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千曲川はなぜ決壊したのか(上) 弱かった堤防と河床掘削怠ったツケ

2020年2月27日
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• 元朝日新聞記者の杉本裕明さんが書かれた「千曲川はなぜ決壊したのか(上) 弱かった堤防と河床掘削怠ったツケ』を掲載します。

千曲川はなぜ決壊したのか(上) 弱かった堤防と河床掘削怠ったツケ
• 杉本裕明
(エコトピア2020年2月26日)https://ecotopia.earth/article-3412/

(写真)千曲川の決壊箇所は、鉄の矢板が打たれ、水が入ってこないようにしている。外側の埋めた土を重機で掘り返している(長野市)。杉本裕明氏撮影 転載禁止
昨年10月日本列島を襲った台風19号は各地に大きな被害をもたらしました。長野県では千曲川が氾濫し、長野市や千曲市などの住民は川から押し寄せた洪水に苦しみました。
一瞬のうちに家を失った人。泥水をかぶり、りんご園が台無しになった農家。過去の教訓が生き、助け合いの精神が生きていたこの地域では地域住民がいち早く避難し、被害の程度の割に死者は5人と、他の地域と比べて少ない数字でした。
いま、避難指示の方法などソフト面での対策が声高に叫ばれていますが、被害を大きくした堤防決壊がなぜ起こったのか、どうすれば被害を防げるのか、利根川なども含めてハード面から考えてみました。
ジャーナリスト 杉本裕明


決壊現場では埋めた土砂を掘削

(写真)工事現場は立ち入り禁止だ。(杉本裕明氏撮影 転載禁止 )
10月13日午前4時15分。長野市穂保の千曲川の堤防が長さ70メートルにわたって決壊した。その現場は11月はじめに視ている。当時は決壊現場を中心に鉄の矢板が川側に二重に打ち込まれ、浸水と浸食を防いでいた。1月末に再度訪れると、矢板の陸側に盛った土を掘削していた。
「どんな作業をしているのですか」と訪ねると、国土交通省千曲川河川事務所の担当者は「堤防の本工事のために、緊急対策として盛った土を除去しているのです。これが終われば本工事に着手します」と答えた。
少し上流で犀川が合流する千曲川は、このあたりで川幅が1キロあり、ゆっくり流れているが、その少し下流に行くと、川幅が何段階にもわたって120や260メートルに狭まり(立ケ花狭窄部)、川の流れを阻害する要因となっている。その後、千曲川は新潟県に入ると、信濃川となって日本海に流れ込む。日本でも有数の大河川である。
河口部では、流れの一部を大正時代に完成した大河津分水路と呼ばれる人工河川に受け、洪水対策をしている。1992年から2014年にかけて水量を調節するための洗堰や可動堰の改築工事が行われ、今回の台風19号では「洪水を日本海へ流しきることができ、『越後平野の守り神』等多くの賞賛を受けた」(信濃川河川事務所)という。
しかし、その上流では、長野県の穂保地区で堤防が決壊し、その少し上流の上田市では堤防が削られて上田電鉄の鉄橋の一部が落下した。
治水史が専門で伝統的な治水工法の提唱者でもある大熊孝新潟大学名誉教授は、先の信濃川下流が守られたことを評価し、「治水事業を採点するならば、100点をあげたい」と言う一方、この上流の決壊にはこう酷評している。
「実は、かつて常襲的な氾濫地域で、1918(大正7)年以来改修工事が鋭意進められてきたところであり、新幹線車両基地があるなど千曲川沿線でとられるべき最重要地域である。そこが氾濫したという点では、残念ながら0点といわねばならない」(『都市問題』2020年2月号)


決壊の要因は?

