民主は脱ダム方針だが…事業継続、公算大の山鳥坂ダム(読売新聞 2012年10月31日)
民主は脱ダム方針だが…事業継続、公算大のダム(読売新聞 2012年10月31日) http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121030-OYT1T00274.htm
民主党政権の脱ダム方針を受けて3年前に事業凍結された国直轄の山鳥坂(やまとさか)ダム(愛媛県大洲市)について、建設の是非などを再検証している国土交通省四国地方整備局は29日、愛媛県大洲市で県や流域3市町との「検討の場」を開き、
「現行のダム事業の方が事業費や実現性から最も有利」とする評価案を示した。
中村時広知事や流域自治体の首長から了承を得たため、事業は「継続」となる公算が大きくなった。
同整備局は素案を今週中にもまとめ、さらに有識者や住民らから意見を聞くなどして、建設が妥当かどうかについて報告案をまとめる。国交相が報告を受けて最終判断する。
この日の会議で、同整備局が示した評価案では、治水については、ダム事業継続と、ダムを造らずに川床の掘削や堤防のかさ上げなどで対処する8案とを比較。
ダムは事業費で110億~270億円安く、時間的にみた実現性でも20年後には8案よりも効果を発揮する、として最も有利とした。河川の流量の維持については、海水淡水化や貯水池建設など3案と比較し、総合的にダム建設が最良とした。
中村知事は「コストだけでなく実現性など客観的な評価により、総合的にもダム案が有利となったのは妥当な結論だ」と述べた。清水裕大洲市長は「ここ10年で市内では3度の洪水が起きた。市民が安心できるよう急いでほしい」と訴え、内子町、西予市も了承した。
水没地区の住民への補償については、基準額で合意に達しながら、凍結方針により交渉が宙に浮いており、出席した中村知事や市町長らは「きちんと約束は守ること」「住民の信頼を失うと行政は立ちゆかなくなる」と配慮を求めた。
同整備局によると、全国の国直轄の25ダムのうち、6ダムについて現行事業で継続との検証報告が出された。うち八ッ場ダム(群馬県)など3ダムが継続が決まったが、七滝ダム(熊本県)など3ダムが中止となった。
◆山鳥坂ダム=国が、大洲市の肱川から松山市など中予地域へ分水する事業に伴って計画し、1982年に予備調査を始めた。
分水事業は2001年に頓挫したが、04年に策定した肱川河川整備計画(総事業費1100億円)に、鹿野川ダムの改良や堤防建設とともに盛り込んだ。
08年8月、工事用道路の建設に着手。09年9月、水没地区(33世帯対象)の地権者団体2団体と、補償基準額について合意した。同10月、「脱ダム」を掲げていた民主党への政権交代により、一時凍結となった。(梶原善久)
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