水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 報道

ニュース

報道

中国が「スーパー水力発電所群」を建設中、能力は三峡ダムの2倍―中国メディア

2019年8月15日
カテゴリー:

中国が四川省と雲南省の境を流れる金沙江で巨大ダム/水力発電所群の建設を進めているという記事を掲載します。ダムによる水没家屋についての情報はありません。


中国が「スーパー水力発電所群」を建設中、能力は三峡ダムの2倍―中国メディア

(Record china 2019年8月14日(水) 10時20分)https://www.recordchina.co.jp/b736678-s0-c20-d0142.html

中国中央電視台によると、四川省と雲南省の境を流れる金沙江に建設されているダム/水力発電所群のうち、主要な烏東徳、白鶴灘、渓洛渡、向家壩の水力発電所4カ所だけで、三峡ダムの発電能力の2倍に達するという。写真は建設中の烏東徳ダム。
2019年8月9日、中国中央電視台(中国中央テレビ)は四川省と雲南省の境を流れる金沙江に建設されているダム/水力発電所群を紹介した。主要な烏東徳、白鶴灘、渓洛渡、向家壩の水力発電所4カ所だけで、発電能力は三峡ダムの約2倍に達するという。

金沙江は青海省の崑崙山脈を水源とし、チベット自治区と四川省の境を南下していったん雲南省に入り、向きを北東方向に変えて雲南省と四川省の境を流れ、四川省に入り岷江と合流して長江になる。

記事は金沙江を中国最大の水力発電基地と表現。最終的には水力発電所20カ所以上が建設されるという。記事はうち、烏東徳ダムを「スーパーダム」と紹介。現在は建設中で、中国としては4カ所目、世界全体でも7カ所目の発電能力が「1000万キロワット・クラス」の水力発電所になるという。

烏東徳ダムの高さは最大で270メートルで底部の厚さは51メートル。高度が300メートル前後のダムとしては「異例の薄さ」という。そのため、極めて重要なのがコンクリートの「質」だ。まして、烏東徳ダムは「薄型ダム」と言っても、使用するコンクリートは280万立方メートルもある。それだけの量のコンクリートの質をすべて、一定以上に保たねばならないわけだ。

最大の問題は、コンクリートの主材料となるセメントは水と混ぜて固める際に発熱することだ。その際に温度が上昇しすぎると、その後に冷却した際との温度差でひび割れが発生する。このひび割れは、ダム建設の大きな課題という。

温度上昇を抑える「切り札」になったのが、三峡ダム建設の際に開発させた「解熱剤」という。コンクリートに添加することで発熱を抑える薬剤で、ダムを形成するコンクリート全体に使用されるのは、烏東徳ダムが初めてという。

それ以外に、烏東徳ダムでは冷却水パイプを設け、各所に取り付けた温度センサーを利用して、冷却水の量を調整するなど、コンクリートの温度管理の「スマート化」を実現したという。

烏東徳ダムは2020年7月に水を溜めはじめ、21年12月に発電を開始する予定だ。石炭火力発電所ならば、毎年石炭を1220万トン消費し、二酸化炭素を3050万トン、二酸化硫黄を10万4000トン排出して得られる電力を、「クリーンエネルギー」として獲得できるという。

記事によると、主要な烏東徳、白鶴灘、渓洛渡、向家壩の水力発電所4カ所だけで、発電量は4646万キロワットで、三峡ダムの2250万ワットの約2倍に達する。年間発電量は1900億キロワットで、21世紀を代表する世界最大規模の「エコ・エネルギー基地」になるという。(翻訳・編集/如月隼人)

国、日軽金に行政指導 雨畑ダム堆砂「抜本解決を」

2019年8月14日
カテゴリー:

駿河湾サクラエビの不漁や水害の危険性で問題になっている雨畑ダムについて、国土交通省が雨畑ダムを管理する日本軽金属に対して、現状を抜本的に解決するよう文書で行政指導を行いました。記事とニュースを掲載します。
関東地方整備局甲府河川国道事務所が日本軽金属に通知した内容は、http://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/koufu_00000421.html をご覧ください。

余談ですが、この行政指導の動きがつくれたのは、ダムの堆砂データを水源開発問題全国連絡会が静岡新聞社に提供したからであると、同社の記者からお礼のメールがありました。


