川崎市の2019年台風19号水害対応の違法性訴え 損賠訴訟口頭弁論 市側は棄却求める
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2019年10月の台風19号に伴う川崎市内の浸水被害について、中原、高津両区の住民ら72人が市に損害賠償を求める裁判の第一回口頭弁論が10月7日、横浜地裁川崎支部で開かれました。
第一回裁判の様子を伝える記事とニュースを掲載します。
現在、行われている水害裁判は、2015年9月の鬼怒川の氾濫(茨城県常総市の住民が被災)、2018年7月の西日本豪雨の肱川氾濫(野村ダム・鹿野川ダムの緊急放流で愛媛県野村町、大洲市の住民が被災)、同じく西日本豪雨の小田川氾濫(岡山県倉敷市真備町の住民が被災)などがあります。
台風19号浸水 被災住民の思い 「安心して暮らせる川崎を」 きょう裁判第1回口頭弁論
(東京新聞2021年10月7日 07時12分) https://www.tokyo-np.co.jp/article/135369
床上浸水した高さを示し、被害の説明をする船津さん=中原区で
二〇一九年十月の台風19号に伴う川崎市内の浸水被害を巡り、中原、高津両区の住民ら七十二人が市に損害賠償を求めている裁判の第一回口頭弁論が七日、横浜地裁川崎支部で開かれる。原告の被災住民らは「安心して暮らせる川崎を」と願っている。(竹谷直子)
二年前の十月十二日夜、原告の一人、船津了さん(69)=中原区=の家の前には茶色くにごった水が流れ、午後九時ごろには玄関に水が入り始めた。「だんだん水かさが増えて『何でこんなところまで水が来るんだ』と驚いた」
深夜零時ごろまで水かさは増し続け、最終的には床上二十センチほどまで浸水したという。車も水に漬かり廃車となった。「泥水だったので、近所では床下に泥がたまって、かびが生えてきたり、悪臭がしたりした人もいた」と周辺の惨状を話す。
市によると、増水した多摩川の泥水が、市が管理する排水樋管(ひかん)を通じて逆流するなどし、排水樋管周辺地域において浸水被害が発生した。市の検証報告書では「ゲート操作は手順にのっとったもの」とし「想定した以上に多摩川の水位が上昇したことに伴って発生したので、補償や賠償は難しい」と説明している。
原告側は、市は十分予見できたのに逆流を防ぐ排水樋管ゲートを閉めず、被害を拡大させた、としている。船津さんも「今までにない台風だと(事前に)気象庁が言っていた。逆流は想定できた」と訴える。「市が間違いを認めない限り、次に生かせない」
川崎市の2019年台風19号水害対応の違法性訴え 損賠訴訟口頭弁論 市側は棄却求める
(東京新聞2021年10月08日07時15分)https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tokyo/region/tokyo-135601二〇一九年十月の台風19号で浸水被害に遭った川崎市中原、高津両区の住民ら七十二人が、治水対策に落ち度があったとして市に約二億七千万円の損害賠償を求める訴訟の第一回口頭弁論が七日、横浜地裁川崎支部であった。(竹谷直子)
訴状によると、増水した多摩川の泥水が下水道管を逆流して住宅地で浸水被害が拡大したのは、市が逆流を認識しながらも排水樋管(ひかん)ゲートの操作をしなかったためだと主張。川崎市の対応は違法性が重大としている。
市側は答弁書で「被告代表者として川崎市長と市上下水道管理者、両者を代表者とする訴状は不適法」などとして訴えの棄却を求めた。
次回の公判には訴えの内容に対する反論書面を準備するとした。
原告二人が意見陳述し、原告団長で地下一階地上三階建ての住宅が床上浸水した川崎晶子さん(47)=中原区=は「川崎市の判断の過ちが、たくさんの市民を傷つけたことに対して心からの謝罪を求めます」。新築の二階建て住宅が被害に遭った川田操さん(53)=同区=は「迫り来る浸水の恐怖、生活環境の復旧のための労苦、誇りにしていた仕事の休業といった精神的苦痛とともに家財なども失った」と訴えた。
原告側は七日付で、中原区の住民六人と一事業者が計約千三百七十五万円の損害賠償を求めて追加提訴したと明らかにした。
◆原告報告集会 怒りの声「被害の映像被告側は顔背けた」
