球磨川水系河川整備基本方針変更案の国土交通省委員会の資料と新聞記事
9月29日(水)に国土交通省で球磨川水系河川整備基本方針の改訂案を検討する社会資本整備審議会小委員会が開かれました。
その記事とニュースを下記に掲載します。
この委員会の資料が国土交通省のHPに掲載されました。下記のURLの通りです。
このうち、特に重要と思われる資料2の8ページと17ページを下記に貼り付けました。
2020年7月洪水の最大流量(市房ダム戻し・氾濫戻し流量)の計算値が人吉7900㎥/秒、横石12600㎥/秒であるのに対して、今回の基本方針案の基本高水流量は人吉8200㎥/秒、横石11500㎥/秒になっています。
人吉は後者が前者を少し上回っていますが、横石は逆転しています。
河川整備基本方針は各水系の長期的な目標を定めるものですから、基本高水流量は近年の実績洪水流量より大きな値に設定するのが普通ですが、横石に関しては実績より小さく、人吉も実績との差がわずかになっています。
私が知っている範囲では、このような河川整備基本方針は他の水系では見たことがありません。
資料2の8ページの2020年7月洪水の最大流量の実績はあくまで計算による推定値ですが、その計算方法にどこまでの科学性があるのかは不明です。
球磨川水系では20余年封印されてきた川辺川ダム事業を復活させるため、国と県が急ピッチの動きを見せていますが、今回の河川整備基本方針の変更はそのことを最大の目的にしているように思えてなりません。
そのために、球磨川水系では理解しがたい河川整備基本方針がつくられようとしていると思われます。
河川整備基本方針は河川整備計画の上位計画ですので、流水型川辺川ダムは記述されませんが、実質的に流水型川辺川ダムを位置付けるものが策定されつつあります。
川辺川ダム反対の声をもっともっと大きくしたいものです。
第115回 河川整備基本方針検討小委員会 配付資料一覧 2021年9月29日(水)
- 議事次第 (PDF:42KB)
- 委員名簿 (PDF:71KB)
- 資料1 河川整備基本方針の変更の考え方について(PDF:4.40MB)
- 資料2 球磨川水系河川整備基本方針の変更について(PDF:27.0MB)
- https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/dai115kai/04_shiryou2_kumagawa_houshinhenkou.pdf
- 資料3 河川整備基本方針の本文の主な変更点等について(PDF:320KB)
- https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/dai115kai/04_shiryou2_kumagawa_houshinhenkou.pdf
- 参考資料1 球磨川水系 管内図・流域図(PDF:28.5MB)
- 参考資料2 現行の「球磨川水系河川整備基本方針」(平成19 年5 月策定)(PDF:741KB)
資料2 球磨川水系河川整備基本方針の変更について
「流域全体の多層的な対策で被害の最小化を」 球磨川治水で国交省が骨子案
(熊本日日新聞 2021年09月30日 10:30) https://kumanichi.com/articles/413904
国土交通省の小委員会にオンラインで参加する蒲島郁夫知事(中央)ら=29日、県庁
昨年7月豪雨で氾濫した熊本県の球磨川水系の治水対策を見直している国土交通省は29日、長期的な治水の方向性を定めた新たな河川整備基本方針の骨子案を示した。7月豪雨での洪水が、新たに想定する最大洪水規模を上回るため、「流域全体での多層的な対策」で被害の最小化を図るとした。
骨子案では、気候変動を加味した想定最大流量「基本高水ピーク流量」を、人吉(人吉市)で現行の毎秒7千トンから8200トンに、下流の横石(八代市)で毎秒9900トンを1万1500トンに引き上げた。ただ、この想定では7月豪雨と同様の雨の場合、ダムなど新たな洪水調節施設を整備しても、多くの区間で安全に水を流せる目安の水位を超えると試算している。
そのため骨子案では、同規模洪水の発生を想定して「流域全体のあらゆる関係者が協働した総合的かつ多層的な治水対策」により被害を最小化すると明記。まちづくりと連携した中流部の宅地かさ上げや、浸水想定区域にある家屋の移転促進などの対策を挙げた。
河川整備に当たっては「清流の保全」の視点も追加し、「地域の宝である清流を積極的に保全する観点から、環境への影響の最小化を目指す」とした。
基本方針案を議論している社会資本整備審議会小委員会で説明した。委員でもある蒲島郁夫知事は「環境などの視点も入り、大変うれしく思った。7月豪雨と同規模の洪水にも流域治水によってしっかり対応していく」と述べた。(内田裕之)
球磨川の治水、あらゆる取り組みを記載へ 国交省が骨子案
(西日本新聞2021/9/30 11:30) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/808335/
昨年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川流域の治水を巡り、国土交通省は29日、有識者の検討委員会をオンラインで開き、長期的目標となる「河川整備基本方針」の変更点をまとめた骨子案を提示した。
骨子案では、気候変動を踏まえ、熊本豪雨と同規模以上の雨を想定。安全性の向上と環境への影響の最小化を両立させるため、あらゆる流域治水の取り組みを多層的に記載する方向性を示した。
委員会では、ダムや河川の整備を進めても、熊本豪雨以上の洪水では安全に流下できる水位を広範囲で超過する、とする同省の試算を前提に検討した。かさ上げや浸水想定区域の高台移転、避難対策も含めて記載する方向で議論は進んだ。
委員からは、ハード防災の限界について「明確に分かるように記述を」との提案や「合意形成の過程を大事にするという視点を入れてはどうか」などの注文のほか、「漁獲量のデータを示して」「森林の貯水機能や能力評価が必要」といった環境分野に関連する意見もあった。臨時委員の蒲島郁夫知事は「『命と清流を守る』ことをきちんと盛り込んでいただいた」と評価した。 (古川努)
球磨川整備基本方針の見直しに向け国が骨子案提示【熊本】
(テレビ熊本2021/9/29(水) 21:00) https://news.yahoo.co.jp/articles/e2616cbf1922295f2595d20a37d71a2961028856
テレビ熊本
去年7月の豪雨で氾濫した球磨川の整備方針の見直しに向けた国の検討委員会が開かれ、基本方針の骨子案が示されました。
リモートで開かれた29日の検討委員会には臨時委員として蒲島知事も出席。 見直しに向けて審議を進めている球磨川の基本方針の骨子案が示され、この中には新たに「あらゆる洪水に対して人命を守り経済被害を最小化すること」や、「地域の宝である清流を積極的に保全する観点から環境への影響の最小化を目指すこと」などが盛り込まれています。
また、洪水時の人吉地点でのピーク流量についてはこれまでの毎秒7000トンから毎秒8200トンに引き上げられています。
蒲島知事は「新しい基本方針のもと、国、流域市町村、住民と一緒になって、命と清流を守る緑の流域治水を進めていきたい」と話しました。
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