6. ダムで洪水災害は防げるか
ダム建設ではなく 河道整備に予算を
- カワセミ:
- 最近はあちこちで豪雨による災害が起きているね。ダムを増やせば防げるという話は、本当なのかな?
- カッパ:
- ダムは治水効果が小さく、逆に洪水災害を拡大することが多いんだよ。また、巨額の費用を要するダム建設のために、必要な河川改修がなおざりにされ、そのことによって豪雨による被害が拡大しているんだ。治水対策の基本は河道の整備であって、ダム建設などをやめて護岸の整備や河床の掘削に予算を投入すべきだ。その方がはるかに費用が安く、治水の投資効果が高いんだよ。
災害を防ぐための水源連からの提言
2004年の夏は新潟県や福井県などを未曾有の洪水が襲い、甚大な被害をもたらしました。その秋の水源連総会では、この豪雨災害の実態を検討し、議論した上で、進めるべき治水対策を提言として下記のとおりまとめました。
多くの河川ではダム建設に巨額の予算が投じられているため、河川改修(堤防整備、河床整備、川幅拡張)がそのしわ寄せを受けてなかなか進められず、氾濫危険地帯が放置されてきました。2004年の豪雨災害は、そのようにいびつな河川行政の空白部を直撃したものなのです。
●水源連の提言(2004年10月31日)
治水にダムは無用である。
今年も各地で、異常降雨による激甚な水害が発生した。
その原因を探ると多くの共通点が見いだされる。
- 想定規模を超えた豪雨に対しては、ダムは無力どころか、大きな災害をもたらすものであった。
- これらの災害は、ダムに依存してきた体質が、河道整備を遅らせたことに起因するものである。
- 森林の荒廃が、保水力の低下をもたらし、併せて、流木による水害被害を拡大した。
- これらの洪水被害で、構造において欠陥のある堤防が各地に存在し、それが破堤を引き起こし、甚大な被害をもたらした。
こうした事実を河川整備計画において、基本とすべきである。
よって次のことを河川行政のあり方として提言する。
- 森林整備を公共事業として、推進すること
- ダムを前提としない河道計画を立て、早急にそれを実現すること
- 堤防を総点検し、その問題箇所の強化工事を速やかに実施すること
- 膨大なダム建設予算を、河道整備、森林整備に置き換えること
- 住民主体で、遊水地や霞堤などの地域の特性に対応した洪水対策をとること