水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース

ニュース

水源連の最新ニュース

「今後の水資源政策のあり方について」答申案へのパブコメ個別意見と水資源開発分科会の議事録

2015年4月10日
カテゴリー:
国交省の国土審議会の答申「今後の水資源政策のあり方について」http://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000061.html
 を審議した3月13日(金)の国土審議会第14回 水資源開発分科会は、答申案へのパブリックコメントを行った結果を踏まえて、答申をどうするかを議論する会議でしたが、まことに腹立たしい会議であったことはすでに報告しました。
 パブリックコメントを行った意味がまったくない会議でした。
 提出された個別意見を事前に委員に送ることはせず、国交省が都合よくまとめたものhttp://www.mlit.go.jp/common/001082915.pdfを委員に送っただけで、個別意見は当日、各委員の机の上においてあるだけでした。
 そのため、個別意見が示した水資源行政の問題点が委員たちに伝わっていませんでした。また、委員たちの問題意識の不足もあって、議論はいわば答申案の言葉遊びに終始していました。
 この個別意見は一般には公開されませんでしたので、情報公開請求をするとともに、公開するように国交省と直談判もしました。
 その結果かどうかは分かりませんが、パブコメの個別意見が国交省HPに公表されました。興味のある方はご覧ください。http://www.mlit.go.jp/common/001084616.pdf
ちなみに12番目が水源連・嶋津の意見です。

また、3月13日の 水資源開発分科会の議事録も国交省HPに掲載されました。http://www.mlit.go.jp/common/001084742.pdf

 この会議は上述のように虚しい会議でしたが、最後にあいさつした藤山秀章水資源部長が意外なことに個別意見が提起した問題に触れていました。ダムが環境に与えた負荷への反省がない、水余りが進んでいる、水資源開発促進法を廃止すべきなどの意見があったと語っていました。
 それに対する藤山氏の見解はよく理解できませんでしたが、参考のため、その発言を下記に記しておきます。