災害の後、北陸地方整備局に千曲川堤防調査委員会が設置され、現地調査と決壊の要因分析が行われた。それによると、決壊や鉄橋の落下の主な要因は、川の水が増えて、堤防を乗り越え、さらにそれが堤防の陸側の斜面(裏法面という)を削り取り、堤防の決壊や欠損を招いたという。
筆者が穂保の決壊現場を見ると、堤防の陸側の斜面がえぐられ、桜堤が崩落していた。住民が言う。「地域の人々がよく散歩をしては桜並木を楽しんでいましたが、こんな姿になるとは。無残です」
堤防の直下にはいくつもの水たまりが残っていた。洪水が堤防を乗り越え、洗掘してできた跡である。
なぜ越水(川の水が堤防を乗り越えること)が起きたのか。その原因を探るために、委員会にこんなデータが提出されていた。一つはこの区域の河床の断面図の変化を示したものだ。決壊地点を含む約6キロにわたって、2000年から2018年にかけて、川底の高さに変化がなかったかを見ている。 もし、この間に上流から土砂が流れてきて堆積していればその分、水面の高さが高くなり、堤防を乗り越えてもおかしくないからだ。しかし、結論からいうと、ほとんど変化は見られなかった。もう一つは、澪筋(みおすじ)と呼ばれる河床のもう一つの断面図だ。これは川底の形状の変化を見たものだが、これも大きな変化はなかったという。
ただ、河床の高さについてよくみると、決壊のあった箇所はまったく変化がないが、その前後を見ると、過去に比べて盛り上がっているところや、逆に下がっているところがある。下がった箇所は掘削が行われたところで、盛り上がったところは堆積しやすいところで、掘削をしてこなかったと想像できる。
北陸地方整備局の河川整備計画にともなう資料では、決壊のあった箇所の掘削工事は2023年までに行うとあり、その前後の箇所は2014年から行い、終了済みとなっていた。千曲川河川事務所に聞くと、「河道整備は下流から行うのが基本だが、上流の千曲川でも随時行われてきた。しかし、それはもっぱら砂利採取業者に頼んでやってもらう事業だった」と言う。
これに対し、元東京都環境科学研究所研究員で、水源開発問題全国連絡会(水源連)共同代表の嶋津暉之さんはこう分析する。 「千曲川の狭窄地点で、国土交通省が設定している計画高水位(堤防などを作る際に洪水に耐えられる水位として指定する最高の水位)と、実際に洪水時に流れた時の水位をプロットしたものを比べてみると、計画高水位で想定した流量が流れると、実際の水位が計画高水位を上回ってしまうのです。つまり、想定した最大の洪水を安全に流せる川でなくなってしまっているのです。この原因を考えると、河床の浚渫(しゅんせつ)を適宜行ってこなかったとしか思えません。今回災害が起きたことを反省して、国はしっかり浚渫に取り組むべきだと思います」
大熊名誉教授も同意見だ。「(国土交通省のデータをみると)今回の最大流量は計画高水位を1・5メートル下回っていたと考えられるから、本来はあふれないはずである。それがあふれた理由は、土砂が堆積し、洪水を流す河道断面積が減少し、相対的に堤防が低くなっていたとしか考えられない」(前述)。千曲川河川事務所は「川底に生えた樹木も流れを妨げる要因になるので、掘削と共に取り組みたい」というが、どこをどれだけ行うのかははっきりしない。


