減方策がなされていなかったことも明らかとなった。

本年における、台風10号による降雨を原因とした岩手県での二級河川小本川の氾濫、北海道石狩川水系空知川並びに十勝川水系札内川での破堤氾濫及び台風16号による降雨を原因とした宮崎県延岡市での北川の氾濫など、水害が話題にならない年はない。毎年のように頻発する水害の被害を防止・軽減し、住民の生命・身体・生活財産を守るためには、各流域において総合治水方式へと治水対策を抜本的に見直すとともに、その実現と平行して、脆弱な既存堤防を強化し、破堤を生じないよう対策を講じることが喫緊の課題である。

本調査報告書の発表に当たり、当連合会は、改めてダム建設や堤防の改新築・河道掘削などの河道整備ではすべての洪水を河道に閉じ込めることは不可能であるとの認識をもとに、従来型の洪水対策から脱却し、流域全体で洪水を受け止めるという発想に立ってハード面・ソフト面にわたる総合的な治水対策を実施すべきこと、及び、かかる総合的な治水対策を推進しつつも、既存堤防の破堤を防止するため、速やかにその強化を求めるものである。

 

2016年(平成28年)12月2日

日本弁護士連合会

会長 中本 和洋

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