七日の第一回口頭弁論の直後、横浜地裁川崎支部近くの川崎市教育文化会館(川崎区)で原告らの報告集会が開かれた。支援者ら約三十人が参加。棄却を求める市に対して怒りの声が上がった。
「長男を妊娠中に編んだ手編みの毛布が、泥だらけでぐちゃぐちゃになっていた」−と、法廷で涙ながらに意見陳述した原告団長の川崎晶子さん。「被害の状況を映像や画像で示したが、被告側はずっと目をつむって顔を背けていた。それが川崎市の態度なんだなと思った」と集会で報告した。
川岸卓哉弁護士は「市長は『自分に責任はない、現場のせいだ』という姿勢だったが、今回の公判で市長が代表者として反論すると認めた」と説明。西村隆雄弁護士は「市が作った検証報告書で訴状を構成している。それをどう否定するというのか」と話し「ゲートを閉めなかった公務員の過失、それが最大の争点」と強調した。浸水被害から二年を迎えるのを前に同日夕、中原区内で多摩川浸水被害のフォーラムも開かれた。(竹谷直子)
川崎浸水賠償訴訟 市は棄却求める 地裁初弁論 /神奈川
(毎日新聞 2021/10/8 神奈川版)https://mainichi.jp/articles/20211008/ddl/k14/040/153000c
2019年10月の台風19号による浸水被害が広がったのは川崎市が排水ゲートを閉めなかったからだとして中原、高津両区の住民らが市に約2億7000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が7日、横浜地裁川崎支部(飯塚宏裁判長)であった。市側は争う姿勢を示し、請求の棄却を求めた。
住民側は、台風19号で多摩川が増水したのに、市が排水ゲートを閉めなかったため排水管を通じて水が逆流したと指摘。市の過失で市街地の浸水被害を拡大させたと主張した。市は検証委員会の報告書でゲートの操作について「手順通りに対応した。想定以上に水位が上昇した」と結論付けている。
住民側の代理人弁護士によると、7日付で中原区の住民6人と1事業者が計約1400万円の損害賠償を求めて追加提訴したという。【洪玟香】
台風浸水被害で集団訴訟 川崎市は訴え棄却求める
(Channel OPEN YOKOHAMA 2021/10/08)https://www.tvk-kaihouku.jp/news_wall/post-8875.php
(映像あり)
制作: tvk報道部
2019年、各地で被害をもたらした台風19号。その当時、川崎市の水門操作の判断ミスにより浸水被害を受けたとして、住民らが市に対し損害賠償などを求めた裁判が、7日から始まりました。
2019年の台風19号は、各地に記録的な大雨と強風をもたらし、神奈川県内各地で河川の氾濫や土砂崩れが発生。 死者は9人にのぼり、多くの被害を残しました。
中でも、川崎市では多摩川に面した5つの水門から川の水が逆流し、住宅などが浸水する被害が出ました。
記者
「住居への浸水など、大きな被害をもたらした台風19号から2年。水害にあった住民など72人が川崎市に対し、損害賠償を求める裁判が始まります」
今回川崎市を訴えたのは、中原区や高津区で浸水被害を受けた、住民67人と5つの事業者の計72人。
ことし1月に集団訴訟を起こすため原告団を結成し、3月に横浜地裁川崎支部に提訴していました。
訴えで原告団は、「多摩川が増水する中、市が水門を閉めなかったために起きた人災だった」などと主張。
市は当時「水門操作の判断は手順通りだった」とする検証報告をまとめていますが、原告らは市に対して、浸水被害の責任を認めることや、総額およそ2億7000万円の損害賠償などを求めています。
7日行われた第1回口頭弁論では、被害を受けた住民2人が証言台に立ち、「台風が到来するたびに、また水害が発生しないか不安と恐怖を抱え、今も心休まらない暮らしを送っている」などと訴えました。
一方で、川崎市側は訴えの棄却を求めています。
裁判後に行われた原告団の報告集会では、法廷にも立ったひとりが、市に求めることを改めて述べました。
原告・川田操さん
「やはり市には謝って、認めて償って、再発防止につなげてほしいと強く思う」裁判は11月30日に、第2回口頭弁論が予定されています。
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