【藤山水資源部長】 どうも長い間のご審議ありがとうございました。私が何か言うと、

周りが、また何か言い出すんじゃないかと心配しているところもあるんですけれども、答
申という形でいただくことになりますので、これを受けてどう動くかということになるか
と思います。
 それで、今日の会の主題は、パブリックコメントを受けてということなんですけれども、
ちょっと舌足らずなところがありまして、この資料4の横書きの中に、後半の部分を省略
して説明をさせていただいたんですけども、むしろ丁寧にご説明するとすれば、本文の中
に反映されなかったご意見に対して、どういう考え方で反映されなかったのかを、本当は
一つ一つご説明して、委員の皆様方のご了解を得なければいけなかっただろうと思ってお
ります。その辺のところは大変申し訳ないと思っています。
いくつか大きな意見をあらためてご紹介をすると、これまで水資源開発のために作って
きたダムは、水循環の観点だけではありませんけれども、非常に環境に対して大きな負荷
を与えてきたと。そういう大反省が少ない、ないというご指摘が一番大きな意見としてあ
ったと。この分科会あるいは部会の方でご議論いただいた時には、先の方を見てご意見を
いただくというような進め方でやってきたので、その部分についてはここでは大きく触れ
なくて、淡々と、将来を見据えてという言い方になっているんですが、それではまずいと。
ちゃんと総括すべきであると。ダムというのは必ず自然環境に何らかの影響を与えるとい
うことは当然のことであると認識しておりますが、その辺のところのご意見が大きくあっ
たということが1つ。
それと、あと水需要という話でいくと、よく水が余っているという話がされます。これ
につきましては、前にもこの場でご説明させていただきましたけれども、10年に1回の
渇水というものに対して、これから新規にどれだけの水が必要になってくるのかと。10
年に1回と、私ども、テクニカルな言葉になりますが、それを安全度と呼んでいます。そ
の安全度、10年に1回という渇水に対して、財政的制約、ダムを築造することによる自
然への影響、あるいは社会的な制約の中で、どこまでやるべきかどうかという一線を、も
う数十年前に、10年に1回の渇水を相手にということで、それに対して新規の水がどれ
だけ必要になってくるのかという両方を見ながらやってきております。
それに対しては、極端な話、強硬なことを言えば、100年に1回の渇水に対してもち
ゃんと水を確保しなければいけないんじゃないかと言う人もおられるかと思いますけれど
も、それは財政的なものとか、あと日本の場合は、例えばアメリカなんかと違いまして、
ちゃんと四季があるので、数カ月の我慢をすれば必ず雨は降ってくれるというところがあ
り、沖先生がそんなことを言ったら、これから気候変動があったらそんなことないではな
いかというご意見はあるかもしれませんけども、その中で、基準とまで言うとちょっと厳
しい部分があるんですけども、ある一定の考え方でやってきたので、それを大きく変えて
いくとなると、またすごいエネルギーがかかることになるし、秩序が乱れるということが
あるかと思います。
ただ、だからといって、余っているという表現だけが独り歩きしていった場合、それは
確かに、これから人口も減っていくという前提の中では、新規利水については、地域によ
ってはあるかと思いますけれども、大きくは、日本全国で見ても、その需要というものは
減っていくということが見込まれる中で、一つ言っておきたいのは、誤解を招かないよう
に言えば、安全度自体は決して、日本の場合は、先ほどから言っているように、10年に
1回の渇水ということで、なおかつ渇水が始まりそうなときには我慢をしていただいて、
取水制限、給水制限という措置を取ることは、その時々はその先が分からないものですから。
また、計算どおりに物事は起きませんので、どんな渇水が起きるか分かりませんけども、
これからの渇水というのは、私は、頻度的にはたびたび起こるものだろうというように思
っておりますので、分かっていただくという意味では、これからどんどんダムを築造すべ
き状況にはないということは共通認識として分科会の皆さんはおありかと思いますけども、
今まで整備されてきた状況も含めて、これからも渇水というのは起きていくんです。それ
をまた声高に言うと、もっともっと実力を上げたいんじゃないかというように取られる場
合もあるんですけども、それについては広報というものを通じて言っていかなきゃいけな
いんじゃないかなと。それも含めて、安定的な供給というものを考えていかなければいけ
ないと。
あと、この資料4で、もう1度、もうおしまいかもしれませんが、12ページの一番上、
51番、水需要が減少し、水余りが顕著になる時代において、水資源開発計画を策定する
ための要件を満たす地域は存在しないため、水資源開発促進法を廃止すべきであると。水
資源開発促進法を廃止すべきであるというご意見を多くいただいております。これにつき
ましては、もう説明はさせていただきましたけれども、いろんなところで、水資源開発の
促進からという表現で、あと一番最後のあとがきの部分で、抜本的な制度の見直しも含め
てということですので、当然、これを受けて、水資源開発促進法そのものをどうしていっ
たらいいのかということは考えていかなければいけないことだろうというように受け止め
ております。
前回、この場面でしたか、それとも部会でしたか、法律の改正についてはテクニカルな
部分がありますのでというようなことを1回言わせていただいた時に、ちょっと私も舌足
らずなところがあって、法改正をやらなくてもできることはできるんだというような、今
日、沖先生から、法治国家でありますのでというお話もあったんですけれども、誤解を招
かないように言うと、法律の世界というと、この前言ったテクニカルという話は、時代と
ともに、法律で規定する範囲を狭くしてきているところがあります。法律を制定しなくて
もできることは法律に基づかなくてもやりなさいと。
やっていいものはやって、どういうものについて法律に基づかなければいけないかとい
うと、例えば私権を制限したり、ほかの法律との関係で例外規定を設けたり、法律を改正
する、あるいは新しく法律を作るにはいくつかのハードルがございますので、そういう意
味で、これは言い訳になりますけれども、抜本的な制度の見直しも含めてということです
ので、安定的な供給を図っていくんだという事柄をどういう形で実現していくかについて
は、それが法律として必要であれば、当然、法改正をしていくと。それは当然、需要と供
給の部分もございますので、それも併せて考えていくということになろうかと思います。
これ以上言うと言い訳ばっかりになりますので、この答申を受けまして、本当にどうい
う形で進めていったらいいのかということについては、要するに、この中でも、曲がり角
に来ているという表現も含まれておりますので、これを受けまして、対応については真摯
に一刻も早く考えていきたいというふうに思います。本当に長時間のご議論、ありがとう
ございました。

