中止になったダムの建設再開を求める動き
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中止になったダムの建設再開を求める動きが出てきています。天竜川水系の戸草ダム、利根川水系の戸倉ダムです。
それらの記事を掲載します。戸倉ダムの記事は2021年11月の記事です。
戸草ダム、戸倉ダムの諸元を下記に記しておきます。
その動きのバックにゼネコンや建設官僚がいると思います。
国交省は当時の反対運動を担った人たちの高齢化を見定め、土建業を中心にした人たちを核にダム建設を進めようとしています。いつの時代でも自分たちの利益に繋がる公共事業を誘致しようと必死です。
国交省がダムなどの公共事業を復活させようと考える理由は、最近の河川環境の自然保護団体の弱体化を見抜いているように見えます。どんなところに国家予算を使うべきかを弱い立場の国民が真剣に考えなければとんでもない社会になると思います。
戸草ダム建設再開を 三峰川期成同盟会が要望
(長野日報2023年2月1日 6時00分)http://www.nagano-np.co.jp/articles/104871
(写真)阿部知事に要望書を手渡した伊那市の白鳥市長
天竜川の治水対策実現を目的に上下伊那地域の市町村でつくる三峰川総合開発事業促進期成同盟会(会長・白鳥孝伊那市長)は1月31日、阿部守一知事に、戸草ダム建設再開を含めた河川整備メニューの見直しを早期に行うよう国に求めてほしいと要望した。要望活動は冒頭を除き非公開。白鳥市長によると、知事からは「流域の市町村と思いは同じ」との趣旨の発言があり、同盟会と共に国へ働きかける姿勢と受け止めたという。
要望書では、三峰川合流点から本川上流の流下能力向上と諏訪湖の放流量増加、三峰川での洪水調節が一体となった治水対策により天竜川流域全体の安全度が向上すると主張。総合的な治水対策につながる戸草ダムの建設、ゼロカーボンに向けた水力発電などの利水の検討、諏訪地域を含めた流域全体の連携調整を望んだ。
白鳥市長によると、知事からは「戸草ダムを含めより効率的・効果的な治水対策が検討され、河川整備計画の変更を経て政策が進むよう流域全体の市町村と共に努力していきたい」とのコメントがあったといい、白鳥市長は「(これまでの要望活動の中でも)大きな一歩」「知事がそういう思いでいてくれることは心強い」と述べた。
国交省では現在、天竜川水系の整備計画について見直しを検討中。同盟会ではこの計画に戸草ダムを位置付けたい意向で、2月6日に国土交通省中部地方整備局(名古屋市)、7日に国交省本省(東京都)への訪問を計画している。
戸草ダムは多目的ダムとして伊那市長谷の美和ダム上流部に計画され、1988年に国が事業着手したが、2000年に当時の田中康夫知事がダム事業の見直しを発表し、県は工業用水の取水や発電の利水事業から撤退。建設計画が止まっている。
県に戸草ダム建設再開を要望 三峰川開発期成同盟会
(中日新聞(2023年2月1日 05時05分) https://www.chunichi.co.jp/article/628136
上伊那・飯田下伊那地域の天竜川流域の市町村でつくる「三峰川(みぶがわ)総合開発事業促進期成同盟会」は三十一日、国が計画したものの県が利水事業の構想を撤回したことなどから二〇一二年に建設中止が決まった多目的ダム「戸草ダム」(伊那市)について、建設再開を視野に入れた河川整備計画づくりを国に求めることなどを県に要望した。
有識者でつくる「天竜川水系流域委員会」は昨年三月、国が〇九年につくった天竜川水系河川整備計画を点検し、気候変動の影響で増す降雨量を考慮した目標流量や、それに応じた河川整備メニューの見直しを提言。国は同十一月、河川整備計画の上位計画にあたる「天竜川水系河川整備基本方針」の改定を先行して進める方針を示した。
期成同盟会は、戸草ダムの建設再開を含む河川整備メニューの早期見直しを国の関係機関に求めるよう県に要請することを決めた。水力発電などの利水事業の検討も改めて求めることにした。
この日、期成同盟会長の白鳥孝伊那市長、副会長の伊藤祐三駒ケ根市長、白鳥政徳箕輪町長らが県庁を訪問。阿部守一知事に要望書を提出した。
提出後、白鳥市長らと阿部知事は非公開で懇談。終了後に取材に応じた白鳥市長によると、阿部知事は「具体的な治水対策については戸草ダム(の建設)も含めてより効率的、効果的な対策が検討され、河川整備計画の変更をへて政策が進むよう、天竜川の流域全体の市町村とともに努力していきたい」と応じた。白鳥市長は「大きな一歩」と歓迎した。
(大久保謙司)
梅澤志洋片品村長インタビュー 戸倉ダム建設計画再開へ
(群馬建設新聞2021/11/18)https://www.nikoukei.co.jp/news/detail/447914
