最上小国川の清流を守る会の阿部です。
この度、当会では広報誌「最上小国川ダムは地域に貢献しているか?-明らかになった環境問題-」を発行することになりました。今年の7月豪雨を受けて、穴あきダムの欠陥と山形県の治水の無策ぶりがより明確になったと思います。
これを地元の山形新聞に折り込みしようしたところ、本社から拒否されました。
理由は添付取扱基準の
③ 広告主の一方的主張、もしくは主観的意図表現がみられ、結果的に他社を誹謗、名誉、信用を傷つけるおそれがある表現のもの。(中傷誹謗広告等)
に当たると言われました。私としてはかなり食い下がったのですが、反対意見が併記されていない(これは新聞社の仕事ですが)、調査機関が第3者でない(県の調査自体が間違っているが)などと難癖を付けられました。山形新聞折込広告取扱基準
新聞社がお上に忖度してはいけないと思いのですが、現在当方で起こっていることを共有させていただきました。
あまり知られていないが、石木ダム建設予定地には共有地が2ヶ所存在する。
半世紀にわたりダム建設に反対し、ふるさとを守り続けている川原住民を支えたいと思う人たちが、1つは2009年に、もう1つは2013年に住民の方の山林の一部を共同で所有することにした。
その共有地権者の中の84名が長崎県知事と佐世保市長へ要請書を提出した。代表の遠藤保男氏が横浜から来県し、6月6日に県庁、7日に佐世保市役所を訪れ、担当者に手渡した。その要請書はこちら。
石木ダム事業起業者への要請:長崎県へ
石木ダム事業起業者への要請:佐世保市へ
その趣旨は「覚書の遵守」、つまり「石木ダムの必要性について川原住民との話し合い」を実行するようにということ。
8日の朝日新聞の記事がこの要請の目的をしっかり伝えているので、一部抜粋させていただくと、
覚書は1972年7月、県が石木ダムの予備調査を始める前に住民側と結んだ。「建設の必要性が生じたときは、協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする」と明記。久保勘一知事(当時)と、住民の代表3人が署名押印した。ただ、県は3年後の75年、事業に着手。2021年9月に本体工事を始めた。
6日に県庁を訪れた共有地権者らが県に指摘したのが、この覚書の「不履行」だった。
「石木ダム建設絶対反対同盟を支援する会」の遠藤保男代表は「同意していないのに収用地での工事が強行されている」と指摘。地権者の松本美智恵さんは「県と地元の対立の原点がこの覚書の反故だ」と語った。
覚書は、住民らがダム関連工事の差し止めを求めた訴訟で論点の一つになったことがある。21年の二審・福岡高裁判決は、覚書があるにもかかわらず、地元の理解が得られていないと指摘。「今後も理解を得るよう努力することが求められる」と見解を示し、県に合意形成の必要性を説いた。
事業主体の県はどう考えているのか。県土木部の担当者は取材に対し「覚書は今も有効で、履行している」と述べ、覚書に違反する手続きはとっていないとの認識を示した。長年、説明会の開催や戸別訪問などで事業への理解と協力を得る努力を続けてきたとしている。
「覚書は今も有効で、履行している」?!
なんと不可解な回答だろう。
「覚書を履行している」のが本当なら、住民がダム建設に同意した文書が存在するはずで、それを提示して欲しい。
それが存在しないならダム建設は諦めているはず。しかし、現実は同意文書もなく、ダム建設は進めている。
どうして「履行している」などと言えるのだろう?
一方、「覚書は今も有効」とのこと。よかった!