決壊しない堤防はなぜできないのか

(写真)堤防の外側は、深くえぐれていた。堤防を越流した水が掘り返した結果だ。杉本裕明氏撮影 転載禁止
もう一つ、嶋津さんが指摘するのは堤防のもろさだ。千曲川河川事務所が、破堤した堤防の天端(「てんば」と読む。頂上部のこと)に設置したライブカメラを見ると、10月12日から流量が増え、13日午前0時55分に越水が始まったことを確認している。
さらに午前2時15分にカメラが倒壊した。千曲川河川事務所の職員が言う。「天端に電柱を立ててその上にカメラを設置して監視していましたが、越流で堤防の基礎が緩くなり、電柱がぐらぐらし、倒れてしまったのです」。これでは監視カメラの用をなさない。
ただ、長野市は、氾濫の危険性が高くなっていると、長沼や豊野などの千曲川沿いの地区に対し、12日午後6時に避難勧告を出し、午後11時40分には避難指示を出している。ある住民が言う。「この地域では避難訓練も行っており、住民が過去の経験から水害の怖さを知っていた。私も近所のお年寄りを伴い、一緒に避難しました。消防団も機能した。家とりんご園はだめだったけど、命は助かった」
(写真)堤防の改修工事は行われているが、洪水被害を受けた長野市長沼地区はこの通りだ。杉本裕明氏撮影 転載禁止
この堤防を見る限り、天端はアスファルト舗装をし、さらに幅4メールの桜堤が整備してあった。桜堤は、市民の憩いの場にするという意味合いもあるが、堤防を補強する役目もあった。しかし、今回の水害によって、桜堤は何の役にも立たなかったことがわかる。
この数年起きた洪水による堤防決壊の事例の多くで見られたように、ここでも洪水が堤防を乗り越えて堤防の陸側の斜面を崩し、崩壊を招いた。
2015年9月の鬼怒川水害では、鬼怒川が決壊し、多くの住民が犠牲になった。その反省から国土交通省が打ち出したのが「危機管理型ハード対策」だ。越水対策として、堤防を強化し、決壊までの時間を引き延ばすとともに、河道掘削を進め、流下能力(川を安全に流す)を向上させ、水位低下を図るという。
では、この方針に基づいて行われる堤防とはどんな構造なのか。 千曲川の決壊した箇所について、北陸地方整備局の堤防調査委員会に提案され、委員会が了承した堤防の補強策はハード対策として決められた補強対策で、▽天端のアスファルト舗装▽法肩(堤防の頂上と法面=斜面のこと=と接合部分)をコンクリートブロックなどで保護▽法尻(斜面と地上の接合部分)をコンクリートブロックで覆う▽川側の法面(斜面)をブロックなどで覆うことから成り立っていた。
国土交通省は今回の台風19号で、この堤防のハード対策が一定の効果をもたらしたと評価している。「台風19号による洪水では、荒川水系都幾川において、対策を実施した箇所において、初めて越水が発生したが、堤防の決壊には至らなかった。一定の効果を発揮したものと考えられる」(治水課)。ただ、都幾川の決壊した箇所の周辺を見る限り、土を盛っただけで、その上に細い道路があるだけに思える。 嶋津さんはこんな疑問を呈する。
「天端など一部分を補強しただけで、根本的な対策になるのでしょうか。その欠陥があらわとなったのが、2018年7月の西日本豪雨です。岡山県の高梁川支流の小田川が決壊し、多くの犠牲者を出しました。この小田川の決壊箇所は、堤防のハード対策をされていたところでした。このハード対策は、堤防の天端をアスファルト舗装しますが、陸側の斜面は強化されません。洪水が堤防を乗り越え、斜面を崩し、数カ所で決壊しました。国は中途半端な『ハード対策』でなく、越水しても破堤しにくい耐越水堤防の整備に一刻も早く着手すべきです」


耐越水堤防とは

嶋津さんが指摘した耐越水堤防は「フロンティア堤防」とも呼ばれる。実は旧建設省(現国土交通省)の土木研究所が開発した。陸側の斜面を遮蔽シートとコンクリートブロックで覆い、天端はアスファルト舗装、陸側の斜面と地面の接触部分をコンクリートブロックで固めたものだ。
このフロンティア堤防は、兵庫県の加古川や茨城県の那珂川など9河川で施工された実績がある。しかし、おかしなことが、国土交通省で起きた。
嶋津さんが語る。「建設省は2000年に『河川堤防設計指針第3稿』を出し、その中で耐越水堤防の普及を図るとしていましました。ところが、その後方針が変わってしまいました。2001年12月の熊本県の川辺川ダム住民討論会で、耐越水堤防を整備したらダムはいらないと住民から指摘され、耐越水工法を導入すると、ダムを推進できないと考えたのでしょうか。2002年に先の指針を廃止するとの通知が出されました。それ以来、耐越水堤防は国土交通省が認めない工法になってしまいました。」 「国土交通省の河川・ダム事業予算は約6,400億円あり、ダム関連はおおよそ3分の1あり、これを耐越水堤防の予算に回せば治水は大きく進む」
国土交通省は、都幾川で、ハード対策を行った箇所は決壊しなかったと明かしている。同じく決壊が3カ所にのぼった那珂川では、一部の区間で耐越水堤防が建設されたところがあり、見事に越水に耐えていた。だが、同省はそのことには一言も触れていない。
(写真)「堤防の強化と河床の掘削を急ぐべきだ」と提唱する嶋津暉之さん。八ッ場あしたの会提供参考・引用文献
『水源連だより』(2020年1月22日水源開発問題全国連絡会)
『都市問題』(2020年2月号)
『河川』(2020年1月号)
『科学』(2019年12月

