第20回水源連総会 現地見学会 長崎県要請 速報
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第20回水源連総会
第20回という一つの節目となる総会を石木ダム事業地近くの長崎県川棚町国民宿舎「くじゃく荘」で11月10日8:30から開催しました。以下、遅くなりましたが、簡単に報告します。
総会の議案書・資料集は水源連ホームページの下記URLをご覧下さい。
http://p.tl/A9LT pdf 15.2MB
総合司会を西島さん、議長を石丸さんと和波さんにお願いして総会は進行しました。
○ 藤田恵 顧問から開会の挨拶を受けました。原発推進とダム事業推進の構造が全く同じであること指摘した上で、石木ダム中止を訴えました。
○ 事務局から会計報告を含む経過報告と、新年度の活動方針提案(会計予算含む)が提起されました。この報告と提案に承認をいただきました。
○ 全国からの報告
1団体4分という窮屈な時間配分で申し訳なかったのですが、計14名から発言をいただきました。
- 川辺川ダム・荒瀬ダム・瀬戸石ダム・立野ダム問題について中島 康さん、
- 川辺川ダム事業の目的の一つとしていたかんがい用水事業に対して現行水路の整備を求めていことを茂吉隆典さん、
- 平瀬ダムについては、パブコメでは9割が反対意見であるにも関わらず土建関係が強い力を持っているので、事業推進されている、と吉村健次さん、
- 岐阜・愛知関係では、長良川河口堰開門問題と内ケ谷ダム問題については武藤 仁さん、木曽川水系連絡導水路問題は小林 收さん、
- 設楽ダム問題については検証が知事保留になっていること・連続公開講座のまとめに差し掛かっていることなどを市野和夫さん、
- 八ッ場ダム問題について、神原禮二さんは現地から下流域に広めることを、川原理子さんはカヤックに乗って川面から見るなどの新しい取組みを、鈴木郁子さんは現地からの怒り声発掘の取組みを、
- 成瀬ダムの現在の状況、最上小国川ダムは工事用道路が着工されていることと裁判長の現地視察、津付ダムは中止の方向が出されたが住民がクレームをつけていると奥州光吉さん、
- 思川開発(南摩ダム)については「水道水源としての地下水をダムの水に切り替える」という栃木県の愚策を高橋比呂志さん、
- 内海ダム再開発についてはダム堰堤が完成し湛水試験中であること、訴訟がやっと証人尋問の段階に来たと松本宜崇さん、
- 路木ダムについてはダム堰堤が出来上がりアユが姿を消した、羊角湾干潟に弊害が出る危惧がある、ダム完成後も環境監視し「路木ダムを検証する会」に運動を継承、と笠井洋子さん、
- 山鳥坂ダム本体着工は7年ごと言うことなので、まだまだ反対運動は出来る。運動の再構築を図っている、と有友正本さん。
○ 討議
事務局から以下の提起・説明を行いました。詳しくは議案書・資料集を御覧下さい。
- ダム事業見直しの経過
- ダム建設がますます不要となる時代の到来を訴えよう
- 取り組むべき課題
- 日弁連試案「公共事業改革基本法」
詳しくは日弁連の下記URLをご覧下さい。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120614.html
なお、「この試案は河川整備計画改革法ではない」との補足説明がありました。
全体討議
約50分間という短い時間ですが、多方面にわたる問題提起と討議が行われました。主な論点を箇条書きにします。
- 私たちは論理面では勝っている。それに自己満足せず、私たちの主張の実現を目指す時である。
- ダム目的の流水正常機能や治水について、こちら側の考え方を根気よく伝えていきたい。
- 流域治水は全体の治水安全度ではなく、地先の安全度を採用するべき。
- 正常流量 慣行水利権の取水+維持流量をダムで保証というもので、「望ましい」がダム計画では「確保する」になっている。
- 設楽ダムの場合、維持流量を年間通して5㎥/秒としているが、それは鮎遡上時だけでよい。
- こちら側の環境も含めたダム反対の論理を早く立ち上げて広めることが必要。
- 現在は負荷率は85~95%、利用量率は100%近い。流水正常機能についてはB/Cを身代わり建設費との比較で行っているから1を超えるのは当然。このようなカラクリを問題にしていこう。
- ダムが出来てしまったが、その後の検証が大切。客観的なデータを集めて科学的に詰めていきたい。
- 人口減少→水需要減少が確実なのに裁判所はまったく触れない。
- B/C、基本高水などがデタラメであることをデータを用いて科学的に検証する。
- 問題をみんなにどのように知らせるかが一番の問題。
○ 石木ダム闘争 勝ち抜くために
まったく無駄な石木ダム事業を中止させ、13世帯60人を守り抜くことを水源連仲間の誰もが目指しています。この総会では勝利に向けて、40分間ではありますが、全員で知恵を出し合いました。
石木ダム建設絶対反対同盟の岩下和雄さんからの報告
- 県庁所在地での石木ダム反対大行動は今回が初めて。
- 事業認定は下りたが、13世帯は一致団結、石木ダムは造らせない。
- 中止させるまでには時間が長くかかるであろうから、あまり構えずに楽しい日々を送りながら反対を貫く。
- 訴訟の準備を進めている。
- 来年2月が長崎県知事選。それまでは動きがないだろうというのがマスコミの見方。
事務局からの報告
- これまでの水源連としての取組みの紹介。
- これからの進行について説明。
全体討議
