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事務局からのお知らせ

国土交通省の国土審議会 水資源開発分科会 (3月6日)の議事録

2018年5月2日
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今年3月6日に国土交通省の国土審議会水資源開発分科会が開かれました。その議事録が2月遅れで国土交通省のHPに掲載されましたので、参考までにお知らせします。

国土交通省 国土審議会 水資源開発分科会 平成30年3月6日

議事録  http://www.mlit.go.jp/common/001233295.pdf

配布資料 http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/water02_sg_000078.html

利根川・荒川・豊川・木曽川・淀川・吉野川・筑後川の7指定水系については水資源開発促進法により、水需給の面でダム等の水源開発事業が必要であることを示す水資源開発基本計画(フルプラン)が策定されています。利水面でのダム等水源開発事業の上位計画になります。

これらの指定水系では、八ッ場ダム、思川開発、霞ケ浦導水事業、設楽ダム、川上ダム、天ヶ瀬ダム再開発、小石原川ダムといった水資源開発事業が進められ、木曽川水系連絡導水路が計画されています。

しかし、水需要が減少の一途をたどり、水余りが一層進行していく時代において水需給計画で新規のダム等水源開発事業を位置づけることが困難になってきました。

そこで、国土交通省、水資源機構はこれらの事業を何としても推進するため、「リスク管理型の水の安定供給」が必要であるなどの新たな理由をつけて、これらの事業をフルプランに位置付けることを考えました

今回の水資源開発分科会はこのフルプランの延命策を審議するものでした。

この議事録を読むと、国土交通省が水需給計画ではなく、「リスク管理型の水の安定供給」を前面に出して、フルプランを改定していこうとしていることが分かります。

ほとんどが国土交通省寄りの委員である委員会では注目すべき発言があまりありませんが、「それでも水需給計画が必要ではないのか」という意見が見られます。

しかし、水余りに顕著になってきている状況において水需給計画で現在事業中・計画中の水源開発事業を位置づけるのは難しく、本来は役目が終わったフルプランを廃止すべきです。

なお、各指定水系の現行フルプランの水需給計画は2015年度までであって(吉野川は2010年度まで)、とっくに期限切れになっています。

法律に基づいて計画を策定し、その計画に沿って事業を進めるのが行政の責務であるにもかかわらず、国土交通省が法律を軽視した行為を公然と行い、フルプランを長期間、期限切れのままにし、上位計画の裏付けなしで八ッ場ダム等の事業を推進しているのは由々しき問題です。

3月6日の国土審議会水資源開発分科会の議事録より

【岡積水資源計画課長】
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最初のページは、先ほど説明した、昨年5月に頂きました答申の概要です。この答申を
具体的に計画に落とし込んでいくという作業をこれからやっていかなければいけないので、
事務局の中で考え、具体的に、答申で頂いた内容を現在のフルプランの枠組みに沿って落
とし込んでいくという作業に入るに当たって、どういった視点でどういった情報をもとに
どういった作業をした上で落とし込んでいくかということを、具体的な中身で書いていま
す。個々の中身に当たって、個別の水系ごとにこれから本格的に議論には入りますけれど
も、まず分科会の委員の皆様方に答申の方向性として適切であるかどうか、こういった点
はより掘り下げていくべきじゃないか、そういった視点で御意見を頂ければという趣旨で
す。
最初に、水供給を巡るリスクに対応するための計画という答申の項目に沿って書き込ん
でいます。
これを実現するためには、各水系で想定されるリスク・影響の把握が最初に必要ではな
いかと考えています。ここで想定されるリスクはどんなものがあるか、それから、どの程
度の影響があるかということを、まず全体をしっかり把握する必要があるということで、
各水系ごとに検討するに当たって、大規模地震としてどういうものが想定されるか。南海
トラフ地震とか首都圏直下地震とか、そういった情報を可能な範囲で集めて、それでどれ
ぐらいの影響が出るか。
さらに、 「施設老朽化による大規模事故」がどういうものが想定されるか。水に関係する
インフラはいろいろな施設がありますが、それについても可能な限り把握をして、現在ど
れだけの漏水率があるか、それから、経年的な変化がどれぐらいあるか、これらを把握し
た上で、老朽化による事故発生の状況と照らし合わせながら、老朽化による影響がどうい
うものがあるか。
それから、 「危機的な渇水」ということで、最近、渇水の発生状況はどうであるか。それ
から、取水・給水制限、被害の規模等の状況もしっかり把握した上で、さらには今後の気
候変動のリスクもどういうものが想定されるかというのを、現在の科学の状況のもとで想
定される情報を可能な限り集めるということを、まず行う必要があるということを考えて
います。
その次の「各水系における水供給の影響が大きいリスクに対して最低限必要な水を確保
するため取り組むべき施策」ということです。既存施設の徹底活用、ハード・ソフト施策
の連携による全体システムの機能確保、水の安全度を確保するための施策の展開。これは
後半のところでより具体的に書いていますので、こういった視点のチェックが必要であろ
うということで書いています。
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さらに、答申に沿ってより具体的な中身を話しますと、 「水供給の安全度を総合的に確保
するための計画」として、 「需要主導型の水資源開発からの転換」ということです。これは
答申の中に書いていますけれども、次期計画の目標の検討という中では、水系全体で見れ
ば水需給バランスがおおむね確保されつつある現状を踏まえて、定量的な供給目標は設定
しないという、これは答申の中身をそのまま踏襲するという方向性です。それから、 「地域
の実情に即した安定的な水利用」ということです。ここで、社会情勢等の把握がしっかり
と必要ということで、暫定取水の状況はどうであるか、人口動態、産業構造、地域開発の
動向。それから、自治体・水道事業体の計画。これは特に、各自治体、それから、水道事
業体等の情報をしっかり収集した上で、どういった考えで計画を立てられているかという
ことを把握していきたいと思います。
それから、 「水供給の安全度を確保するための施策の展開に関する検討」ということです。
まず「需要面からの施策」はどうなっているか。節水型社会の構築という言葉を書いてい
ますが、実際に各自治体とコミュニケーションをとっていく中で、どういう計画を持って
いるか、条例、現在の実施状況はどうかということも把握していく。さらには、水利用の
合理化、水の転用の実施状況、今後の見通しをしっかり把握していくということをやって
いきたいということです。
それから、 「供給面からの施策」ということです。水資源開発施設の建設については、で
き上がったものがどれだけあって、さらに、現在進捗しているものはどういうものがある
か、いつごろまでに建設の見通しが立つかということもしっかり把握していくということ
と、それから、既存施設の徹底活用による水の有効利用ということで、各種どういった徹
底活用の方法があるかということを検討していくということです。
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【沖分科会長】 大分時間過ぎておりますが、多分本日ここで議論したもので7水系6
部会で具体的な議論、委員方それぞれの部会に入っていただいてご議論して、また最後に
この分科会で審議するということになりますので、皆さん意識の共有というのは非常に大
事だと思いますが、ほかよろしいでしょうか。
私も一言申し上げさせていただくとすれば、旧来価値という言葉がございました。需給
バランス、これは、今日の参考資料4の中ほどについております水資源開発促進法、昭和
36年にできた法律で、やはりこれの第5条に水の用途別の需要の見通し及び供給の目標
と書いてあるわけです。それをやるのが水資源開発基本計画を立てる、フルプランを立て
るということで、書かざるを得ないということだと思うのです。ここで言っているリスク
管理というのは大事だというのはわかるのですが、なかなかこの中では読みにくいという
ことがあるなというふうに思います。

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