水源連:Japan River Keeper Alliance

水源開発問題全国連絡会は、ダム建設などと闘う全国の仲間たちのネットワークです

ホーム > ニュース > 川辺川ダムの情報

ニュース

川辺川ダムの情報

流水型川辺川ダムの環境影響の検討委員会の資料

2022年9月7日
カテゴリー:

8月24日、流水型川辺川ダムの環境影響の検討委員会が開かれました。

その検討委員会の資料が下記の通り、川辺川ダム砂防事務所のHPに掲載されました。

かなり分厚い資料です。委託費がふんだんにあるから、このような資料もつくれるのでしょうね。

流水型川辺川ダムは既存の流水型ダムと比べて桁違いに大きい流水型ダムですから、今後の環境影響を予測できるはずがありません。そして、既設の流水型ダム(たとえば最上小国川ダム)では環境への影響が深刻な問題になってきています。

検討委員会のニュース記事も掲載します。

 

九州地方整備局 川辺川ダム砂防事務所 https://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/

流水型ダム環境保全対策検討委員会  https://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/

第4回 流水型ダム環境保全対策検討委員会8月24日(水)開催資料

https://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/kankyou2/daiyonkai.html

説明資料2-1

【配慮レポートに対するご意見と事業者見解(案)】 https://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/kankyou2/siryou405.pdf

説明資料2-2

【流水型ダムによる環境影響の最小化に向けた検討状況】 https://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/kankyou2/siryou406.pdf

説明資料2-3

【環境影響評価にあたっての調査、予測及び評価手法等】 https://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/kankyou2/siryou407.pdf

説明資料3

【今後のスケジュールについて】 https://www.qsr.mlit.go.jp/kawabe/kankyou2/siryou408.pdf

【参考資料1】(1) (2)

【参考資料2】

【参考資料3】

 

流水型ダム 放流設備の検討例示される【熊本】

(テレビ熊本2022年8月25日 木曜 午後0:00) https://www.fnn.jp/articles/-/407879

(映像)

川辺川に建設予定の流水型ダムによる環境影響の最小化について考える検討委員会が24日開かれ、流水型ダムの放流設備の検討例が示されました。
検討委員会では、国がダムの形状について平常時に水を流す門と洪水調節を行う門の
数の違いによる検討例を提示。
また環境影響の調査方法などを記した「方法レポート」の原案では、ダム完成後の水質や生物、植物などへの影響調査や予測の方法が示されました。
委員からは、調査する生物や植物の追加を求める意見などが挙がりました。
流水型ダムについては、環境アセス法と同等の環境影響評価を行うことになっていて、今回の議論を踏まえてレポートがまとめられます。

球磨川水系河川整備計画への県知事と各市町村長の意見

2022年8月14日
カテゴリー:

8月9日、流水型川辺川ダムの建設をメインとする球磨川水系河川整備計画が策定されました。

この計画策定に対して蒲島郁夫・熊本県知事は「異存はない」と回答しました。(知事回答の文面を下記に転載)

川辺川ダム計画は潮谷義子・熊本県前知事が中止に向けて長年取り組んできたダム計画で、中止が県民の願いとなっていました。それを受けて、2008 年9月、蒲島郁夫・現知事がやむなく、県議会で建設反対を表明したものであり、ダム中止は蒲島氏の本意ではありませんでした。

蒲島氏は、2020年球磨川水害のあと、12年前の白紙撤回から方針転換し、2020年11月に新たな流水型のダム建設を国に求めると表明し、今回、上記の回答を行いました。

川辺川ダム計画は2009年に中止とされたものの、特定多目的ダム法に基づく廃止手続きは取られておらず、法的には生き残っていて、国交省はダム事業復活の機会をずっと伺ってきました。2020年球磨川水害がその復活の機会となってしまいましたが、当時、仮に川辺川ダムがあっても、亡くなった方の大半はその命を救うことができなかったことが明らかになっています。