パタゴニア、石木ダム反対運動を支援 (長崎県)「パタゴニア」支社長と地権者会見

2015年4月8日
カテゴリー:
4月6日に「パタゴニア」辻井隆行日本支社長は地権者の岩下和雄さん、石丸勇さん、板井優弁護士とともに、日本外国特派員協会で石木ダム反対運動支援の記者会見を行いました。その記事を掲載します。
この記者会見の様子はまさのあつこさんがY!ニュースに詳しく報告されています。http://bylines.news.yahoo.co.jp/masanoatsuko/20150407-00044603/
この記者会見では石木ダム問題に関して英文と和文の資料が配布されました。、
英文 Ishiki Dam_Fact Sheet    和文 石木ダム_ファクトシート
石木ダム 周知目指す  「パタゴニア」支社長と地権者会見

(長崎新聞2015年04月06日)

石木ダム建設事業の反対派支援を表明した米国のアウトドア衣料品ブランド「パタゴニア」の辻井隆行日本支社長と、地元の反対地権者代表が6日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見し、ダム建設反対を訴えた。
同事業は県と佐世保市が東彼川棚町に計画。同社は今月、人権問題や環境保全を理由に支援を決めたと発表した。
辻井氏は外国人記者らに、事業の概要や反対運動の経緯を説明。「関心が薄く、事業が知られていない」と述べ、問題点の全国的周知などを目指す考えを示した。
反対地権者の石丸勇さんは「半世紀近く翻弄(ほんろう)され続けた。日本のダム行政は問題がある」と強調。岩下和雄さんは「不必要なダムから古里を守る」と語った。
同社は国内の他のダム建設反対運動にも協力しているが、石木ダムに今後、特に力を入れる方針。辻井氏は取材に「切迫した状態にある。まだ事業を止められる可能性がある」と説明した。(山口恭祐)
(写真)記者会見で石木ダム事業反対を訴える。左から石丸、岩下、辻井の各氏。=日本外国特派員協会

パタゴニア、石木ダム反対運動を支援 [長崎県]

(西日本新聞2015年04月06日)http://www.nishinippon.co.jp/nnp/nagasaki/article/161023
アウトドア衣料品販売の米パタゴニア日本支社は6日、長崎県川棚町で計画されている石木ダム建設に関して、建設予定地の住民などによる反対運動を支援すると発表した。
東京の日本外国特派員協会で記者会見した辻井隆行支社長は「環境と(住民の)人権を守るという二つの柱が、企業理念と合致した。
地元の水需要は伸びておらず、冷静な議論で計画見直しを」と呼び掛けた。全国や海外への情報発信などで協力する。
会見に出席した住民の石丸勇さん(65)は「不要なダムに故郷を奪われる理由はない。多くの人に知ってほしい」と話した。

石木ダム建設:アウトドア衣料「パタゴニア」日本支社、「反対」を支援 「冷静な議論の下、見直しを」 /長崎

(毎日新聞長崎版 2015年04月02日)http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20150402ddlk42010378000c.html
県と佐世保市が川棚町に計画している石木ダム建設事業を巡り、米国カリフォルニア州に本社を置くアウトドア衣料メーカー「パタゴニア」日本支社(神奈川県鎌倉市)が1日、建設に反対する地権者や市民団体の活動支援を決定したと発表した。
同社はこれまで水没予定地の地権者の意見や主張を県や市に伝えるため、抗議活動や建設反対の署名活動に協力してきた。
辻井隆行支社長は「日本に2800基ほどもあるダムについてその利益と弊害が客観的に評価されているとは言えない。
さまざまな弊害をうむ『古い技術』である複数のダム建設が計画されている」と指摘。「建設阻止活動の支援を通じて冷静な議論のもとで計画が見直され、日本における他のダム建設を含む多くの公共工事が再評価されるきっかけになることを願っている」とのコメントを発表した。
【梅田啓祐】