では、これからも覚書について、私たちはしっかり県に問い続け、履行を求め続けよう。(*’▽’*)
マスコミ各社のオンライン記事はこちら。
NBC長崎放送:石木ダム建設反対の市民団体 知事との話し合いを要請
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/530101?display=1
KTNテレビ長崎:石木ダム建設は必要ない」市民団体が話し合いの場を要請
https://www.ktn.co.jp/news/detail.php?id=20230607008
朝日新聞:石木ダム「地元の了解なしにつくらない」半世紀前の「覚書」はいま https://digital.asahi.com/articles/ASR6774P6R67TOLB00C.html?iref=pc_photo_gallery_bottom
毎日新聞:「知事と話し合う場を」石木ダム反対、市民団体が要請書 https://mainichi.jp/articles/20230607/ddl/k42/040/379000c
オマケの写真と呟き。ここは水道局庁舎内。要請のための会場確保を待っているところ。
1週間前に代表本人から要請書を提出に行くので会場を確保しておいて欲しいと電話で依頼していたにもかかわらず、会議室はみな埋まっていて確保できなかったとのことで、その会議が終わるまで約1時間も待たされた。
遠来の代表はじめ参加者の多くが70代前後の高齢者ばかり。宮島市長は就任会見で、「対話を重視した市政をつくりたい」と語っていたはずだが???
投稿者
前川光司 北海道大学名誉教授・元天塩川流域委員
出羽 寛 旭川大学名誉教授・元天塩川流域委員
本文
北海道天塩川水系の支流サンル川のサンルダム建設計画は、天塩川流域委員会で治水対策と自然環境保全対策を巡る20回(2003年〜2006年)にわたる議論をが続けられた。
私たちは天塩川流域委員会に参加、ダムによらない治水対策の可能性とサクラマスやカワシンジュガイ等のサンル川の自然の保全について主張し続けた。
しかし、流域委員会は2006年12月に治水対策に基本的問題を残したまま流域委員会の多数意見としてダム建設を容認、2013年に本体基礎工事が始まり、2018年にサンルダムは完成、試験湛水を経て、2019年から本格運用が始まった。
流域委員会終了後の2007年に北海道開発局旭川建設部は「天塩川魚類生息環境に関する専門家会議(以下専門家会議)」を設置し現在まで続いている。この委員会は、天塩川のサクラマス、カワシンジュガイ等水生生物の保全対策およびサンルダムに設置された高さ40m、長さ400mの階段式魚道と7kmのバイパス水路がサクラマスの遡上、スモルト(サクラマス幼魚)の降下に十分に機能するかどうかについて継続して調査、検討が現在までが行われてきた。
私たちはダムの本格運用が始まった2009年以来、旭川開発建設部と専門家会議に対して、サクラマス、カワシンジュガイ資源の保全と魚道の機能について質問状の提出と回答のやりとりを行ってきた。
以下の文章はこの間の経過について、北海道新聞夕刊文化欄に3回に分けて(2022年12月10日、12月17日、12月24日)に寄稿した「サンルダムとサ クラマス」の原稿です。新聞記事とは一部違い、写真も多く使っています。
出羽 寛 記
「サンルダムとサクラマス」
(上)建設の経過
近年、洪水氾濫が多発し、市民生活に大きな被害をもたらしている。その対策として造られた大型ダムは洪水氾濫に一定の効果を持っているが、川の生き物、特に川と海を行き来する魚類に大きなダメージを与える。こうしたことからダムを見直そうという動きも進んでいる。
例えば米国では、市民や研究者の意見を取り入れて、2006年から2014年まで、年ごとに数を増やしながら1000を超えるダムが撤去された(A・クィーン著「太平洋サケ・マスの生態と行動(二版)」2018年)。一方、日本ではダム建設が白紙撤回されていた熊本県・球磨川支流の川辺川で、再びダム建設(穴あき)の方向で見直すという。2020年の大きな水害があったことを踏まえての見直しであるにしても、専門家や住民の意見を取り入れた慎重な議論が必要ではないか。