この球磨川水系河川整備計画に対して球磨川流域の各市町村長がどのような意見を述べたかですが、次の「熊本県知事意見」の中に市町村長の意見も入っていますので、ご覧ください。

球磨川水系河川整備計画[国管理区間](令和4年8月9日策定)

熊本県知事意見 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/river/kasenseibi/tiji_iken.pdf

流域市町村長のうち、川辺川ダムのダムサイト予定地「相良村」、川辺川ダムの水没予定地「五木村」、2020年7月の熊本豪雨で大勢の死者が出た「球磨村」と「人吉市」の各首長の意見を下記に転記しておきます。

相良村長、五木村長、球磨村長は川辺川ダム計画への賛意を示していないように読み取れます。

それに対して、人吉市長は川辺川ダム計画の推進を強く求めています。

かつて、2008年に蒲島郁夫熊本県知事が川辺川ダム計画の白紙撤回を表明したのは、球磨川流域で川辺川ダムの恩恵を最も受けるとされる人吉市の田中信孝市長がダム反対を表明したことが大きな要因になりました。

当時の田中市長と比べると、今の松岡隼人市長は全く逆方向を向いています。

2020年7月の熊本豪雨で、人吉市で多くの死者が出たのは、球磨川の本川よりも支川が早く氾濫したことによるものであり、当時、仮に川辺川ダムがあっても、その命を救うことができませんでした。

その重要な事実を踏まえずに、松岡市長は安易に川辺川ダム計画の推進を強く求めているのです。

 

熊本県知事

相良村長

 五木村長

 球磨村長


 人吉市長

流水型川辺川ダムの建設をメインとする球磨川河川整備計画の策定と流域住民の抗議行動

2022年8月14日
カテゴリー:

九州地方整備局と熊本県は8月9日、流水型川辺川ダムの建設をメインとする球磨川水系河川整備計画を策定しました。

河川整備計画の内容は九州地方整備局のホームページ http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/news/r4/20220809kisya.pdf に掲載されています。

河川整備計画の主な治水事業の位置図を次に示します。

多くの方が 公聴会や意見書で球磨川水系河川整備計画原案の根本的な問題点を指摘したけれども、ほとんど変わることなく、流水型川辺川ダムの建設をメインとする球磨川水系河川整備計画があっという間につくられてしまいました。

公聴会・パブリックコメントは河川管理者が市民の意見を計画に反映したことにするためのセレモニーにすぎませんでした。

この策定に対して、流域の市民団体が8月10日、国土交通省、熊本県に抗議文を提出しました。

抗議文提出の記事と整備計画策定の記事を掲載します。

必要性が希薄で、環境に多大な影響を与える流水型川辺川ダムの計画が進められていくことは腹立たしい限りです。私たちはこれからも球磨川水系河川整備計画の問題を指摘し、流水型川辺川ダムの建設を阻止するための行動を続けていかなければなりません。

ダムの完成予定が2035年度ですので、反撃の余地はまだまだあると思っています。

 

流水型ダム整備含む熊本・球磨川の河川計画 反対市民団体ら抗議文

(西日本新聞2022/8/11 11:30)https://www.nishinippon.co.jp/item/n/971071/

流水型ダム建設を盛り込んだ河川整備計画への抗議文を手渡す市民団体のメンバー

抗議文を手渡す豪雨被災者の住民有志(右)

球磨川の支流川辺川への流水型ダム整備を含んだ河川整備計画の策定を受け、ダム建設に反対する市民団体が10日、国土交通省や熊本県に対する抗議文を提出した。人吉市の豪雨被災者ら住民有志も同日、県庁に提出した抗議文で「ダム反対の民意を無視する暴挙だ」などと訴えた。

国交省八代河川国道事務所では「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(中島康代表)など6団体が斉藤鉄夫国交相と蒲島郁夫知事に宛てた抗議文を提出。河川整備計画を断固拒否するとした上で「ダム計画の中止を勝ち取るまで闘い続ける」と強調した。

