2008年6月5日(ほか) 熊本県知事 蒲島郁夫殿 「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を要請します
2008年6月5日
熊本県知事 蒲島郁夫殿
「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を要請します。
貴殿が県の財政難を理由に「荒瀬ダムの撤去凍結」を発表されたと聞きました。
熊本県が荒瀬ダムの水利権更新期に合わせてその撤去を決めたとき、私たちはそれを英断として高く評価していました。私たちは、北海道のダム、とくに現在北海道開発局が計画している天塩川水系のサンルダム建設に疑問をもち、ダムを建設すべきでないと考えています。いくつかの理由がありますが、とくに重要資源であり、減少が著しいサクラマス資源に大きな悪影響を与えると考えているからです。海と川を行き来する魚たちの保全は、私たちが今後の世代に残すべき重要な課題です。
球磨川の治水、アユ等の水産資源をはじめとして自然環境の回復・保全を考えたとき、「荒瀬ダムの撤去凍結」は球磨川流域住民・熊本県民の思いを踏みにじるものと考えられます。それは熊本県民だけでなく、今後の日本の河川環境の修復、再生にとって極めて残念なことです。私たちは球磨川流域住民・熊本県住民が貴殿に提出した下記の「抗議文」を強く支持し、「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を求めます。
要請者名 北海道自然保護協会会長 佐藤 謙
連絡先 札幌市中央区北3条西11丁目 加森ビル6F、電話&FAX:011-251-5465
以下、中島さんたちの抗議文が付く
2008年6月7日
熊本県知事 蒲島郁夫殿
「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を求める要請書
私たちは、利根川江戸川流域ネットワークと申します。利根川、江戸川及びその流域の自然環境を守り、かつてのようにアユなどの生物たちが自由に海と川を行き来できる環境の復元を実現するために活動しています。
さて、熊本県が荒瀬ダムの水利権更新期に合わせてその撤去を決めたとき、私たちはそれを勇気ある英断として高く評価していました。しかし、先日貴職は県の財政難を理由に「荒瀬ダムの撤去凍結」を発表されました。その知らせを聞いて、正直がっかりしました。
球磨川の治水、アユ等の水産資源をはじめとして自然環境の回復・保全を考えたとき、今回の「荒瀬ダムの撤去凍結」は球磨川流域住民・熊本県民の思いと、私たちのように、球磨川の動向について高い関心を持つ全国の市民団体の思いを踏みにじるものです。私たちは球磨川流域住民・熊本県住民が貴職に提出した下記の「抗議文」を支持するとともに、「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を強く求めます。
利根川江戸川流域ネットワーク
代表 佐野郷美
連絡先:〒272-0832 千葉県市川市曽谷7-24-3
TEL&FAX:047-373-3219
E-mail:sanochansatochan@yahoo.co.jp
以下、中島さんたちの抗議文が付く
2008年6月7日
熊本県知事 蒲島郁夫殿
「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を求める要請書
私たちは、利根川江戸川流域ネットワークと申します。利根川、江戸川及びその流域の自然環境を守り、かつてのようにアユなどの生物たちが自由に海と川を行き来できる環境の復元を実現するために活動しています。
さて、熊本県が荒瀬ダムの水利権更新期に合わせてその撤去を決めたとき、私たちはそれを勇気ある英断として高く評価していました。しかし、先日貴職は県の財政難を理由に「荒瀬ダムの撤去凍結」を発表されました。その知らせを聞いて、正直がっかりしました。
球磨川の治水、アユ等の水産資源をはじめとして自然環境の回復・保全を考えたとき、今回の「荒瀬ダムの撤去凍結」は球磨川流域住民・熊本県民の思いと、私たちのように、球磨川の動向について高い関心を持つ全国の市民団体の思いを踏みにじるものです。私たちは球磨川流域住民・熊本県住民が貴職に提出した下記の「抗議文」を支持するとともに、「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を強く求めます。
利根川江戸川流域ネットワーク
代表 佐野郷美
連絡先:〒272-0832 千葉県市川市曽谷7-24-3
TEL&FAX:047-373-3219
E-mail:sanochansatochan@yahoo.co.jp
以下、中島さんたちの抗議文が付く
2008年6月7日