国、日軽金に行政指導 雨畑ダム堆砂「抜本解決を」

(静岡新聞2019/8/14 07:10) https://www.at-s.com/sp/news/article/politics/shizuoka/669152.html

(写真)土砂で9割以上が埋まり水害が危ぐされる雨畑ダム(奥が堤体部分)=8月上旬、山梨県早川町(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から)
駿河湾サクラエビの不漁を受け、静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(総貯水容量1365万立方メートル、同県早川町)の堆砂率が9割を超え、水害が危ぐされている問題で、国土交通省は13日、ダムを管理する日本軽金属(東京都品川区)に対し、現状を抜本的に解決するよう文書で行政指導した、と発表した。山梨県も同日、同社に同様の要請を行い、国に対し同社を指導するよう要望したことを明らかにした。
同省によると、同様の行政指導は熊本・球磨川の瀬戸石ダム(同993万立方メートル)に次ぎ全国2例目。国と同県が堆砂問題の是正に乗り出したことで、同ダムを埋める土砂や泥が駿河湾に注ぐ濁り水の要因とされる問題も新たな局面を迎えることになる。
同省の行政指導は9日付。国は5月、全国のダムの堆砂量や堤体の強度などを定期検査し、雨畑ダムについて「堆砂により上流部の河床が上昇し、洪水被害の恐れがある」と評価、3段階のうち最も深刻な「ただちに改善措置が必要」と判断した。国は2014、16、17年にも同ダムに対する同様の評価結果を同社に通知しているが、文書による指導は今回が初めてという。
国は、18年秋の台風24号で民家1軒が床上浸水したことを指摘し、「抜本解決に向け堆砂対策に重点を置き、計画をとりまとめ報告すること」とした。
併せて、堆砂量が確実に減る対策の強化や、16年度末時点の堆砂量が1274万立方メートルに上り、設定(600万立方メートル)の2倍以上となっている現状がダム堤体の強度に及ぼす影響も検討するよう求めた。
17年に国が行政指導した瀬戸石ダム(電源開発管理)の周辺では豪雨による県道の冠水被害が出た。同省河川環境課の担当者は「雨畑ダムの現状は国としても非常に重く見ている」と行政指導の理由を述べた。山梨県の長崎幸太郎知事も「住民の安全を守る山梨県として深刻な問題だ」とのコメントを出した。

■土砂の掘削進める
日本軽金属蒲原製造所のコメント 雨畑ダムとその上流域における土砂の掘削、移動を進めている。指摘事項については、具体的検討を進め報告する予定。地域の安全確保を最優先課題とし、近隣の皆さまの人命と財産に関わるような災害を未然に防止すべく、国、県、町などと協議し対応を進めていく。


雨畑ダム 「安全性、措置が必要」 国交省定期検査、4回連続A判定 /山梨

(毎日新聞山梨版2019年8月14日)https://mainichi.jp/articles/20190814/ddl/k19/010/188000c

国土交通省は雨畑ダム(早川町)の定期検査の結果、「安全性や機能への影響が認められ、直ちに措置が必要」とするA判定だったと、ダムを所有する日本軽金属(東京)に通知した。9日付。雨畑ダムのA判定は2014年から4回連続。国交省は「堆砂(たいさ)により上流部の河床が上昇し、洪水被害の恐れがある」と判断した。
検査結果を受け、国交省甲府河川国道事務所は日軽金に対し、堆積する土砂の抜本的な解決について計画をまとめるよう文書で求めた。
定期検査は3年に1回以上の頻度で実施される。ダム施設・貯水池の状態などを調査し、総合判定する。判定はA▽B1(速やかな措置が必要)▽B2(必要に応じて措置が必要)▽C(監視を継続)の4段階。
雨畑ダムを巡っては、ダムの約9割(昨年11月時点)に土砂が堆積していることから、上流の雨畑川に流れ込む土砂が下流に流れず河床が上昇している。昨年10月の台風では雨畑川が氾濫し、周辺民家で床上浸水の被害が出ている。
一方、県は8日付で、日軽金に対し、土砂の撤去や浸水被害を防止する措置を講じるよう要請した。国交省に対しては日軽金への指導を要望した。
日軽金蒲原製造所の担当者は「雨畑ダムと上流域の土砂の掘削・移動を鋭意進めている。地域の安全確保を最優先課題とし、近隣の皆さまの人命、財産に関わる災害を未然に防ぐべく、国、県、町などと協議をし対応を進めていく」とのコメントを出した。【高田奈実】