中島代表(81)は「流域の意見が計画に反映されていると思えない。民主主義の根幹に関わる問題だ」と憤った。抗議文を受け取った同事務所の寺師浩二事務副所長は「意見や文書は担当部署に伝える」と述べるにとどめた。

一方、人吉市で被災した住民有志5人は、蒲島氏が整備計画案に「異存なし」と回答したことへの抗議文を提出。同市や球磨郡の住民計93人分の署名も添え、整備計画の撤回を求めた。

豪雨で自宅が全壊した同市の林通親さん(73)は「(策定手続きが)こんなに早く進められて納得いかない。被災者の声を聞くべきだ」。同市の関根喜美子さん(75)は「災害では命だけでなく住まいや財産全てを失う。住民の声を聞いて計画をゼロから考え直してほしい」と声を上げた。 (梅沢平、鶴善行)

 

計画策定「住民無視の暴挙」 国、県に抗議文提出 

(人吉新聞20220810) https://hitoyoshi-sharepla.com/news.php?news=5573

川辺川への流水型ダム建設を含む球磨川水系河川整備計画を9日に策定、公表した国土交通省、熊本県に対し、市民団体の「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(中島康代表)は10日、「住民無視」の同ダム建設に反対するとともに、流域住民への丁寧な説明を求める抗議文を提出した。

抗議文によると、同計画原案に寄せられた住民意見の7割が流水型ダムに反対したことを無視した異挙であり、国交省、県ともに「丁寧に説明しながら事業を進める」という姿勢に反する。流域住民の多くは過去の体験からダムに強い拒否感情、疑問がある中で住民無視の計画は到底受け入れられないと訴えている。

国交省八代河川国道事務所に中島代表ら賛同する団体の9人が訪れ、寺師浩二副所長に抗議文を手渡した。

中島代表は「住民の意見が全く反映しておらす、丁寧な説明をするというが、何度も行っている抗議活動に対する回答は一度もない」、瀬戸石ダム周辺に喜らす男性は「荒瀬ダム、瀬戸石ダムを建設する際、国交省は今回と同じことを言っていたが、全くのうそだった」「穴あきダムがある清流の河川はない。命も清流も守れない」と抗議した。

寺師副所長は「窓口として受け取り、上司に適切に伝え、対応していく」と詳細な回答を控えた。

 

豪雨災害から2年熊本・球磨川水系の治水策本格始動へ

(西日本新聞2022/8/10 6:00) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/970447/

川辺川への流水型ダム建設で10年に1回程度の大雨で水没することが想定される熊本県五木村の旧中心部=9日午後

国土交通省九州地方整備局と熊本県は9日、2020年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川水系の河川整備計画を策定したと発表した。発災から2年超。河川法に基づく整備計画には支流川辺川への新たな流水型ダム整備も盛り込まれ、河道掘削や宅地かさ上げ工事などを含めた、今後約30年間の治水策が本格的に動き出す。

流水型ダムは、旧川辺川ダム計画と同じ同県相良村に建設予定。高さ107・5メートル、総貯水量約1億3千万トンで、治水専用ダムとしては国内最大となる。今後は環境に与える影響調査を進め、27年度に着工。完成は35年度を見込む。

整備計画では、遊水地の整備や河道掘削などにより、同県人吉市の地点で洪水時の最大流量を毎秒7600トンに設定。「50年に1度」の洪水を安全に下流に流すことを目標に掲げる。

蒲島郁夫知事は流水型ダムについて「命と環境の両立が図れているか確認する仕組みを立ち上げる。(ダム建設の影響を受ける)五木村、相良村の振興にも全力で取り組みたい」とのコメントを出した。

