立野ダム建設の場合、希少動植物42種に影響の恐れ(読売新聞熊本版 2012年10月31日 )
立野ダム建設の場合、希少動植物42種に影響の恐れ (読売新聞熊本版 2012年10月31日 )
国の再検証対象である立野ダム(南阿蘇村、大津町)を建設した場合、予定地で希少な動植物計42種類が消失するか、生育環境に変化を及ぼす可能性のあることが、九州地方整備局の調査で分かった。
九地整は最大限の保全対策を取るとしている。九地整の事業評価監視委員会は、治水効果などを含め総合的に「建設は妥当」との判断を示したが、環境団体などは反発している。
調査は1975~2009年度にかけて、建設予定地周辺と熊本市までの白川流域で実施。九地整は、29日に開かれた監視委で結果を報告した。
それによると、調査では種の保存法で絶滅の恐れがあると定めたり、県のレッドデータブックに掲載したりしている希少な動物107種と、植物67種を確認。
このうち、哺乳類1種、陸産貝類15種、植物26種の計42種について、「生息地域が消失するか、生育状況が変化する可能性がある」と判断した。
42種以外の動植物については、「消失することはない」「生息環境は変わらない」などとしている。
個体名については「荒らされたりする可能性があり、公表できない」という。
九地整河川計画課は、▽新たなねぐらを整備する▽適切な場所に個体を移動する――などの環境保全対策を実施する方針で、「出来る限りの対策をとり、影響を最小限にとどめたい」としている。
一方、調査結果については環境団体からは危惧する声が相次いだ。
日本自然保護協会(東京)の志村智子・保護プロジェクト部長は「(予定地で)それだけの動植物が消失すれば、その生命に支えられた周囲の生態系にも影響が出る。失うものは大きく、生息地を奪わずにすむ方法を考えるべきだ」と指摘。
熊本市の市民団体「立野ダムによらない自然と生活を守る会」の中島康代表も「自然は元には戻らない。回復するとしても、100年単位の時間が必要だろう。世論の関心を高め、現地にある貴重な自然を守っていきたい」と話していた。
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