水は足りない? 石木ダム推進、佐世保市の根拠は

2020年2月25日
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佐世保市が石木ダムが必要だとする話は二つの虚構でつくられています。
一つは水需要が大幅に増加していく話、もう一つは水源が現状でも不足しているという話です。
水需要の実績が確実な減少傾向にあるのにもかかわらず、市は水需要が大幅に増加していくという架空予測を行っています。
もう一つの問題、保有水源について市は安定水源が許可水利権の77000㎥/日しかないとしていますが、実際には渇水時にも十分に使われている慣行水利権22,500㎥/日があります。
この佐世保市の水需給計画に疑問を投げかける記事を掲載します。

水は足りない? 石木ダム推進、佐世保市の根拠は
(朝日新聞長崎版2020年2月25日 9時00分) https://digital.asahi.com/articles/ASN2S6S7NN1ZTOLB00Q.html?iref=pc_ss_date


 本当に水は足りないのか――。長崎県と佐世保市が、川棚町で計画する石木ダムの建設目的の一つが佐世保市への水道水の供給だ。ダム反対住民が不信感を募らせる同市の水需要の積算根拠に迫った。
急な斜面が海岸近くまで迫る佐世保。急勾配の小さな川しかなく、雨はたちまち海に流れ出す。
市中心部から北へ約4キロ、川の流れを一部せき止めた四条橋取水場がある。肝心の水は、両岸からせり出した巨岩の間を縫うように心もとなく流れる。上流の三本木取水場も同様だ。
昔から慣例で利用してきたこれらの水源は、山中の湧水(ゆうすい)と合わせて日に最大2万8500トン取水できる能力がある。だが、普段は流量が少なく、水道法の基準を満たさないとして、市は「不安定水源」と呼ぶ。
一方、市が「安定水源」とみなすのが、市内六つのダムと近隣の3河川からの日量計7万7千トンだ。
この30年、年間で最も水が使われた日の給水(1日最大給水量)実績は、寒波で水道管が破裂して大規模な漏水が起きた15年度を除くと約8万~10万トンで推移してきた。つまりピーク時にも「不安定水源」が全体としては「安定的」に機能し、安定水源で足りない分を補ってきたことになる。
しかも人口減が進み、16年以降の1日最大給水量は、安定水源の能力と同レベルの7万7千トン台を推移。今年度は、この水準を割り込む見通しになった。ダム反対住民が「今後も人口は減る。ダムはますます不要になる」と主張するゆえんだ。
だが、市はまだ水は足りず、ダム建設が不可欠だとの立場を崩さない。強調するのは、渇水の脅威だ。
ダム事業着手の1975年以降、市では給水制限が計4回(平成で3回)あった。戦後最悪の94~95年度は制限が9カ月に及んだ。周辺の自治体から緊急の支援水を輸送するなどして対策費に約50億円を要した。水道局の担当者は「渇水対策費は国の補助がないため全額、市の負担。給水制限による減収もあって水道料金を2度値上げした。渇水は絶対起こしてはいけない」と力説する。
では、市はどれだけの水が必要と考えるのか。具体的にみる。
水需要の6割を占めるのが生活用水だ。少子高齢化が進んでも、市は横ばいで推移すると予測する。
なぜか? 渇水を経験してきた市民は、水使用を我慢しているというのが市水道局の見方だ。実際、1人当たりの使用量は全国平均と比べ、日に40リットルも少ないという。渇水を知らない世代へと入れ替わり、意識が他都市並みになれば、人口が減っても必要な水量は横ばいになると見立てた。
水需要の3割は業務・営業用水だ。大口需要は、自衛隊(海自・陸自)と米海軍。防衛省に将来の利用見通しを市が尋ねたところ「国際情勢が複雑化し、見通しが困難」といった回答だったため、市は過去実績の1日最大値を採用した。
工場用水は水需要全体の1割。大口の佐世保重工業(SSK)は、船の修繕の際に使う日量の変動が大きく、ここ数年で最も多い年には平均値の7・4倍あった。そこで市はこの値を採用。ハウステンボスについても同様に平均の4・5倍とした。市は「企業の利用量を見誤れば市民にしわよせがいく」と主張する。
こうした各用途の需要予測の総計を積み上げた上で市は、これらのピークが重なっても対応できるよう気象や渇水などによる変動を「負荷率」として加味。さらに、水道管の漏水などによる10%の「安全率」を見込んで日量予測を導く。
ダム反対住民からすれば盛り続けた末に、もうひと盛りしたように映る。
今年1月、利水面での事業再評価をする第三者委員会の場で、市は、計画取水量を従来から約1400トン増の計11万8388トンとする予測を提示した。
この計画取水量と、安定水源(6ダム・3河川)がもつ7万7千トンとの差の約4万トンを新たに造る石木ダムに担わせる。この算定では、安定水源と同様に機能してきた取水場など四つの「不安定水源」を戦力外にしている点も一般には分かりにくい。
「水道事業の最大の責務は、安定供給だ」「算定のルールにのっとり、ルールのない場合は可能な限り少なく見積もった」と、市は恣意(しい)的な算定を否定する。
だが、一般に理解されにくい、こうした主張の論拠を述べるのは、法廷でのみだ。反対住民が求める市民向けの公開討論会は不要との立場を崩していない。(原口晋也、小川直樹)