球磨川水系では、08年の旧川辺川ダム計画「白紙撤回」後の治水策がまとまらず、全国109の1級水系で唯一、整備計画が策定されていなかった。今回の整備計画を巡っては、蒲島氏が今年7月下旬、国が示した案に「異存なし」と回答。流域市町村からも変更を求める意見はなかったが、五木村と相良村はダムへの賛否を明言していない。

ダム建設に反対する市民団体「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表は「説明会やパブリックコメント(意見公募)での住民の意見が反映されていない。ダム頼みの治水策は危険であり、改めて検証するべきだ」と訴えた。 (鶴善行、松本紗菜子)

 流水型ダム、環境への影響どう低減

球磨川水系河川整備計画の柱は、環境への影響を最小限に抑えることを目指す支流川辺川への新たな「流水型ダム」の整備だ。旧ダム計画を白紙撤回しながら、今回計画を容認している熊本県の蒲島郁夫知事は「命と清流を守る」として環境への配慮を求めているが、実効性を確保できるかが問われている。

新ダムの特徴は、放流口に開閉式のゲートがあり、平常時は「流水型」として運用し、豪雨時はゲート操作により放流量を制御し「貯水型」としての機能を兼ね備えられる点だ。平常時はダムの下部に設けた穴から川の水を流すことになっており、魚類や土砂の移動は確保されやくなる。そのため、土砂の堆積などによる生態系や水質などへの影響は小さいとされる。

球磨川の治水策を検討する学識者懇談会委員を務める熊本大の大本照憲特任教授(河川工学)は「平常時は生態系への影響が小さく、貯水容量も大きいため安全性を確保するには効果的だが、有事の際は下流に土砂を押し流すことになる」と指摘。その上で「今後は実験を重ねた上で、治水効果と生態系維持とのバランスがとれる形にすべきだ」と話した。 (松本紗菜子)

 

 流水型ダム決定「球磨川治水本格的に」国が意義

(読売新聞2022/08/10 05:00)https://www.yomiuri.co.jp/local/kumamoto/news/20220809-OYTNT50163/

(写真)計画について記者会見で説明する宗所長(中央)ら

国土交通省が九州豪雨で氾濫した球磨川の河川整備計画を策定した9日、担当者が県庁で記者会見を開き、「遊水地や 引堤(ひきてい)などの治水対策に本格着手できる」と意義を語った。支流・川辺川への流水型ダム建設を含め、「丁寧に説明し、住民の理解を深めたい」と強調した。振興策を示すよう求める声も上がった。(内村大作)

ダム本体の工事は2027年度に着手し、35年度の完成を目指す。着工前に環境影響評価(環境アセスメント)や設計を進め、用地買収や漁業権を巡る漁協との補償交渉にも取り組む。

計画には、気候変動による降雨量の増大を踏まえ、関係者が協力して流域全体で被害を軽減させる「流域治水」の観点を盛り込んだ。会見した国交省八代河川国道事務所の宗琢万所長らは、支流や森林などにも目を向けたとする特徴を説明した。

国は計画策定を受け、球磨村や人吉市などで進める遊水地の用地取得に取り組む。球磨村神瀬地区などが対象となる宅地かさ上げは盛り土の工事に本格着手する。県も管理区間の整備計画を公表し、支流の治水対策を進めるとした。

蒲島知事は「流水型ダムが命と環境の両立が図れるか確認する仕組みを出来るだけ早くつくる」との談話を出した。

水没予定地がある五木村の岡本精二議長は「計画ができたというだけで、村も議会もダムを容認したわけではない。村づくりが先決で、国、県には今後の振興の形を早く示してほしい」と注文した。

◆反対市民団体が批判

球磨川の河川整備計画を巡り、ダム建設に反対する市民団体「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(熊本市)の中島康代表は「計画案に対する説明会はなく、多くの反対の意見も聞き入れていない。水害の被害者にも失礼だ」と批判した。