熊本県知事 浦島郁夫様
渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会
代表世話人 高松健比古
〒321-4315 栃木県真岡市道祖土25
TEL/FAX:0285-82-3078
「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を要請します
熊本県人吉市の知人から、「貴殿が県の財政難から、荒瀬ダムの撤去方針を凍結すると発表した」と聞きました。
私たちはこれまで、熊本県が荒瀬ダムの利水権更新期にあわせて、そのダム撤去を決めた英断に、日本の環境保全への動きに明るい未来を感じていました。
この度の「荒瀬ダムの撤去凍結」は、球磨川の治水、アユ等の水産資源、自然環境の回復・保全を考える球磨川流域住民、熊本県民の思いと、私たちが評価してきた熊本県への期待を、決定的に踏みにじるものです。
私たちは球磨川流域住民・熊本県民が、貴殿に提出した下記の「抗議文」を強く支持し、「荒瀬ダムの撤回凍結」の撤回を求めます。
以下、中島さんたちの抗議文が付く
2008年6月9日
熊本県知事 蒲島郁夫様
STOP八ッ場ダム・市民ネット(代表 鈴木郁子)
「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を求める抗議書
海と山とを備え持つ山紫水明の地・熊本県は関東地方のとりわけ、海なし県群馬に住む者にとりましては、憧れの地に他なりません。
そして、今もなお、漱石の描いた小説『草枕』的な自然界につつまれて、「智」と「情」とが調和して流れ続けている土地柄と信じてやまなかったものでした。
が、この程、就任早々の蒲島県知事が、「荒瀬ダムの撤去凍結」を発表されたと聞くに及び、何とも残念でなりません。
ダム問題におきましても、「荒瀬ダムの撤去」問題は、全国に先駆けた先駆的な指針として、その先見性に憧れつつ、遠隔の地から、高く評価しておりました。
長年にわたって関係者による論議を積み上げてきた経過があると伺っております。その地域住民の意思をくつがえす暴挙につながりかねません。
環境立県にふさわしい、知事の舵取りを切にお願いいたします。
「ダムがなくなり、清流が戻ると信じてたのに……」と嘆かれていると伝え聞く、県民の生の声に耳を傾けてくださいませ。
単に財政難が理由なら、むしろ、もっとその約六倍もの多額の建設費を要する川辺川ダム建設こそ、早急に中止すべきではありませんか。
“西の川辺川、東の八ッ場”と称されておりますが、八ッ場ダム問題に取り組む会として、球磨川流域住民・熊本県住民が知事に提出した6月5日付の「抗議文」を支持し、ここに抗議いたします。
直ちに、「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を求めます。
(連絡先)〒370―3533 高崎市保渡田町1006の1
TEL:027-373-5672
熊本県知事 蒲島郁夫殿
荒瀬ダム撤去方針凍結に関する意見
前略:
- 県知事として苦渋の決断だったと拝察します。
- 私は、環境保全と税金ムダ使いに関する問題に草の根で取り組んでいる一人の国民です。
熊本県と直接のゆかりはありませんが、荒瀬ダムに関心を持つ複数の知人からの呼びかけで関心を持ちました。今までの知識が全くありませんので、出来る範囲で勉強した上で(インターネットには想像以上に情報や意見がたくさん寄せられていました)、以下私見を申し上げます。 - 公平に見て、この種の議論には常に賛否両論があり、双方ともメリットとデメリットがあってそれぞれについてそれなりの根拠が存在します。特に本件は、
- 既存のダムを撤去すると云う通常(ダム新設反対)とは逆のケース、
- 自然エネルギー重視と言う時代の要請(九電の新たな対応を含めて)、
と云う要素もありますので、知事として色々な視点からの政治的配慮が必要だったことは理解できます。
- その上で、率直な私見を申し上げます。
- 地元村民との事前の率直な意見交換は必要だったと思います。恐らく反対されるこ
とは予想できますが、だからこそ知事としての信念に基づく説得努力が重要だったと思います。そういう場があれば、失礼ですが、新任知事としてご存じなかった事実や新たな判断材料があったかもしれません。それで信念が変われば素直に「君子豹変」して頂ければ良いことですし、それでも信念が変わらなければ、その時点で知事の責任としての信念を主張して頂く選択肢はあったはずです。今からでも遅くありません、「説明責任」は知事としての義務だと思います。 - 撤去に伴う100億円前後の費用負担が本当に問題だと云うご判断でしたら、長い間
本件を研究してこられた方々の、多くの視点からの忌憚ないご意見を具体的に・虚心に聞いて頂いた上で複眼的な判断をして頂ければ、私のような門外漢が賢しげなコメントをするまでもないと思います。
