続けて来る洪水には対応能力が大きく低下するダム
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台風20号が温帯低気圧になりましたが、近畿から関東にかけてかなりの雨を降らせました。台風19号の被災地に更なる災厄をもたらさないことを祈るばかりです。
この台風20号の接近に対して、国土交通省関東地方整備局が10月20日に
「台風第20号に備えダムの洪水調節容量の確保を進めています」を発表しました。http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kyoku_s_00000412.html
その本文資料には利根川上流ダム群、鬼怒川上流ダム群などについて10月20日10:00時点の洪水調節可能容量が下図の通り、示されています。
ダムの数字を見ると、本来の洪水調節容量を大幅に下回っていることに驚かされます。
本来の洪水調節容量と10月20日時点の洪水調節可能容量を比較した表を下記に示します。
利根川上流ダム群は回復率26%、鬼怒川上流ダム群は50%、宮ケ瀬ダムは20%です。(荒川上流ダム群は50% 【補遺】を参照)
10月12~13日の台風19号が来てから、1週間程度ですが、水位を十分に下げることができない状態になっています。
洪水期がすでに終わっているので、すみやかに水位を下げられないということがあるのでしょうか。
とにかく、台風が次々を押し寄せてきているのですから、ダムの水位を極力下げて次の洪水の到来に備えなければならないはずなのに、現実のダムはそのようになっていません。
続けて来る洪水には対応能力が大きく低下するのがダムであって、ダムに依存する治水行政の危うさを物語っています。
【補遺】ダムと比べて、対応能力の回復が早いのが、河川の中下流に設置された洪水調節池です。
渡良瀬川最下流の渡良瀬遊水地、利根川中下流の田中・菅生・稲戸井調節池は本来の洪水調節容量を上回る容量の調節が可能となっています。(回復率が100%を超える理由は今後調べます。)
洪水調節池は洪水のピークが過ぎれば、速やかに放流するので、回復が早いのです。
なお、荒川の数字は荒川上流3ダムと荒川第一調節池を合わせた数字で、回復率が82%になっていますが、荒川第一調節池の回復率を100%とすると、荒川上流3ダムの回復率は50%になります。
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