1. ダムは生活や地域を壊す
営々と築いた生活を奪うダム建設 ダム問題は人権問題ともいえる
- カッパ:
- ダム計画に反対する地元に対して国や県の圧力がかかり、切り崩しの工作が繰り返される。平和だった村がダム計画で意見対立し、争いだって起きることがある。やむなくダム計画に同意して水没予定地から移転しても、新しい土地では生活がままならなくて、困っている人も多いと聞いているよ。
行政による圧迫と切り崩し そして生活共同体の崩壊
今のダム行政の基本ができあがったのは、昭和30年代で、今から50年ほど前のことです。現在計画中のダムを含めて、ダムの建設予定地がおおよそ決まったのも、このころです。
ダム予定地の多くでは、反対期成同盟(同じ目標に向かって結束する人々のこと)などを結成して建設反対の意志を示します。これに対して、水没予定地だから道路は直さない、ダム反対の地元自治体へは補助金を減らすなど、様々な圧力を国、県がかけてきます。そして徐々にに条件交渉のテーブルにつかせ、追い込んでいくのです。その一方で、様々な懐柔策をとって、住民の分断、反対運動の切り崩しも行われていきます。
水没予定地の人々は、長年にわたる対策会議や抗議行動で疲れ、苦悩し、心を休めることのできない日々を送ります。水没予定地は河川予定地に指定されているので、住宅や旅館などの建物の改築、新築も制限されます。ダムはつくられる前から、人々に対して精神的にも身体的にも経済的にも深刻な影響を与えていくのです。川辺川ダム予定地や八ッ場ダム予定地では住民流出が極度に進み、地域社会としての存続が危ぶまれています。これらのダム予定地では、代替地造成を意図的に遅らせ、代替地への移転希望者を減らし、地域社会からの流出を誘導するという卑劣な手段もとられているのです。