- 地元村民との事前の率直な意見交換は必要だったと思います。恐らく反対されるこ
- 上記のような簡単な配慮以外の政治的判断が必要だったのかも知れません。
- 「川辺川」を止めるための助走:だとすれば、それは優れて高度な政治的判断ですが、素直に考えてやはりそれぞれ独立の事業だと思います。双方とも止める(又は双方とも活かす!)ことは政治的には充分成り立ちます。両方に共通するとすれば、やはりダムは要らないことだと思います。
- 「国交省」からの圧力:本件が県営ダムだとしても、ダムが途中で撤去されるのは日本で始めてのケースだそうですから(現在、埼玉県長瀞の近くの「玉淀ダム」でも地元から「撤去すべき」と云う声が強く上がっているケースはあります)、多くのダムを反対意見の中で推進している国交省が気にすることは考えられます。特に国交省(だけでなく中央省庁は多くの場面で)が、かかる場合には本件と関係ない補助金や交付金をからめて「江戸の敵を熊本で討つ」ことが常套手段であることを私たちは知っています。多くの知事が直面するジレンマだそうです。岩国市のように公知になった事実もあります。
- この点は重要です。ご存知のように、現在の国交省(他)は、心ある国民・学者・実務
家・政治家・マスコミ・経済界からの税金ムダ使いへの批判に対して、科学的に説得力ある説明ができないケースが非常に多くなってきているので、必死になって・恥も外聞もなく・髪を振り乱して、天下りを含む利権構造温存のために、「権力」を唯一の拠り所として狂奔しているケースがなんと多いことでしょうか。しかしこのような構造はもうそろそろ終焉に近付いていると信じています。どうぞ、正しい方向への時代の大きな流れに相乗りして頂きたいと切望します。この心配が本事業に関しては杞憂であることを祈ります。
草々
2008年6月9日 〒359-0041 埼玉県所沢市4-6-9 河登一郎
TEL/FAX:04-2942-9220
メール:green-ik163@tbj.t-com.ne.jp
熊本県知事 蒲島郁夫様
平成20年6月10日
私たちは、新潟県信濃川水系清津川流域の住民です。
清津川にはかつて国交省直轄の清津川ダム計画がありましたが、湯沢町の3集落と国立公園に指定されている貴重なブナ林が水没すること、下流の名勝地清津峡に及ぶ影響など地元では反対の声があがり、環境重視に大きくシフトした時勢の中、2002年中止答申が出されました。その頃より、貴県の荒瀬ダム撤去の取り組みには注目し、「他県では撤去されるダムもある時代に、貴重な自然を損なう新たなダム建設は時代に逆行している」と思っていました。
しかしこの度、知事に選ばれた貴殿が、その荒瀬ダムの撤去凍結を発表されたとお聞きし、たいへん驚いております。日本で一番先にダム撤去という先進的な選択をされたはずの熊本県がどうしたのでしょう。
清津川では、国のダム計画中止後、上流で取水し流域を変更して発電をする東京電力湯沢発電所の期間更新をめぐり、住民が引き続き運動をしています。ダム反対運動を通じ、少しでも誇れる川を次の世代に残したいという環境意識が高まり、発電と河川環境のバランスを企業に一方的に決めさせるのでなく、流域の声を反映して決めたいと願っています。県営とはいえ、その意味でも荒瀬ダム撤去は、僅かな発電と河川環境を進歩的にジャッジした例と羨ましく見ておりました。
発電取水による河川環境悪化で長年苦しんでいる流域の住民として、どうか、貴殿が荒瀬ダムの撤去凍結を再考し、流域に住む者の声を反映した英断を下されることを心よりお願い申し上げます。
〒949-8433
新潟県十日町市小出2137-3
ふるさとの清津川を守る会事務局
藤ノ木信子
2008年6月11日
熊本県知事 蒲島郁夫様
荒瀬ダム撤去の凍結撤回を求める要望書
徳山ダム建設中止を求める会 (代表:上田武夫)
遠く岐阜県の地から球磨川の未来を心配しています。
「荒瀬ダム撤去凍結」の報は俄には信じられないほどの驚愕を覚えました。
ダムなどの河川横断構造物が河川に大きな環境負荷を与えることは、河川局も認めている自明のことです。将来にわたる大きな環境負荷を与えても、なお作らねばならないようなものか、全国で厳しい議論があります。
老朽化した荒瀬ダムの撤去方針は、地元住民の願いのであり、球磨川流域住民はその実現を望んでいたはずです。
貴方の突然の「撤去凍結」の理由は(熊本から新聞報道などを送って頂いていても)全く理解できません。「財政問題」を挙げられているようですが、荒瀬ダムの実害(浸水被害・振動被害・川と海の水産資源への被害・・・etc)を超える「利益」が存在すると、どういう試算をもっておっしゃっておられるのですか? それは十分に検証されたのですか?
