5. 河川の氾濫防止というウソ
わかりにくい治水計画 住民の検証でわかったこと
- カワセミ:
- 治水計画ってどうやって作っているのかな。なんかすごく難しそうだね。
- カッパ:
- 治水計画の作り方は、河川法という法律でその大枠が決められているんだよ。治水計画の策定はわかりにくく、治水の計算は専門的なのでこれまではお役所任せだった。でも、住民に力がついてきて計算を検証したら、その考え方は割と単純で、とんでもないことが沢山わかってきたよ。ダム建設の理由をつくれるように、過大な治水計画が策定されていたんだ。
治水計画は何年かに一度の最大洪水流量を想定して策定されます。これを基本高水(専門用語としては「こうすい」と読むが、一般的には「たかみず」と読む)流量といい、利根川や淀川といった大河川の場合は200年に1回、他の一級河川は80~150年に1回、都道府県が管理する二級河川の場合は30~50年に1回の最大洪水流量を想定します。 しかし、問題はこの基本高水流量がどこまで科学的に妥当な数字かということです。これらの数字は、今から50年前ほど前の、雨量・流量データが乏しく、洪水再現の計算方法も未熟だった頃に定められたもので、科学的とはとてもいえないものなのです。さらに、当時は天然林の大面積皆伐(かいばつ)が行われていましたから、ハゲ山が多く、山の保水力が著しく低下して大きな洪水が起こりやすい時代でした。 その後、植林が行われ、森林が生長してきたことにより、洪水ピーク流量の出方は小さくなってきています。ところが、国土交通省はダムの建設を進めるため、現実とはかけ離れてた基本高水流量を採用しているのです。 つまり、ダム建設ありきの治水計画なのです。
次に、河川改修を進めれば可能となる河道の最大流下量を決めます。これを計画高水流量といいます。基本高水流量と計画高水流量との間に差があれば、その分はダムや遊水池で洪水を調節して洪水流量を減らす必要があります。基本高水流量が大きく設定されれば、洪水調節必要量が大きくなり、ダム建設の必要だということになります。