水源連:Japan River Keeper Alliance

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山鳥坂ダム事業再開 迷走の教訓を忘れてはならぬ(愛媛新聞 特集社説2013年01月31日)

2013年2月2日
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山鳥坂ダム事業再開についての愛媛新聞社説は優れた見識を述べていると思います。

山鳥坂ダム事業再開 迷走の教訓を忘れてはならぬ(愛媛新聞 特集社説2013年01月31日)http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201301316137.html

大洲市肱川支流の河辺川に建設が計画されている「山鳥坂ダム」の事業凍結が解除され、建設継続が決まった。
治水効果の疑問や環境破壊など数々の問題点を置き去りにしての再開だ。一連の経緯は、一度走り出したら止まらない巨大公共事業の象徴として記憶されることになる。
何より、ここに至るまでの国土交通省の手続きに不透明さがぬぐえなかった点が残念だ。その反省と教訓を、今後の公共工事の在り方に正しく反映させねばならない。
山鳥坂ダムは1982年の予備調査開始以来、中予分水を前提にした利水から治水へと事業目的の軸が変遷。前政権の凍結を受けた検証を経て再開に至った。時流や時の政権の思惑によって翻弄(ほんろう)されてきたいわく付きの事業だ。
凍結を受けた「検討の場」では、治水効果や費用対効果などを検証。堤防かさ上げや河道の掘り下げなどに比べて有利と判断された。結果はさておき、その検証手法には大いに疑問が残る。
当事者が自らの事業を検証するという矛盾は日本弁護士連合会などから指摘された。しかし第三者の意見が十分に反映されないままに、結果ありきの判断が下された。
流域の環境影響評価では、一帯の貴重な自然が次々に解明された。しかし、それを受けた検討委員会では建設を前提にした議論に終始した。事業決定後の調査がアリバイづくりに過ぎなかったことを、関係者は猛省すべきだ。
水没地域の補償に関しても恣意(しい)的な手法に終始した。国が建設とセットという姿勢を押し通したため、結論が出るまでの3年間、住民の生活はたなざらしにされたのだ。
過去のさまざまな手続きが民意をなおざりに決定してゆく過程は、民主主義の否定とさえいえよう。
忘れてならないのは、ダムが流域住民の安全を完全に保障するわけではないことだ。堤防整備などと組み合わせた総合対策を急ぎたい。
今後は、本体着工に必要な肱川漁協の同意が焦点だ。楠崎隆教組合長は、一方的な推進姿勢に対しては訴訟まで検討するという。依然として課題は多い。
地域を分断し、貴重な自然を湖に沈める。山鳥坂だけでなく全国のダムにつきまとう課題は、巨大公共工事が抱える矛盾の表出に他ならない。もう、過去の工事推進の手法には終止符を打ちたい。
計画段階から住民に構想を示し、事業中止の権限を備えた戦略的アセスメントを定着させ、地域の理解を得てから計画を立案すべきだ。そうすれば混乱など起きようか。
民主的手続きに脱皮する契機にしなければ、「山鳥坂」にもてあそばれた地域の痛みは永遠に消えない。

山鳥坂ダム:移転補償前進へ 政府予算案に17億7600万円 (毎日新聞愛媛版 2013年01月31日)

2013年2月1日
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山鳥坂ダム:移転補償前進へ 政府予算案に17億7600万円 (毎日新聞愛媛版 2013年01月31日) http://mainichi.jp/area/ehime/news/20130131ddlk38010663000c.html
国土交通省が再開を決めた国直轄の山鳥坂ダム(大洲市肱川町山鳥坂)の事業費17億7600万円が、13年度政府予算案に盛り込まれた。県が30日発表した。用地費などが中心で、3年以上宙に浮いていた水没地域住民の移転補償が新年度から進む見通しとなった。
 28日の国土交通省の事業再開発表を受けた計上。環境調査など最低限の費用にとどまった12年度の1億3500万円の13倍に増額した。残る事業期間は14年とされ、ダム完成は26年度となる見通し。
 同ダムは09年の政権交代に伴い、建設可否の再検証のため事業を凍結。国と水没地域住民は政権交代直前、補償基準で合意していた。中村時広知事は「喜ばしい限り。水没地域住民の生活再建に一日も早く着手し、度重なる洪水で甚大な被害を被っている流域住民の安全安心のためにも、事業促進を図っていただきたい」と歓迎した。【中村敦茂】

