八ッ場ダム根拠 洪水量 過大値採用 建設に道(東京新聞朝刊一面 2013年1月6日)
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八ッ場ダム根拠 洪水量 過大値採用 建設に道 47~49年会議資料 少量推定 突然消え(東京新聞朝刊一面 2013年1月6日) http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013010602000084.html
(写真)カスリーン台風洪水後の治水対策が議論された会議の議事録
一九四七年九月のカスリーン台風洪水をめぐり、利根川の治水基準点・八斗島(やったじま)(群馬県伊勢崎市)を通った最大流量を決める検証で、より大きく推計された値が採用されていたことが、当時の建設省(現国土交通省)の内部資料で分かった・
最大流量の毎秒一万七千立方メートルは、八ッ場(やんば)ダム(長野原町)など上流ダム群の建設の根拠になってきたが、議論が尽くされないまま決められていた。 (小倉貞俊)
資料は「利根川改修計画資料」。流域に深刻な被害をもたらしたカスリーン台風を受け、新たな治水対策をつくる会議「建設省治水調査会利根川委員会」などの議事録(四七年十一月~四九年二月)が含まれている。
岡本芳美(よしはる)・元新潟大教授(河川工学)が七三年、同省OBの技師から寄託された。
八斗島は、神流(かんな)川が注ぎ込む烏(からす)川が利根川に合流した下流の地点。洪水時に八斗島で観測できなかったため、最大流量は三つの川の最寄りの観測三地点での実測値が、九月十五日午後八時に八斗島に到達すると仮定して単純合計した。
資料によると、利根川委員会の小委員会は第四回まで建設省や委員が示した「一万五千立方メートル」で議論が進んでいたものの、第六回で突然、同省土木研究所が「一万七千立方メートル」を提示した。
八斗島から利根川で五・七キロ上流の上福島の実測値について河道の深さを多めに見積もるなどしていたためだった。
しかし第七回では、複数の委員から「八斗島の合流点までに(河道でため込まれた流量は)千立方メートルは減るはずだ」など疑問が出て、一万六千立方メートルとの両案併記でまとまった。
ところが最大流量を決める四九年二月の利根川委員会では一万七千立方メートルのみが報告され、正式に決定。治水対策として上流部で造るダム群で三千立方メートルをカットし、残る一万四千立方メートルは下流の河道で流す方針となった。
岡本氏は「私の計算では一万五千よりもっと少ない。国は当時ダム建設を推進していた。ダムを造るため治水名目をつくりだし、恣意(しい)的に最大流量を増やしたのではないか」と話している。
国交省は現在、一万七千立方メートルを基に同台風並みの雨が降った場合、最大流量は二万一千百立方メートルと想定し、八ッ場ダム計画を進めている。
この差は同台風時に上流域で氾濫した分と説明しているが、専門家から「氾濫分はねつ造の疑いがあり、過大な数値だ」との批判が出ていた。
[…] おける実績最大洪水流量が15000㎥/sであったことは当時の建設省資料(本年1月6日及び10日東京新聞掲載)からも、「治水調査会利根川小委員会議事録」からも明らか。ところが、今回、 […]