団体は5日、蒲島知事が国の計画案に「異存なし」と回答したことについて、撤回を求める抗議文を提出していた。他に5団体が賛同した。

抗議文では、整備計画の原案の段階で国、県が行った意見公募や公聴会で、約7割が建設反対の意見だったと分析。「豪雨災害を経た後でも流域の民意は圧倒的にダム反対」とした。

 

川辺川のダム整備計画策定 国交省と熊本県

(毎日新聞 2022/8/10 西部朝刊 )https://mainichi.jp/articles/20220810/ddp/041/040/008000c

国土交通省と熊本県は9日、2020年7月豪雨で氾濫した球磨川水系の河川整備計画を策定した。治水対策として、支流の川辺川に流水型ダムを建設するのが柱。今後、遊水地の整備や河川工事を含め、本格的な作業に移る。

流水型ダムは35年度に完成予定で、水路を設け、平時は水を流して増水時だけためる仕組み。環境負荷が少ないとされる。蒲島郁夫知事は「命と環境の両立が図られているか確認する仕組みをできるだけ早く立ち上げる」とコメントした。

整備計画は、今後約30年間にわたる河川整備の目標や、河川工事の場所などを明記。流水型ダムによる「緑の流域治水」を進めるとしている。県は順次、宅地かさ上げや河川整備の現地測量に向けた住民説明会を開催する予定。国交省は用地取得などを進める。

 

流水型ダム盛り込んだ河川整備計画、国と熊本県決定 球磨川水系

(熊本日日新聞  2022年8月9日 13:13)  https://kumanichi.com/articles/754010

国が流水型ダムの建設を計画している川辺川の峡谷。中央右は下流側の排水路トンネル=2月14日、相良村四浦(高見伸、小型無人機で撮影)

国土交通省九州地方整備局と熊本県は9日、2020年7月豪雨災害で氾濫した球磨川水系の河川整備計画を策定し、治水対策の柱として支流・川辺川への流水型ダム建設を盛り込んだ。河川整備計画の期間はおおむね30年。人吉市で「50年に1度」の大雨でも洪水被害が出ないようにすることを掲げた。

ダム以外に、遊水地の整備や河道掘削といった河川工事も本格的に進める。蒲島郁夫知事は「命と環境を守る『緑の流域治水』を推進し、流水型ダムは命と環境の両立が図られるか確認する仕組みを早く立ち上げる」とコメント。ダムの影響が及ぶ五木村と相良村の振興に全力で取り組む姿勢を改めて強調した。

流水型ダムは旧川辺川ダム計画と同位置の相良村四浦の峡谷に建設。高さ107・5メートル、総貯水量約1億3千万トンで、国内最大の治水専用ダムとなる。

35年に完成予定で、普段は水をためず、洪水時は下部のゲートを閉めて水をためて水位が上がれば中段のゲートを操作し放流量を調節する。河川整備計画では20年7月豪雨の実績の1・4倍の雨が降った場合、流入量を下流へ流す異常洪水時防災操作に移行する可能性があることを言及。環境への影響については「最小化を目指す」とした。

計画は人吉市の基準点で「50年に1度」の大雨を安全に流すことを目標にしており、既存の市房ダム(水上村)の再開発や複数の遊水地整備、河道掘削を進め、対応可能な流量を現状の約2倍の毎秒7600トンに引き上げるとした。

家屋への浸水を防ぐ輪中堤整備や宅地かさ上げは、球磨川中流域にある球磨村、芦北町、八代市坂本町の計6地区で実施。五木村を含む14支川でも取り組む。水田の貯留機能向上や森林整備など、流域全体で氾濫を防ぐ施策も進める。

河川整備計画は、全国に109ある1級水系のうち球磨川水系だけが未策定だった。策定を巡っては、ダムに反対する住民らが疑問を挟んでいた一方で、河川法が定める意見聴取で蒲島知事は被災地の復旧・復興を重視する県の方向と一致するとして計画案に同意。球磨川流域12市町村も変更を求める意見は出さなかった。(髙宗亮輔)