「凍結しただけで撤去しないと言っているわけではない」のでしょうか?しかし撤去の遅れは、流域住民にとっては非常な苦しみ(経済的にも精神的にも)を与えます。それは考慮されたのですか?
荒瀬ダム撤去方針に至る経緯を十分にお聴きになった様子もない、地元から「撤去凍結」の強い要望があったわけでもない・・・とにかく貴方はこの決定において、説明責任を果たされていません。
貴方は知事選において「県民総参加」と公約に掲げました。こうした地元無視・説明抜きの「突然のトップダウン決定」は、その手法において公約違反と指弾されても仕方がないのではないでしょうか?
「夢」を実現したいのならば、まずは県民の信頼を得ることです。就任早々にこうした県民の信頼を喪う決定の仕方、これでは「夢の実現」は不可能になります。目を覚まして下さい。
何が「もったいない」といって、川と海を痛めつけるほど「もったいない」ことはありません。「荒瀬ダム撤去の凍結」撤回を強く求めます。
以上
連絡先:徳山ダム建設中止を求める会・事務局
近藤ゆり子 〒503-0875 岐阜県大垣市田町1-20-1
TEL/FAX 0584-78-4119
「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回の要請書
2008年6月11日
熊本県知事 蒲島郁夫殿
熊本県の環境保護団体から聞いたところによると、貴殿が県の財政難を理由に「荒瀬ダムの撤去凍結」を発表されたと言うことです。
私たちは、熊本県が荒瀬ダムの水利権更新期に合わせてその撤去を決めたとき、その決断を高く評価していました。ダムの弊害は熊本県の問題だけではなくここ長野県においても同様なことが起きています。熊本県が全国に先駆けて「荒瀬ダムの撤去」を住民合意の下で決めたことはきわめて意義のあることです。
また球磨川の治水、アユ等の水産資源をはじめとして川の連続性を復活させるための環境の回復・保全を考えたとき、「荒瀬ダムの撤去凍結」は球磨川流域住民・熊本県民の思いを、そして私たちが持っている熊本県の先見性への高い評価と全国からの期待を大きく踏みにじるものです。
私たちは球磨川流域住民・熊本県住民が貴殿に提出した下記の「抗議文」を強く支持し、「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を求めます。
渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える 代表 田口康夫
連絡先:長野県松本市本庄2-1-18
電話・Fax:0263-32-1511
以下、中島さんたちの抗議文が付く
2008年6月10日
熊本県知事 蒲島郁夫殿
「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を要請します。
熊本県の友人から、貴殿が県の財政難を理由に「荒瀬ダムの撤去凍結」を発表されたと聞き驚くと同時に残念でなりません。水利権更新期に合わせて貴県が荒瀬ダムのその撤去を決めたとき、私たちは、その英断を高く評価していました。自然豊かで、アユ等の水産資源に恵まれた球磨川を次世代に継承することは私たちの世代の義務であります。「荒瀬ダムの撤去凍結」は球磨川流域住民・熊本県民の思いを、さらに全国民の熊本県への共感と期待を裏切る行為であります。
私たちは球磨川流域住民・熊本県住民が貴殿に提出した下記の「抗議文」を強く支持し、「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を求めます。
要請者名 霞ヶ浦導水事業を考える県民会議共同代表 柏村 忠志・浜田 篤信
連絡先:〒300-0815 茨城県土浦市中高津1-3-9
以下、中島さんたちの抗議文が付く
荒瀬ダム撤去凍結に関する意見書
2008年6月12日
熊本県知事 蒲島郁夫様
この度の知事の「荒瀬ダム撤去凍結」を報道で知り、私たち「水と緑の会」はこれに強く抗議するものです。
地元市民をはじめ、川問題に関心を持つ多くの人たちが、日本で初めてのダム撤去としてその英断を高く評価していたにもかかわらず、納得のいく説明もないまま突然の撤去凍結が表明されること自体ほんとうに信じられません。
ご当地のいくつもの市民団体も指摘していますが、財政というものは環境、漁業、観光など地域の経済全体をみて考えられるべきです。