(写真)相浦川の水をせき止め、ます状のプールにたまった水をポンプアップする四条橋取水場=2020年1月21日午後0時55分、長崎県佐世保市瀬戸越4丁目

石木ダムなくても水足りる? 佐世保市、今年度は安定水源の範囲で確保へ

2020年2月20日
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石木ダムの水源が必要だとしている佐世保市水道の2019年度の一日最大給水量が73,690㎥/日にとどまる見通しであるという記事を掲載します。2018年度の一日最大給水量は77,968㎥/日でした。
佐世保市は安定水源が77,000㎥/日しかないと言っていますが、2019年度の一日最大給水量はその77,000㎥/日の範囲にも収まる見通しだということです。
正しくは浄水場でのロスを考慮しなければなりませんが、そのロス率として実績値の5%分の水量を加えても約77000㎥/日になり、市が言う安定水源の範囲にほぼ収まります。
実際には市が不安定水源としている28,500㎥/日のうち、23,500㎥/日は安定水源であって、近年の渇水年である2007年度の渇水期間中も市が言う安定水源と同程度の取水の安定性がありました。
これからは人口の減少に伴って、佐世保市水道の給水量がさらに減少していくことは確実です。給水量の減少で石木ダムの必要性がますます希薄になってきています。

 

石木ダムなくても水足りる? 佐世保市、今年度は安定水源の範囲で確保へ
市「安定供給必要」 反対派「人口減考慮を」
(朝日新聞西部本社 2020年2月18日)

長崎県川棚町に計画中の石木ダムで水不足を解消しようとしている同県佐世保市で2019年度、最も水が使われた日の水量(1日最大給水量)が、市が安定して確保できる水量内に収まる見通しになった。
人口減などの影響で水需要が減っているためで、国がダム事業を採択した1975年以降初めて。ダム反対派は「ダムをつくらなくても水は足りる」と訴えている。