北海道でも、再論議が必要だと私たちが考えるダムの一つが、上川管内下川町の山峡に位置するサンルダムである。
天塩川水系の中でも際立って自然が豊かなサンル川に建設されたこの多目的ダムは、完成して5年がたち、元の自然は様変わりした(写真)。水の中の枯死した河畔林は異様な姿になった。さらに回遊魚サクラマスの、サンルダム上流への遡上数が減っているようなのだ。私たちがもっとも危惧していたことだ。
サンルダムは1987年に計画され(天塩川水系工事実施基本計画)、88年に建設を前提とした調査に入った。生物の保全や生態学を専門とする私たち二人は、97年施行の改正河川法で設置が義務化された開発局の天塩川流域委員会(2003~06年)に参加した。この法律は洪水や利水対策のほか、旧河川法にはなかった生物と環境の保全や流域委員会などの住民参加が盛り込まれていた。何より洪水・利水対策と環境保全が「対等」に位置付けられたことで、一歩進んだ側面を持っていた、と思う。全国的にみれば、同じころ粘り強い議論の末に住民や専門家の意見が大幅に取り入れられた例も見られていた。
私たちは、主に二つの理由でサンル川でのダム建設は慎重であるべきだと問い続けた。①自然が残されているサンル川の場合、ダムではなく、堤防の整備や河道掘削等の河川改修と遊水池によって治水を考えるべきではないか、②サンル川にすむサクラマスやアメマスと、彼らに寄生する絶滅危惧種カワシンジュガイ類を守るのに、魚道で十分なのか。この2点であった。
サンル川の豊かな自然が守られてきたのは、天塩川の他の支流とは異なり、ダムをはじめとする河川工作物がほとんどないからだ。さらに、魚道に疑問を呈したのは、北海道で、大型ダムに作られた回遊魚遡上のための魚道が、どれも有効に働いていないことが分かっていたからであった。魚道は、場合によっては万全ではないのだ。
委員会では4年間にわたって計20回、粘り強い議論が行われた。それでも不十分だと私たちは主張し続けた。しかし、治水対策に基本的な問題を残したまま(注1)06年12月に流域委員会の多数意見として、条件をつけてダム建設を容認するに至った。その条件とは、魚道が本当に有効なのか、その目途が立つまではサクラマス親魚とスモルトがそれぞれ遡上と降下ができる流路(河道)を維持することであった。 その後、公共事業の見直しを目玉政策に掲げた民主党政権下でサンルダムも見直し対象になるなど紆余曲折を経て、13年にダム建設工事が始まった。
注1: 治水対策については、開発局の資料からダム建設以外の河川改修によって、天塩川流域の氾濫面積は昭和から平成になって大きく減少していた。このことをベースに、筆者の一人出羽は、堤防整備や河道掘削、遊水池によって流域委員会の治水対策の目的である洪水時の目標流量を安全に流す具体的な方策を提案した。今後も検証が必要。
写真1 サンルダム 堤高46m、堤長350m、総貯水容量57,200,000㎡、洪水調節容量35,000,000㎡
写真2 河畔林が水没、枯死、無惨な光景になった湛水域
写真3 高さ約30m、126段のヘアピン状の階段式魚道
写真4 バイパス水路(7kmの魚道)左側は湛水域、右は管理用道路
開発局はサクラマス、スモルトがム湖を通らず全て魚道で遡上、降下する計画をたてたがダム湖への迷入が生じている。
(中)魚道の有効性
開発局は流域委員会設置前から、サンル川上流部を含む天塩川上流部のサクラマス産卵床数(回帰数・遡上数が推定できる)とカワシンジュガイ類の分布調査を行っていた(注1)。委員会終了後も「天塩川魚類生息環境保全に関する専門家会議」を立ち上げ、調査を継続するとともに、ダム建設後は魚道を通過するサクラマスなどを、ビデオカメラを使って数えるなど、その有効性調査を進めている(注2)。
この調査では、サクラマスが魚道を利用して上流に移動し、産卵していることが確認された。このことから魚道が「機能」しているとして18年、ダム本体の試験湛水が始まった。