パタゴニアが石木ダム反対運動を全面支援決定
(NetIB NEWS長崎 2015年4月8日16:34) http://www.data-max.co.jp/politics_and_society/2015/04/35095/0408_ymh_1/
tanada_img
米アウトドア用衣料製造販売のパタゴニア日本支社(所在地:神奈川県鎌倉市、支社長:辻井隆行)が、長崎県東彼杵郡川棚町で計画されている石木ダムの反対運動を全面的に支援することを決定したことが波紋を呼んでいる。
パタゴニアはこれまでも、同社直営の福岡ストアを通じて石木ダム反対の活動をサポートしてきた。
今回の決定は、新聞報道やネットを通じて広がり、パタゴニア製品を愛用する自然愛好者らは、同社の環境保護や社会責任活動に積極的な姿勢として好意的に受け止めている。
石木ダム計画は約50年前に始まり、反対する地元住民は「権力と圧力とのたたかい」を長年強いられてきた。
住民の1人は「私たちは、必要もないダムのために、生活と美しい自然を壊されたくないと思っているだけです。私たちの気持ちをわかっていらっしゃる企業があることだけで力になります」と語る。
パタゴニア日本支社は、4月1日付で支援決定のプレスリリースを発表し、「美しい川棚町の自然と住民の皆様の人権を脅かすダム建設の阻止に向け、日本支社を挙げ、さらなる支援に取り組んでまいります」と述べた。
同6日には、辻井支社長が東京の日本海外特派員協会で記者会見した。
会見には、建設予定地住民や同ダム対策弁護団副団長が同席。地元住民は「日本の美しい原風景が残っている」「この田んぼを守り続けなければいけません」と述べ、「不要なダムのために故郷が水の底に沈められることが許せない」と訴えた。
今回の全面的支援決定の背景には、長崎県が反対地権者の土地収用に動き、建設反対運動を支援する緊急性が高まったことがある。
パタゴニアは、「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」と掲げており、映画「ダムネーション」を制作提供し、米国におけるダムのあり方を問う活動もしてきた。
ダム問題をめぐって、日本では、2001年の田中康夫長野県知事の脱ダム宣言で注目されたが、米国では当時からダムの撤去が大きな流れになっていた。
「日本ではダム撤去は1つしかないが、米国ではダム撤去は普通に語られる」(同支社広報担当)ように、ダム行政をめぐる日本の後進性は際立つ。日本のダム行政は「ダムを造るのが目的」で、一度決めた計画は実質的な見直しがされないまま推進されると言っても言い過ぎではない。
辻井支社長はプレスリリースで「日本においては、2,800基ほどもあるダムについて、その利益と弊害が客観的に評価されているとは言えません」と指摘した。
また、「その客観的必然性が低く、豊かな自然だけでなく、そこに住む13世帯60名の人権までをも踏みにじることになる石木ダムの建設に、数百億円もの大切な税金が投じられようとしています」と述べ、「この石木ダム建設阻止活動の支援を通じて、冷静な議論のもとで計画が見直され、日本における他のダム建設を含む多くの公共工事が再評価されるきっかけになることを願っています」としている。
すでに現地に何度も足を運んでおり、今後も現地でのサポートの必要性に合わせて随時現地を訪れることも計画している。
石木ダムは、約50年前に計画され、地元地権者が反対運動を続けてきた。長崎県と佐世保市は、水道用水供給や洪水被害の軽減を目的にしているが、地権者らは「ダム建設に必要性がまったくなく、居住者の生活や自然環境に重大な影響を与える」などと主張している。
【山本 弘之】

アワビ漁不振「ダム放流との因果関係ただちに認められない」漁協の訴え棄却 和歌山地裁

2015年3月31日
カテゴリー:

海の漁協が和歌山県を訴えた椿山ダム裁判の一審判決は請求の棄却でした。

椿山ダムの放流による濁流で、海藻などが枯死する「磯焼け」が発生し、アワビ漁などが被害を受けたことを専門家が証言しましたが、残念ながら、認められませんでした。
「磯焼けとダムの濁水との因果関係をただちに認めることはできない」という常とう文句で、切り捨てるのですから、司法の壁はとてつもなく厚いです。 

