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報道

首長、農家ら〝怒りのボイコット〟 国営大蘇ダム完工式 再び漏水、直前に報告

2020年11月30日
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水漏れダムとして知られる農林水産省の農水ダム「大蘇ダム」(熊本県産山村)についての記事を掲載します。

2005年に完成したものの、試験湛水でダム湖地盤からの水漏れが確認され、2013年度から漏水対策工事が進められてきました。総事業費は当初の130億円から720億6千万円に膨らみました。

対策工事が終わり、今年2020年4月に供用が開始されましたが、漏水量が国の想定を大きく上回っていることが明らかになりました。

何ともお粗末な話です。

 

たまらないダム 事業費膨張720億、なお漏水2万トン

(朝日新聞2020年11月30日 15時30分)

 

首長、農家ら〝怒りのボイコット〟 国営大蘇ダム完工式 再び漏水、直前に報告
(熊本日日新聞2020/11/26 13:40)https://news.yahoo.co.jp/articles/368c6d4fd0133986bc32c2b3de8634a0014e94f

(写真)25日に開かれたお国営大蘇ダムの完工式。熊本県側の関係者に用意された座席は空席が目立った=大分県竹田市

大分県竹田市で25日に開かれた国営大蘇ダム(熊本県産山村)の完工式は、熊本県側の受益地、阿蘇市と同村の首長や議員、農家ら約30人が欠席する異例の事態の中、式典が進められた。九州農政局から「想定を超える漏水」の報告が直前になったことによる、“怒りのボイコット”で、関係者からは「完工とは言えない」「安心して営農できない」と国への憤りの声が上がった。

佐藤義興・阿蘇市長に国から報告があったのは式典前日の24日だった。佐藤市長は「地元に今後の方針を示さないままの完工式は、非常に失礼で無責任。県や産山村と連携して、地元の主張をしっかりと伝える」と語気を強めた。

建設地の産山村に伝わったのは、さらに1日遅れの25日午前。村議会の全員協議会で式典「不参加」を決めた。市原正文村長は「もっと早く説明してほしかった。水を利用する農家が安心できるように、漏水の原因を究明して国が責任を持って対策してほしい」とあきれた様子だった。

熊本県側の代表としてあいさつに立った木村敬副知事は、そんな地元の怒りの声を反映し、「きょうは完工式ですが、工事が終わったわけではない。最終的な漏水対策をしっかり完成させて」とくぎを刺した。

大蘇ダムは農林水産省が1979年度に事業着手して40年超が経過。計画は何度も見直され、予定より30年以上遅れて完成し、事業費は当初の5・5倍の720億円に膨れ上がった。

受益農家からも懸念の声が飛んだ。阿蘇市波野で夏秋トマトとアスパラガスを栽培する佐藤慎一さん(72)は「満水になったと聞いて期待していたのに、話にならない。水が必要な夏の時期に水不足にならないか心配」と困惑していた。

一方、式典に参加した竹田市の荻柏原土地改良区でピーマンを育てる衛藤喜一さん(65)は「熊本県副知事のあいさつで、今回の漏水を知った。喜びの場だと思ったのにいいかげんにしてほしい」とばっさり。同地区のミニトマト農家の男性(67)も「同じことの繰り返しで農家の不安は尽きない。完工式は、国が一つの区切りを付けたかっただけではないか」と皮肉った。(東誉晃)

 

 国営大蘇ダム、再び漏水 熊本県産山村 1日1万5千トン

(熊本日日新聞2020/11/26(木) 11:03配信)https://news.yahoo.co.jp/articles/ffb99b4bff3d7aa4e65c80c2a3dc5db3bfd2488a

(写真)供用開始後に国の想定を超える漏水が発生している大蘇ダム=25日、産山村

大規模な水漏れで農林水産省が対策工事を実施し、2020年4月に供用開始した国営大蘇ダム(熊本県産山村)で、地中への水の浸透量が国の想定を大きく上回っていることが25日、九州農政局への取材で分かった。11月現在の浸透量は1日当たり約1万5千トンで、想定の2千トンの7倍超となっている。