川底上昇問題で国 雨畑ダム管理会社に対策報告求める

(テレビ山梨 2019/8/13(火) 19:35配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190813-00000005-utyv-l19

山梨県早川町にある雨畑ダムに大量の土砂が流入し川の底が上昇している問題で8月13日、国はダムを管理する都内の会社に浸水の恐れがあるとして対策計画をまとめるよう通知しました。
この問題は早川町の雨畑ダムに大量の土砂が流入して川の底が上昇し去年10月の台風の際には民家が浸水するなど被害が発生しているものです。
国の行った定期検査では今年度も含め4回連続で3段階評価で最低の「直ちに改善の必要性がある」とする判定となっていて国は、今月9日付で管理する日本軽金属に対し対策をまとめ報告するよう通知をしました。
国によりますと堆積している土砂の量はダムの総貯水量のおよそ9割に達しているということです。
ダムを管理する日本軽金属はUTYの取材に「現在、ダムや上流で土砂の掘削、移動を進めている。地域の安全を第一に国、県、町と協議しながら対応を進めたい」とコメントしています。

雨畑ダム(山梨)堆砂率93%、全国の中規模以上でトップ 堆砂除去要請へ 山梨知事、日軽金に

2019年8月11日
カテゴリー:

駿河湾サクラエビの深刻な不漁との関係で浮き彫りになった日本軽金属・雨畑ダム(富士川水系)の堆砂問題に関する記事を2点珪砂します。


雨畑ダム(山梨)堆砂率93%、全国の中規模以上でトップ

(静岡新聞2019/8/7 07:42)https://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/666723.html

ダム堆砂率ランキング

(写真)総貯水容量500万立方メートル以上のダムの中で堆砂率が全国1位であることが判明した雨畑ダム=8月上旬、山梨県早川町(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)

駿河湾サクラエビの不漁を受け、静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(山梨県早川町)の堆砂率が2016年度、93・36%に上り、総貯水量500万立方メートル以上の全国のダム約500カ所で最も堆砂が深刻化していることが6日までに、国土交通省公表のデータを分析した静岡新聞社の調べで明らかになった。
発電用の貯水池の役割を果たすダム湖の極端な容量減少で、導水管の取水口も土砂に覆われつつある。
駿河湾に流れ込む濁り水の対策が極めて困難になっている状況が改めて浮き彫りになった。
雨畑ダムの堆砂は、ダムを管理する日本軽金属が除去を始めた1977年度当時は22番目だったが対策が追い付かず、約40年間で急激に進んだ。
中規模以上のダムで同年度に堆砂率が10位以内だったダムのうち、9割を超えたのは雨畑ダムだけだった。
2位は北海道電力保有の岩知志ダムで88・35%、3位は中部電力の平岡ダムで85・23%と、上位には電力会社が管理するダムが目立った。
雨畑ダムは67年完成で、堆砂率10位以内で最も新しいダム。

雨畑ダム、堆砂除去要請へ 山梨知事、日軽金に
(2019/8/8 07:18)https://www.at-s.com/news/article/politics/shizuoka/667172.html
駿河湾サクラエビの深刻な不漁を受け、静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進める雨畑ダム(同県早川町)の堆砂問題について、同県の長崎幸太郎知事は7日の定例記者会見で、日本軽金属(東京都)に対し、堆砂の除去を行うよう要請する方針を明らかにした。
ダム湖を埋める土砂や泥は、水力発電用の導水管を経て、同社蒲原製造所(静岡市清水区)の放水路からサクラエビの産卵場周辺の駿河湾に流れ込む濁水の原因になっているとみられている。
会見した長崎知事によると、堆砂除去の要請方針はすでに県庁内で意思決定をしていて、国と相談した上で正式に要請する時期を決めるという。
一方、雨畑ダム下流のニッケイ工業の砂利プラント近くで7月、コンクリートくずなどの不法投棄が見つかった問題については「期限を決め可及的速やかに撤去を求めていく」と述べ、刑事告発の明言はしなかった。
同社の社長が元山梨県治水課長であることについては「承知はしているが、行政当局への働きかけは確認されていない。変な疑念が生じないようにしたい」などと述べた。