三尾漁協の磯焼け訴訟 地裁が原告の請求棄却
(日高新報2015年4月 1日) http://www.hidakashimpo.co.jp/news/2015/04/post-3409.html
(写真)判決を受け記者会見する村尾組合長㊧と由良弁護士
アワビなどの漁獲量が激減したのは、日高川上流の県営椿山ダムから排出され、河口から海に流出、堆積した濁質が原因として、美浜町の三尾漁協(村尾敏一組合長)と組合員58人が県を相手に損害賠償等を求めた訴訟の判決が30日、和歌山地裁であった。橋本眞一裁判長は「ダムの設置と三尾の(海藻が枯れる)磯焼けとの因果関係は認められない」とし、漁協側の訴えを全面的に退けた。村尾組合長は「不当な判決で承服しかねる」と話し、控訴するか組合員と相談するという。
三尾地先のアワビなど貝類の水揚げは、椿山ダムが竣工した翌年の平成元年をピークに年々減少。漁協は知事との間で交わした覚書と付帯事項(土木部長名)に基づく有効な対策が講じられていないとし、16年に県に対して濁水対策と漁業の損害賠償を求め、公害紛争処理法に基づく調停を申請。22年には調停案が示されたが、双方の主張に隔たりが大きく、23年1月の第15回調停で打ち切りとなった。
漁協は4年前の23年2月10日、組合員58人とともに県を相手取り、ダム貯水池に堆積している濁質の薄層浚渫による撤去などを請求、さらに採貝漁業被害と慰謝料など計約5億7000万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
今回の判決で、橋本裁判長は漁協側が請求したダム貯水池の堆積微細濁質の撤去に対し、「ダムへの濁質の流入、出水が繰り返されるなか、微細濁質も絶えず流動しているため、取り除く対象が特定できない」として請求を却下。三尾の磯に堆積している微細濁質の撤去についても同じく、「海水の流れ等で常に流動しているため撤去する対象が特定できない」とし、訴えを退けた。
磯焼け問題に詳しい荒川久幸東京海洋大教授が指摘した濁質が海藻の生育に与える影響については、「その内容は不合理ではないが、磯焼けの経過、高水温、野島沿岸との差異からすれば、三尾の磯焼けがダムの懸濁粒子・基質堆積粒子によるものとはただちに認めることはできない」と結論。損害賠償等の請求も棄却した。
閉廷後、村尾組合長(81)は「意外な不当判決を受けてびっくり仰天している。これまで10年ほどいろんな資料を基に(磯焼けとダムの因果関係を)立証してきたが、判決はとても承服しかねる」と述べ、控訴するかどうかについては「判決文を持ち帰り、他の組合員や弁護士とも相談して決めたい」とした。
原告側の由良登信弁護士は「こちらの主張を認定している点はたくさん散見されるが、『それだけでは認めることはできない』ということがいくつも出てくる。では、それがいくつあればいいのかという答えも出ていないし、荒川教授の証言も不合理ではないといいながら、結局は同じような言い方で逃げている。裁判官として、県が相手で、ダム行政に影響を与えるということもあるかもしれないが、そこは司法として責任を持ち、勇気を持って判断を下してほしかった。このような逃げの判断をいつまでも下していては、司法はだめになる」などと述べた。
県河川課の尾松智課長 県の主張が認められ、妥当な判決であると考えている。県としては今後も県民の安全と安心を確保するため、椿山ダムの適切な管理に努めたい。

 

アワビ漁不振「ダム放流との因果関係ただちに認められない」漁協の訴え棄却 和歌山地裁

産経新聞 2015年3月31日 8時42分) http://www.sankei.com/west/news/150331/wst1503310012-n1.html
判決をうけて会見し「不当だ」と訴える村尾組合長=和歌山市 和歌山県が管理する日高川上流の椿山ダム(同県日高川町)の放流による濁流で、海藻などが枯死する「磯焼け」が発生し、アワビ漁などが被害を受けたとして、三尾漁協(同県美浜町)が県に約5億7千万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が30日、和歌山地裁であり、橋本眞一裁判長は請求を棄却した。

 主な争点は、磯焼けの原因がダムの放流によるかどうかだったが、橋本裁判長は、降水量の増加によって濁水が発生した可能性なども否定できないとし、「磯焼けとダムの濁水との因果関係をただちに認めることはできない」などと結論づけた。