同局は「当面は農業利水への影響はないが、稲作に多くの水を使う春まで今の状況が続き渇水が重なれば、水不足になる恐れがある」と説明している。原因については「調査中」としており、詳細はダムの水位が下がる来春以降にしか調べられないという。  大蘇ダムは08年、ダム本体完成後の試験湛水[たんすい]で満水時に4万トン、最低水位で5千トンの浸透量があり、利水の計画量が確保できないことが判明。農林水産省と受益農家が多い大分県側が13年から7年間で計126億円を投じ、ダム湖の約3分の2をコンクリートなどで覆う対策工事を実施した。その際、「10年に一度の渇水に対応できる」として浸透量の目安を2千トンとしていた。

19年度の試験湛水では、水がたまり始めた6、7月ごろは3万トン近く浸透していたが、満水になった9月に2千トン程度に落ち着いた。このため同局は「6、7月は渇いた山肌で水が染み込みやすかった」とみて、漏水対策工事の効果を確認していた。  供用を開始した20年度は7月の豪雨で満水となり、8月に最大3万トン超の浸透を確認。その後の浸透量の減少幅が少なく、貯水率が約50%となった11月下旬でも依然、1万5千トンの浸透が続いている。  国は「ダムが完成している状況に変わりない」として25日、大分県竹田市で完工式を開催したが、熊本県側の受益地の阿蘇市と産山村の首長や議員らは「国の説明が不十分」として式典を欠席した。

同局は「地元への説明が遅れ、不信感を抱かれてしまった。今後は丁寧な説明に努める」としている。(内田裕之)

 

「底抜けダム」また水漏れ 改修工事後も想定の10倍、2万トン 熊本・産山村
(毎日新聞2020年11月26日 20時49分)  https://news.livedoor.com/article/detail/19285450/

(写真)新たに漏水が明らかになった大蘇ダム=熊本県産山村で2020年11月26日午後0時52分、石井尚撮影
大分県竹田市と熊本県阿蘇市、産山村に農業用水を供給するため農林水産省が同村に建設した大蘇(おおそ)ダムで、最大で想定の10倍もの漏水が起きていることが九州農政局などへの取材で明らかになった。2005年にいったん完成したが漏水が判明したため改修工事を実施し、今年4月に本格的な供用が始まったばかりだった。
農政局によると、大蘇ダムは堤防の高さ約70メートル、長さ約260メートル、総貯水量430万トン。1979年に事業着手し88年の完成を予定していたが、阿蘇火山由来の地質や想定外の亀裂などで05年にずれ込んだ。その後、試験供用中の08年に大規模な水漏れが判明したため、ダムの側面にコンクリートを吹き付けるなどの対策工事を進め昨年6月までに終了。当初約130億円だった総事業費は約720億円に膨らんだ。
対策工事後の点検で異常がなかったため、今年4月から農業用水の給水を始めたが、8月から1日1万5000トン程度の水が減り続けていることが判明。漏水量は水量や気象条件によって変化し、多い日は想定(1日当たり2000トン)の10倍に相当する2万トンが漏水している。必要な量の供給はできているが、農政局の担当者は「将来的に足りなくなることも想定される。原因を調査する必要がある」としている。
大蘇ダムからの給水に頼る受益面積は竹田市が1604ヘクタール、阿蘇市が92ヘクタール、産山村が169ヘクタールで計1865ヘクタール。全体の約9割を占める竹田市はこれまでに、ダム建設や漏水対策のため約27億6000万円を負担した。仮に大蘇ダムからの給水がなくなると、熊本県高森町にある大谷ダムからの時間を限られた給水に頼らざるを得ない状態に戻るという。竹田市の首藤勝次市長は「そもそも国の計画が甘かったのではないか。追加工事が必要になってもこれ以上の負担金は払えない」と語る。
農家の反発も強く、竹田市荻町でピーマンなどを栽培する衛藤喜一さん(65)は「41年たつのにまた振り出しに戻ってしまった。水がたまらないダムはいらない」と憤った。【津島史人、石井尚】

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