足羽川ダム 事業費1300億円に増加 人件費など原因 当初は960億円

2019年7月31日
カテゴリー:

近畿地方整備局が福井県に建設する足羽川ダムの総事業費が960億円から1300億円に大幅に増額されることになりました。その記事を掲載します。。
現在の足羽川ダムの計画は下記に示すとおり、足羽川の支川「部子川」にダムを築き、足羽川の各支川の洪水を導水トンネルで集めるという奇妙なダム計画です。
第一期と第二期があって、第一期は今後20~30年間に行うもので、導水トンネルは水海川からのものだけです。残りの導水トンネルは第二期ですから、いつ完成するのかわからないものです。
もともとの足羽川ダム計画は下流の足羽川(旧・美山町(現・福井市))につくるものでしたが、美山町の反対とダム反対運動の高まりで、中止になりました。
しかし、何としてもダムをつくりたい人たちの力が働いて、現在の奇妙なダム計画になりました。

足羽川ダム 事業費1300億円に増加
(中日新聞福井版2019年7月30日)https://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2019073002000199.html

人件費など原因 当初は960億円
国が池田町で建設を進めている足羽川ダムについて、総事業費の見通しが人件費や資材の高騰などにより、当初計画の九百六十億円から三百四十億円(35%)増の千三百億円に膨らむことが分かった。国土交通省足羽川ダム工事事務所が二十九日、福井市内で開いた事業費等監理委員会で明らかにした。
事業費増の内訳は、人件費や資材の高騰、消費税増税など社会的要因で百八十七億円。ダム本体の詳細設計が進み、放流設備の規模拡大や追加の地滑り対策などで百八十億円が必要になった。一方、本体構造の工夫などコスト縮減で二十七億円を圧縮した。
同事務所によると、二〇二六年度の完成予定に変更はない。総事業費が二〇〇六年度の計画時から増えたのは今回が初めて。総事業費の三分の一は県負担になる。県は事業費増に理解を示しつつ、引き続きコスト縮減に努めるよう要望したという。
足羽川ダム建設は、一九年度末で五百十八億円が執行される予定。増加後の事業費ベースの進捗(しんちょく)率は約40%となっている。二〇年度からはダム本体の工事が始まる。 (山本洋児)


工事単価、人件費増などでダム事業費340億円増、1300億円に

(福井新聞2019/7/30(火) 19:58配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190730-00010002-fukui-l18


足羽川ダム計画

福井県負担も増
国土交通省が福井県池田町に建設する足羽川ダムについて、近畿地方整備局の同ダム工事事務所は7月29日、2026年度完成予定の1期工事の事業費が当初計画の960億円から340億円増額し、1300億円になるとの見通しを明らかにした。工事単価や人件費増、消費税増税などが理由。

29日に福井市内で開かれた同ダム事業費等管理委員会で報告された。8月1日に同整備局の事業評価監視委員会で費用対効果などが審議され、事業の継続が妥当かどうか判断される。

同事務所によると、1期工事の事業費は06年度の物価や人件費を基に算出していた。来夏に本体工事に着手するため、地質調査などを踏まえて今年2月に作った足羽川ダムの詳細設計を基に見直した。

その結果、▽物価や人件費の増額など社会的要因で187億円増▽事業進捗に伴い判明した、洪水調節機能や安全性を確保するための追加対策費で180億円増▽洪水時にダム本体へ水を流す導水トンネルの経口縮小化などのコスト縮減策で27億円減―となり、340億円増額となる。

事業費の負担割合は国が3分の2、県が3分の1。見直し案が同整備局の事業評価監視委員会で認められれば、国交省は今夏の概算要求に必要経費を計上する方針。同事務所は「26年度の完成が遅れないための対策も含め、事業工程に影響が出ないよう進めていく。可能な限りコスト縮減を図り、事業費の抑制に努めたい」としている。

