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事務局からのお知らせ

「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」についての意見陳述(参議院)

2018年5月31日
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5月31日の参議院国土交通委員会で「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」の審議のための参考人招致が行われました。

この法案は、人口減少・高齢化の進展や地方から都市等への人口移動等により、所有者不明土地が全国的に増加しており、今後も増加の一途をたどることが見込まれいることから、その対応策として上程されたもので、すでに衆議院を通過しました。法案とその説明は http://www.mlit.go.jp/policy/file000003.html をご覧ください。

参議院国土交通委員会での審議にあたり、二人の参考人が呼ばれ、その一人として法案反対の立場で嶋津が出席しました。

この法案は、土地収用法の特別措置法という面があり、土地収用法によって石木ダム予定地等の強制収用が進められようとしていることから、その問題点を指摘する必要があると考え、参考人を引き受けました。

嶋津が陳述した意見書と説明に使った資料は次のとおりです。

「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」に関する意見(嶋津)20180531 0.45mB

意見陳述の説明資料(嶋津)20180531   3.8mB

この法案の問題点として主に指摘したことは次の2点です。

(1)所有者不明土地とされる土地の収用で収用委員会の公開審理をなくし、都道府県知事の裁定に代えることの問題点

(実際には収用委員会の制度も形骸化しているのですが、本法案は現状をさらに悪くするものですので、収用委員会の問題は取り上げませんでした。)

〇 土地収用法が定める収用手続は、憲法29条が保障する土地所有権そのものを「公共のため」に権利者の意に反してでも奪うという、財産権の侵害度が最も高い手続きである。権利者に対する十分な手続保障があってこそ、公共目的で権利を奪うことが正当化されるのであり、その手続きとして収用委員会という第三者機関による公開審理は不可欠のものである。

〇 ところが、本法案では所有者不明土地とされる土地の収用は、収用委員会の公開審理をなくし、都道府県知事の裁定に代えることになっている。となると、都道府県の公共事業の場合は、事業者も収用の裁定者も同じ都道府県となり、都道府県の判断だけで進むことになり、公正な収用であるかどうか、所有者不明土地とされているが、調査を尽くしたものであるかどうかについて第三者機関によるチェックが行われないことになってしまう。

(2)収用手続きの簡素化が進められれば、必要性が希薄な公共事業が一層まかり通る可能性が高くなる

〇 本法案で所有者不明土地は収用委員会の公開審理をなくし、都道府県知事が裁定するようにすること、さらに、国土交通省が近く策定する「事業認定の円滑化マニュアル」を普及させることにより、事業認定申請から、事業者が所有権を取得するまでの期間を大幅に短縮することになっている。

〇 所有者不明土地への対応が必要だということを名目にして、本法案により、土地収用手続きの簡素化が進められれば、必要性が希薄な公共事業が一層まかり通る可能性が高い。

〇 事業認定制度が形骸化しており、必要性の希薄な公共事業にも事業認定のお墨付きが出るようになっているので、公共事業の必要性の是非について厳格な審査が行われるよう、事業認定制度の抜本的な改善が必要である。

〇 事業認定の厳格化への改善無しに、土地収用手続きの簡素化を進めるべきではない。

 

事業認定制度が形骸化している端的な例として、石木ダム問題を取り上げ、石木ダムが利水治水の両面で必要性がきわめて疑わしい事業であるにもかかわらず、そのような石木ダムにも事業認定のお墨付きが出る事業認定制度の根本的な欠陥を具体的に指摘しました。

今回の参考人を引き受けたのは、国会の国土交通委員会の議員に石木ダムの問題を伝える機会にもなるということがありました。

陳述に使った上記の意見書と説明資料をお読みいただければ幸いです。

 

 

 

 

 

 

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