 原告側は裁判で、河川や海域の環境調査業務を行う「流体環境研究所」の本田健二氏や、磯焼けについて研究している荒川久幸・東京海洋大教授らを証人に、科学的データを提示。

本田氏は、三尾沿岸には海水を濁らせる粒子が多く、その粒子を構成する鉱物の種類と比率がダム湖底の泥粒子と同じと指摘。荒川教授は、海水の濁りによって磯焼けが発生することなどを主張した。

 判決などによると、椿山ダムは昭和63年に日高川町の初湯川に完成。漁協側は、ダムから放出される濁水により下流の漁場で磯焼けが発生し、漁獲高が激減したと主張。平成9年に県に濁水対策を要請し、覚書を交わした。

しかし、県が有効な対策を取らなかったため、16年に公害紛争調停を申請。18年には漁協側が国の公害等調整委員会に原因裁定(原因の究明)を申請したが、22年6月に放流と磯焼けの因果関係が認められないとして、申請が棄却された。同漁協は23年2月に、損害賠償などを求め県を提訴していた。

 判決をうけて、原告代表の村尾敏一組合長は「不当な判決で承服しかねる。

海で生活している我々の体験と専門家の意見を織り交ぜてわかりやすく説明してきたが通じなかった」と話し、「覚書を交わして20年近く経過し、その間生産性が落ち込んで生活が苦しいなかで今日まできた」と憤りを見せた。

原告は控訴について「判決を持ち帰って、組合で話し合って決めたい」としている。

 県は「県の主張が認められ妥当な判決であると考える」とコメントした。

 

椿山ダム:「磯焼け」賠償を棄却 因果関係認めず 地裁 /和歌山

(毎日新聞和歌山版 2015年03月31日)http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20150331ddlk30040517000c.html

  日高川上流にある県管理の椿山ダムから流出する泥で貝の餌となる藻が枯れる「磯焼け」が起きているとして、美浜町の三尾漁協(村尾敏一組合長)と組合員ら58人が県を相手取り、

漁業被害に対する約5億7100万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が30日、和歌山地裁であった。橋本真一裁判長は「ダムの設置により、磯焼けが生じたことについて因果関係は認められない」として損害賠償請求を棄却、その他の請求については訴えを却下した。

 原告側は、椿山ダムが建設された1988年以降、磯焼けによりアワビなどの貝類の水揚げ量が落ち込んだとして、県に対して、椿山ダムの貯水池に堆積(たいせき)している粘土などの撤去▽濁水対策をとるまでの水揚げ減少に伴う損害賠償?などを求めていた。

 判決後、村尾組合長は「不当な判決で承服しかねる。今後については控訴も含めて組合員らと協議していきたい」と話し、県の尾松智河川課長は「主張が認められ妥当な判決だ」などとするコメントを出した。【倉沢仁志】

椿山ダムの濁水訴訟 原告側全面敗訴

(和歌山放送 2015年03月30日 18時54分)http://wbs.co.jp/news/2015/03/30/58378.html
日高川上流の椿山ダムから流れ込む濁水が、河口の美浜町三尾の磯にたい積し、アワビやナガレコのエサとなる海藻が枯れて漁が出来なくなったとして、
地元の漁協が和歌山県を相手取って損害賠償などを求めていた裁判で、和歌山地方裁判所の橋本眞一(はしもと・しんいち)裁判長はきょう(30日)、原告側の請求を全面的に退けました。
裁判後、会見を行う原告と弁護団(3月30日

(写真)裁判後、会見を行う原告と弁護団(3月30日 和歌山弁護士会館にて)