荒瀬ダム撤去工事 本体部分の掘削始まる 初年度工程遅れも(2013年1月29日

2013年1月29日
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荒瀬ダム撤去工事 本体部分の掘削始まる 初年度工程遅れも(西日本新聞 2013年1月29日) http://mainichi.jp/area/ehime/news/20130129ddlk38010589000c.html

(写真)荒瀬ダム本体で始まったコンクリート部分の掘削作業

県営荒瀬ダム(八代市坂本町)の撤去工事で、28日から、ダム本体部分の掘削作業が始まった。
本体コンクリート部分に手が入るのは初めて。ただ本年度の工程は予定より半月ほど遅れている。河川内での工事はアユの遡上(そじょう)期を避けて冬に行うことになっており、県企業局は「遅れた分は工事をいったん止めるのか、検討中」としている。
掘削工事はダム本体の撤去工事に入る前に、本体の中央部に穴を空けて水を抜くための工程。
まずは下流側から2カ所の穴(縦4メートル、横5メートル、奥行き20メートル)を掘り進め、穴が貫通する前に上流側に鉄製ゲート(縦4・7メートル、横5・6メートル)を設置。
その後ゲートを開閉して水量を調整しながら、水を抜き上流を下流と同じ水位にまで下げる。この日は午前9時ごろから、下流側の本体部分を削岩機で削った。
計画では今回の掘削作業は1月上旬開始予定だった。だが上流側の水中で、ゲートの設置に支障が生じる位置に硬い岩盤が見つかり、岩盤を削る予定外の作業が必要になり、約半月の遅れが出ているという。
河川内の工事はアユの遡上期を避け11月~2月に行うことになっており、県側は工事の一時中断を含めて手順の見直しを検討している。
球磨川漁協(八代市)は25日に理事会を開き、工程の遅れを了承。大瀬泰介組合長(75)は「予想外の事態に対し工事関係者も日夜頑張ってくれているが、稚アユへの影響はできるだけ少なくしてほしい」と話した。
荒瀬ダムの撤去は、全国初の既存ダムの解体事業。昨年9月に始まり2017年度末の撤去完了を予定している。

荒瀬ダム撤去、本体工事に着手 八代市坂本町(熊本日日新聞 2013年01月29日)http://kumanichi.com/news/local/main/20130129003.shtml

(写真)水位低下設備を取り付けるための穴をコンクリートのダム20+ 件本体に開けるパワーショベル=28日午後、八代市坂本町(石本智)

撤去工事が進む県営荒瀬ダム(藤本発電所、八代市坂本町)で28日、水位低下設備を取り付けるための穴をダム20+ 件本体に開ける工事が始まった。ダム本体部分の撤去工事は初めて。
水位低下設備は、コンクリート製のダム本体底部に高さ4メートル幅5メートルの穴を二つ貫通させ、上流側に開閉可能な水門を取り付ける。
ダム上流側と下流側にある約7メートルの水位差をなくして、工事現場の安全を確保するほか、本体撤去前に、上流に堆積した土砂の流下状況を確認するのが目的。
工事はダム20+ 件下流側から約20メートル掘り進む。爆薬を使わず「油圧くさび」でコンクリートにひびを入れ、少しずつ砕いて取り除く。3月中旬ごろまでに、水位低下設備の設置を終え約2週間かけて水位を下げる計画。
作業は午前9時から高さ約4メートルの土のうで囲った川底で始まった。パワーショベルの先端に取り付けた削岩機がコンクリートを砕く「ダッダッダッ」という音が周辺に響いていた。
荒瀬ダムは昨年9月から、県が撤去工事に着手した。工期は2017年度まで6年間の予定。河川工事は、出水期やアユの遡上[そじょう]時期を避け11~3月に行う。12年度の工事は、八つの水門のうち最右岸側の1枚の撤去と水位低下設備の設置まで。(和田毅)

長安口ダム改造に着手 那賀で起工式、18年度完成予定(徳島新聞 2013/1/27)