市が1年を通じて確保できる水源(安定水源)は、六つのダムと近隣の三つの川からの計7万7千トン(1日あたり)。
足りない分は、ほかの小さな川からと湧き水による水源(不安定水源)で補ってきた。最大で2万8500トン取水できるものの、季節で取水量にばらつきもでる。
市は、市民1人あたりの水使用量の増加や、造船企業の水使用量の振れ幅の大きさなどを折り込み、備えておくべき給水量を計11万7千トンとし、安定水源で不足する4万トンを石木ダムで確保する計画を立てた。
だが、20年ほど前は10万トン前後で推移していた1日最大給水量は、寒波による水道管破裂で大規模な漏水が生じた15年度を除くと、近年は減少傾向にある。
今年度は1月中旬までで給水量が最大だったのは、昨年8月1日の7万3690トン(速報値)。過去5年の1日最大給水量は、夏場か年末年始に集中しており、今年度末までにこれを上回る日はない見込みとなった。
1日あたりの平均給水量はさらに少な<、近年は7万トン前後で推移している。
こうした状況について佐世保市の担当者は、浄水場を経て給水する過程で水量が目減りする点を挙げ、「7万7千トン分がそのまま給水できるわけではない」と説明。
既存ダムの老朽化や大口企業の水需要の変動、地下水で異常が生じた時のリスクなどに対応するには、石木ダムの新設は不可欠との立場だ。市の担当者は「将来予測される水需要に対し、行政は安定供給する責任がある」と話す。
中村法道知事は「石木ダムは佐世保市の水不足対策として欠かせない。近年自然災害が頻発する中、治水面からも、県民の安全安心を確保するのは行政の使命だ」と訴える。
佐世保市の人口は約24万6千人だが、国の推計では20年後に20万人を割り込む見通し。水需要(料金徴収分)全体の6割は市民が使う生活用水が占めている。
ダム反対派は「人口が減ればダムがなくても水は足りる。必要性を改めて検討し直すべきだ」と主張する。
長崎県が石木ダムの完成目標時期を3年先延ばししたことを受け、市は1月23日からダム事業について、水不足対策面からの再評価を始めた。3月末をめどに結論を出すことをめざしている。(小川直樹)

決壊に強い堤防造って 土砂堆積 千曲川氾濫一因か 治水研究者招き長野でシンポ

2020年2月17日
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昨日(2月16日)、「台風19号千曲川災害検証シンポジウム」が長野市で開かれました。その記事をお送りします。
嶋津も3人のパネリストの一人として報告しました。
昨年10月の台風19号豪雨では千曲川の穂保(ほやす)地点で堤防が決壊し、凄まじい氾濫になりました。家々が濁流にのまれ、2階近くまで水に漬かった住宅も出ました。
堤防決壊から4ヵ月経ち、住宅が水没したり、住宅が大きく損傷した住民の多くはこれからどうするか、この場に住み続けるか、離れるかを悩んでいます
台風19号のような大豪雨が再び来ても、堤防が決壊しないという安心がなければ、住み続けるという判断はできるものではありません。
今回のシンポジウムの主な目的は、決壊による大氾濫が再び起きないようにするためには、国土交通省に対して何を求めるべきかを明確にすることでした。
嶋津はこのことに関しては次の2点を強調しました。
① 決壊地点で計画されている復旧堤防は耐越水堤防になっていない。川裏のり面の全面を連接ブロック等で覆う必要があるのに、のり肩のところだけの保護工になっている。
本当の耐越水堤防工法を導入する必要がある。
② 台風19号豪雨による洪水位の異常上昇は降雨量が大きかったことだけではなく、河床の掘削がきちんと行われず、河床が上昇してきたことの影響が少なからずある。
低水路だけでなく、高水敷も含めて河床の掘削を定期的に実施して必要な河道断面を確保する必要がある。


土砂堆積 千曲川氾濫一因か 治水研究者招き長野でシンポ

• (信濃毎日新聞2020年2月17日) https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200217/KT200216ATI090006000.php

(写真)研究者3人が千曲川堤防決壊の原因と対策を解説したシンポジウム
昨年の台風19号により長野市の千曲川堤防が決壊した原因や対策を考えるシンポジウムが16日、長野市で開かれた。共産党県議団などの主催で、治水問題に関わる研究者3人が講演。土砂の堆積で川が浅くなったため千曲川の水位が高まった可能性を指摘した上で、土砂を撤去するしゅんせつを進めるべきだ―などとした。

大熊孝・新潟大名誉教授(河川工学)は、決壊地点周辺の千曲川について「1995〜2005年の間、砂利の採取がされなくなり土砂がたまっていた」と説明。川が越水し、決壊に至ったのは「川の断面積が不足していたためである可能性もある」とした。

水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之共同代表も同様の考えを示し、「国はしゅんせつなどにより河床を(低く)維持する管理が不十分だった」と指摘。国土問題研究会(京都市)理事長で元京都大防災研究所助手の上野鉄男氏は、土砂の堆積を抑えるため「森林整備により山からの土砂流出を減らすことが重要だ」とした。