この間、私たちは直接的あるいは間接的に魚道が十分機能を発揮機能するまでは、遡上、降下のための流路を開けておくべきだと言ってきた。サンル川の自然の保全と治水の両方を目指すダム建設で、魚道が機能しないうちに流路を閉じてダムを「完成」させれば、サンル川の自然にダメージを与える可能性があると考えたからだ。しかし、サクラマスが魚道を利用して上流に移動し、産卵していることが確認されたことから、開発局は、魚道が「機能」し「有効」であるとして、18年、ダム本体を完成させ湛水が始まった。
前川は1976年、サンル川の魚類相調査をしたことがある。下川町史編纂の資料つくりとして、上川管内下川町からの依頼であった。今思えば、ダム建設計画が関係していたのかもしれない。それはともかく、再びサンル川に入ったのは、約20年後。名寄市史資料を得るためであった。幸運にもサンル川は76年当時と変わらす、ヤマメ(サクラマスの子)が際立って多い川であった。
ほぼ手つかずのこの川で、絶滅危惧種カワシンジュガイが多いのも、サクラマスが多いことの反映だった。だから、サンル川の生態系や生物多様性はサクラマスを核として成り立っていると考えられる(注1)。こうして、サクラマス(アメマスも)資源を建設前の状態近くに保全することが、サクラマスそのものとサンル川流域の生物多様性の維持に必要だと、私たちは主張したのであった。
ダム建設を進める前提として、サクラマスやアメマスなどの魚類資源を守るために造った魚道が有効かどうかを評価することが不可欠であったことは前回述べたとおりだ。この魚道は今までに見たこともないほど巨大なのだ。ダム堤体を避け、落差約30mの急斜面をヘアピン状に造られた階段式魚道が走り、その上流に続く人工(バイパス)水路が7キロメートル先でサンル川上流につながっているのだ。バイパス水路との合流点にはスモルト(降海期の未成魚)をバイパス水路へ誘導し、ダム湖への迷入を防ぐ分水施設もある。
この魚道による開発局の調査によって、サクラマスは階段式魚道とバイパス水路を超えて産卵場所のある上流にまで達し、産卵したこと、さらにバイパス水路を使ってスモルトも降下したことが確かめられた。開発局はこれをもって、魚道が「機能」していると判断したと推察される。しかし、ダム直下まで上がってきたサクラマスが魚道を溯上できた割合、上流のスモルトがダムを降下できた割合を、調査・分析しなければ魚道が有効に機能したとは判断できないのではないか。
注1: サクラマス(ヤマメ)=写真=およびアメマスは、ともに遡河回遊魚。サクラマス(環境省準絶滅危惧種)は日本列島および極東地方に分布する。降海期の稚魚をスモルト(銀毛)と呼ぶ。海で1年過ごしたのち、春に川へ遡上する。生まれた川への回帰率は高いとされる(母川回帰)。オスのうち、成長の良い個体は降海せず、河川に残留し成熟する(ヤマメ)。サンル川に多数生息する環境省絶滅危惧種カワシンジュガイ2種(カワシンジュガイとコガタカワシンジュガイ)は、それぞれサクラマスとアメマスに寄生する。この魚が減少すれば、カワシンジュガイ類も減少する。
注2: 専門家会議の他にモニタリング委員会を置いて、ダムによる自然環境の変化などを調査(モニタリング=環境への影響調査全般、動植物への影響などの分析)をおこなっている。モニタリング部会の任期は5年、主に陸上生物が対象になっている。
写真5 サクラマス親魚(左オス、右メス) 撮影 山田直佳さん
写真5 幼魚(ヤマメ) 撮影 山田直佳さん
(下)今後の方向
私たちは、ダム建設開始前後から、サンル川の魚道の機能とその有効性とはサクラマスの上流域への遡上数をダム建設以前の数を維持することであると言い続けた。このことが、サンル川の豊かな自然を守るために第一義的に必要なことと考えるからだ。もし魚道(階段式魚道とバイパス水路)によるサクラマス親魚遡上に障害が起きれば、上流部の産卵数が加速度的に減少し、結果としてヤマメ、カワシンジュガイ類や他生物の生息に影響を与えてしまう。実際、サンル川の調査から、上流へのサクラマス遡上数が増えれば翌年には稚魚の数も増えるし、その逆も起こることが分かっている(「2021年度天塩川魚類生息環境に関する専門家会議年次報告」より)。さらにスモルトの降下障害が起きれば、翌年戻ってくる親魚の回帰数にも影響するかもしれない。けれども、受け取った8度の回答に、天塩川本流の他の魚道のない支流の改善策についての説明はあるが(注1)、サンル川の魚道の機能の有効性を判断するのに必要な、サクラマス遡上の成功や失敗の割合に対する言及はない。またスモルトが湛水湖へ迷入することもわかっているものの、バイパスを通過するスモルトの降下成功率など、具体的な調査・解析はない。