- 事業認定は13世帯のことにまったく触れていないなど、考慮すべきことを考慮していない。日光太郎杉事件の判例もある。共有地権者=当事者なので「私も原告」になる。
- 問題を明らかにすることで「石木ダムはいらんよね。」の声が広がる。
- 佐世保市民も無駄な石木ダム建設事業によって多額の負担を強いられる当事者である。
- 佐世保市民に理解されるようにホーちゃんの小冊子から利水部分を抜粋して全戸配布を。
- 佐世保市民に理解を求めるために、石木ダムを造るとどのようなデメリットが生じるのか一目で分かる配布物を考えたい。
- 自然保護に敏感なアウトドア系の皆さんに知らせたい。
まとめ
訴訟を通じて問題点を明らかにし、それを内外に広く伝えて世論形成を図り、長崎県と佐世保市を追い込んで石木ダムを断念させる。
○ 総会宣言
総会での討論を踏まえた総会宣言案を事務局から提案、全員拍手で採択しました。
採択した総会宣言は別紙の通りです。
第20回水源開発問題全国連絡会総会宣言 50kb
○ 緊急声明
安倍政権によって「特定秘密保護法」制定が進められています。この法の成立阻止声明を水源連としても出そうと、近藤ゆり子さんから緊急声明案が提出され、全員一致で採択しました。別紙の「特定秘密保護法の廃案を求める緊急声明」をご覧下さい。
特定秘密保護法案の廃案を求める緊急声明
○ 閉会挨拶
総会で討議したことを踏まえ、石木ダムをはじめとした私たちが関わっているダム事業すべての中止を実現するべく頑張ることを誓い合いました。
予定通りに12時に総会を終え、急いで食堂でカレーライスを頬張り、12時半には現地見学会へと出発しました。
現地見学会
11月10日、総会を終え直ぐに昼食を取り終えると、12時50分頃にマイクロバスに乗って現地見学に出発しました。私たちのバスは石木ダム建設反対同盟の炭谷さんが運転と道中の説明を担当されました。
最初に川棚川最下流河口部の無堤防地区を見て回りました。海抜2m程度しかない上に無堤防なので、高潮や津波対策が急がれるところです。
次いで、川棚川に沿って治水基準点である山道橋(河口から約2.4km)に向かいました。このあたりは海抜4m程度です。ここより下流の治水安全度が1/30から1/100に突然上がる訳ですが、これまでに川棚川が山道橋下流であふれたことはありません。すべて、内水氾濫です。石木ダムにムリヤリ治水目的をつけるがために治水安全度を厳しくしていることが分かります。
山道橋直上流の右岸に佐世保市水道の取水所があります。現在既に日量で最大20,000㎥が佐世保市水道に取水されています。その対岸(左岸)にポツンと広場がありました。佐世保水道の新たなポンプ所予定地です。石木ダムが出来ると55,000㎥/日が取水されることになります。そうなると現在の取水所を拡張することになりますが、背向地に山が迫っているため拡張できず、対岸(左岸)のこの場所に作り替える予定と言うことでした。
そのまま左岸を上流に流に向かって歩き、石木川の注ぎ口に立ちました。川棚川と比べるとホントに幅の狭い小川です。この小川の洪水をダムで調節したところで本流にはさして影響がないことが実感できます。
再度マイクロバスに乗って石木川に沿って進み、採石場下で下車。「ここには採石跡の大きな穴があり、石木川の流量調節の役割を担わさせるに充分な大きさであったが、埋めて使えなくした」との説明。
そのまま歩いて団結小屋(見張り小屋)前で案山子たちと記念撮影。マイクロバスで石木川沿いにホタル祭りを行う広場まで移動。その途中に石木ダム反対の幟や看板がたくさん。例の言わ猿・見猿・聞か猿の櫓もこの道中にありました。
緑豊かでゆったりとしたとても良い雰囲気が漂う所です。
ここで記念の集合写真を撮り、解散としました。
長崎県への要請
11月11日11時半から長崎県庁で要請行動を行いました。薄暗くて狭い、隔離された部屋での要請行動でした。
こちら側は総勢約二十名、長崎県側は3人が出席しました。
最初に「やめさせよう石木ダム建設!全国集会」実行委員会代表の藤澤秀雄氏が土木部河川課企画監川内俊英氏に9日の全国集会で採択した集会宣言を手渡しました。次いで「ダム検証のあり方を問う科学者の会」の今本博建代表が科学者の会の申し入れ書を手渡しました。
これらの申入れに対する川内俊英氏は
「中立な機関から事業認定を受けているので、科学的な再検証は拒否。13世帯の皆さんには個別交渉でご理解を願うのみ。話し合いに応じていただけないのであれば、地縁血縁を使った説得を行う。それは条例に違反しない。石木ダム・覚書は知事個人の想いであり長崎県は制約を受けない」という驚くべき対応。知事が公印を押した覚書を「知事個人の想いで長崎県は縛られない」に至っては知事公印の意味をまったく理解していない証拠。
これって、長崎県にしてみれば、「13世帯の皆さんに相手にしてもらえない。あとは地下に潜って地縁血縁を使った説得しかやることがない。」というお手上げ状態を宣言したも同然です。
あとは13世帯の皆さんに加えて佐世保市民・川棚町民・長崎県民が長崎県・佐世保市を相手にしなくなれば(支持しなくなれば)、強制収用もままならず、万策尽きて石木ダム事業は中止するしかなくなります。
11日の川内氏の対応は現在の長崎県政の代弁そのものなのでしょう。長崎県民への挑戦と県民の皆さんに受け取って頂きたいものです。
最後に県庁記者クラブでこの日の申し入れについて記者会見を行って、12時半頃に三日間の行動をおえました。
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