川辺川下流から見た流水型ダムの建設予定地=2021年12月、相良村四浦(小山智史)

 

流水型ダム「反対」7割 市民団体が意見公募を独自分析 球磨川治水

2022年7月20日
カテゴリー:

球磨川水系河川整備計画原案に対する公募意見を市民団体「子守唄[うた]の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」が分析したところ、流水型川辺川ダムに反対する意見が7割を占めていました。その記事を掲載します。

市民団体が公開した抗議文、申入書、説明資料は次の通りです。

学識者懇談会への抗議文

意見書集計結果に基づく整備計画再作成を求める申入書

意見書集計結果の説明資料

なお、球磨川水系河川整備計画原案に対する公募意見は次のURLで見ることができます。

◇令和4年度 第1回 球磨川水系学識者懇談会 令和 4年 6月24日開催

http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/gakusiki_kondankai/20220617.html

◇関係住民様より寄せられたご意見 
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/iken_itiran.pdf
(500近い意見が出されました。)

 

流水型ダム「反対」7割 市民団体が意見公募を独自分析 球磨川治水

(熊本日日新聞  2022年7月16日 )https://kumanichi.com/articles/728043

2020年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川の治水対策で、国土交通省が支流の川辺川で建設を目指す流水型ダムに反対する市民団体「子守唄[うた]の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」は15日、球磨川水系の河川整備計画原案に対するパブリックコメント(意見公募)について、独自の分析結果を公表した。意見の7割強が「ダム反対」だったと集計している。

国交省と県は4~5月、河川法に基づき住民から意見を公募し、ウェブサイトで内容を公表している。県民の会は国交省と県に重複して寄せられた意見を除く439件を分析した。

分析によると、ダム反対は313件(71・3%)で、賛成の21件(4・8%)を大きく上回った。残る105件はダムへの賛否に言及がないか不明だった。集計には、同じ球磨川水系の瀬戸石ダムや五木ダムへの意見も含めた。

反対意見を地域別にみると、人吉市が最多で135件。八代市が32件、相良村が21件と続き、球磨川流域で約3分の2を占めた。反対理由は、環境への悪影響の懸念が最も多く、治水効果への疑問や緊急放流の危険性の指摘も目立った。

県庁で記者会見を開いた県民の会の南由穂美さん(70)=八代市=は「流水型ダムについて、これだけ多くの反対意見がある。国や県は正面から疑問に答えてほしい」と訴えた。

独自分析について、県河川課は「パブリックコメントなどは住民の意見を聞くのが目的で、多数決の性格はない。計画を作り直す予定はない」と話した。国交省と県は1日、河川整備計画案を公表している。(臼杵大介)

球磨川水系の河川整備計画原案に対するパブリックコメントについて独自の分析結果を公表する市民団体の南由穂美さん(右)ら=15日、県庁

第1回 球磨川水系学識者懇談会(2022年6月24日)の資料と報道

2022年6月27日
カテゴリー:

第1回 球磨川水系学識者懇談会が6月24日に開かれました。

その懇談会の資料が下記の通り、九州地方整備局 八代河川国道事務所のHP掲載されました。

 

令和4年度 第1回 球磨川水系学識者懇談会 令和 4  624日開催 http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/river/gakusiki_kondankai/20220617.html

議事次第委員名簿座席表設立趣旨規約公開方法資料1資料2資料3資料4-1資料4-2資料5資料6資料7資料8資料9参考資料1参考資料2参考資料3参考資料4参考資料5

 

関係住民様より寄せられたご意見 (500近い意見が出されました。因みに私の意見は436~450ページに載っていました。)

 

この会議をZOOMで傍聴しました。今回のような会議を数回重ねるかと思っていたら、球磨川水系河川整備計画案の案の審議はこれで終わりで、河川整備計画策定に向けて一挙に進むことになりました。

