新ダム、従来計画地に 川辺川流水型で国方針
蒲島郁夫・熊本県知事と国交省九州地方整備局の藤巻浩之局長が12月7日に五木村と相良村を訪問して新しい川辺川ダム計画の概要を説明するということで、ダム計画の概要が新聞に掲載されましたので、その記事を掲載します。
従前の川辺川ダム計画が治水専用の流水型ダムになるということだけですから、環境にやさしいとは思われません。
新ダム、従来計画地に 川辺川流水型で国方針
昨年7月の熊本豪雨災害を受け、国土交通省が球磨川支流の川辺川に計画する治水専用の流水型ダムについて、建設場所を従来の川辺川ダム計画と同じ熊本県相良村四浦の峡谷とする方針を固めたことが3日、関係者への取材で分かった。上流にある五木村に大きな影響が及ぶため、蒲島郁夫知事と国交省九州地方整備局の藤巻浩之局長が7日、両村を訪問して新ダム計画の概要を説明する。
複数の関係者によると、新たな流水型ダムの規模は地形などの条件から川辺川ダム(高さ107・5メートル、総貯水容量1億3300万トン)と同程度とする方向で検討中。完成すれば、治水専用ダムとしては建設中を含めて国内最大級となる。
従来の川辺川ダムは貯水型の多目的ダムで、容量のうち梅雨から夏場の大雨に備える洪水調節用に8400万トン、農業や発電の利水用に2200万トン、土砂の堆積に2700万トンを割り当てる計画だった。
新たなダムは治水専用で、不要になった利水容量を洪水調節に使える。平時は川の流れをせき止めないため堆砂容量も少なくて済み、川辺川ダムと同程度の規模でもより大きな治水能力を持つ。
国は、従来の建設予定地が「地質や集水面積の大きさから適切な場所」(学識者懇談会)なのに加え、既に道路などの関連工事も進み、工期の短縮や費用の圧縮にもつながるとみている。
ただ、地元の五木村と相良村は長年ダム問題に翻弄[ほんろう]され、特に水没予定地を抱える五木村は川辺川ダム計画が事実上中止になって以降、「ダムなしの村づくり」を進めてきた経緯がある。このため県と九州地方整備局は再びダム計画を進めるに当たり、まずトップが足を運んで直接理解を求める必要があると判断した。
蒲島知事は球磨川の大水害を受けて2020年11月、環境負荷が少ないとされる流水型ダムの建設容認を表明。08年に川辺川ダム計画を「白紙撤回」した政治判断を転換した。その後、国や県、地元市町村は川辺川の新たなダムを対策の柱とする「流域治水プロジェクト」を今年3月に策定した。(流水型ダム取材班)
川辺川の流水型ダム、従来計画地に
(読売新聞2021/12/04 15:00)https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20211204-OYTNT50073/
昨年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川流域の治水対策として、支流の川辺川で検討している流水型ダムについて、国土交通省が従来の川辺川ダム計画の予定地(相良村)に、同程度の規模で建設する方針を固めたことが分かった。同省九州地方整備局の藤巻浩之局長と蒲島郁夫知事が7日、相良村と、水没予定地となる五木村を訪問して伝達する。
関係者によると、ダム建設に適した地形であることや、既に用地買収や道路などの関連工事が進んでいることを踏まえた。ダムの規模は、従来の川辺川ダム(高さ107・5メートル、総貯水量1億3300万トン)と同程度とする方向だ。
従来は治水と利水を目的とした多目的ダムで、治水分の洪水調節容量と利水分で計1億600万トンを備える計画だった。新たなダムは治水専用となることから、球磨川流域の自治体首長からは利水分も有効活用して治水効果を高めるべきだとの意見が出ていた。
川辺川ダム計画は旧建設省が1966年に発表。相良、五木両村の水没予定地からは500世帯以上が移転した。2008年に蒲島知事が白紙撤回を表明し、「脱ダム」を掲げる民主党政権が09年に中止したが、九州豪雨を受け、国、県、流域市町村は今年3月、流水型ダムを柱とする治水対策をまとめていた。
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