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消えたダム特需、設楽ダムで潤わぬ地元(朝日新聞 2013年10月9日)

2013年10月9日
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設楽ダム予定地はダム関連工事の仕事が地元に落ちないため、地域の衰退が加速しています。
消えたダム特需、設楽ダムで潤わぬ地元(朝日新聞 2013年10月9日) http://www.asahi.com/articles/CMTW1310092400001.html
(写真)水没する地域の移転代替地は、町中心部などで整備が進む=3日午後1時5分、愛知県設楽町
写真・図版
愛知県の東三河山間部の設楽町で、2009年から国の設楽ダムの関連工事が本格化している。建設反対だった地元を説き伏せたのが、地域振興策の拡充だったが、地域の衰退は加速している。「ダムインパクト」はどこへ消えたのか。
国道257号沿いで役場に連なる中心商店街を、ダンプカーが地響きをたてて通り過ぎる。
人通りはほとんどない。経営者が姿を消したバイク店には、ほこりまみれのバイクや自転車のそばに、1994年5月のカレンダーがかかったままだ。
15年前の商工会名簿で、廃業した店に赤線を引くと、近所の58店のうち19店もあった。「ダム特需が、どこにある」。電器店を営む松尾義吉さん(80)は、あきらめ顔だ。
2070億円の本体工事は本格化していないが、県などが約束した別枠の総額903億円の地域整備事業が一斉に動いている。
国道473号のトンネル、集団移転地、町立図書館、子どもセンターなどで、6億円前後しかなかった町内での県発注工事が、13年度は33億円に膨らんだ。財政支援を受けた町発注工事も8300万円から3億9千万円に増えた。
町は、民主党政権誕生の7カ月前の09年2月、駆け込みで建設に同意。70年代には町内の有権者の9割が反対署名をするほどだったが、沈静化させたのは、インフラ整備や工事に伴う特需への期待だった。反対同盟の幹部だった元町議(80)は「どうしても造るなら、『条件を整えてもらおう』となった」と振り返る。
約50年前、隣接する佐久間ダム(静岡県浜松市、愛知県豊根村)の工事には多くの町民も従事。山里は作業員であふれ、歓楽街までできた歴史を肌で知る。
だが、60年に1万5千人だった設楽町の人口は、5600人。この約3年で400人減り、移転対象の124戸のうち4割は町外に転居してしまった。
15日告示の町長選でも、過疎の町の立て直しが焦点だ。「まだ本体工事前。これからだ」(横山光明町長)との見方もあるが、大型工事を受注するための技術力や資本力を持つ業者は、東三河地域を見渡しても多くない。
県が18億円で発注した国道トンネル工事は鹿島など3社の共同企業体が受け、下請けに42社が入ったが、7社ある町内業者のうち、入ったのは1社だけだった。
近年の公共事業削減で、90年代に約130社あった東三建設業協会と新城建設業協会の加盟社は72社に減った。ダム後の受注見通しが立たないため、雇用や設備の増強にも慎重だ。
新城建設業協会の伊藤誠理事長も「カネが逃げても、(業者の)身の丈にあった仕事をとるしかない」と話す。
町外からは100人を超す作業員が出入りしているというが、通勤組が多く、元旅館が1軒借り上げられた程度。プレハブ事務所の備品もリースが中心だ。
国土交通省は年度内にも住宅移転の補償を終える。山林を含め200億円を超す用地補償費を支払ったが、新居の住宅需要も大手業者の攻勢にさらされている。清崎地区の集団移転先の11戸のうち、町内業者が請け負ったのは3戸だけだ。
建具店を営む金田典之さん(60)が受けたダム関連の仕事は1件、17万円。妻千里さん(64)は「ダムに期待していた部分もあったけど、ふたを開けるとまったくない」と話す。(編集委員・伊藤智章、安田琢典、松永佳伸)
《設楽ダム》
総貯水量9800万トンの治水、利水ダム。旧建設省が1973年に計画を発表、建設費約2070億円。このうち、約720億円を県が負担。周辺の道路事業など地域整備事業に約900億円を投じ、このうち県は約670億円を負担する。
民主党政権が再検証を指示し、国土交通省が13年2月、「コストが最も有利」などとする答申素案をまとめた。愛知県の大村秀章知事は「議論が不十分」などとして態度保留中。水需要の見通しなどが過大で、県が負担金を払うのは違法だとする住民訴訟は最高裁で審理されている。

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