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国内ダムリスト

「ダム事業再評価」の監視

2010年9月28日、国土交通省は「ダム事業の検証に係る検討について」を発表し、ダム事業の検証検討作業に取り組むことを各地方整備局に通知すると共に、地方自治体へはその要請を行いました。

あわせて、その手法について記した「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」を送付しました。これは、有識者会議「中間まとめ」に基づくものです。「中間まとめ」はその直前に公募したパブリックコメントで寄せられた多くの抜本的見直しを求める意見をすべて無視して策定されています。
この方式で検証が進むのであれば、もともと不要とされていた事業のみが「中止」になるだけで、「検証をした結果、やはりダム」という結論が大多数を占めることは間違いありません。
そんな事態になることを踏まえたうえで、私たちは対応を考えたいと思います。

「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」の主な問題点

  1. 検証主体が国交省、検証検討主体が直轄ダムは地方整備局、補助ダムは都道府県、としていることから、これまでの事業推進者によるお手盛りの検証である。
  2. 「関係地方公共団体からなる検討の場」を設置し、相互の立場を理解しつつ、検討内容の認識を深め検討を進める。”としていることから「検討の場」は「ダム推進の場」になることは目に見えている。
  3. 流域住民との[合意形成」がまったく意識されていない。

監視体制の確立にご協力を

各地法整備局や地方自治体で進められる検証検討作業に対して、私たちは実質的な検証が行えるように様々な提案・要請をすると共に、ダムに依存する必要がないことを実証する科学的根拠の提示・代替案の提案をしていくことになります。
私たちのそれらの取組みと、行政側の対応に関する情報を私たちがしっかりと共有し広く伝え合うことで、「徹底したダム事業見直しの実現」という大きな世論形成に努めたいと思います。

これらの情報を寄せ合う、それはとりもなおさず監視体制の確立です。水源連は、水源連ウェブサイトとは別に、ブログ「国土交通省によるダム見直し・市民監視特設サイト」を開設しました。全国の皆さまからの情報提供をお待ちしておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
情報提供は「ご連絡・お問い合わせフォーム」からよろしくお願いいたします。

各地の取組みや自主検証

天ヶ瀬ダム再開発

石木ダム

設楽ダム

成瀬ダム

北海道のダム

「北海道脱ダムをめざす会」による3ダム(サンルダム・平取ダム・当別ダム)自主検証

「北海道脱ダムをめざす会」は北海道における3ダム事業(サンルダム・平取ダム・当別ダム)の必要性の検証を進めています。これまでに3回、「その結果と提言」を国土交通大臣と「今後の治水のあり方に関する有識者会議」に提出しています。目下、4回目の提出の準備を進めています。これまでの3回の提言を紹介いたします。なお、これらは検証が終了した段階で1冊の冊子にまとめられる予定です。その際にはこれまでの提言が若干修正される可能性があることをご承知願います。

北海道脱ダムをめざす会 提言1(利水)(PDF 236KB)
北海道脱ダムをめざす会 提言1(利水)検証図(PDF 194KB)
北海道脱ダムをめざす会 提言2(沙流川の治水)(PDF 238KB)
北海道脱ダムをめざす会 提言2(沙流川の治水)検証図(PDF 389KB)
北海道脱ダムをめざす会 提言2(沙流川の治水)表(PDF 77KB)
北海道脱ダムをめざす会 提言3(天塩川・当別川治水)(PDF 194KB)
北海道脱ダムをめざす会 提言3(天塩川・当別川治水)検証図(PDF 2.1MB)

今後の治水対策のあり方に関する有識者会議「中間とりまとめ(案)」とそれへの対応

2009年に自公政権から民主党を中心にした政権へと政権交代を私たちは勝ち取りました。
政権発足直後に川辺川ダムと八ッ場ダム計画の中止が宣言され、すべてのダム建設事業見直しが発表されました。
「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるという考えに基づき、国土交通省は2009年12月3日に「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」を設置し、検討を進めてきました。

しかしこの会議は国民の傍聴を許さないという前時代に逆戻りしたやり方で進行しました。全国からの度重なる公開要請を前原誠司国土交通大臣はことごとく拒否しました。
前原大臣は「本体着工済みの事業」と「ダム機能改善事業」を見直し対象事業から除外しました。更に、補助ダムについては「事業者である道府県に見直しをお願いする」、としてこれまで問題だらけの事業を補助ダムとして採択してきた国土交通省の責任を回避しています。

その結果、2009年度内に本体工事を駆け込み契約した路木ダム・内海ダム再開発・浅川ダム等5つの補助ダム事業には満額の補助金交付が決定されました。各県はこれらの事業を住民の反対を無視して進行しています。なかでも内海ダム再開発は土地収用法が適用されて、この11月22日を反対住民の土地や物件を明渡しする期日として香川県収用委員会が決定しました。現地の皆さんは断固として闘いぬくことを確認し、団結小屋を設置して強制収用・強制代執行に備えています。
前原誠司氏が国土交通大臣に着任したからの政策決定が補助ダム事業を推進させている、と言っても過言ではありません。

直轄事業においても然りです。中止になればまったく不要になる付け替え道路や転流工が着々と進行しています。生活再建事業についてもそのあり方を現地住民と話し合うシステム作りに国土交通省が着手できていないことから、生活再建案を策定の場すら設定することができず、八ッ場ダムに見られる地域再建に障害をきたす事業すら巨額をかけて推進されています。

このような状況の中、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は2010年7月13日に開催した第11回会議で「中間とりまとめ(案)」を作成、7月16日に「今後の治水対策のあり方について 中間とりまとめ(案)に関する意見募集について」を発表しました。

「中間とりまとめ(案)」の骨子は、見直しの主体を国土交通省政務3役とするものの、その作業は直轄事業・水資源機構事業については地方整備局が、補助ダムについては道府県が行うとしています。

その進め方として、

  1. 「関係地方公共団体からなる検討の場」を設置し、相互の立場を理解しつつ、検討内容の認識を深め検討を進める※8
  2. 検討過程においては、「関係地方公共団体からなる検討の場」を公開するなど情報公開を行うとともに、主要な段階でパブリックコメントを行う
  3. 学識経験を有する者、関係住民、関係地方公共団体の長、関係利水者の意見を聴く

としています。

このようなシステムでは「何が何でもダム推進」の地方自治体の意向が最優先され、個々のダム等事業について私たち住民が提起している問題が真摯に調査・審議される可能性はほとんどありません。「見直したがやはりダムが最善」という結論になることは目に見えています。
何とかこのような事態を克服しないと、ほとんどすべての事業が「推進」になってしまいます。
そのような事態を食い止めるには前原大臣と有識者会議に全国から再考を求めましょう。
水源連事務局は2010年5月10日に開催した「ダム見直しに関する政府・議員とNGOの対話の会」の賛同団体(115団体)名をつけて、去る7月5日に有識者会議の事務局である国土交通省河川局河川計画調整室に、有識者会議中川座長と前原大臣に宛てた「ダム見直しに関する緊急提言」(PDF 311KB)を提出しました。

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