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東日本豪雨1か月我が町は・・・ 堤防決壊対策工事半ば 近畿地方以西の川は?

2015年10月7日
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鬼怒川堤防決壊の大水害を目の当りにして、近畿地方以西の川ではどうなのかを見た読売新聞の記事を紹介します。よく調べた記事であると思います。

東日本豪雨1か月我が町は・・・ 堤防決壊対策工事半ば

 茨城県常総市の鬼怒川で堤防決壊による大水害を起こした関東・東北豪雨※は、発生からまもなく1か月。被災地では多くの人が、避難生活を続ける。近年は記録的な豪雨が相次ぎ、平地に河川が縦横に走る大阪市など、西日本でも多くの地域が水害の危険性に直面している。堤防の整備など対策は進んでいるのだろうか。(浜中伸之)

 ◇京都で寸前回避

 2013年9月の台風18号で、京都市は300ミリほどの豪雨に襲われた。伏見区では、国土交通省が管理する淀川水系桂川で右岸の堤防(高さ約5メートル)から、長さ最大400メートルにわたって水があふれ、住宅が密集する市街地に流れ込んだ。

 自衛隊などが懸命に土のうを積み、上流のダムでは限界近くまで水をためて、堤防決壊という最悪の事態は寸前で回避された。国交省が豪雨の後で推定した結果によると、もし上流にダムがなく、この付近で堤防が決壊したら、住宅密集地約980ヘクタールが浸水し、被害は約1万3000世帯に及んだという。

 ◇難航する河川強化

 

 04年7月の福井豪雨や12年7月の九州北部豪雨などでは実際に、堤防決壊による洪水が起きている。

 九州北部豪雨の直後に、国交省が全国の堤防約9200キロを対象に行った緊急点検によれば、浸水で崩壊の恐れなどがあるため早急な対策工事が必要な区間は約2200キロあった。近畿では296キロ、中国は139キロ、四国は53キロだった。

 その後、各地で▽川の底を掘り下げる▽堤防の斜面をブロックで覆い、水の浸透を防ぐ▽堤防の土台付近に石を積み上げ、堤防内に水が染み込んでも排水しやすい層を作る――などの対策が行われた。対策が必要な区間のうち、近畿で約6割、中国、四国で約4割の工事が終わっている。

 だが、近年は公共工事の費用が削減され、整備に使える予算は限られている。用地買収が難航するケースも多く、河川全体を強化するには、まだ多くの時間がかかりそうだ。

 ◇淀川ならJR大阪駅浸水

 大都市・大阪は、洪水に弱い構造を抱えている。満潮時の海水面より低い「ゼロメートル地帯」が広がり、淀川や大和川などの大きな河川は平地より高い場所を流れているからだ。

 
大阪の中心部を流れる淀川で実際に豪雨になったら、どうなるのか。国交省や大阪市による想定から見てみよう。

 淀川で大洪水を起こした1953年9月豪雨の2倍に当たる500ミリの雨が降り、北区の淀川河川公園長柄地区付近で堤防が弱い場所が決壊すると――。20分後には天神橋筋商店街付近が浸水し、約1時間半後にはJR大阪駅や梅田地区に水が押し寄せ、地下街にも流れ込む。

 さらに、様々な場所で堤防決壊を想定し、各地で推測される浸水の最大の深さを重ね合わせて図を作ると、梅田周辺や福島、淀川、西淀川各区の中心部は、広い範囲で4~5・5メートルとなった。これは建物が2階まで水没する深さで、浸水が始まってからでは逃げ遅れる恐れがある。

 今回の豪雨で堤防が決壊した鬼怒川の上流では約600ミリの雨が降った。大阪市危機管理室の担当者は「鬼怒川のように急激に水位が上がれば、堤防だけで守るのは難しい」と話す。

 中川一・京都大防災研究所教授(河川工学)は「避難までの時間を稼ぐためにも、堤防の補強は急ぐべきだ。その一方、工事の完成までに洪水が起きる可能性も考え、避難方法を事前によく確認しておくなど、住民の減災対策も強化する必要がある」と、堤防に頼りすぎずに早めの避難を心がける重要性を指摘する。

 ◇主因は「越水」「浸食」「浸透」

 堤防は通常、修復のしやすさなどを考慮して、土を盛って造られている。一方で、高い水位が長時間続くと、決壊の危険性は高まる。

 堤防が決壊するパターンは主に〈1〉あふれた水が、堤防の外側の斜面を崩す「越水」〈2〉川に面した堤防の内側斜面が、速い水の流れで削られる「浸食」〈3〉堤防内側に水が染み通り、外側から崩れる「浸透」――の3通りがある。

 

 国土交通省によると、兵庫県の円山川や福井市の足羽川は〈1〉、福岡県の矢部川は〈3〉が主因で決壊したとされる。

 関東・東北豪雨では、鬼怒川が〈1〉で、堤防を乗り越えて流れ落ちた水の力で、堤防の土台付近が穴のように掘られた跡があった。これは「落堀おっぽり」と呼ばれ、〈1〉によってできることが多いという。

 ※関東・東北豪雨 台風18号から変わった低気圧と、台風17号の影響で9月9~11日、関東で600ミリ、東北で500ミリを超す豪雨となり、茨城・栃木・宮城3県で計8人が死亡した。気象庁は9月18日、「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名した。

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