多くの方が 公聴会や意見書で球磨川水系河川整備計画原案の根本的な問題点を指摘したけれども、今回示された河川整備計画案の案は、河川管理者の考えに抵触しない、無難な意見だけがほんの少し盛り込まれただけのものでした。

河川整備計画原案の公聴会及びパブリックコメントは当初から心配されていた通り、河川管理者が市民の意見を計画に反映したことにするためのセレモニーにすぎませんでした。

多く方は球磨川の河川整備のあり方を根本から変えなければと思って、力を振り絞って原案の問題点を指摘したけれども、ほとんど反映されませんでした。

本当にむなしいですね。

 

会議の大半が事務局側の説明でした。委員の発言もありましたが、有益な発言はゼロという感じでした。

懇談会の座長の小松利光・九州大名誉教授は、前から川辺川ダム推進派の人です。

2000年代に川辺川ダムの住民討論集会が熊本で開かれ、私たち住民側と国土交通省が喧々囂々の議論を行いました。その集会で小松氏はほぼ毎回、会場からダム推進の立場で発言していました。

そのような人が座長を務めているのですから、会議の方向は最初から分かっています。

 

この会議では、球磨川水系河川整備計画案だけではなく、川辺川ダム建設事業の再評価なども議題になりました。

費用対効果は、資料9 川辺川ダム建設事業の再評価 、資料8 球磨川直轄河川改修事業の再評価 に掲載されています。川辺川ダムの費用対効果のページを末尾に掲載しておきます。

旧ダム計画で支出した事業費も加えると、川辺川ダムの費用対効果が0.4であるが、流水型ダム計画単体では1.9になるという話です。

所詮は作り上げた数字でしかありませんが、過去の投資も含めた川辺川ダム事業全体の費用対効果は0.4ですから、意味のある事業であるとは思われません。

 

今回の会議の記事は次の通りです。  

川辺川流水型ダム、費用対効果1.9倍 九地整試算

(西日本新聞2022/6/25 6:00] https://www.nishinippon.co.jp/item/n/946059/

国土交通省九州地方整備局は24日、2020年7月の熊本豪雨で氾濫した熊本県の球磨川の治水策で支流川辺川に整備する流水型ダムについて、完成予定の35年度までの14年間で、投入する事業費と得られる便益の比率を示す費用対効果が1.9倍となるとの試算を公表した。旧川辺川ダム計画で執行された用地補償などを含めると、0.4倍に下がるとした。1を下回ると投資効果が低いとされるが、九地整は「試算に計上できない人的被害の軽減効果がある」と強調した。

球磨川の治水策を検討する学識者懇談会(委員長・小松利光九州大名誉教授)で九地整が提示した。九地整は、整備計画規模の洪水の「想定死者数」は、ダムがない場合は120人で、ダムがあれば1人に減らせるとの試算も説明。懇談会は、住民の命や生活を守る効果を考慮し、事業継続を了承した。(古川努)

 

川辺川流水型ダム「投資見合う効果」国試算事業継続の方針案

(読売新聞2022/06/24 15:00)  https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20220624-OYTNT50079/

2020年7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水対策を巡り、国土交通省は24日、支流・川辺川で計画される流水型ダム事業の費用対効果が1・9となり、投資に見合うとされる「1」を上回ったとの試算を公表した。従来の「川辺川ダム」計画で実施済みの整備費を含めた場合は0・4とした。国側は、人的被害の軽減効果も確認されているなどとして事業継続の対応方針案を示した。

同日、熊本市で開いた球磨川水系学識者懇談会に提示した。懇談会は事業再評価の役割を担っており、整備が妥当かどうかを判断する。同省が川辺川ダムを巡る費用対効果を示すのは2001年以来。

試算によると、流水型ダムの事業費(約2680億円)を基に算出した費用と、数十年に1度の大雨による住宅や公共施設、農作物などへの被害軽減効果とを比較した場合、費用対効果は1・9になるとした。