長野市の堤防決壊箇所で国が示す本復旧工法について、嶋津氏は「住宅地側ののり面をさらに強化すべきだ」と注文した。

シンポジウムには市内外から300人余が参加した。


決壊に強い堤防造って

千曲川被災者「国は検証を」
共産党、長野で水害シンポ 武田議員参加
(しんぶん赤旗2020年2月17日(月))https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-02-17/2020021704_01_1.html

昨年10月、甚大な浸水被害が発生した台風19号による千曲川決壊について住民の視点で検証しようと、日本共産党長野県議団と同市議団は16日、長野市でシンポジウムを開き300人を超す市民が参加しました。
和田明子県議が「新たに堤防を造っても水害を防げるのか。皆さんの思いに応えるシンポにしたい」と開会あいさつ。武田良介参院議員は「国はこれまでの河川整備が不十分だったと認め、整備のあり方の根本的な見直しが必要。シンポをその一歩に」と述べました。
3人のパネリストが報告。大熊孝・新潟大学名誉教授は、国土交通省の資料を基に千曲川の河床変動傾向を分析。「河床が上昇し、流下能力が落ちたことが決壊の原因とみている」と述べました。
嶋津暉之・水源開発問題全国連絡会共同代表は、千曲川決壊時の浅川ダムについて「流入量、放流量が少なく、治水の役割を果たさなかった」と指摘。洪水が越水しても簡単に決壊しない「耐越水堤防」を建設する必要性を強調しました。
上野鉄男・国土問題研究会理事長は、水害の直接的な原因の一つに高水敷(低水路より一段高い部分の敷地)の土砂堆積があると説明。「河川の上流で森林を整備し、山地からの土砂流出の抑制が重要だ」と語りました。
パネリストの報告後、被災住民の参加者が相次ぎ発言。「大量の砂利がなぜ出たのか国は検証し、決壊しない堤防を造ってほしい」(長野市穂保=ほやす=区の男性)などの要望が出されました。

(写真)発言する(正面左から)武田、大熊、嶋津、上野の各氏と、耳を傾ける参加者=16日、長野市

石木ダム事業の水需要予測 「科学性が欠如」 科学者の会 佐世保市に意見書

2020年2月5日
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2月4日、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」(代表 今本博健(京都大学名誉教授)、川村晃生(慶応大学名誉教授))が佐世保市に対して、佐世保市の新水需要予測に関する意見書を提出しました。その記事とニュースを掲載します。

科学者の会が提出した意見書は佐世保市水道の新水需要予測に関する意見書20200204

の通りです。

今回の新水需要予測も石木ダムの必要性をつくり出すため、下図の通り、水需要の実績と乖離した架空のものになっています。

 

石木ダム事業の水需要予測 「科学性が欠如」 科学者の会 佐世保市に意見書
(長崎新聞2020/2/5 00:03) https://www.oricon.co.jp/article/1071402/

(写真)「科学者の会」の意見書を受け取る川野課長(右)=佐世保市水道局

長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、市水道局が利水面の事業再評価でまとめた水需要予測について、全国の研究者らでつくる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は4日、「科学性が欠如している」として根元から見直すよう求める意見書を水道局に提出した。
同会は河川工学が専門の今本博健・京都大名誉教授らが共同代表で、約120人の賛同者がいるという。
市水道局は1月、再評価の諮問委員会に対し、2038年度までの水需要予測を提示。全体の6割以上を占める生活用水について、人口が減る一方で、1人当たりの水使用量が全国の同規模都市の水準に近づき徐々に増えるため、横ばいで推移すると想定。確保が必要となる水量に対し、水源が足りないとしている。
意見書は朝長則男市長宛て。給水量の実績値は減少傾向にあることを挙げ「非科学的な架空予測」と指摘している。1人当たりの水使用量は「節水型機器の普及や開発が進み、増加傾向に転じることは考えられない」と強調。「現実性が疑わしい水需要増加要因を積み上げている」とした。
この日は、ダム建設に反対する市民団体「石木川まもり隊」のメンバーらが手渡した。市民団体は、諮問委の委員の構成や審議の進め方も問題視。ダム建設を推進する立場の委員が含まれ、「構成に問題がある」ほか、別室で中継映像を介した傍聴は聞き取りにくいとし、改善を申し入れた。
意見書を受け取った市水道局水源対策・企画課の川野徹課長は取材に対し「内容を確認して対応を検討する」と述べた。