2期工事に関しては、国の「河川整備方針」で490億円かかるとされているが、同事務所は「まだ事業化されていないので、次の段階での話になる」と説明している。

福井県河川課は「ダムは福井市中心部の洪水を守る重要な事業で、26年度までに完成することが第一。コスト増はやむを得ない部分はあるが、国はコスト縮減の管理をしっかりやってほしい」としている。

■足羽川ダム 足羽川、日野川、九頭竜川下流域の洪水被害軽減を目的に、国が足羽川支川の部子川(福井県池田町)に建設する治水ダム。高さ96メートル、幅351メートルで普段はゲートを開け、非常時のみ貯水する「穴あきダム」。1期工事で水海川とダムをつなぐ導水路も整備する。貯水量は2870万トン。福井豪雨で破堤した足羽川堤防地点の水位を90センチ下げられるという。他流域の3河川(足羽川上流、割谷川、赤谷川)からダムに導水路を設ける2期工事の計画は事業が確定していない。

 


足羽川ダム、事業費340億円増、福井県負担81億円増

(日本経済新聞2019/8/1 18:39) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48083040R00C19A8LB0000/

国土交通省が建設を進める足羽川ダム(福井県池田町)の事業費が340億円増えて1300億円となることが1日、大阪市内で開かれた事業評価監視委員会で了承された。福井県の負担も81億円増えて310億円になる。2006年度に960億円と算定した見積もりの甘さや、事業の長期化による人件費上昇などコスト増リスクが現実になった。

同ダムは20年度に本体工事に着手し、26年度に完成する予定。福井県も事業費増に同意した。同省の説明によると、人件費上昇などの社会的要因で187億円増える。水没する道路の代わりに建設する道路の崖崩れ対策の拡大や、ダム洪水調整地の地滑り対策場所の増加など9件の工事計画変更で180億円増加した。
周辺河川の洪水を防ぐためにダム湖に水を導くトンネルの小型化などで27億円を削減したが、事業費は差し引き340億円増えた。今後も事業費が拡大する可能性はあり、自治体側に拒否権は原則ない。
費用対効果については費用が増えた一方で、下流の福井市などで世帯数が微増するのに加えて北陸新幹線の将来の開通などで被害軽減効果が増したとして、費用便益比1.3は変えなかった。
足羽川ダムは1983年度に調査が始まり、94年度に水道用水を含む多目的ダムとして事業に着手した。水道用水が不要になったため事業継続が困難になったが、2004年の福井豪雨で治水ダムとして継続された。


現在の足羽川ダム建設事業(足羽川ダム工事事務所のHPより)

足羽川ダム建設事業は、足羽川、日野川(ひのがわ)及び九頭竜川(くずりゅうがわ)の下流地域における洪水被害の軽減を目的として、九頭竜川水系河川整備基本方針に定められた天神橋(てんじんばし)地点の基本高水のピーク流量2,600m3/s に対し、800m3/s の洪水調節を行うため、洪水調節専用(流水型)ダムと併せて、他の4 河川(水海川(みずうみがわ)、足羽川、割谷川(わりたにがわ)、赤谷川(あかたにがわ))の洪水を導水するための分水施設(分水堰と導水トンネル)を整備するものです。
また、今後20年~30年の河川の整備内容を定めた九頭竜川水系河川整備計画においては、目標である戦後最大規模の洪水(福井豪雨規模)の流量2,400m3/sに対して、600m3/sを足羽川ダムにより洪水調整を行うこととしています。
河川整備計画期間内に先行的に建設する施設は、ダム本体と水海川からの分水施設です。なお、ダム本体は段階整備に適さない構造物であるなどの理由により、九頭竜川水系河川整備基本方針規模で整備する計画です。

最上小国川ダム訴訟で原告側の訴え退ける 山形地裁

2019年7月31日
カテゴリー:

昨日(7月30日)、山形県の最上小国川ダムへの公金支出の差し止めを求める裁判の判決が山形地裁でありました。残念ながら、原告側の敗訴でした。その記事を掲載します。
日本の司法はどうしようもありません。原告は8月9日、山形地裁判決を不服として控訴しました。