そして何よりもこのダム撤去が、治水、利水の面でさまざまな紆余曲折はあったものの、地域住民らの議論に基づいて形成されてきた事実を根底からくつがえすものです。
坂本村当時の村議会が全員一致でダム撤去をきめていたことも報じられています。そのような経緯、現在の地元住民の意向、そしてダム問題が今後どうあるべきかも視野に入れて荒瀬ダム撤去凍結を再考されるよう強く要望します。
水と緑の会 会長 常田長時
連絡先:〒390-0864 長野県松本市宮渕本村4-15
TEL、Fax:0263-35-5781
2008年6月13日
熊本県知事 蒲島郁夫殿
私たちは茨城県取手市で活動する「利根川の水と自然を守る取手連絡会」という自然保護団体です。
先日「水源開発問題全国連絡会」より貴殿が県の財政難を理由に「荒瀬ダムの撤去凍結」を発表されたと知らされました。
先に熊本県が荒瀬ダムの撤去を決めた時、住民に目を向けた英断だと高く評価しました。また遠く茨城県で活動する私たちにとって希望となる英断でした。
今回の「荒瀬ダムの撤去凍結」は、球磨川の治水、自然環境の回復、保全を踏みにじるものだと考えます。地球規模で自然環境保全を考えなくてはならない今、「荒瀬ダム撤去凍結」は時代に逆行するものと考えます。
私たちは『子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会』、『清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会』、『球磨川大水害体験者の会』、『川辺川利水原告団』が6月5日に貴殿に提出した「抗議文」を強く支持し、「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を求めます。
利根川の水と自然を守る取手連絡会 共同代表 近藤欣子
連絡先 茨城県取手市小文間 5160-52
2008年6月14日
熊本県知事 蒲島郁夫様
荒瀬ダム撤去凍結に対する抗議
私は、栃木県の住民です。
新聞報道によれば、6月4日、貴職は、荒瀬ダム撤去の方針を凍結し、事業継続の方向で再検討することを表明されました。このことについて、私は、次の理由により抗議いたします。同時に凍結方針の撤回を求めます。
他県の住民が熊本県の政治に干渉しないでほしいというお気持ちかもしれませんが、熊本県の自然環境は熊本県民だけの物ではありません(まして知事の所有物でもありません。)。また、熊本県の河川行政に国税が使われている以上、他県民にも発言権はあると私は考えています。
- 凍結方針は、民意を無視しています。
熊本県のホームページの「荒瀬ダム撤去について」のページに決定の理由として、「地元の意見・要望を考慮する必要があった。」と書かれていることからも明らかなように、荒瀬ダム撤去は多くの県民の民意であったと思います。民意を無視して行政を執行するのが貴職の方針なのであれば、それを公約に掲げるて選挙を戦うのが筋です。「全県民参加」を公約に掲げ、政治学者でもある貴職がなぜ民意を無視されるのか理解できません。 - 損得勘定が理解できません。撤去するより、修理して存続させた方が得だというのが凍結の一つの理由とのことですが、撤去費用100億円のうち、既に10億円を使っているので、今後の撤去費用は90億円ですが、そこには代替橋の建設費20億円と井戸枯れ対策の費用8億円も含まれています。これらは必ず必要という経費ではありませんから、これらの費用を差し引けば、撤去費用は最少で62億円ということになります。他方、ダム存続の場合は、約60億円の設備入れ替え費用ですむとのことでしたが、知事会見後の県企業局の説明では「管理・環境対策費は存続の場合も同程度かかる」と修正されたので、管理・環境対策費18億円を加えると、存続の場合の費用は78億円になります。存続の方が安上がりという説明は成り立たないと思います。
- 橋が必要とは思えません。八代市長は橋が必要だというお考えのようですが、橋の費用対効果は検討されたのでしょうか。荒瀬ダム付近の球磨川には橋が6本もかかっているそうです。迂回しても住民はさほど困らないと思われます。橋が絶対に必要と考える住民は何人いるのでしょうか。
