北海道・沙流川の平取ダムが運用開始 二風谷ダムは堆砂が凄まじく進行
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国土交通省が北海道の沙流川(さるがわ)支流の額平川(ぬかびらがわ)に建設していた平取(びらとり)ダムが完成し、7月1日から運用が開始されました。
沙流川には河口より約21キロメートの位置に二風谷(にぶたに)ダムが1998年に造られました。両ダムの位置は下図の通りです。総貯水容量は二風谷ダム3150万㎥、平取ダム4580万㎥です。
(沙流川総合開発事業 https://www.hkd.mlit.go.jp/mr/sarugawa_damu/tn6s9g0000000zll.html)
二風谷ダムはアイヌ民族を司法の場で初めて先住民族と認めた札幌地裁判決の対象となったところです。
(「二風谷ダム判決25年 先住権回復足踏み」https://suigenren.jp/news/2022/03/28/16032/)
沙流川におけるダム建設の重要な問題は、土砂供給量が非常に大きい河川であるので、ダムが速いスピードで流入土砂で埋まっていくことです。
二風谷ダムの当初計画では堆砂容量は550万㎥でしたが、堆砂の速度が速いので、2008年度の基本計画変更で1430万㎥にしました。(二風谷ダム定期報告書 2010.3)
しかし、総貯水容量3150万㎥に対して、2020年度末の堆砂量がすでに1280万㎥にもなっています(国土交通省の数字)。
そして、現地の状況を見ると、この数字以上の凄まじい状況になっています。
「流域の自然を考えるネットワーク」http://protectingecology.org/report/8441の報告に、下記の写真の通り、二風谷ダムは堤体の直近まで土砂で埋まっている状態が示されています。
撮影:2018年7月4日
ダム建設によって川をこのような惨状にしてしまってよいのかと思わざるを得ません。
平取ダムも同様に土砂堆積がかなりのスピードで進行していくことは必至です。
沙流川は土砂の流出が極めて大きいので、ダムを造ってはならない河川であるのに、ダムがまた造られてしまったのです。
平取ダムの土砂対策は下図の通りです。融雪期(4~5月中旬)は水を貯めることなく、水や土砂をそのまま流下する方式をとるというものです。
しかし、この方式は机上で考えたことであって、実際に計画通りに行くとはとても思われません。
黒部川の宇奈月ダムのように、排砂による生態系に与えるダメージも心配しなければなりません。
沙流川は平取ダムの完成により、深刻な問題を新たに抱えるようになりました。
平取ダムの運用
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