この裁判は、和歌山県が管理する椿山ダムからの濁水が原因で、1990年(平成2年)頃から三尾地区の磯に茂っていたアラメやカジメなどの海藻が枯れ果てる「磯焼け」現象が起きたために海藻をエサにするアワビやナガレコが餓死し、水揚げ量が20年前のおよそ30分の1にまで減少したとして、美浜町の三尾漁協に所属する漁師ら58人が損害賠償や精神的苦痛などの保障費などあわせておよそ5億7千万円余りを和歌山県に対して支払うよう求めていたものです。
きょうの判決で橋本裁判長は「ダムが竣工した1988年(昭和63年)3月以前からアラメやカジメの藻場に関する衰退傾向は徐々に始まっており、
三尾沿岸の磯焼けが主にダムの濁水によるものであるとは考え難く、磯焼けとダムの濁水との因果関係は認められない」として原告側の請求を全面的に退けました。
裁判終了後、三尾漁協の村尾敏一(むらお・としかず)組合長は会見で「意外な不当判決でびっくりしている。不当で承服しかねる」と述べました。
また、村尾組合長は控訴するかどうかについて「組合で話し合って結論を出したい」と述べました。
一方、被告の和歌山県は、尾松智(おまつ・さとし)河川課長が「和歌山県の主張が認められ、妥当な判決と考えています。県としては、今後とも、県民の安全と安心を確保するために、椿山ダムの適切な管理に努めてまいります」とコメントしています。

漁業者の訴え退ける判決

(動画)
ダムから海に流れた濁った水の影響でアワビやサザエなどの漁獲量が減ったとして、美浜町の漁業者が和歌山県に損害賠償などを求めた裁判で、和歌山地方裁判所は、「漁獲量の減少が濁った水によるものとはただちに認めることはできない」として、訴えを退ける判決を言い渡しました。
この裁判は、日高川の上流にある椿山ダムから流れ出した濁った水の影響で下流の美浜町周辺の海で海藻が枯れ、アワビやサザエなどの漁獲量が減ったとして、地元の漁協と組合員など58人が和歌山県に5億7000万円あまりの損害賠償などを求めていたものです。
和歌山地方裁判所の橋本眞一裁判長は、「漁獲量の減少が濁った水によるものとただちに認めることはできない」などとして、原告側の訴えを退ける判決を言い渡しました。
判決について、原告側の由良登信弁護士は、「原因がダムの建設であることは明白であり、不当な判決だ」と述べ、控訴を検討する考えを示しました。
和歌山県は、「主張が認められ、妥当な判決だと考えている。今後もダムの適切な管理に努めていく」というコメントを出しました。

浅川ダム付近の斜面崩落、県などが現地調査

2015年3月22日
カテゴリー:
3月19日に本体工事中の浅川ダムの付近で斜面崩落がありました。長野県は「崩落の原因は表面の土砂に雨水や雪解け水が染み込んで滑ったため」として終止符を打とうとしていますが、実際はどうなのでしょうか?

浅川ダム付近の斜面崩落、県などが現地調査

(信濃毎日新聞2015年 03月22日)http://www.shinmai.co.jp/news/20150321/KT150321ATI090008000.php
(写真)斜面崩落現場を調べる県職員や地質調査の専門業者ら=21日、長野市浅川一ノ瀬
長野市浅川一ノ瀬の県営浅川ダム下流の浅川右岸で発生した斜面崩落について、県は21日、地質調査の専門業者と現地を調査した。
県浅川改良事務所(長野市)の蓬田陽所長は調査後、崩落の原因は表面の土砂に雨水や雪解け水が染み込んで滑ったため―とあらためて説明。「今回の崩落はダムの安全性が揺らぐ大きな問題ではない」との見方を示した。
県職員と専門業者、建設工事を担う共同企業体(JV)の計9人が、崩落斜面や周辺を約1時間半かけて調査。周辺に新たな亀裂が発生していないか目視で点検し、崩落で露出した岩盤をハンマーでたたいて強度を確認した。
蓬田所長は取材に、今回の斜面崩落は表面の土砂の問題とし、「基礎岩盤や深い部分での大きな地滑りの議論とは関係ない」とした。崩落箇所や周囲に亀裂は確認されず、土地の傾斜も変化がないとして、「これ以上大きく周りに影響する地滑りの兆候もない」とも述べた。
今後は「これ以上斜面が削られることがないよう、保護対策をする」とし、崩落を防ぐための構造物(のり枠)の設置など具体策を4月中にはまとめるとした。調査結果は同事務所のホームページで3月中に公表する方針だ。

