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報道

鬼怒川決壊提訴 原告語る「あれは人災」/「責任認めて」(記事の続き)

2018年8月13日
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8月7日、国に対して鬼怒川水害の損害賠償を求める提訴が行われました。この提訴に関する記事の続きを掲載します。

 

鬼怒川氾濫で集団提訴 常総市民29人ら
(東京新聞2018年8月8日)http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/201808/CK2018080802000175.html

(上記リンク先は期限切れです)

(写真)横断幕を持って水戸地裁下妻支部に向かう原告や支援する市民団体メンバーら=下妻市で

常総市で五千棟以上が全半壊し、関連死を含め十四人が死亡した二〇一五年の鬼怒川氾濫は、市民二十九人らが計約三億三千五百万円の国家賠償を求める集団訴訟に発展した。家族の死の責任の所在などを明らかにしたいとする原告ら。国土交通省OBからは、堤防決壊を防ぐ対策への国の責任を問う声も挙がった。 (宮本隆康)
七日午前、原告ら支援者ら約二十人が水戸地裁下妻支部に集まり、提訴の手続きをした。只野靖弁護士は「西日本豪雨の被災地に限らず、水害で泣き寝入りしている人たちを勇気づけるような訴訟になればいい」と話した。
提訴は、弁護士や「常総市水害・被害者の会」メンバーらが約一年半前から計画してきた。昨年十二月に説明会を開いて原告を募り、災害関連死で家族を失った遺族や自宅が浸水した人などで原告団を結成した。
泥水に漬かった自宅と家財の損害賠償や家族を亡くした慰謝料などを国に求めており、ほかにも訴訟への参加を考えている被災者もいるという。

◆訴訟支援の旧建設省OB 「堤防決壊は人災」
(写真)「堤防決壊は人災」と語る石崎さん=つくばみらい市で

「堤防決壊は人災だ」。旧建設省土木研究所の元次長で、訴訟の支援団体の共同代表になった石崎勝義さん(79)=つくばみらい市=はそう語る。鬼怒川決壊を受けて被災者支援に参加。国が一九九〇年代、想定以上の雨に備えた堤防強化策を始めながら、撤回した問題を指摘している。
九六年の旧建設省の白書には「計画規模を超えた洪水による被害を最小限に抑えるため、破堤しにくい堤防が求められる」と明記。同様の記述は五年連続で白書に書かれ、五カ年計画では、決壊しにくい「フロンティア堤防」の整備が盛り込まれた。
フロンティア堤防とは、陸側の法(のり)面に遮水シートを入れるなどして水の浸食を防ぎ、川から水があふれても決壊しにくくする工法。決壊を防げれば、市街地などに流れ込む水は堤防を越える分だけになり、被害も減らせる。
二〇〇〇年に設計指針が出先機関や都道府県に通知され、全国で計二百五十キロの整備を計画。実際に四つの河川の計約十三キロで工事が実施された。しかし、〇二年に設計指針を廃止する通達が出された。
国土交通省は「効果が定量的にはっきりしなかったため」と説明するが、旧建設省河川局のあるOBは「ダムの反対運動の間で、代わりの治水策としてフロンティア堤防の推進論があったからだ」と証言。ダム建設を優先したい論理で方針が変更されたとみる。
石崎さんは今月、西日本豪雨で堤防が決壊した岡山県倉敷市真備町を視察。「鬼怒川と同じで、堤防が強化されていなかったのが第一の原因」と指摘する。「堤防内に遮水シートを入れるだけなら、それほど予算はかからず、一般的に被害は床下浸水程度で済む」と強化の必要性を訴えている。 (宮本隆康)

常総水害で国提訴 被災住民ら 河川管理の不備指摘
(茨城新聞 2018/8/8(水) 4:00配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180808-00000004-ibaraki-l08

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(写真)横断幕を持って水戸地裁下妻支部に入る住民側の関係者ら=7日午前11時ごろ、下妻市下妻乙

2015年9月の関東・東北豪雨で、鬼怒川の堤防決壊などによる水害に遭ったのは国の河川管理に不備があったためとして、常総市の被災住民らが7日、国を相手に計約3億3500万円の損害賠償を求めて水戸地裁下妻支部に提訴した。原告は、被災した19世帯29人と1法人。住宅や家財の被害のほか、避難生活にかかった費用や慰謝料などを請求した。

訴状によると、堤防から水があふれ出た同市若宮戸では河畔砂丘しかなく、無堤防状態が放置された。しかし、掘削などの際、河川管理者の許可が必要とされる「河川区域」に国が指定せず、豪雨前の14年に太陽光発電事業による掘削を放任したと指摘。その後の治水対策も不十分だったと訴えている。

また、堤防が決壊した同市三坂町では、堤防の高さが周辺より低かったのに、国がかさ上げや拡幅を怠ったと主張した。

さらに、市の中心部を流れる八間堀川の排水ポンプの運転が遅れたことで、両地区であふれた水が八間堀川の氾濫につながり、被害を拡大させたとしている。

提訴後に会見した原告団の共同代表世話人の片倉一美さん(65)は「堤防が造られなかったり、かさ上げされなかったりと、手を付けるべき所に何もしなかったことは国の責任だ」と訴えた。

原告側の只野靖弁護士も「河川管理に瑕疵(かし)があり、人災の面が強い。でたらめな河川行政がまかり通っている」と批判した。

豪雨では、鬼怒川決壊などで常総市の約3分の1に当たる約40平方キロが浸水した。同市によると、市内では災害関連死12人を含む計14人が死亡し、5千棟以上が全半壊した。

国交省の担当者は「訴状がまだ届いていないので、コメントできない」と話した。(高岡健作)

鬼怒川決壊提訴 原告語る「あれは人災」/「責任認めて」
(茨城新聞2018/8/8(水) 4:00配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180808-00000005-ibaraki-l08

(上記リンク先は期限切れです)

(写真)原告の一人、高橋敏明さん
鬼怒川の堤防が決壊した関東・東北豪雨から間もなく3年。取材に応じた被災者たちは7日、提訴に至った胸の内を明かした。

常総市原宿で花き園芸会社を営む高橋敏明さん(64)は会社と自宅が浸水。休業損害を含む賠償を求めている。

高橋さんの会社は鬼怒川の水があふれた若宮戸の現場から約1キロ。当時、丹精込めて育てた花々が泥水に浸かった。水害から3年たった今でも、会社の売り上げは以前の7割。再建途上だと話す。

「商売を始めて45年。築き上げてきたものが一瞬で壊滅的な被害を受けた」と話し、「掘削された自然堤防を国が放置したから水害が起きた。あれは人災だった」と訴える。

水害5カ月後に亡くなった妻を思い、訴訟に踏み切った人もいる。自宅が床上浸水に見舞われた同市水海道森下町の赤羽武義さん(78)。赤羽さんの妻は災害関連死と認定された。

「あの水が来るまでは妻も普通に暮らしていた。妻の死の責任が国にあるということを裁判で認めてもらいたい」。赤羽さんは一言一言、かみしめるように語った。(今橋憲正)

 

 


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