一方、09年に中止となった川辺川ダム計画で実施済みの整備費も加えた総事業費(約4900億円)を基にした費用対効果は「1」を下回った。同省はダム整備によって、費用対効果には含まれない想定死者数や想定孤立者の大幅な軽減効果が見込めるとして、事業継続を求めた。

 

川辺川ダム、新計画は「投資に見合う」 人的被害考慮 国交省

(毎日新聞 2022/6/24 21:200)https://mainichi.jp/articles/20220624/k00/00m/040/302000c

川辺川ダムの水没予定地。予定地にあった民家は高台や村外に移転した=熊本県五木村で2020年11月19日、吉川雄策撮影

2020年7月の九州豪雨で氾濫した球磨川(熊本県)の支流・川辺川に建設する流水型ダム計画について、国土交通省は24日、白紙になった旧ダム計画で支出した事業費も加えて試算すると費用対効果が0・4になり、投資に見合うとされる1・0を下回ると明らかにした。しかし、流水型ダム計画単体では1・9になり、国交省は人的被害の軽減なども含めると投資に見合う効果があるとした。

熊本市で国交省と県が開いた球磨川水系学識者懇談会で示された。

費用対効果は数十年に1度の豪雨を想定し、ダムによって免れる家屋や農作物の被害額を基に試算。旧ダム計画では1967年度以降、既に用地買収費など約2220億円を支出しているため、流水型ダム計画で見込まれる事業費約2680億円と合わせると費用対効果は0・4にとどまる。しかし旧ダム計画分を除くと1・9で、ダム以外の河川改修事業も合わせると3・4に上昇するとした。

また、費用対効果には含まれないものの、流水型ダムができることによって流域の孤立者数は最大約2万7000人から約4300人に、想定死者数も190人から5人に減るとした。

試算結果を踏まえ、懇談会は事業継続を認めた。小松利光委員長(九州大名誉教授)は報道陣に「過去にさかのぼると費用対効果は苦しいがベネフィット(利益)も多い」と述べた。【野呂賢治】

 

 川辺川の流水型ダムの費用対効果、1上回る 国交省が説明

(熊本日日新聞  2022年06月24日 15:20 ) https://kumanichi.com/articles/702322

国土交通省が流水型ダム事業の費用対効果を示した球磨川水系学識者懇談会=24日、熊本市中央区

国土交通省は24日、球磨川支流の川辺川に建設する流水型ダムについて、費用対効果を示す「費用便益比」は、完成予定の2035年度までの14年間で1・9となり、国の予算化の目安となる1を上回るとする分析結果を明らかにした。

20年7月の熊本豪雨で氾濫した球磨川の治水策を議論する学識者懇談会で説明した。数値化できない人的被害や交通の不便を軽減する効果を含めると、さらに費用対効果が見込まれるとして、流水型ダム建設を進める方針案を示し、懇談会も了承した。

流水型ダムの事業費約2680億円と、人吉市で「50年に1度」、八代市で「80年に1度」の大雨が降った場合に想定される住宅や公共施設、農作物などへの被害の軽減効果を比較した。河道掘削や輪中堤、宅地かさ上げなどの河川改修事業約1570億円を加えた場合の費用対効果は、3・4と示した。

ただ、旧川辺川ダム計画で実施済みの事業費を加えた場合の総事業費は約4900億円に上り、費用対効果は0・4と予算化の目安の1を下回った。

懇談会では、球磨川水系の河川整備計画原案に対する公聴会とパブリックコメント(意見公募)で寄せられた延べ488件の意見を踏まえ、アユの生息環境の確保や森林再生の取り組みなど34点を計画に反映させたと説明した。

国交省は、学識者懇談会の議論を踏まえ、早ければ6月中にも河川整備計画案を公表する。(元村彩)

 

資料9 川辺川ダム建設事業の再評価

↑ このページの先頭へ戻る