公金支出「違法性なし」 最上小国川ダム訴訟で山形地裁、原告の請求棄却

(山形新聞2019年07月31日 09:27)https://www.yamagata-np.jp/news/201907/31/kj_2019073100634.php

(写真)貯水部側から見た最上小国川ダム。工事が進み、完成が近づいている=30日、最上町富沢

県の最上小国川ダム(最上町)建設に関し、反対派住民らが工事費などの公金支出差し止めを求めた訴訟の判決が30日、山形地裁であった。貝原信之裁判長は「ダム建設の公金支出に違法性はなく、河川環境への影響も重大とは言えない」などとし、原告の請求を棄却した。訴訟は提訴から約7年が経過。地裁は賛否が分かれた流水型(穴あき)ダムによる治水対策を容認する司法判断を示した。

判決理由で貝原裁判長は、ダム建設は治水の観点から違法性はなく、他の手段と比較すると経済的でもあると判断。洪水時以外は水を貯めない流水型ダムを選択した点は「放流量を調整できず、流出口が閉塞(へいそく)されたとしても、危険性が重大とは言えない」とした。

自然環境への影響について「県は建設過程で十分考慮しており、重大な影響を及ぼすとは言えず、原告側の主張する影響は抽象的だ」と指摘。費用対効果も「国土交通省のマニュアルに基づき算定しており、違法性はない」と退けた。

原告側はダムの必要性の一つとされた同町赤倉地区の水害について、川の越水による「外水被害」だけでなく、降雨時などに川に排水できないことで発生する「内水被害」もあり、ダム建設では防げないと主張。川床掘削で流量を確保する河道改修で十分で、温泉への影響もないとしてきた。

流水型ダムは流出口が土砂や流木で閉塞する危険性もあり、魚類の遡上(そじょう)阻害や濁りの増加で、アユなど河川環境への影響が大きいと強調。費用対効果についても、県の想定は誤りがあり、ダム建設への公金支出は不当で地方自治法などに違反すると訴えていた。

ダムは現在、堤体(ダム本体)の工事がほぼ完了。総事業費は当初、70億円を見込んでいたが、労務費や資材費の高騰、透水性の高い地盤の改良工事などで増加し、88億円。昨年の豪雨で工事と工程で変更が生じている。実際に水をためて安全性を確かめる試験湛水(たんすい)を今冬に行い、2020年3月に完成予定。その後、運用を開始する。


最上小国川ダム訴訟で原告側の訴え退ける 山形地裁

(毎日新聞 2019年7月30日 19時15分) https://news.infoseek.co.jp/article/mainichi_20190730k0000m040218000c/

(写真)最上小国川ダムを巡る住民訴訟の判決終了後、住民説明会を行う原告ら=山形市で2019年7月30日午後2時23分、日高七海撮影
山形県が最上町に建設している「最上小国川ダム」を巡り、市民団体「最上小国川の清流を守る会」が公金支出の差し止めなどを求めた住民訴訟の判決が30日、山形地裁であった。貝原信之裁判長は、ダムの建設に違法性はないと判断し、原告側の訴えを退けた。
ダムは洪水時だけ貯水する「穴あきダム」。水の流出口が土砂や流木で閉塞(へいそく)する危険性や、アユをはじめとした生態系への影響の有無などが争点となった。
判決は、ダムの設計が合理的だとして、流出口が閉ざされる危険性は大きくないと判断。上流側がダム湖化する恐れがあるとした原告側の主張を否定した。また、環境には一定の影響が出るとしたものの、重大とまでは認めなかった。
原告団の清野真人事務局長(75)は「訴訟の中で、穴あきダムの問題を議論できた。全国の人にもプラスになれば」と話した。控訴するかどうかは今後、検討するとしている。
これに対し、山形県の吉村美栄子知事は「最上小国川の内水面漁業の振興、流域の治水対策に努める」とのコメントを出した。【日高七海、的野暁】
最上小国川ダム
アユがすむ清流として知られる山形県北東部の最上小国川で、流域の温泉街周辺の治水対策として県が建設しているダム。生態系や水質への悪影響を懸念する地元漁協が反発し、住民団体も2012年に建設費用の差し止めなどを求めて提訴した。県が漁業振興策を提示するなどしたため漁協が容認に転じ、15年に本体工事が始まった。