長崎)佐世保市の水需要予測「科学性が欠如」 ダム計画
(朝日新聞長崎版2020年2月5日 9時00分) https://digital.asahi.com/articles/ASN2471W3N24TOLB002.html?iref=pc_ss_date

長崎県と佐世保市が進めている石木ダム計画(長崎県川棚町)をめぐり、「ダム検証のあり方を問う科学者の会」(共同代表=今本博健・京都大名誉教授)が4日、市の新しい水需要予測について、「科学性が欠如している」として「根本からの見直し」を求める朝長則男市長あての意見書を市水道局に提出した。
意見書では、長らく減少傾向にある一日最大給水量(2018年度は7万7968トン)が今後大幅に増え、20年後の38年度に10万6549トンになるとした需要予測について「実績無視の架空の予測は行政の信頼性を損なわせる」と総括。
生活用水が節水型の家電機器の浸透や人口減に反するように増える▽自衛隊と米海軍基地の需要が倍増する▽地下水を使っている事業所が水道水に切り替える可能性を「潜在的需要」としている――点など、現実化するかどうか疑わしい要因を積み上げた予測だと批判している。
特に自衛隊と米海軍基地の需要については、具体的データを示さず多く見積もっているとしている。
また、ハウステンボスと佐世保重工業を大口利用者として、生活用水などと別の方法で一日最大給水量を算出し全体に繰り入れており、これを「聞いたことがないやり方」と指摘した。
1月23日にあった、利水面での事業再評価のために市が諮問した第三者委員会の初回会合では、この水需要予測が事実上承認されている。6日の次回会合では代替案の可能性や費用対効果について審議する。
科学者の会は、民主党政権のダム検証を機に結成。100人を超す科学者が八ツ場ダム(群馬県)など各地のダム計画を分析している。(原口晋也)

水需要予測に批判の意見書 佐世保市長に「科学者の会」 /長崎
(毎日新聞長崎版2020年2月5日) https://mainichi.jp/articles/20200205/ddl/k42/010/232000c

研究者らでつくる「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は4日、県と佐世保市が川棚町に建設を進める石木ダム事業の7年ぶりの再評価で、市上下水道事業経営検討委員会が市の水需要予測を了承したことを批判する朝長則男市長宛ての意見書を、市民団体を通じて提出した。
委員会は1月23日、今後約20年間で市民1人の1日当たりの使用水量が約9・3%増加するなど市が試算した水需要予測を大筋で了承。これに対して科学者の会は、「市の1日最大給水量は1999年度をピークに減少している」「20年前のデータを使い1日最大給水量を大きく算出している」などとを指摘し、現実との乖離(かいり)と科学性の欠如を問題視している。
4日は石木川まもり隊(松本美智恵代表)など三つの市民団体メンバーが水道局で意見書を提出した。松本代表によると、市民団体の連名で、委員会の中立性、委員会資料の公開など7項目の改善を申し入れた。【綿貫洋】
〔長崎版〕

石木ダム意見書「水需要予測は科学性欠如
(長崎文化放送2020年02月04日) https://www.ncctv.co.jp/news/76485.html

(動画あり)
石木ダム建設の事業再評価にあたり佐世保市が示した水需要予測は「科学性が欠如している」として全国の学識経験者らが意見書を提出しました。
意見書を出したのは今本博健・京都大学名誉教授ら7人です。
佐世保市は現在、石木ダム建設事業の再評価案を作成するため第三者委員会に意見を聞いています。
1月23日に開いた1回目の委員会で佐世保市は「将来必要な水需要は1日約12万tの見込みで不足する4万tを石木ダム建設によって確保できる」としています。
今本教授らは「佐世保市の給水量は減少傾向なのに水需要予測では大幅な増加に転じているのはおかしい」「現実性が疑わしい水需要増加要因を積み上げて、将来値が作られている」などとして科学的な根拠のある予測を改めて行う事を求めています。
教授らは意見書を検討委員会の全委員と佐世保市長宛てに郵送し直接議論することを要望しています。

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