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報道

メコン川開発 中国、ダム建設加速で影響力拡大  下流域の首脳会議、連携強化確認  

2018年4月7日
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メコン川のダム建設問題についての記事を掲載します。
2014年の「ホーチミン宣言」で強調した「ダム建設などによる川の生態系への影響を最小化」といった文言が今回の共同宣言では消えたとのことです。ダム建設が進んでいくことが心配されます。

メコン川開発 中国、ダム建設加速で影響力拡大
下流域の首脳会議、連携強化確認
(日本経済新聞 電子版2018/4/6 14:44)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29081730W8A400C1FF2000/

【シエムレアプ(カンボジア北西部)=小野由香子】東南アジア最長の河川であるメコン川の下流域4カ国は5日、首脳会議を開き、上流の中国との水利用に関する情報共有など協力強化を盛り込んだ「シエムレアプ宣言」を採択した。前回会議で表明した下流域での水力発電ダム建設による生態系破壊の懸念についてはトーンダウン。ダムの多くには中国企業が関与しており、同国主導のインフラ整備が進みそうだ。

首脳会議はタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの下流域4カ国で構成するメコン川委員会(MRC)が4年に1度開催する。上・中流域国の中国とミャンマーはオブザーバーとして参加。3回目だった今回はカンボジア北西部シエムレアプで開いた。
共同宣言では「持続可能で平等な水資源の利用」を確認したが、2014年の「ホーチミン宣言」で強調した「ダム建設などによる川の生態系への影響を最小化」といった文言が消えた。前回会議では下流域で本流初のダムを計画中だったラオスをけん制したカンボジアのフン・セン首相も今回は「環境破壊」といった言葉は使わなかった。
経済発展に伴い電力需要が増える東南アジアにとってメコン川の水力開発は有望な電力源だ。一方、漁業への影響を懸念する地元の反発が強く、環境への配慮から欧米も積極的に資金援助をせず、開発は進まなかった。その流れが中国資本の流入で変わりつつある。
メコン川下流域の本流では現在11件のダム構想がある。すでにラオスでタイなどの出資で建設中の2件に加え、カンボジアの「サンボル」とラオスの「パクベン」の建設がそれぞれ中国出資で動き出そうとしている。カンボジアでは本流からわずか25キロの支流にある「セサン2」も中国企業との合弁で建設中だ。
中国にとって東南アジアは広域経済圏構想「一帯一路」の一部で、経済協力を名目に影響力を拡大している。インドシナ半島を縦断するメコン川の水力発電の開発もその一環だ。
15年には下流域4カ国に中国、ミャンマーを加えた6カ国の新たな枠組み「瀾滄江―メコン川協力(LMC)」の発足を主導。16年の第1回首脳会議では流域開発に100億ドル(約1.1兆円)超の融資枠を設けると約束した。今回のMRC首脳会議はLMCとの連携も確認した。
首脳会議に先立ち、MRCは建設・計画中のダムの環境調査を発表した。現状の計画が進めば、40年にはメコン川の土砂堆積は97%、生息する魚は40%それぞれ減るという。だが、首脳会議では、メコン川の最下流に位置し、南シナ海の領有権問題で中国と距離を置くベトナムのみが同調査に言及。共同宣言にも「調査結果は今後政策決定する際に検討する」と記すにとどまった。

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