水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 報道 > 諫干、開門命令無効に 28日、漁業者との和解不成立なら 「国寄り」福岡高裁に批判も

報道

諫干、開門命令無効に 28日、漁業者との和解不成立なら 「国寄り」福岡高裁に批判も

2018年5月23日
カテゴリー:

諫早干拓問題についてのし最新の記事を掲載します。開門を認めた確定判決が無効になるということがあってよいのでしょうか。

諫干、開門命令無効に 28日、漁業者との和解不成立なら 「国寄り」福岡高裁に批判も

(毎日新聞西部朝刊2018年5月22日)https://mainichi.jp/articles/20180522/ddp/012/040/019000c

国営諫早湾干拓事業(長崎県、諫干)を巡り、堤防開門を強制しないよう国が漁業者に求めた請求異議訴訟の控訴審で和解協議が行き詰まっている。28日に予定されている和解協議で進展がなければ、福岡高裁は7月30日に国側の請求を認め、国に開門を命じた福岡高裁判決(2010年確定)を事実上無効化する異例の判決を出す見通し。判決が出ても漁業者側が上告するのは必至で、関係者から「紛争解決にはつながらない」と疑問の声が上がる。【平川昌範】

「裁判所自らが確定判決をないがしろにすれば、司法の信頼は地に落ちる」。市民団体「有明海漁民・市民ネットワーク(漁民ネット)」は今月15日、開門を命じた確定判決を無効化する判決を出すことを和解協議で示唆した福岡高裁に抗議した。漁民ネットは有明海沿岸4県の漁業者らでつくり、確定判決を勝ち取った訴訟の原告がメンバーにいることなどから声を上げた。
高裁は、開門しない代わりに100億円の漁業振興基金を設ける提案をしている国の立場を支持。3月5日に国の基金設置案で和解するよう勧告した際には、国の提案について「状況を打開する唯一の方策」と評価した上で和解が成立しなければ漁業者側が敗訴することを示唆した。漁業者側は「開門案も含めて協議すべきだ」と勧告を拒否して和解協議の欠席を続けており、現状では確定判決に従わない国側の制裁金支払い義務を免除する判決が出るとみられる。
基金案を巡っては、有明海沿岸の福岡、熊本、佐賀3県の漁業団体が今月1日、受け入れを支持した上での和解協議の継続を求める共同文書を発表。当初は佐賀県の漁業団体が基金案を拒否していたが、最終的には受け入れに転じた。漁業団体は訴訟当事者ではないが、基金の運用を任される立場で、3県が足並みをそろえたことを国側は歓迎している。
漁民ネットは「基金を人質に非開門を迫る理不尽な国の対応こそ責められるべきだ。基金案を受け入れれば『宝の海』を売り渡すことになる」と反発。漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は「必要な基金なら和解とは関係なく実施すべきで、開門しない前提の和解と引き換えに基金を設置する提案自体がそもそもおかしい」と疑問視する。
開門命令が確定した訴訟の原告だった佐賀県太良町の漁師、平方宣清(のぶきよ)さん(65)は「確定判決を守らず、金をやるから黙れというのは漁民をバカにしている。国は漁民同士の対立をあおらず、有明海再生に力を尽くす姿勢を見せてほしい」と話す。
元裁判官は「高裁が敗訴判決をちらつかせれば漁業者が和解に応じると考えたならあまりに無策。国寄りの姿勢は漁業者との信頼関係を崩した」と指摘。横浜国立大大学院の宮沢俊昭教授(民法)は「国は公益のために使うべき予算を訴訟当事者として都合よく基金に使おうとしている」と批判する。

■ことば
諫干の堤防開門を巡る請求異議訴訟
2010年に諫干と漁業被害の因果関係を認めて開門を命じた福岡高裁判決が確定したが、これに従わない国が漁業者を相手取って開門を強制しないよう求めた訴訟。開門しない国には1日90万円の制裁金を科す佐賀地裁判決が15年に確定しており、国はこの支払い義務を免除して開門を強制しないよう求めている。14年の1審・佐賀地裁判決は国側の請求を棄却したが、国側が控訴して福岡高裁で控訴審が続いている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

↑ このページの先頭へ戻る