2013年1月27日
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長安口ダム改造に着手 那賀で起工式、18年度完成予定(徳島新聞  2013/1/27) http://www.topics.or.jp/localNews/news/2013/01/2013_135924861601.html
国土交通省が進めている那賀川の長安口ダム(那賀町長安)改造事業の起工式が26日、同ダムで行われ、本体工事が始まった。
 ダムに放流ゲートを2門増設して洪水調節容量を増やすほか、放流した水の勢いを緩める「減勢工」の強化や濁水対策としての選択取水設備の新設などを行う。総事業費は約470億円で、完成は当初の予定より3年遅れ、18年度中となる見込み。
 改造事業は、県から同ダムの移管を受けた国が直轄事業として2007年度に着手。6門ある放流ゲートより約10メートル低い位置に新たに2門のゲートを増設して放流能力を高め、現在1096万立方メートルの洪水調節容量を約100万立方メートル増やす。
 今後、ダムの右岸側の2カ所のコンクリートを切り出して新しいゲートを設置。隣接する山を掘削してコンクリートで補強し、放流水を流す「導流水路」とする。
 下流の河床にある減勢工をコンクリートで強化するとともに、日野谷発電所(同町日浦)へ送水する取水口には澄んだ水を流す選択取水設備を設ける。
 住民に立ち退きを求めたダム直下の谷口集落を貫く町道を拡張し、工事用道路として使う。放流の衝撃で崩壊し、長年にわたりダム直下に放置されてきたコンクリート護岸の残がいも撤去する。
 事業は15年度までの予定だったが、工事に必要となるダム右岸の用地の地権者と県とのトラブルから用地取得が難航して本体工事に着手できず、工期を3年延長した。
 那賀川河川事務所などによると、訴訟を経てトラブルは解消されたという。谷口集落の住民は全戸が立ち退きに同意し、大半は移転を済ませている。
 起工式はダム貯水池に設けられた仮設構台で開かれ、行政や工事の関係者ら約110人が出席。くわ入れなどをして工事の安全を祈願した。
【写真説明】改造事業で本体工事が始まった長安口ダム。右側に放流ゲートが増設される=那賀町長安

ダム堆砂による海岸線後退の問題(神奈川県の酒匂川)( 2013年1月27日) 

2013年1月27日
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ダムが引き起こす問題の一つとしてダムの土砂堆積(堆砂)によって下流への土砂供給量が減り、それによって海岸線が後退する問題があります。
この記事は神奈川県西部の酒匂川につくられた三保ダムによって、酒匂川河口付近の海岸線が150メートルも後退したという報告を取り上げたものです。
三保ダムは神奈川県営水道、横浜・川崎・横須賀市水道の水源確保を主目的にして神奈川県が建設したダムで、1978年に竣工しました。総貯水容量は6490万㎥です。
神奈川県東部でも、相模ダム等の堆砂による相模川河口部付近の海岸線の後退がだいぶ以前から問題視されてきています。

砂浜保全を考えよう、酒匂川の課題取り上げ専門家らが意見交換/小田原 (カナコロ 神奈川新聞社 2013年1月27日)  http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1301260036/

砂浜の保全などについて話し合う「山・川・海の連続性を考える県民会議」が26日、小田原市城山の県立小田原高校で催された。同市などを流れる酒匂川の一部に土砂がたまる一方で、海岸線の砂浜が後退する課題などについて、専門家や漁業関係者らが意見を交わした。
県の主催で2回目。海岸浸食などの問題に、山と川、海を一体として対策を考える取り組み。前回の相模川に続き、酒匂川をテーマに行われた。
早稲田大学理工学術院教授の関根正人さんと、土木研究センター常務理事の宇多高明さんが基調講演。関根さんはダムが上流から流れる土砂をせき止めているメカニズムなどを紹介。
ただ「ダムの撤去は現実的ではない。ダムの存在を前提に代わる対策を考えることが大事だ」などと指摘した。
宇多さんは、土砂供給の減った酒匂川河口周辺の海岸線が約60年間で150メートル近く後退しているなど、西湘地域全般で砂浜の減少が進んでおり、今後もこの傾向が続く見通しを示した。その上で、近年の大型台風襲来による浸食や高波被害の状況を説明した。
討論会では、地元漁業関係者らが、「川よりも山の管理がされていないのが問題だ」「魚種が豊富だった昔の姿には戻れなくても、これ以上の悪化を防ぐ方法を考えねば」と指摘。
約250人が集まった会場からも「(下流部に)土砂が堆積して中州ができたり、川床が上がって少しの雨で避難勧告が出る場所がある」など対応を求める声が出ていた。

(写真)浸食のメカニズムなどを紹介する関根さん=県立小田原高校

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