浅川ダムの斜面崩落「地滑りの兆候はない」

[ABN2015年3月21日(土)]http://www.abn-tv.co.jp/news/
長野市の県営浅川ダムで斜面の土が崩落したことを受け、専門家による調査が行われました。
調査した専門家は地滑りの兆候はないという見解を示しました。
調査は県が依頼した地質の専門家4人が崩落した箇所の土を削るなどして斜面の状態を確認しました。
県営浅川ダムではおととい下流の右岸で幅およそ20m、長さおよそ90mにわたって斜面が崩れているのがみつかりました。
調査した専門家は雪解けなどで表面の土が水を多く含み発生したものでこれ以上の拡大の恐れはないとしました。
県は来月中に崩れた部分の補修方法を決める予定です。

浅川ダム下流の斜面崩落 県議団・市議団が緊急・現地視察

(JCP長野 日本共産党長野県委員会2015年03月21日)http://www.jcp-nagano.com/1175
19日に発生した浅川ダム下流の斜面の崩落を受けて、党県議団と長野市議団は20日、現地調査を行いました。長野県浅川河川改良事務所長から説明を受けました。
崩落した個所は、昨年5月に崩落し、のり枠加工したすぐ隣の場所でした。県は「雪解けと雨で発生した」と説明しましたが、きちんとした調査・検討が十分されてこなかったことが問題です。
2月県議会では左岸深部亀裂に対する追加工事の予算が盛り込まれており、税金をどんどん使い続け、それでも崩落が起こる危険で無駄な浅川ダムの工事は直ちに中止するしかないことが浮き彫りになりました。

国交省の国土審議会第14回 水資源開発分科会「今後の水資源政策のあり方について」の審議の実態と最終答申

2015年3月20日
カテゴリー:
3月13日(金)に開かれた国交省の国土審議会第14回 水資源開発分科会の 配付資料が国交省のHPに掲載されました。
そして、最終答申が3月27日(金)に国交省のHP http://www.mlit.go.jp/report/press/water02_hh_000061.html に掲載されました。

3月13日は答申案へのパブリックコメントを行った結果を踏まえて、答申をどうするかを議論する会議でしたが、まことに腹立たしい会議でした。

これではパブリックコメントを行った意味がまったくないではないかと、叫びたくなる会議でした
第一に、国交省のやり方が姑息です。提出された個別意見を事前に委員に送ることはせず、国交省が都合よくまとめたものhttp://www.mlit.go.jp/common/001082915.pdfを委員に送っただけでした(個別意見は当日、各委員の机の上においただけでした)。
そのため、個別意見が示した水資源行政の問題点が委員たちに伝わっていませんでした。
第二に、委員たちの問題意識、水資源行政についての問題意識があまりにも希薄だということです。さほど重要とは思われない答申の表現を議論するだけで、いわば言葉遊びに終始していました。
「答申案を否定する意見はなく、答申案が受け入れられたようで、ほっとした」と語る委員もいた位ですから、驚きました。
虚しい会議でしたが、最後にあいさつした藤山秀章水資源部長が意外なことに個別意見が提起した問題に触れていました。ダムが環境に与えた負荷への反省がない、水余りが進んでいる、水資源開発促進法を廃止すべきなどの意見があったと語っていました。
しかし、会議が終わった後の話なので、答申には何も反映されませんでした。
昨年7月に水資源部長に就任した藤山氏はフランクに物事を語る異色の官僚なので、そのように語ったなのでしょうが、残念ながら水資源行政が変わる兆しが見えません。、

国土審議会第14回 水資源開発分科会 配付資料

http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000048.html

01 議事次第(PDF形式:36KB)
02 配付資料一覧(PDF形式:25KB)
03(資料1)名簿(PDF形式:33KB)
04(資料2)これまでの検討内容と今後のスケジュール(PDF形式:187KB)
05(資料3)意見募集結果概要(PDF形式:55KB)
06(資料4)答申案に対する意見への見解・対応(PDF形式:198KB)
http://www.mlit.go.jp/common/001082915.pdf
07(資料5)答申(案)(PDF形式:599KB)
08(資料6)答申(案)の概要(案)(PDF形式:63KB)
09(資料7)諮問書(PDF形式:143KB)

↑ このページの先頭へ戻る