最上小国川ダム訴訟判決 「建設は合理的」原告の訴え退ける 山形地裁

(さくらんぼテレビ2019/7/30(火) 21:05配信) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190730-00010004-sakuranbo-l06

7年にわたる住民訴訟に判決。山形県が最上町に建設中の最上小国川ダムを巡り、反対派の住民が事業費の支出差し止めなどを訴えた裁判で、山形地裁は30日、原告の訴えを退けた。
この裁判は、最上町の赤倉温泉の治水対策として県が建設中の最上小国川ダムをめぐり、反対派の住民が事業費約5億1700万円の支出差し止めと、2012年に支出した約5500万円の返還を求め、2012年に提訴していた。
原告側は、「水害は雨水などが溜まる内水の被害によるもので、ダム建設では防止できない。生息するアユへの影響も大きい」と主張していた。
判決で、山形地裁は「ダムの建設が内水被害だけでなく、被害の大きい外水被害、さらには下流への被害も想定していて合理的」として、原告の訴えを退けた。また、「アユへの影響も重大ではない」とした。
原告側は「今後、意見を集め控訴について検討する」としている。判決を受け、吉村知事は「今年度の完成に向け着実に工事を進め、最上小国川の漁業振興・治水対策の充実に努める」とコメントしている。


最上小国川ダム訴訟で建設費差し止め却下 山形地裁判決

(河北新報 2019年07月31日)https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201907/20190731_53055.html

山形県の最上小国川ダム(山形県最上町)建設を巡り、市民団体「最上小国川の清流を守る会」が、洪水防止の目的は河道改修で十分に達せられるなどとして、県に建設費の支出差し止めなどを求めた訴訟の判決で、山形地裁は30日、「事業予算の支出は全て完了しており、訴えの利益がない」として却下した。原告側は控訴するかどうか慎重に検討するという。
原告は「内水被害が頻発する最上町赤倉地区の水害対策としてダム建設は妥当ではない」と主張したが、判決は「赤倉地区の下流14キロの範囲の治水対策も目的とされており、県がダム建設を選択したことは不合理ではない」と判断した。
最上小国川ダムは県が1991年から予備調査を始め、2007年に建設を決定。アユ釣りへの影響を懸念して反対していた地元の漁協などが14年9月に容認に転じ、15年2月に着工した。ダムは本年度、完成する予定。総事業費は88億3000万円。


ダム費返還の訴え退け 山形の清流・最上小国川

(iza 2019.7.30 20:40) http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/190730/evt19073020400038-n1.html

アユ釣りで有名な山形県最上町の清流・最上小国川で、県が進めるダム建設に反対する住民団体が2012年度に支出した費用の一部約5490万円を吉村美栄子知事に返還請求することなどを県に求めた訴訟の判決で、山形地裁は30日、訴えを退けた。
ダムは下流域の治水のため、増水時だけ貯水する「穴あきダム」。当初は約70億円だった総事業費は工期延長などで約88億円に増え、18年度末までに約76億円を支出。19年度内に完成の見込み。
原告側は「下流域で想定される、増水した川に排水できなくなって起こる内水氾濫にダムは無力だ。洪水時に水が長く濁り、アユに影響を与える」と主張したが、判決理由で貝原信之裁判長は「大雨で川から水があふれる外水氾濫も想定し、ダムを建設するのは不合理ではない。アユの成育環境への影響の程度も重大とはいえない」と述べた。

 

山形・最上小国川ダム訴訟 原告控訴
(河北新報2019年08月10日土曜日)https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201908/20190810_53020.html

山形県の最上小国川ダム(山形県最上町)建設を巡り、市民団体「最上小国川の清流を守る会」が県に工事費の支出差し止めなどを求めた訴訟で、原告は9日、訴えを却下した7月30日の山形地裁判決を不服として控訴した。
原告の高桑順一団長は「事実と根拠に基づかない判決で認めがたい。裁判が続いているのに工事を進めるのは不誠実だ」と話した。
地裁判決は事業予算支出が全て完了し「訴えの利益がない」と結論付けた上で、環境への影響も重大とは言えないと判断した。

↑ このページの先頭へ戻る