片品村長選挙が10月19日告示され、無投票で2期目の再選を果たした梅澤志洋村長。「より一層の責任を感じる」と気持ちを引き締めるとともに、感謝と謙虚の気持ちが大切だと語る。2期目は新型コロナ感染症対策を念頭に置きつつ、さまざまなシステムや公共施設のランニングコストを見直し、未来に向けた財政基盤を作り上げたいと意気込む。戸倉ダム建設計画再開への動きも見せる中、今後の見通しや運営について聞いた。
-2期目を迎えた抱負は
梅澤 無投票での再選となり、より一層の責任を感じている。従来のさまざまなシステムを見直し村の特徴に合わせ、残すものは残し必要なものは刷新するという考えで、2022年度を迎えるまでに検討を行う。
また、ランニングコストを抑えながら公共施設を運営し、未来に向け安定した財政の基盤を築き上げたいと考えている。効率よく資金を動かしていき、将来に向けた貯蓄を作っていきたい。
-最重要課題は
梅澤 新型コロナ感染症対策の収束が最も重要。村民の安全・安心を守るためにも、感染症の収束に向けて全力を注ぐ。次に経済、特に観光や農林業振興をより強く進めていく。観光に関しては、これからを見据え民間の力を借りながら進めていく。
-国土強靱化について
梅澤 19年に大きな被害をもたらした台風19号において、同年10月から試験湛水を開始していた八ッ場ダムが治水面で大きな話題となった。また、熊本県で建設凍結されていた川辺川ダムが、集中豪雨の被害により計画容認に変更されるなど、ダムに対する考え方も変化が出てきている。当初は利水対策として計画されていた戸倉ダムだが、今後は治水に向けた取り組みとして考える必要がある。そのため、国土強靱化や防災を兼ねて戸倉ダムの建設事業再開を実現したい。
-戸倉ダム建設計画の再開に向けて
梅澤 戸倉ダムは八ッ場ダムの90%程度の貯水量が見込まれている。また、計画当時の総工費として1230億円が掲げられており、すでに関係工事などで24%に当たる約299億円を投資している。加えて、ダム予定地の大部分を現在の水資源機構が所有しているため、新たな土地買収が少ないなど計画再開に向けたメリットも多い。そして、議会、役場、戸倉の地元住民から反対する意見は全く聞こえない。
計画再開に向け慎重な意見も出ているが、片品方面の利水・治水を見ると利根川合流までの間、薗原ダム以外に大きなダムがない。いろいろな災害が想定される昨今において、下流域となる首都圏の安全を確保するため、戸倉ダムが必要だといっても過言ではない。
9月27日には議会から「戸倉ダム建設の調査・研究について」の提言を受けており、今後は戸倉ダム建設実現に向けて国や県に話を進めていく。
-村営住宅解体が行われるが
梅澤 須賀川地内にある村営住宅は、21年度内に1棟を除いて解体を行うことが決定している。合わせて、新たな村営住宅建設に向けた土地購入を見通している。
活性化の一つである移住促進については、2拠点生活から始めてもらえればと考えている。最初から意気込んで村に移住するよりも、関係人口を増やしていくことが大切。今後は、空き家を村でリフォームして貸し出すといったことや、土地も村で斡旋できるようにしていきたい。
-交通網について
梅澤 国道120号の年間通行と国道401号の福島県への開通は、20年以上に渡り要望し続けており、今後も訴えていきたいと考えている。また、村道や林道の整備はもちろんのこと、熟している森林整備についても手を付けていかなければならない。
一方で、現在計画されている利根町から片品村に繋がる(仮)立沢バイパスには期待をしたいところ。椎坂トンネルができて、沼田市からのアクセスが格段に向上したように、(仮)立沢バイパスが開通すれば大きな効果が期待できるだろう。
ウィキペディア
戸草ダム
河川 天竜川水系三峰川(みぶがわ)
位置:長野県伊那市
ダム型式 重力式コンクリートダム
堤高 140.0 m
堤頂長 300.0 m
堤体積 1,330.000 m³
流域面積 137.9 km²
湛水面積 140.0 ha
総貯水容量 61,000,000 m³
有効貯水容量 41,000,000 m³
利用目的 洪水調節・不特定利水・
工業用水・発電
事業主体 国土交通省中部地方整備局
電気事業者 長野県企業局
着手 1984年/中止
ダム便覧
戸倉ダム
河川 利根川水系片品川
位置:群馬県利根郡片品村
目的/型式 洪水調節・農地防災;不特定用水・河川維持用水;上水道用水/重力式コンクリート
堤高/堤頂長/堤体積 158m/530m/320千m3
流域面積/湛水面積 72K㎡/200ha
総貯水容量/有効貯水容量 92000千m3/87000千m3
ダム事業者 水資源開発公団
着手 1982年/中止
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