- ダム撤去の費用とダム存続の費用と利益のみを判断要素とする方法は不当です。ダム撤去により得られる利益が判断要素から抜けています。貴職は、売電利益が年間1億円見込めると言いますが、管理・環境対策費が経費として考慮されているのか疑問ですし、ダムが環境に与える悪影響は外部不経済として切り捨てておられるのではないでしょうか。発電事業が正当に漁業補償や水害補償、低周波による損失補償をしていないから1億円の利益が見込めるのであって、環境コストまで考慮すれば、発電事業が黒字になることはありません。貴職は、ダム撤去により得られるアユ漁や八代海での漁業の増収や観光収入をどう評価されているのでしょうか。「環境立県」を公約とする貴職は、ダム撤去による環境への影響と経済的便益をどう評価するのかを県民に示す責任があると思います。
- ダム存続の経費にダム撤去の費用が含まれていないのは不当です。一度補修すれば永遠に使えるという前提での費用計算は間違っています。
- 財政難はダム撤去凍結の理由になりません。「川辺川ダムの負担金735億円を払う余裕など熊本県にはない」と言わずに、62億円の荒瀬ダム撤去
費用が払えないと言うのは、ご都合主義と批判されても仕方がないでしょう。 - 地球温暖化対策はダム存続の理由になりません。熊本県の電力需要の0.6%を賄うために荒瀬ダムによる水力発電が必要とのことですが、将来、人口が減るので電力需要も減りますから、無理して水力発電する必要はありません。電機メーカーが白熱球の生産をやめたことによっても自動的に電力需要は落ちるはずです。荒瀬ダムによる水力発電がなくても困らないはずです。
- 貴職は、水力発電はすべてクリーンエネルギーだと誤解されていると思います。
川をダムで全面的にせき止めて行う水力発電は環境に優しくないので、クリーンエネルギーとは呼びません。川を完全にせき止めない小水力発電ならクリーンエネルギーと呼べるようです。ダム湖にはヘドロがたまり、そこからCO2よりも温室効果の高いメタンガスが発生します。貴職は、ダム湖から発生するメタンガスの影響をどのように評価されているのでしょうか。 - 環境面に配慮したダム運用は「売電利益1億円」と矛盾します。貴職は、当初売電利益が1億円見込めると発言されましたが、それは発電を優先してダムを運用するという前提での話だったはずです。貴職は、「これまで発電の営利優先だった。開ける期間を増やすなどして、ダム湖や球磨川、八代海などの環境改善にも配慮する」と八代市長に約束したそうですが、下流の河川環境に配慮して放流量を増やしたりすれば、発電量が減るはずですから、1億円の利益は出せず、78億円の設備入れ替え費用と管理・環境対策費は支払えないはずです。
- 「安定した生態系を壊す」は撤去凍結の理由になりません。貴職は、荒瀬ダム撤去が安定した生態系を壊すことも凍結の理由にされているようですが、川辺川ダムについて「何億年も続いた川辺川の生態系を壊すべきではない」とおっしゃらない以上、ご都合主義の理由と批判されても仕方がないと思います。
2008年6月9日
熊本県知事 蒲島郁夫殿
八ッ場あしたの会
代表世話人 野田知佑、大熊孝、加藤登紀子ほか
〒371-0844 群馬県前橋市古市町419-23
TEL:027-253-6706
「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を要請します。
このたび、蒲島知事が荒瀬ダムの撤去凍結を発表されたと聞きました。熊本県が荒瀬ダムの撤去を決めたとのニュースに接したとき、私たちは全国に先駆けた英断として、大いに期待しました。わが国には現在、3000近くのダムがありますが、ダムの歴史はまだ百年足らず、殆どのダムが戦後建設されたものです。コンクリートのダムには寿命があり、今後のわが国にとって重い負の遺産となることを強く危惧するものです。
球磨川は豊かな水産資源を生み出すばかりでなく、全国に名高い清流として、熊本県民のみならず、日本人にとってかけがえのない大切な川です。首都圏からも多くの観光客が球磨川を訪れており、球磨川の自然環境が改善され、流域の住民によって今後、球磨川の自然環境がさらに保全されてゆくことを願っています。
熊本県民が知事に提出した「抗議文」の意をお汲み取りいただき、流域住民の民意を踏みにじることなく、「荒瀬ダムの撤去凍結」の撤回を決断されることを強く希望します。