水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 報道湯西川ダムの情報 > 鬼怒川決壊から5年、コロナ禍の再建「くじけない」 壊滅的な被害の花き生産販売会社

報道

鬼怒川決壊から5年、コロナ禍の再建「くじけない」 壊滅的な被害の花き生産販売会社

2020年9月21日
カテゴリー:

2015年の鬼怒川水害が起きてから、今日(9月10日)で5年になります。

この水害で壊滅的な被害を受けた花き生産販売の高橋敏明さんについての記事を掲載します。

鬼怒川水害については、高橋さんら被災住民が2018年8月、国交省を相手に建物の損害や慰謝料など計約3億3500万円の支払いを求めて、提訴しました。

現在は水戸地裁で審理が行われていて、10月16日に第6回口頭弁論が開かれます。

裁判の内容と経過についてはhttps://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000053 をご覧ください。

この裁判への資金カンパを行っていますので、ご協力をお願いします。

高橋敏明さんがこのHPのhttps://www.call4.jp/story/?p=498 で被害の状況と裁判への思いを詳しく語っていますので、そちらも是非、お読みください。

  

鬼怒川決壊から5年、コロナ禍の再建「くじけない」 壊滅的な被害の花き生産販売会社

(東京新聞2020年9月10日 05時50分)https://www.tokyo-np.co.jp/article/54484

(写真)水害を乗り越え、花きの生産販売を再建した高橋敏明さん=常総市原宿で

関東・東北水害で茨城県常総市の鬼怒川の堤防が決壊してから、10日で5年。堤防は再整備され、市民は日常を取り戻したかのように映る。浸水で壊滅的な被害を受けた花き生産販売「フラワーセンター紫峰園」を経営する高橋敏明さん(66)も一歩ずつ、再建を進めてきた。だが今年は、新型コロナウイルスが行く手を阻む。それでも「くじけるわけにはいかない」と前を向く。(林容史)

 ◆10万鉢ほぼ全滅、被害額は5000万円超

「これが修羅場なのか」

鬼怒川から1キロ弱にある16棟のビニールハウス。当時、避難所から駆け付けた高橋さんは、その光景に絶句し立ち尽くした。

丹精込めて育てたポトスなどの観葉植物が流されたり、倒れて泥をかぶったりしていた。「この道ひと筋45年。一生懸命、愛情を注いできた」という10万鉢がほぼ全滅し、被害額は5000万円を超えた。

利益がたくさん出る商売ではない。新たに借金を抱えて再建しようとは、とても考えられなかった。

だが、全国から来た何百人ものボランティアが泥かき、洗浄、廃棄物の処分を手伝ってくれた。一緒に働いてきた長女の明子さん(41)には「これぐらいであきらめちゃ駄目」と諭され、気持ちを奮い立たせた。

 ◆「お世話になった人たちに恩返しを」

(写真)鬼怒川(左側、上方が上流)の堤防が決壊し、濁流が流れ込み冠水した住宅地=茨城県常総市で、本社ヘリ「あさづる」から

残った親木から優良な木を選んでは、挿し木でこつこつ繁殖させ、栽培を再開させた。「水害前ほどに回復するのは無理だが、お世話になった人たちに『再興できました』と報告するのが恩返しになる」。従業員たちのことも考え、短期間で販売できる品種を仕入れるなど工夫し、どうにか経営をつないできた。

復旧への光が差し込んでいたところに、新型コロナウイルスの感染拡大が立ちふさがった。外出自粛で、贈り物やイベントなどで需要が増える3~5月の繁忙期を棒に振った。在宅勤務が増え、事務所や店舗からの注文もなくなった。

◆花と緑で社会に潤いと豊かさを

水害に続くコロナ禍に「いつ何が起こるか分からない」と嘆きつつ、「社是は、花と緑で社会に潤いと豊かさを提供すること。それを実現したい」とあきらめるつもりはない。

高橋さんは、全国で毎年のように繰り返される水害に心を痛める。「水害は人災の面もある」と感じているからだ。高橋さんのハウスがある地区は元々堤防がなく、砂丘林が自然の堤防となっていた。だが、掘削に許可を必要とする区域に国が指定せず、豪雨前に民間業者が太陽光発電事業で砂丘林を掘削した結果、「無堤防」状態になり、水があふれ出たとみている。

堤防を管理する国に不備があったとして、高橋さんは周辺住民らと2018年8月、建物の損害や慰謝料など計約3億3500万円の支払いを求めて、水戸地裁下妻支部に提訴した。

「国中の至る所に危険箇所があるのに、対策を怠ったために大災害につながっているケースもある。ダムを建設する前に、優先順位を付けてやるべきことがあるはずだ」と警鐘を鳴らし続ける。

関東・東北水害 2015年9月9日に愛知県に上陸した台風18号により、関東・東北地方を中心に被害が出た豪雨災害。宮城、茨城、栃木3県で災害関連死を含め20人以上が死亡。茨城県常総市内では鬼怒川の堤防が決壊し、市域の約3分の1に当たる約40平方キロメートルが浸水。関連死を含め15人が死亡し、4000人以上が救助され、住宅5163棟が全半壊した。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

↑ このページの先頭へ戻る