とりわけ気になるのは、2018年のダム建設直後、サンル川産卵床数は一度大きく増加した後、3年続けて減少し、直近の2021年には2007年以降の記録上、最少近くまで減少していることだ(グラフ)。ダムと魚道の影響(遡上と降下障害)が心配されるけれど、減少した原因を特定することは、今のところできない。
サンルダム魚道に遡上障害を示す間接的証拠がある。ダム提体直下の支流である一の沢川の産卵床数の割合が、ダムがなかった時と比べて増えていることである(表)。例えばピリカダム(後尻別川 桧山管内)で、サクラマスが階段式魚道とバイパス水路を上らず、その直下で産卵するサクラマスが多く見られたように、サンル川でも帰ってきたサクラマスが、魚道を上れないか、魚道の入り口を見つけられず、「仕方なく」一の沢川と提体下流で産卵した個体が増えたと考えるのが、今のところ最も合理的なようである。
魚道の遡上障害が強く疑われるにもかかわらす、詳しい調査・分析はなく、魚道は「機能」しており「有効}であるとされた。魚道の機能に不備があれば「順応的管理」のもとに対応するという。順応的管理とは、目標を設定し、計画がその目標を達成しているかをモニタリングにより検証しながら、その結果に合わせて、合意形成に基づいて柔軟に対応して行く手段である。
問題なのは、魚道に対して明確な目標がないことだ(注2)。目標がなければ有効性の科学的な検証や手法の改善など順応的な対応ができないだろう。せっかくの長期調査が台無しになってしまうし、ダムの遡上障害に対する検証がないのも、この目標がないことが原因の一つになっていると思う。サンルダム魚道は、その規模・予算を含めてたいへん意欲的ではあるけれども、まだ実験の途上であり、結論を導くのは早すぎると私たちは考える。
サンル川のサクラマス資源と生物多様性を保全するにはどうすればよいか。繰り返しになるが、サクラマス(ヤマメ)、カワシンジュガイの生息状況をダム建設以前の状態に維持することを目標に調査を継続し、科学的に分析しながら、その目標に向けて努力することが必要ではないか。「サンルダム完成」とはこの目標が達成したと考えられる時であろう。
今後、サンルダムの見直しが必要な場合や、自然豊かな北海道の川の、治水のあり方や方向について検討する際、魚道を含むサンルダム建設の経緯や問題点が役立つような事後評価が行われることを期待したい。そのためにもより広く研究者や地元住民の意見や希望を取り入れながら、このダムと魚道が検証されることが望まれる。私たち二人も、しばらくは注視したいと思う。
注1: 開発局はサンル川以外の天塩川の支流に造られた治山ダムに魚道の設置を進めており、設置後サクラマスの天塩川上流へのサクラマス遡上数は増加しつつある。今後の維持・管理が期待される。
注2: 開発局はダム(魚道)の環境への影響を「最小限」にすると言ってきた(平成20年度年次報告中間とりまとめ)。しかし、どこまでを最小とするかが不明であり、「最小」の影響で自然がどの程度守られるのかもわかっていない。
グラフ サンル川の産卵床数の経年変化
2017年は9月の増水などにより過少に評価されている。ダム完成の18年に多かった理由の一つは日本海側サクラマス資源が増えてことが挙げられる(長谷川ら、水産学会誌、22年度)。その後3年間続けて減少しているが、「年次報告書」によるとサンル川以外の支流では増加傾向にあることから、減少要因としてダムや魚道による直接的、間接的影響が疑われる。
表 サンルダム上流・下流と一の沢川の産卵床数の割合
ダム設置後、一の沢川の産卵床数の割合が増加しており、魚道を上がれない、見つけられないといった俎上阻害が考えられる。